こんにちは、こぱんです!
リベ大では、お金のなる木を育てて資産と自由な時間を増やしていく力、「増やす力」についても情報発信しています。
▼図解:増やす力
リベ大で学び、高配当株投資をはじめた人も多いのではないでしょうか。
高配当株投資で得られる配当金は究極の不労所得の一つですが、デメリットもあります。
そのデメリットの一つが、配当金を受け取る際の税金です。
配当金にかかる税金は以下の通りです。
- 日本株:約20%
- 米国株:約28%
もし皆さんが3,000万円の高配当日本株を保有し、配当利回り4%で運用したとしましょう。
その場合、得られる配当金は120万円となりますが、このうち約20%の24万円は税金で取られてしまうのです。
つまり120万円の配当金を得ても、手取り額は96万円まで減少してしまいます。
しかし、一定の条件を満たした人が確定申告をした場合、最大で税金の15%を取り戻せます。
配当金にかかる最終的な税金は5%になるので、120万円の配当金の手取り額は114万円に増えるのです。
この手続きが配当控除です。
そこで今回は以下の4つについて解説します。
- ①配当金に関して知っておくべきポイント2つ
- ②配当控除の仕組み
- ③配当控除などを活用したサイドFIREプラン(ミニマム型)
- ④配当控除を活用した高配当株投資の3つの留意点
税金の話は少し複雑ですが、頑張って理解すれば一生役に立つ節税知識を得られます。
そのため、以下のような人には間違いなく役に立つでしょう。
- 再現性の高い方法で、コツコツと資産収入を増やしたい人。
- 贅沢な暮らしはしなくていいから、質素倹約スタイルで自由に暮らしたい人。
- 老後のお金の心配をなくしたい人。
目次
解説動画:【超お得】配当金の手取り金額を最大15%増やす「配当控除」について解説(アニメ動画)
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
配当金に関して知っておくべきポイント2つ
配当控除を学ぶ前に、配当金に関して知っておくべきポイントが2つあります。
- ①配当金にかかる税金
- ②配当金の申告パターン
ポイント①:配当金にかかる税金
皆さんが配当金を受け取る際にかかる税金は、以下の2つです。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
※今回の解説では、復興特別所得税0.315%は含んでいません。
受け取った配当金に、15%の所得税と5%の住民税の合計である20%が源泉徴収されます。
この20%のうち配当控除として取り戻すのは、所得税の15%分となります。
ポイント②:配当金の申告パターン
配当金の申告パターンは、以下の3種類あります。
- 確定申告不要(源泉徴収された後、何もしない)
- 申告分離課税で確定申告する
- 総合課税で確定申告する
配当控除をお得に利用するには、3つ目の総合課税で確定申告する必要があります。
多くの人はここで挫折してしまい、税金を取られ放題の人生を歩むことになるのです。
この呪文のような言葉を覚えた先に、幸せな世界が待っているので頑張りましょう。
では、配当控除をお得に利用できる「総合課税」について解説します。
通常、配当所得は分離課税になる
日本の所得税は累進税率なので、稼げば稼ぐほど、どんどん税率が上がっていきます。
上の表からも分かる通り、皆さんの収入が増えれば増えるほど、所得税率は5%、10%、20%、23%と増えていき、最終的に45%になります。
一方、配当金にかかる所得税率は、年間配当が10万円でも1億円でも一律15%です。
なぜなら配当所得は分離課税で、給与などの所得とは分けて考えられているからです。
配当金を総合課税で確定申告するメリット
配当金はどれだけ稼いでも税率が増えないので、確定申告をしないで分離課税のままの方がお得なように感じます。
しかし所得が900万円以下の人は、税金を減らすためにあえて総合課税で確定申告する方がお得になります。
総合課税とは分離課税の反対で、給与など他の所得を合算した金額を所得金額として税の計算を行う方法です。
なぜ総合課税で確定申告をした方がお得になるかと言うと、「配当金の10%分の税金を安くしてくれる」素晴らしい制度があるからです。
これが配当控除です。
配当控除の仕組み
配当控除の仕組みを分かりやすくお伝えするため、皆さんに年間30万円の配当金があるという前提で解説します。
以下は配当金にかかる税金を表にまとめたものです。
もし皆さんの収入が30万円の配当金だけだった場合、所得税は以下の通りです。(簡素化のため、基礎控除などは含んでいません)
