リベ大で日頃から勉強している人であれば、即答できるかもしれません。
創業者で、「株主 = 社長」のような場合(いわゆるオーナー社長)、社長はかなり儲かるポジションにいます。
では、続いての質問です。
- 株を持っているから?
- 一番偉いから?
- 資本主義経済社会は、そういう仕組みだから?
早速、今回の記事の大きなテーマについてネタバレします。
正解は、「報酬を受け取るのが、一番最後だから」です。
あひるくんと同じ感想を持った人こそ、ぜひ記事を最後まで読んでみてください。
今回の記事では、以下の2点について解説します。
株主・社長が一番儲かる最大の理由
知っていることで具体的に変わるアクション3選
記事を読んでもらうと、なぜ会社員が大儲けしにくいのかもハッキリ分かるでしょう。
ルールをしっかり学ぶことで、ゲームの進め方はより効率的になります。
資本主義経済社会のルールを学び、蓄財というゲームの正しい進め方を知ってください。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:どうして 株主が一番儲かるの?
目次
解説動画:【意外と知らない】ナゼ株主や社長が一番儲かるのか?「最大の理由」を解説
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
株主・社長が一番儲かる最大の理由
もう一度、「株主・社長が一番儲かる最大の理由」の答えをお伝えします。
結論、「報酬を受け取るのが、一番最後だから」です。
「最初」に報酬をもらう人
「真ん中」で報酬をもらう人
「最後」に報酬をもらう人
お金をもらえるのが最後という点で、「リスクを一番取っているから」と言い換えるのもアリです。
多くの人は、以下のような考えを持っています。
「お金を稼ぎたければ、とにかく自分の取り分を最初に確保すべきだ!」
「ケーキを分け合うなら、最初に自分の分を取り分けた方が良い!」
自分が一番儲けたければ、自分の報酬は「最後」にする必要があるワケです。
リベ大両学長のお父さんも、よく両学長に次のように言っていたそうです。
大きく成功する人間ってのは、自分の取り分を後にするだなぁ。
社員に給料を支払って、取引先に報酬を支払って、自分が一番最後に報酬をもらう。
で、みんなを儲けさせて少しずつでもみんなからもらえたら、自分の分が最終的に一番大きくなるだよ〜。
だけど俺は、たくさんの人を扱える器はねぇから、貧乏だなぁ〜。
自分が一番儲けたければ、「自分の報酬は最後にする必要がある」ことを説明するために、株式会社リベ大自動車という架空の自動車メーカーを例に話を進めます。
会社の「損益計算書」の見方も分かるようになる、1粒で二度おいしい内容です。
損益計算書のように難しい言葉を聞くと、「よし!居眠りの準備OK!」となる人もいるかもしれませんが、分かりやすくお伝えするので、ぜひ肩の力を抜いて読み進めてください。
リベ大自動車の創業社長である両学長は、銀行から借りた500万円を元手に、良い自動車を作ろうとやる気満々です。
① まずは、場所の確保が必要です。
地主に頼み込み、近所の空き地を借りました。
② 次にやるのは仕入れです。
鉄やゴム、ガラス、エンジンといった材料を仕入れました。
③ 最後は雇用です。
実際に組み立てをしてくれる職人さんを雇いました。
車の材料費と人件費は、トータルで300万円かかりました。
そして両学長は、車を売るために広告を打ちます。
チラシを作成し、ネット広告にも載せますが、待てども待てども反響がありません。
そこで両学長自ら、営業をかけにいきます。
両学長は、銀行で借りたお金を元手に300万円で車を作り、1,000万円で売りました。
差し引き、利益は700万円です。
この時、製品を販売した額を「売上高」、製品を作るためにかかったお金を「売上原価」と呼びます。
売上高から売上原価を差し引くと、ざっくりした利益が計算できます。
これを見て、「700万円も儲けてる!すごい!」と感じた人は要注意です。
なぜなら、売上総利益は本当の利益ではないからです。
そもそも両学長は、事務や組み立てをするための場所として、空き地を借りていました。
ということは、地主にこの空き地の利用料を支払わなくてはいけません。
空き地の利用料は、年間100万円です。
さらに両学長は広告も打っていたので、以下のようなものにもお金がかかります。
- チラシのデザイン代
- チラシの印刷代
- チラシのポスティング費用
- ネット広告費用
広告に関する費用は、トータル50万円かかりました。
すると、先ほど紹介した表は、以下のように修正できます。
商売の世界では、このような「販売やビジネスのための基本的なコスト」を「販売費及び一般管理費」と呼びます。
「そんな名前聞いたことない!」という人も多いかもしれませんが、商売の世界では誰もが知っておくべき大事な言葉です。
「販売費及び一般管理費」だと長いので、短く縮めて「販管費」と省略されることもあります。
売上総利益から販管費を差し引いたものを、「営業利益」と呼びます。
