- 3月:シリコンバレーバンクが経営破綻(アメリカ史上3番目の規模)
- 3月:シグネチャーバンクが経営破綻
- 5月:ファースト・リパブリック・バンクが経営破綻(アメリカ史上2番目の規模)
上図の棒グラフの高さは、破綻した銀行の総資産額を表しています。
赤枠で囲った部分は、リーマンショックが起きた2008年と今年2023年です。
この2年が、2本柱になっていることが分かります。
とはいえ2023年7月現在、金融機関の破綻が株式市場に与えている影響は軽微になっています。
ナスダックに至っては年初来高値を更新するなど、むしろ好調という状況です。
とはいえ、アメリカの金融機関の破綻規模がリーマンショック並みという点を考慮すると、今後荒波が来ないと断言できる人はいないでしょう。
波が穏やかな今のうちに、「相場が荒れるかもしれない」と覚悟を決めるのは、悪いことではありません。
そこで今回の記事では、書籍「ウォーレン・バフェット 賢者の名言365」から、今押さえておきたいバフェット氏の5つの名言を紹介します。
ちなみに、バフェット氏が2023年の年次総会で語った興味深い内容について詳しく知りたい人は、以下の過去記事もご覧ください。
今回紹介するバフェット氏の名言、知っているか知らないかで皆さんの投資行動は大きく変わるでしょう。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:荒波に備えよ 投資家の名言5選
目次
解説動画:【アメリカは本当に大丈夫?】今だからこそ必ずおさえておきたい「バフェットの名言」5選
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
投資の神様 バフェットの名言5選
名言①:小さなことで規律を破ると、大きなことでも破るようになる
お金を増やし続けることが大好きなバフェット氏にとって、博打は「合理的にお金を増やす方法」ではないからです。
ここで、バフェット氏が仲間たちとペルルビーチでゴルフをした時のエピソードを紹介します。
ゴルフをしている時、バフェット氏は仲間から次のような「賭け」を提案されました。
- 3日間のプレイ中に、1回でもホールインワンを決めたら2万ドルを獲得
- 賭けの参加料は10ドル
日本円で考えると、参加料1,000円、ホールインワンを決めたら200万円というイメージでしょうか。
実際この賭けには、バフェット氏を除く全員が参加したそうです。
ところがバフェット氏は次のように言い、この賭けを断ります。
小さなことで規律を破ると、大きなことでも規律を破るようになる。
資産形成をスタートさせた皆さんも、始めるにあたり「規律」を作ったはずです。
例えば以下のようなイメージです。
- このファンドは、何があっても売らない。
- いつどんな時でも、毎月必ず5万円積み立てる。
- 積み立てたお金は、60歳になるまで使わない。
少しでも状況が変わると、「臨機応変」という名のもとにルールを破ってしまうからです。
絶対に売らないと決めたファンドも、
- インフルエンサーが「ダメだ」と言う
- 1年〜2年値下がりが続く
という状況になると、不安になり売ってしまう。
どんな時でも5万円積み立てると決めた人も、
- 株式市場が暴落すると「もっと相場が良くなったら戻って来る」と言い
- 子どもが進学すると「今はお金がかかる時期だから仕方ない」と言い訳し
積み立てを止めてしまう。
最初はちょっとした「柔軟な対応」のつもりかもしれませんが、それは時に「小さな規律破り」につながります。
もちろん、「〇〇の時は損切りをする」「〇〇の時は積み立てを停止する」など、あらかじめ規律を決めている場合は別です。
しかし、最初の段階で決めていなかった小さな規律破りをする人は、少なくありません。
そして小さな規律破りをするうちに、「人生を豊かにするために資本主義の力を借りる」という「大きな規律破り」までするようになるワケです。
いざという時に慌てずに済むように、今のうちに規律を整理・確認することが大事です。
名言②:市場は下落し、投資を引き揚げる人には損失発生
しかし、これから投資する人々にとっては利益になる
今投資を引き揚げたら、損失発生
これから投資をするなら、利益になる
バフェット氏に言わせると、これは自明の理(=説明する必要がないほど当たり前のこと)というワケです。
1970年代、米国株式市場は大暴落を経験しました。
多くの株式に安い値がつけられる中、超有名な投資メディア、ウォール・ストリート・ジャーナルは、「見通しがはっきりするまで、株の購入は見合わせた方が良い」と報じました。
一方この時バフェット氏は、「今こそチャンスだ、儲けよう」と言っていたのです。
彼は、大きな利益を手にすることになりました。
バフェット氏は、次のように言っています。
市場は下落し、投資を引き揚げる人には損失発生。
しかし、これから投資する人々にとっては利益になる。
記者はこの自明の理を忘れがちですが、すべての売り手には買い手がおり、一方が損失を被れば、もう一方には利益となるのです。
株価が暴落した時、多くの人は吐き気がするほどの含み損を見て次のように考えます。
「もうダメだ。これからまだまだ下がるかもしれない…」
「今のうちに株を売って、相場が右肩上がりになればまた戻って来よう…」
このように手放した株を手にするのは、新たな市場参加者というワケです。
彼らは次のように考え、意気揚々と市場に参加します。
「こんなに良いモノを、こんなに安い値段で売ってくれてありがとう!」
買い手が、「こんな安い値段で売ってくれてありがとう!」と喜ぶ値段で売る必要は、どこにもありません。
良いものを持っている人は、どっしり構えておけばそれでOKです。
最悪なのは、相場の雰囲気に流され、自分が「売らされた」値段が相場の底だった場合です。