→ 所得金額が195万円以下の税率
→ 30万円(所得金額)× 5%(所得税率)= 1.5万円(所得税額)
しかし配当控除を適用すると、配当金30万円にかかる税金は0円になります。
なぜなら、配当控除により所得金額が0円になるからです。
→ 所得金額が195万円以下の控除率
→ 30万円(所得金額)×10%(配当控除率)= 3万円(配当控除額)
→ 1.5万円(配当控除適用前の所得税額)- 3万円(配当控除額)= 0円(税金を払う必要がない)
つまり、30万円の配当金にかかる税金は0%になります。
しかし、配当金をもらう際に15%の所得税を源泉徴収されてしまっています。
そのため、国に「すでに納めた税金を返してください!」と確定申告をするのです。
結果、4.5万円(30万円×15%)の所得税が還付されます。
これが配当控除の一連の流れです。
難しくて理解できなかった人は、給与などを含めた所得金額が900万円以下なら、配当控除を使うとお得になることだけ覚えておけば良いでしょう。
なお、所得金額に応じた節税率は以下の通りです。
- 所得金額:330万円以下
→ 節税率:15%(配当金にかかる所得税は0%)
- 所得金額:330万円超~695万円以下
→ 節税率:5%(配当金にかかる所得税は10%)
- 所得金額:695万円超~900万円以下
→ 節税率:2%(配当金にかかる所得税は13%)
このように15%の所得税には、総合課税を選択したほうがお得になります。
一方、5%の住民税には、総合課税で申告をすると損になるのです。
そのため「私は、住民税に関しては確定申告しません。」と申告する用紙の提出が必要となります。
提出する用紙は市役所により様式が違うのですが、神戸市なら以下の用紙になります。
配当控除の手続きについてまとめると以下の通りです。
→ 税務署に確定申告書を提出する
→ 市役所に申告不要の届け出を提出する
以上の手続きにより皆さんの配当金にかかる税金は、一番安い場合で5%の住民税だけになります。
配当控除などを活用したサイドFIREプラン(ミニマム型)
ここまで記事を読んた皆さんの中には「数万から十数万円の還付のために、こんな面倒な申告をするのはイヤだな」と思った人もいるのではないでしょうか。
そこで、配当控除などの仕組みを活用したサイドFIREプランを紹介します。
なぜなら、このプランを知ることではじめて、税金のコントロールの大切さが分かるからです。
ちなみにサイドFIREとは、生活費の一部を労働所得で賄い、残りは資産所得でリタイア生活を楽しむスタイルです。
今回は3,000万円の資産を元手に、サイドFIREすると仮定し解説します。
解説するサイドFIREプランでは、配当控除を含めて以下の3つの仕組みを利用します。
- ①マイクロ法人
- ②配当控除
- ③青色申告特別控除
なお、この解説の目的は「知識をつければ様々なことができる」と皆さんに知ってもらうことです。
解説するプランが完璧というワケではありませんので、ご了承ください。
今回のサイドFIREプランの大まかな流れは以下の通りです。
- ①マイクロ法人で、1,500万円分のJ-REITや米国高配当ETFを保有し運用する。
→ マイクロ法人を活用
- ②個人で、1,500万円の日本高配当株を運用する。
→ 配当控除を活用
- ③個人事業主として、約126万円を上限に稼ぐ。
→ 青色申告特別控除を活用
仕組み①:マイクロ法人
会社を辞めて独立する場合、困ることの一つが「社会保険」です。
社会保険とは病気やケガ、老後のリスクなどに備えた社会保障のひとつです。
社会保険には、医療保険や年金保険などがあります。
日本は国民皆保険(こくみんかいほけん)なので、全員が社会保険に入っています。
しかし、会社員と個人事業主では加入する社会保険が違うのです。
会社員と個人事業主が加入する社会保険の違いを表にまとめると以下の通りです。
会社員 | 個人事業主 | |
加入する医療保険 | 健康保険 | 国民健康保険 |
医療保険のお得な制度 | 出産手当金、傷病手当金など | なし |
加入する年金保険 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金 |
扶養制度 | あり | なし |
保険料の基準 | 標準報酬月額 (4月~6月の給与額) |
前年度の課税所得 |
個人事業主が加入する国民健康保険は、出産手当金や傷病手当金もなく、年金も国民年金だけなので、将来貰える年金額も少ないです。