ちなみに、日本でトップの営業利益額を誇るのはトヨタです。
ざっくり3兆円くらいというバグった数字になっています。
① 車を販売した代金
② 原価 + 販管費
→ ①から②を差し引くと、手元に約3兆円残る。
ちなみに「原価」は車を作るのにかかった材料費や人件費などで、「販管費」は本社の家賃や営業マン・事務員の人件費、広告費、販促グッズ代などです。
さて、話をリベ大自動車に戻すと、リベ大自動車の営業利益は550万円でした。
ところが、この金額ですら本当に手元に残るお金ではありません。
答えは、銀行に利息を支払う必要があるからです。
両学長は、そもそも元手の500万円を銀行から借りていました。
この借金に対する利息の支払いが、年間25万円あります。
ココも考慮すると、表は以下のように変わります。
「経常利益」という新しい言葉が出てきました。
多くの会社は事業を行う上で、以下のような金融的なお金のやりとりが存在します。
- 借入金に対して、利息を支払う。
- 預金に対して、利息を受け取る。
会社の利益を正しく計算するには、このような「本業に関係ないお金のやりとり」も考慮する必要があります。
営業利益をスタート地点にして、「支払った利息は引く」「受け取った利息は足す」という調整後の利益を、「経常利益」と呼ぶワケです。
金利の支払いや受け取りは、一般的には毎年発生するものです。
そこで、「経常利益」こそが企業の本当の実力ということで、ココを重視する社長や投資家も少なくありません。
経常利益は525万円です。
しかしここで、また新たな問題が発生します。
組み立て作業を行なっている現場の近所から、「リベ大自動車が使っている機械の排気ガスで、家の壁が汚れた!弁償しろ!」というクレームが発生しました。
すぐに対応し、汚れた壁の修理費を支払うだけではなく、同じようなことが起きないために作業場に柵を設置しました。
これにかかったコストは、トータル75万円です。
このような「毎年発生するワケではない一時的な費用」のことを、「特別損失」と呼びます。
逆に、たまたまお金がもらえた場合は「特別利益」が発生します。
今回の特別損失を計上した結果、表は以下のようになります。
結局、リベ大自動車の最終的な利益は450万円ということです。
と思いきや、最後の最後に、皆さんも良く知っている「アイツ」が登場します。
日本で会社を作ると、強制的に「国・県・市町村」が事実上のパートナーになります。
そこで、彼らにも分け前を支払わなくてはなりません。
税金として、ざっくり利益の30%くらいを要求してきます。
両学長もすでに経験したように、これを支払わないとひどい目にあうので、しっかり支払いましょう。
「税引き前当期純利益」の30%にあたる、135万円の税金を支払ってフィニッシュです。
最終的にリベ大自動車の利益は、315万円になりました。
さて、今回の本題「なぜ、株主が一番儲かるのか?」に戻りましょう。
「自分の報酬が一番最後だから」というのがその答えでした。
1,000万円の売上が発生した時、それを「最初」に自分のものにすることはありません。
もし両学長が自分への支払いを優先して、以下のような対応をしたらどうなるでしょうか?
- 取引先や従業員に、お金を支払わない。
- 大家に、家賃を支払わない。
- 銀行に、利息を支払わない。
- 国・県・市町村に、税金を支払わない。
今回の例で見ると、株主としての両学長の報酬は、絞りに絞られた税引き後純利益の315万円から出されるワケです。
今回のケースのように手元にお金が残れば良いですが、残らなければ取り分はありません。
この「最後の最後まで待つ」というリスクに対して、お金の神様は「プレミアム」というご褒美を与えてくれます。
プレミアムというのは、割増金のような意味です。
- リスクを取らない人の報酬:500万円
- リスクを取った人の報酬:2,000万円
→ 2人の報酬差1,500万円が、プレミアム(=割増金)。
好きこのんで「自分は最後で良いよ!」と言う人は、かなりの少数派でしょう。
報酬が最後で、しかも報酬水準が人より低いとなれば、世の中に起業する人はいなくなってしまいます。
しかし、それでは新しいモノやサービス、雇用は生まれません。
そこでお金の神様は以下のように、リスクに対して「プレミアム」というご褒美をつけてくれたワケです。
ここまでの内容を読んで、「自分には起業なんてできないよ!」と感じた人もいるかもしれません。
しかし皆さんの中には、インデックス投資をしている人や、個別株を買っている人もいるでしょう。
このような行為は、「利益を最後に受け取るポジションを買う」ことと同義です。
株を買うことで、プレミアムをもらえるポジションに立てるワケです。
事業経験のない株式投資家から億万長者が生まれる背景には、このようなカラクリがあります。
今回の記事では、大きく稼ぐためには「自分が報酬を受け取る順番を“最後”にする必要がある」点について解説しました。
ではこの点を知っていると、実生活においてどのような時に役立つのでしょうか?
