こんにちは、こぱんです!
リベ大では、お金のなる木を育てて資産と自由な時間を増やしていく力、「増やす力」に関する情報発信もしています。
▼図解:増やす力
今回のテーマである「つみたてNISA」は2018年1月に始まった制度です。
2021年9月2日の日本経済新聞によると、つみたてNISA対象のファンドが全て含み益になったそうです。
(参考:日本経済新聞「つみたてNISA対象投信、すべてが含み益に」より)
リベ大でも「つみたてNISAは優良ファンドが多く、手数料や税金などのコストも格安でおすすめできる」と伝え続けてきたので、今回のニュースは嬉しい限りです。
つみたてNISAを始めた人は、以下の3つの力を伸ばしながら資産が増えていくサイクルを経験できているのではないでしょうか。
貯める力:倹約や節税をして支出を減らし、お金を貯める。
稼ぐ力:本業や副業で働いてお金を稼ぎ、収入を増やす。
増やす力:貯めた資金で投資をして、資産を増やしていく。
▼図解:貯める力と稼ぐ力
ただし、つみたてNISAの利用者に覚えておいてほしいことがあります。
それは「つみたてNISAに採用されているファンドの多くはインデックスファンドで、インデックス投資は景気の流れに左右される」ということです。
つまり、皆が一緒にお金持ちになるけれど、皆と一緒にお金を失う可能性もある投資スタイルなのです。
そのため、景気の流れが変わっても対応できる生存スキルや、一緒に転落しない粘り強さを持つ必要があります。
そこで今回は、景気の波に振り回されない力を身につけるため、以下の2つを解説します。
- つみたてNISAの現状を確認
- つみたてNISA今後の対策5選
なお、つみたてNISAは「これから投資を始めたい!」と考えている投資初心者こそ利用すべき制度です。
以下の図解と記事で初心者にも分かりやすく解説しているので、仕組みを学び今後の資産形成にぜひ活用してください。
▼図解:よくわかるつみたてNISAの仕組み
目次
解説動画:【全員が含み益】つみたてNISAの「現状」と「対策」について解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
つみたてNISAの現状確認
まずは、つみたてNISAの対象となっているファンドの3年半の含み益ランキングを見てみましょう。
日本株式、海外株式・全世界株式、バランス型という投資対象別に、上位・下位各5本のファンドを掲載しています。
最初にお伝えした通り、全てのファンドで含み益が出ています。
- 算出対象:2018年1月末時点でつみたてNISAに採用されていた追加型株式投資信託
- 積み立て期間:42カ月間(2018年1月〜2021年6月)
- 積み立て金額:約140万円(毎月末に33,333円 × 42カ月間)
- 算出時期:2021年7月末時点の含み益を算出
運用成績が最下位だったファンドでも含み益は2.7万円と、つみたてNISAで投資をしている人にとっては嬉しい状況になりました。
長期・積立・分散を意識して、手数料の安い優良ファンドに非課税で投資できている人は、資産を順調に増やしているというワケです。
そこで、含み益の成績の話も交えつつ、バランス型、海外株式・全世界株式、日本株式の順番にランキング表からそれぞれ一つずつファンドを紹介します。
- 【バランス型】東京海上・円資産インデックスバランスファンド
→ つみたてNISA対象の全てのファンドの中で、含み益の成績は最下位。
- 【海外株式・全世界株式】楽天・全米株式インデックス・ファンド
→ つみたてNISA対象の全てのファンドの中で、含み益の成績は第1位。
- 【日本株式】コモンズ30ファンド
→ 日本株式に投資するファンドの中では含み益トップで、全体的にかなりの好成績。
【バランス型】東京海上・円資産インデックスバランスファンド
まずは、バランス型の中から「東京海上・円資産インデックスバランスファンド」を見ていきましょう。
つみたてNISA対象の全てのファンドで成績は最下位、つまり最も含み益が少なかったファンドです。
日本債券に70%・日本株式に15%・日本REITに15%投資することを基本としたバランス型で、「つみたて円奏会」という上品な愛称がついています。
以下の基準価額の推移グラフを見るとレンジは1万円~1.1万円で、長い目で見ても10%程度の動きしかなく、安定的な値動きをするファンドです。
東京海上・円資産インデックスバランスファンドは、資産を減らさないための守りのファンドです。
日本株式、海外株式・全世界株式、バランス型の3分類で運用成績を比べてみると、バランス型はイマイチに見えます。
日本株式:13万円~40万円程度
海外株式・全世界株式:25万円〜71万円程度
バランス型:2万円〜40万円程度
上記を見て分かる通り、バランス型は運用成績トップになれないのが宿命です。
なぜなら、成績の良い資産や悪い資産が色々混ざったファンドだからです。
例えば、日本の投資家でよく話題になる8資産均等バランス型の成績順位の推移データを見てみましょう。