例えるのであれば、家にあった掛け軸を友人に安く譲ったところ、実は後々その価値が100万円と判明したような絶望感です。
「そんなに良いモノだったら、売らなきゃ良かった…」となるはずです。
繰り返しですが、すべての売り手には買い手がいます。
皆さんが焦って売ろうとしている時、その向こうには「ニヤついた買い手」がいることを知っておきましょう。
名言③:大半の人は、他の人がやっているからという理由で株式投資に興味を持つようです
でも本当は、他の人がやっていない時に興味を持つのがベストです
この名言は、先ほど紹介した2つ目の名言とつながるところがあります。
皆さんは、「伝説の投機王」ジェシー・リバモア氏をご存じでしょうか。
大衆と同じバスに乗っていても、時期が来たら、いつでもそこから飛び降りようと身構えている。
そして、逆方向に進む結果になることも恐れはしない。
1929年、アメリカの景気は最高潮を迎えていました。
株式市場には多くの人が流れ込み、皆が皆「株式市場はまるで打ち出の小づち」のように考えていました。
リバモア氏はこの状況に危うさを感じ取り、逆方向に進みます。
その後、アメリカは歴史に残る大恐慌を迎えるワケです。
大半の人は、他の人がやっているからという理由で株式投資に興味を持つようです。
でも本当は、他の人がやっていない時に興味を持つのがベストです。
既に人気化した株を買っても、高い投資利回りを残すことはできません。
この点は、まさにその通りでしょう。
実際に投資系のYouTubeやブログは、相場の良い時に閲覧数が増えます。
一方で株価が暴落すると、その瞬間だけは閲覧数は増えるものの、その後徐々に減っていきます。
これは、ある意味で最強の「逆指標」と考えられるでしょう。
- 資産運用系のYouTubeチャンネルが流行らない
- 資産運用系のSNSアカウントが流行らない
- 資産運用系のブログが流行らない
という時こそ、バフェット氏が言うところの「他の人がやっていない時」であり、最高の投資チャンスです。
最近は、日本でもちょっとした資産運用ブームが起きています。
データを見る限り、ほとんどの人が資産運用をしている状況とまではいかないものの、以下のように過熱感が見られるのも確かです。
- S&P500をベンチマークとする投資信託の運用残高が2兆円を超えた。
- ネット上には、かつてないほどの投資系情報の発信者が存在している。
- 本屋には、以前は見なかったほどの「資産運用本」が並んでいる。
ちなみにMMD研究所の調査によると、「いかなる投資も行っていない」という人の割合は、日本人:59.2%、アメリカ人:38.3%、中国人:26.8%となっています。
(参考:MONEY INSIDER「いかなる投資も「行っていない」日本人は、いまだ約6割も存在する。MMD研究所調査が示す投資後進国の実態」)
投資をしている皆さんは、日本ではマジョリティ(多数派)とは言えないところにいます。
しかしもっと儲かるチャンスは、皆さんがさらに少数派になった時に生まれます。
もし株式市場が暴落するようなことがあれば、ただでさえ多数派でない皆さんは、ハッキリと少数派になるでしょう。
大衆と「逆方向に進むこと」を恐れず、「他の人がやっていない時」を楽しみましょう。
リベ大両学長もその時が来れば、彼らの言葉に従い、最高の投資チャンスを楽しむつもりとのことです。
名言④:辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています
投資をしていると、「あぁ…投資なんてするんじゃなかった」と思いたくなる出来事にしばしば出会います。
この苦境を乗り越えるために必要なものは、一体何なのでしょうか。
- 財務会計や簿記の知識
- ある程度の情熱
- 辛抱強さ
- 冷静さ
このうちバフェット氏が特に重視しているのは、「辛抱強さ」と「冷静さ」です。
ひょっとすると、チャート分析や空売りなど、テクニック的な話を期待していた人もいるかもしれません。
しかし間違いなく言えることは、「荒波を安全・確実に切り抜けるためのテクニックなどない」ということです。
コレを見つけられる人は、とっくにゴールドマン・サックスの経営幹部になっているでしょう。
頭の良い人が、「損をしていないように見せる(=儲かっているように見せる)」点において優秀なのは間違いないでしょう。
とはいえ、実際の投資成績は別の話です。
投資家の投資成績は、IQ・偏差値の順にはなりません。
バフェット氏は、「辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています」と言います。
つまり大切なのは、
頭が良いか悪いか ではなく
辛抱できるか・冷静でいられるか
ということです。
「インデックス投資の利益は我慢料」と言われることもあります。
大雨の日も、暴風の日も、大雪の日も、雷雨の日も、どんな時でもじっと辛抱強く相場に居続けることで、利益が得られるからです。
優秀な頭脳を使いあれこれ手段を考えるよりも、冷静にインデックスファンドを持ち続けられるかどうかの方が、よほど重要です。
インデックス投資に関しては、いつどんな時も持ち続けることの合理性について、科学的な裏付けもたくさんあります。
辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています。
スキル、ノウハウ、テクニックで乗り切ろうとするのではなく、「自分は辛抱強くいられているか?」「冷静でいられているか?」という点を問い続けてください。
答えが「Yes」であれば、いずれ投資成績はついてくるでしょう。
名言⑤:すべてを考える必要はない
ほかの人の肩の上に立つのはちっとも悪いことじゃない
「勉強することが多すぎる!」
→ インデックス投資って何? 高配当株投資って何?
