
こんにちは、こぱんです!
リベ大では、お金のなる木を育てて、資産と自由な時間を増やしていく力、「増やす力」に関する情報発信もしています。
▼図解:「増やす力」
2021年1月7日、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社が「2020年の各資産収益率、株式/為替市場の振り返り」というレポートを公表しました。
実は、このレポートの中に宝の地図が載っていたので、皆さんにも紹介します。
この表の読み方をしっかり解説していくよ!
小説や映画で宝の地図を見たことがある人も多いでしょう。
宝の地図は宝探しに命を懸けた冒険者にしか読めないもので、知識のない普通の人が読めないのは当たり前です。
今回の記事では、宝の地図(=資産クラスごとの成績順位表)の読み方を伝授していくので、今はどこを見たら良いか分からない人も安心してください。
- 宝の地図の基礎知識
- 宝の地図から分かる3つのこと
- 財宝に辿り着くヒント
目次
解説動画:【2020年版資産ランキング】8資産の「成績順位表」から学ぶべきポイントを解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
宝の地図の基礎知識
宝の地図=資産クラスごとの成績順位表
冒頭の表は、8つの資産クラスの年度ごとの成績順位表です。
株式・債券・REIT(不動産に投資するファンド)によって構成される8つの資産クラスは、以下の通りです。
- 国内株式
- 先進国株式
- 新興国株式
- 国内債券
- 先進国債券
- 新興国債券
- 国内REIT
- 海外REIT
皆さんがそれぞれの資産クラスに1年間投資していたら、お金はどれだけ増えたのかをランキングで示しています。
改めて2020年の成績順位表を見てみましょう。
- 1位:新興国株式(+12.1%)
- 2位:先進国株式(+10.2%)
- 3位:国内株式(+7.4%)
米国の代表的な株価指数であるダウ平均株価は、2020年の末には史上最高値を更新しました。
そのため誰もが、米国を含む先進国株式が1位だと思っていたでしょう。
しかし、意外にも1位は新興国株式(+12.1%)で、先進国株式(+10.2%)は2位の成績でした。
理由は低成長のヨーロッパが含まれていたからです。
なお3位は、新興国株式や先進国株式に劣る成績となった国内株式、つまり日本株式(7.4%)です。
理由については後述します。
上位3位までは株式、4〜6位は債券、そして下位はREITとなりました。
- 4位:先進国債券(+5.9%)
- 5位:国内債券(−0.8%)
- 6位:新興国債券(−3.0%)
- 7位:海外REIT(−12.2%)
- 8位:国内REIT(−13.4%)
ちなみに国内債券が−0.8%となったのは、2003年以来17年ぶりです。
マイナス運用にならない鉄板の運用先でしたが、ついに陥落してしまいました。
金融リテラシーが高い人は、各資産クラスの特徴をしっかりおさえ、毎年の順位もなんとなく意識しているものです。
皆さんも資産クラス別の成績順順位表があることを、ぜひ認識しておきましょう。
8つの資産クラス、具体的には何に投資しているの?
ところで一言で資産クラスといっても、その中身が何なのか気になる方も多いでしょう。
今回紹介した表の下にある欄を見ると、各資産クラスに対応したインデックスが設定されていることが分かります。
- 1位:新興国株式
→ MSCIエマージング・マーケット・インデックス - 2位:先進国株式
→ MSCIコクサイ・インデックス - 3位:国内株式
→ TOPIX - 4位:先進国債券
→ FTSE世界国債インデックス - 5位:国内債券
→ NOMURA-BPI総合 - 6位:新興国債券
→ JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス・エマージング・マーケッツ グローバル・ディバーシファイド - 7位:海外REIT
→ S&P先進国REIT指数(日本除く) - 8位:国内REIT
→ 東証REIT指数
1位:新興国株式(MSCIエマージング・マーケット・インデックス)
2020年に栄えある成績1位を獲得した新興国株式の正体はMSCIエマージング・マーケット・インデックスです。
- 中国、インド、ブラジルなど、新興国27ヵ国が対象
- 約1,400の上場企業(大型・中型株)で構成
- 新興国株市場の時価総額のうち約85%をカバー
新興国の大企業・中堅企業の詰め合わせパックのようなインデックスです。
アリババ・テンセント・サムスンなど、皆さんもきっと名前を聞いたことのある有名企業が入っています。
2位:先進国株式(MSCIコクサイ・インデックス)
成績第2位だった先進国株式の正体はMSCIコクサイ・インデックスです。
- アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダなど、日本除く先進国22ヵ国が対象
- 約1,300の上場企業(大型・中型株)で構成
- 先進国株式市場の時価総額のうち約85%をカバー
- Apple
- Amazon
- Microsoft
- TESLA
第3位:国内株式(TOPIX)
成績第3位となった国内株式はTOPIXに対応しています。
日経平均株価は、ファーストリテイリングなど株価の高い銘柄に影響されやすいです。
そのため、資産クラスの順位を見る時にはTOPIXが使われることがほとんどでしょう。
さて、上記を含めた8つの資産クラスに対応する全てのインデックスは、資産運用の世界ではメジャーなものばかりです。
流行り廃りの激しい投資の世界で生き残ってきたインデックスとも言えるでしょう。
資産運用の経験が浅いと、MSCIエマージング・マーケット・インデックス、MSCIコクサイ・インデックス、TOPIXなど言われても混乱するかもしれません。
しかし投資家としては、この言葉に親近感を抱くようになったら一人前です。
皆さんが好きな俳優やタレント、アイドルの名前を出すような感覚で、インデックスのことも語れるようになれば嬉しいです。
宝の地図を見る時の注意点
資産クラスごとの成績順位表を見る時、数字ばかりで理解が進まない人も多くいます。
以下の2つの注意点をしっかり押さえて理解すれば大丈夫ですから、しっかり学んでいきましょう。
- ①表に載っている成績は実際には手に入らない
- ②為替リスクを考慮する
注意点①:この表に載っている成績は実際には手に入らない
インデックスの成績と、インデックスに連動したファンドの成績は一緒になりません。
分かりやすく説明してよ~!