青枠で囲んでいる部分がバランス型です。
各年の成績を見ても、バランス型は真ん中付近に位置し続けていることが分かります。
1位にも最下位にもならない特徴を持っているのがバランス型とも言えるでしょう。
ちなみに、含み益ランキングでバランス型が最下位のように見えるのは、つみたてNISA対象の公募投信に「株式に投資するもの」と「バランス型」の2つしかないためです。
つみたてNISAの含み益ランキング対象には、相対的に成績の悪かった資産に特化しているファンドは含まれていません。
例えば、肉と魚だけのランキングの場合、肉よりも魚の順位が低いと魚の評価が悪いように目立って見えるでしょう。
しかし、ランキングに野菜やお菓子など他の商品も全て含めると、実際は魚よりもさらに人気のない商品があります。
同じように、資産運用の業界全体を見渡せば、バランス型よりも成績の悪いファンドは多く見つかるというワケです。
業界全体の資産ごとのランキングを以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
【海外株式・全世界株式】楽天・全米株式インデックス・ファンド
次は、海外株式・全世界株式のファンドの中から「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)」を見ていきましょう。
つみたてNISA対象の全てのファンドで成績は第1位、つまり1番含み益が大きくなったファンドです。
約4,000社という米国の上場企業のほとんどに投資できるファンドで、信託報酬も年0.162%とかなり抑えられています。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの含み益はなんと70万円を超え、投資元本の約1.5倍になっています。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、リベ大のおすすめファンドとして以下の記事でも紹介されています。
【日本株式】コモンズ30ファンド
最後に、日本株式へ投資する「コモンズ30(サーティ)ファンド」を見ていきましょう。
実は日本株式ファンドで含み益トップのコモンズ30ファンドを始め、日本株式に投資する上位3つはアクティブファンドです。
コモンズ30ファンドは「投資先企業との対話を重視する」というコンセプトの元、30年の長い目線を持って約30社に集中投資しています。
実際に投資している企業の一例は、以下の通りです。
- 三菱商事株式会社
- ユニ・チャーム株式会社
- 味の素株式会社
- 株式会社ベネッセHD
コモンズ30ファンドは40万円近く含み益が出ていて、かなりの好成績です。
皆さんの中にも「アクティブファンドは全てダメだ!」と思い込んでいる人がいるかもしれません。
実は、一部のアクティブファンドは、ほぼ確実にインデックスファンドに勝ちます。
ファンドのランキングをざっくり作ると、インデックスファンドとアクティブファンドは以下の順で並びます。
- アクティブファンド:第1位
- インデックスファンド:第1位でも最下位でもない
- アクティブファンド:最下位
1位はインデックスファンドじゃないの??
一部のアクティブファンドにインデックスファンドは勝てないため、バランス型と同じくインデックスファンドは1位を取れないのです。
しかし、アクティブファンドは一般的に以下の課題を抱えています。
手数料が高くなりがち。
長期の視点で見ると、インデックスファンドよりも運用成績の悪いファンドが多い。
事前に運用成績の良いファンドを選ぶのが難しい。
とはいえ、上記の課題を踏まえても「自分はインデックスファンドに勝つアクティブファンドを選べる!」と確信のある人は、アクティブファンドを購入しても問題はありません。
アクティブファンドについては、以下の記事も合わせて読むと理解が深まるでしょう。
さて、景気の良い話が続くと「つみたてNISAは誰でも必ず利益が出るものだ」という気持ちが大きくなります。
リベ大ブログでも、つみたてNISAはおすすめと伝え続けているため「リベ大を信じてよかった!」と思ってくれた人もいるでしょう。
しかし、今回皆さんには大切なことを覚えておいてほしいのです。
どれを買っても上手くいって全員が好調の展開があるということは、どれを買ってもダメで全員が不調の展開もありえます。
特にインデックス投資は、皆が一緒に儲かることもあれば貧乏になってしまう可能性もある投資手法です。
もちろん、つみたてNISAやインデックス投資はおすすめできるものですが、株式市場の暴落という冬の時代への備えも欠かすわけにはいきません。
つみたてNISA今後の対策5選
つみたてNISA対象のファンド全てに含み益が出ている状況の今こそ、必要な対策があります。
もし、株式投資で誰でも儲かる世の中ならば、すでに多くの人がお金持ちになっているはずです。
しかし、皆さんの周りを見渡してもお金持ちの人と、そうではない人がいるのではないでしょうか。