「決めるべきことが多すぎる!」
→ オルカンにする? S&P500にする?
「やるべきことが多すぎる!」
→ 口座開設、積立設定、資金移動など
その上で、「相場が暴落したらどうしよう?」という未来のことまで考える必要があるワケです。
投資を面倒に感じる人がいるのも当然かもしれません。
しかし実のところ、自分自身で新たに考えることは、それほど多くありません。
なぜなら多くの悩みは、先人の知恵を借りることで解決できるからです。
バフェット氏がこの形の経営スタイルを選んだ理由は、ガードン・ワトルズ氏という投資家が、この方法でうまくいっていたからです。
バフェット氏は、次のように語りました。
ワトルズは私がやりたいことのモデルだった。
必ずしも大金が得られるとは限らないが、儲かることが読める。
すべてを考える必要はない。
ほかの人の肩の上に立つのはちっとも悪いことじゃない。
究極的なところ、投資の世界において絶対に人を真似してはいけないのは「リスク許容度」です。
「あの人はこれくらい投資しているから、自分もこれくらい投資しても大丈夫」という考えは、まず成立しません。
「どれくらい資金に余裕があるか?」「どれくらい損をしても大丈夫か?」というのは、科学の世界ではなくアート(芸術)の世界の話です。
この答えを主観的に把握できるのは、この世界において皆さんただ1人です。
バフェット氏の言う通り、皆さんがすべてを考える必要はありません。
アメリカの金融機関破綻のニュースが相次ぐ中、以下のような部分までは、必ずしも考える必要はないワケです。
- なぜ、この金融機関が破綻したのか?
- 次に、どの金融機関が破綻するのか?
- その結果、株式市場はどうなってしまうのか?
金融史上最大の発明である「インデックスファンド」の仕組みに乗り、資本主義という「巨人の肩」に乗っかりながら、ズシンズシンと進めば大丈夫と考えることもできます。
「自分はリスクを取り過ぎていないか?」という一点だけは、いつどんな時も愚直に問い続けましょう。
まとめ:バフェットの名言から、自分の投資行動を見つめ直そう!
今回の記事では、今だからこそ押さえておきたいバフェット氏の5つの名言を紹介しました。
相場が荒れた時、「臨機応変」という名の規律違反にハマらないように注意しましょう。
しかし、これから投資する人々にとっては利益になる
「すべての売り手には、買い手あり」です。
皆さんが焦って売ろうとしている時、その向こうには「ニヤついた買い手」がいます。
でも本当は、他の人がやっていない時に興味を持つのがベストです
日本では、投資家は多数派ではありません。
その投資家がさらに減るような事態になった時こそ、本当のチャンスです。
投資で成功するのは、必ずしも「頭の良い人」ではありません。
バフェット氏は、「辛抱強さ」と「冷静さ」が富の源泉と信じています。
ほかの人の肩の上に立つのはちっとも悪いことじゃない
あれこれと考えすぎて、無駄な時間・労力を使うのはやめましょう。
ただしどんな時も、「自分のリスク許容度」については愚直に問い続けましょう。
今回の記事では、書籍「ウォーレン・バフェット 賢者の名言365」から、5つの名言をピックアップしました。
たった5つの名言だけでここまでの内容になることを考えると、やはりバフェット氏の言葉は深いと言えるでしょう。
リベ大での勉強を経て、投資家デビューをした人もたくさんいるでしょう。
投資家となった皆さんが、今後しっかりと資産形成できるようにフォローし続けることも、リベ大の重要な役割だと考えています。
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