また、国民健康保険や国民年金では扶養制度がありません。
▼図解:まだまだある!健康保険のメリット
会社員にとって社会保険はかなり手厚く心強いものですが、一方で金額的な負担は、所得税や住民税よりも大きくなることが多いです。
そのため、コスパの良い社会保険(健康保険、厚生年金など)に加入するために、自分で資産運用会社(= マイクロ法人)を作るというワケです。
今回のプランでマイクロ法人を利用するポイントは以下の通りです。
1,500万円分のJ-REITや米国高配当ETFを保有する
自分に年間54万円の役員報酬を支払う
マイクロ法人の利益は出さない
1,500万円分のJ-REITや米国高配当ETFを保有する
マイクロ法人を作り、1,500万円分のJ-REITや米国高配当ETFを保有します。
もし、配当利回りが5%とすると、配当収入は75万円です。(1,500万円 × 5% = 75万円)
つまりマイクロ法人の利益は75万円となります。
自分に年間54万円の役員報酬を支払う
利益の75万円のうち、自分に年間54万円の役員報酬を支払います。
役員報酬とは、マイクロ法人の社長である皆さんの給与です。
役員報酬を年間54万円にする理由は、以下の2つの面でメリットがあるからです。
- ①個人の所得税と住民税が非課税になる
- ②社会保険料が最小負担額で済む
税金は給与から控除を引いた金額である課税所得にかかります。
そのため、給与額より控除額が多ければ、課税所得が0円になるため税金はかかりません。
控除の一つに「給与所得控除」があり、年収が162万5,000円までなら控除額は55万円となります。
つまり、「54万円(年間の給与)- 55万円(給与所得控除)= 0円(課税所得)」となり、役員報酬分(給与分)の住民税と所得税は非課税となるのです。
社会保険料は、4月から6月の給与額から算出される標準報酬月額で決まります。
そのため、年間の給料が54万円(月額:4万5,000円)ならば、社会保険料は最小負担額で済むのです。
社会保険料は市区町村で変わってきますが、最小負担額はおよそ年間で約26万円となります。
例えば東京都における保険料額表は以下の通りです。
- 健康保険料:約7万円(約6,000円/月)
- 厚生年金保険料:約19万円(約1.6万円/月)
会社員の社会保険料は、会社が半額負担する必要があります。
そのため会社負担分として、13万円の社会保険料を支払います。
こうすることで、最安で健康保険と厚生年金に加入できるのです。
しかし残りの13万円の社会保険料は、個人として支払う必要があります。
そのため、マイクロ法人から受け取る個人の手取りは年間で約40万円になります。(年間の給料:54万円 - 社会保険料の個人負担分:13万円)
マイクロ法人の利益は出さない
マイクロ法人の利益は、なるべく出さないようにします。
詳しくは後述しますが、利益を出さないことで配当金にかかった税金を返してもらえるからです。
以下の費用を経費として計上すれば、75万円の利益はほぼなくせます。
- 役員報酬:54万円
- 社会保険料(会社負担分):13万円
- 税理士費用(申告書作成のみ):5万円
なお、法人を作ると年間7万円の「法人住民税均等割」は別途払う必要があります。
残念ながら、この費用は経費にできません。
仕組み②:配当控除
先ほど解説した通り、日本株の配当金には配当控除が使えます。
そのため個人では1,500万円の日本の高配当株を保有し、配当控除を利用しましょう。
なお、配当控除を使った場合と使わなかった場合の差は、以下の通りです。
→ 1,500万円 × 4% × 95% = 57万円
→ 1,500万円 × 4% × 80% = 48万円
仕組み③:青色申告特別控除
資産所得からの収入とは別で、好きな仕事で稼ぐ場合は、非課税になる金額を把握しておくと良いでしょう。
今回紹介したプランなら、年間で約126万円が非課税で稼げる金額となります。
なぜなら、使える控除の合計額が126万円だからです。
所得税や住民税は課税所得にかかるので、控除を使って課税所得が0円になれば税金はかかりません。
126万円の控除の内訳は以下の通りです。
- 基礎控除:48万円
→ 誰でも受けられる控除
- 社会保険料控除:13万円
→ 社会保険料を支払えば受けられる控除
- 青色申告特別控除:65万円
→ 事業所得で使える控除
この中で一番のポイントとなるのが、青色申告特別控除です。
青色申告特別控除は、一定条件を満たせば65万円の控除が受けられます。
- 複式簿記で記帳していること
- 電子申告で確定申告していること