以下の表は、アメリカのMSCI社が公表しているMSCIエマージング・マーケット・インデックスの成績表です。
2020年の成績を見ると、18.31%というインデックス自体の成績を見ることができます。

(出典:MSCI「MSCI Emerging Markets Index (USD)より抜粋)
次に、インデックスに連動したファンドの成績を見てみましょう。
世界最大規模の資産運用会社である、ブラックロックが作っているEEMというファンドのホームページには、以下のデータが載っています。

(出典:ブラックロック「iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF ファンドの実績」
- ファンドの実績:17.56%
- インデックスの成績:18.31%
- 株式の売買手数料
- 為替手数料
- 運用のための人件費
そのため、インデックス自体の成績よりも、ファンドの成績の方が悪くなるのが一般的なのです。
日本円を持つ皆さんが、アメリカのスーパーで野菜詰め合わせパックを買うよう友人へ依頼した場合をイメージすれば、よりコストについて理解できるでしょう。
- アメリカへ買いに行く友人の移動コスト
- 日本円を米ドルに両替する為替コスト
インデックスは実際に運用するわけではないため、コストを無視して考えることができます。
一方、実際に運用するファンドは手数料や手間がかかった分だけ、リターンが下がるというわけです。
注意点②:為替リスクを考慮する
2020年の成績1位だった新興国株式の成績は12.1%でしたが、インデックス自体の成績は18.31%でした。
6%以上も差が生まれた理由が、為替リスクです。
- インデックスの成績(18.31%):ドルベース
- 成績順位表の成績(12.1%):円ベース
2020年は、1ドル約108円から1ドル約103円まで5円近く円高が進みました。
5円の円高で約6%も成績が悪くなるのですから、為替リスクは決して小さくありません。
関連動画
以下のポイントを踏まえて資産クラスの成績順位表が見られるなら、脱初心者と言えるでしょう。
→ 表の注意書きを見れば分かる
→ 同じ指数に連動しているファンドの中から、多くのお金を集めている人気ファンドを見る
宝の地図から分かる3つのこと
宝の地図(=資産クラスごとの成績順位表)の基礎が分かったところで、次は読み方です。
今回は成績順位表から読み取れる3つのことを、1つずつ解説していきます。
- ①連続で1位を取ることは難しい
- ②連続で最下位を取ることも難しい
- ③とにかく最下位を避けたい人はバランス型
①連続で1位を取ることは難しい
色とりどりで統一感の無い成績順位表は、収益率の高い資産が毎年入れ替わっていることを意味します。
収益率ランキングが毎年同じなら、虹のようにキレイな形になるからです。
成績1位を取る資産クラスだけを見ても、5年連続どころか、2年連続でさえ1位に輝いた資産クラスはひとつもありません。
前年に高い成績を収めた資産クラスが、翌年も同じように良い成績を収めるとは限りません。
例えば、以下のような順位の入れ替わりも決して珍しくないのです。
- 国内REIT(2016年1位)に投資 → 2017年は8位
- 新興国株式(2017年1位)に投資 → 2018年は7位
今年いちばん収益の高かった資産クラスが、翌年も良い成績である保証はないと分かるでしょう。
そのため、その年ごとに成績不振のものを売ったり成績が良かったものを買ったりと乗り換えるのはおすすめできません。
連続で1位を取るのは難しいのです。
②連続で最下位を取ることも難しい
反対に、収益率最下位の資産クラスに注目した場合も、やはり2年連続でランクインした資産クラスはありません。
ちなみに前年最下位だった資産に投資した場合の結果を、何パターンか見てみましょう。
- 先進国債券(2016年8位)に投資 → 2017年は6位
- 国内REIT(2017年8位)に投資 → 2018年は1位
- 国内株式(2018年8位)に投資 → 2019年は4位
- 国内債券(2019年8位)に投資 → 2020年は5位
上記のように翌年の成績順位はバラバラでした。
「成績が悪いものはずっと悪い」、「前年成績が悪かったものが、翌年は優秀」など、分かりやすい傾向は出てこないようです。
③とにかく最下位を避けたい人はバランス型
毎年の成績がバラバラでは今年の1位を当てられないどころか、最下位になるかどうかも分かりません。
もし、未来を教えてくれるという人がいたら、占い師か詐欺師と言えるでしょう。