知っていることで具体的に変わるアクション3選
繰り返しになりますが、大きく稼ぐためには、自分が報酬を受け取る順番を「最後」にする必要があります。
この点を知っていることで具体的に変わるアクションについて、3つの事例を紹介します。
事例①:仕事相手を探す時
両学長は、頻繁に仕事の募集をしています。
この時応募してくる人の中には、大きく2通りのタイプの人がいます。
Aタイプの人
→ 「とりあえず、月50万円希望します」と言うような人。Aタイプの人は「会社員マインドの人」と言い換えることもできる。なぜなら、先に支払いを受けたいと考える、保証が欲しい人だから。
Bタイプの人
→ 「私の報酬は、成果が出てから判断していただければOKです」と言うような人。Bタイプの人は「自分の報酬は最後で良い」と考えている。結果(利益)が出てから報酬を考えてくれたら良いというのは、事業家的なマインドの持ち主。
どちらが良い・悪いという話ではなく、両学長としては、それぞれの要望に合った報酬の渡し方をするだけとのことです。
ただ現実として、Aタイプの人にたくさんのお金を渡すことは、あまりないそうです。
リスクはあるものの、報酬をドカンと増やせる可能性があるのは、Bタイプの人です。
フリーランスの人は、仕事を探す時の参考にしてください。
ちなみに、以下のような方法もアリでしょう。
- 取引先Xに対しては、Aタイプで接して安定報酬の確保を狙う。
- 取引先Yに対しては、Bタイプで接して報酬の上振れを狙う。
注意点をお伝えすると、Bタイプでいく場合は、相手の見極めを誤らないようにしてください。
事例②:転職活動をする時
転職の面接で、「年収がいくら欲しい」と言うのかも、悩ましい問題の1つです。
この場面で、自分が欲しい給料を遠慮がちに言う人がいます。
例えば、本当は年収600万円欲しいところ、多めに言うと嫌がられそうなので、「年収500万円を希望します…」と言うイメージです。
ここまでお伝えした内容から、「自分の報酬を高くしてもらうのは、とりあえず後で良い」「まずは頑張らせていただきます」で良いのでは?と感じた人もいるかもしれません。
なぜなら、従業員というポジション自体に、そもそもプレミアムがないからです。
従業員に対して「先」に報酬を支払うリスクを取るのは、企業サイドの役割になります。
従業員側が「最初は安い給料で良い」と言うと男気があるように聞こえますが、裏を返せば、企業側に都合良く使われるだけにもなりかねません。
ちなみに、スタートアップ(ベンチャー)の場合は別です。
上場企業で役員をしている両学長の知人が、かつて話していたエピソードを紹介します。
今の会社に入る時、最終面接で社長にこんなことを言われたんだよね。
「君のこと、採用しようと思う。年収は自分で決めて良いよ」いつまでも従業員でいる気はなかったから、こう言ってやったんだ。
「年収は300万円で良いです。全力で働きます。でも、もし会社が成長したら、ストックオプション(=株)をください」結局彼は、従業員として「僕の報酬は後で良い」と言ったワケではなく、株主になるために「僕の報酬は後で良い」と言ったワケです。
いくら成果を出しても、報酬に反映されにくい働き方ともいえます。
その分従業員には、「安定した報酬」という大きなメリットがあります。
良い悪いという話ではなく、どちらを選ぶのかという話です。
よって、経営者や株主になるつもりがないのであれば、年収を要求する時は自信を持って「先」に受け取れるよう主張しましょう。
従業員として、それに見合うだけの働きをすれば良いだけの話です。
皆さんが、本当にその報酬に見合う働きをしてくれるのかどうか?そのリスクを負うのは、企業サイドというワケです。
事例③:無配当ハイテク株への投資
皆さんは、なぜGAFAMのようなハイテク株が儲かるのか分かりますか?
- G:Google(グーグル)
- A:Amazon(アマゾン)
- F:Facebook(フェイスブック)
- A:Apple(アップル)
- M:Microsoft(マイクロソフト)
GAFAMのようなハイテク株が儲かる理由の1つに、「無配当」という点が挙げられます。
繰り返しですが、株主は「報酬を最後に受け取る」ポジションの人です。
ここでもう一度、リベ大自動車の損益計算書を振り返りましょう。
企業の配当金は、一番下の「税引き後当期純利益 = 315万円」から出ます。
高配当株は、この利益のうち30%~50%といった金額を、配当金として株主に還元しているワケです。
リベ大自動車も、この利益の30%を、配当金として両学長に支払っても良いかもしれません。
この315万円は、設備投資や仕入れなどにそのまま再投資されることになります。
要するに、うまくいけばもっとお金が増えます。
こ