実は未来を読めなくても、バランス型ファンドなら最下位にならない資産だと断言できるのです。
世界有数のグローバル総合金融サービス会社、JPモルガンが作った成績順位表を見ると、その安定性がハッキリ分かります。
上記の図にあるバランス型には、色々な資産クラスが混ざっています。
そのため、成績が1位になることも、最下位になることもありません。
成績順位表を眺めて最下位だけは避けたい人にとっては、バランス型は検討余地のある投資先だと言えるでしょう。
- 先進国株式:30%
- 新興国株式:10%
- 先進国国債:30%
- 米国ハイ・イールド:10%
- 新興国国債:10%
- 米国REIT:10%
関連動画
→ 教育資金(学費)を準備するのにおすすめのつみたてNISAファンド3選
財宝に辿り着くヒント
ここまでの説明を聞いて、「宝の地図が示す財宝はバランス型ファンドなのか」と思った人もいるでしょうが、それは間違いです。
なぜなら、単年度での成績に注目するべきではないからです。
ミミック開いた時みたいな気分だよ。
バランス型ファンドは、ミミックほど悪くはありませんが、第一におすすめしたいものでもありません。
リベ大では、誰もが金融資産5,000万円以上の小金持ちになれる長期投資を推奨しています。
投資目的・リスク許容度は人それぞれで正解はありませんが、多くの人にとって最適なのは米国株式や全世界株式だと考えています。
とはいえ、もちろん他の資産クラスが長期的に1位を取る可能性はあります。
そこで、以下のスタンスでの投資がおすすめです。
- 米国株が1番というメインシナリオにそって、米国株メインで投資
- 他の資産が勝つ可能性も考えて、他の資産もトッピングしておく
→ ずっと1位の可能性は低い
→ ずっと最下位の可能性は低い
→ 1年毎の成績にこだわりすぎて、自分の投資期間の目線を忘れている
毎年、投資成績が1位になる資産クラスを当てたいという一見まともそうな発想が、財宝から遠ざかってしまうアイデアなのです。
毎年1位をとり続けるものは存在しないという現実を知っておくことが、財宝に辿り着くヒントになります。
結論、どうしても単年度の成績が気になる人は、バランス型のポートフォリオを組めば良いでしょう。
1年単位で見れば、1位がとれないかわりに絶対に最下位にもならないため、メンタル的には非常に付き合いやすいと言えます。
- 資産を大きく毀損したくない
- ポートフォリオのバランスを自分で決められない
上記の2つが当てはまる人にとっては、バランス型は選択肢の1つになるでしょう。
単年度の成績を気にしないでいられる人は、以下の選び方でOKです。
自分の考える投資期間のなかで、もっとも成長性が高いものを選ぶ
想定外の事態に備えて、リスク分散のために何かをトッピングする
結局のところ、今までリベ大が繰り返し伝え続けてきた通りの内容となりました。
資産運用の世界では、あらゆるデータが転がっているものです。
そのデータを上手に組み合わせて、もっとも自分が腹落ちする投資スタイルを見つけられたら、皆さんが財宝を手にする日は、そう遠くないかもしれません。
まとめ:自分の投資目的・リスク許容度に合ったポートフォリオを組んで、航路を守ろう!
今回は2021年1月7日、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社が公表した最新の資産クラスの成績順位表を解説しました。
- 宝の地図の基礎知識
- 宝の地図から分かる3つのこと
- 財宝に辿り着くヒント
宝の地図の基礎知識
年度ごとの成績を並べた上記の表こそ宝の地図であり、登場する8つの資産クラスにはそれぞれ対応したインデックスがあります。
各インデックスは有名な指標ばかりで、インデックスの内容・推移については、定期的にチェックしましょう。
インデックスとインデックスファンドは別物
成績順位表はインデックスの成績
インデックスファンドは様々な運用コストがかかるため成績が低くなる
為替リスクは小さくないため、成績順位表の数字が円建てかドル建てかを確認する
宝の地図から分かる3つのこと
また、宝の地図である成績順位表を見ると、次の3つのことが分かります。
- ①連続で1位を取ることは難しい
- ②連続で最下位を取ることも難しい
- ③とにかく最下位を避けたい人はバランス型
良い成績や悪い成績がずっと続くことはなく、実際2年連続で1位や最下位を取り続けた資産クラスはありませんでした。
つまり、1年ごとの成績を見てきめるべきではないということです。
また同時に、投資において暴落