多くの人がお金持ちになれない理由は、景気の良い時にお金を増やせても、景気が悪化すると景気の荒波にもまれてお金を減らしてしまうからです。
実際、世の中には3つのタイプの人がいます。
- 好景気の波に乗れない人。
- 好景気の波に乗れるが、不景気の波にさらわれてしまう人。
- 好景気の波と不景気の波、どちらも乗りこなせる人。
上記3つ目の「好景気の波と不景気の波、どちらも乗りこなせる人」こそ、どのような時代や状況になっても残り続けられる人です。
投資を始めた人や、何回かの株価急落を乗り越えて含み益を出している人は、間違いなく良い波に乗れています。
皆さんが手にしている良い流れを台無しにしないためにも、今からどのような対策ができるのかを考えていきましょう。
そこで、つみたてNISAの今後の暴落対策として以下の5つを解説します。
- ①ポジションを整理してリスク資産を減らす
- ②保険を買って株価の暴落に備える
- ③お金を借りてキャッシュで持っておく(超上級者向け)
- ④より良い会社や職業に転職しておく
- ⑤収入源の多角化をしておく
対策①:ポジションを整理してリスク資産を減らす
1つ目の対策は、ポジションを整理してリスク資産を減らすことです。
最もシンプルな対策で、例えば以下のような方法があげられます。
- 保有している株式を売って、現金化する。
- 保有している不動産を売って、現金化する。
- ポートフォリオの組み替えを行う。
→ 例:「株式80%:債券20%」を「株式50%:債券50%」にする。
AさんとBさんは100万円を元手に投資を始めました。
投資開始後は株高の流れに乗り、AさんBさん共に資産を200万円へ増やしました。
資産が増えた段階で、Aさんは株を手放す決断をし、全てを現金化しました。
Bさんは資産をまだ増やそうと考えて、株を持ち続けました。
しかしその後、株価マイナス50%の暴落が発生したのです。
Aさんの資産は200万円のままでしたが、Bさんの資産は100万円に減少という状況になりました。
Bさんは暴落の影響を受けてしまったのです。
Aさんは資産200万を全て使い、暴落で株価が下がったタイミングで株を安く購入し資産をさらに増やしました。
上記の話では、Aさんのシナリオは一見美しく見えますが、実は一つ致命的な問題があります。
というのも、まだ起きるとも分からない暴落のために、好景気な時期に株を全て手放すのは一般的には誰もできないからです。
インデックス投資とは、長い目で見れば経済は成長するという前提の上に成り立っている投資手法です。
確かに景気は循環し、時に暴落は発生しますが、トータルで見れば好景気や成長力の方が強いでしょう。
めったに起きない暴落のために株を手放すのは、良い一手ではなく逆にナンセンスな対応と言えます。
なぜなら、もし暴落が起きなければ、ただの機会損失になるだけだからです。
極端な方法をとらずに、自分にとって最適なバランスでポジションの整理をしましょう。
対策②:保険を買って株価の暴落に備える
2つ目の対策は、保険を買って株価の暴落に備えることです。
皆さんも利用するコンビニには、サンドイッチから日用品まで、色々な商品が売られています。
同じように、証券会社ではインデックスファンドやプットオプションなど複数の商品が売られています。
→ 株価が値上がりすると利益が出る資産
→ 株価が値下がりすると利益が出る資産
プットオプションは、いわゆる保険としての機能を果たしてくれます。
ちなみに「プット」は売る権利を意味します。
例えば、日経平均株価が30,000円の時に、日経平均株価に連動するインデックスファンドを購入したとします。
株価が30,000円から32,000円に値上がりすると2,000円儲かり、一方で25,000円に値下がりすると5,000円損をするため、以下のように考えました。
そこで保険として別途100円を支払い、株価が下がっても30,000円で売却できる権利のプットオプションを購入しました。
プットオプションを購入してから1週間後、何と株価が暴落し日経平均株価は20,000円まで下がってしまったのです。
皆さんが持っているインデックスファンドは、暴落の影響を受けて10,000円のマイナスです。
「自分の投資人生は終わった…」と諦めかけたところで、100円で事前に購入していたプットオプションの存在を思い出しました。
プットオプションを使い、現在の価値が20,000円のインデックスファンドを30,000円で売ることに成功し、差し引き10,000円の利益となりました。
今回の話では、必ずインデックスファンドを30,000円で売却できる権利のプットオプションをすでに持っています。
そのため、日経平均株価が暴落した時にインデックスファンドを20,000円で購入して、その後プットオプションを活用して30,000円で売却すれば良いのです。
つまり購入費用の20,000円を差し引いて、手元に10,000円の利益が残る流れとなります。
上記の流れを簡単にまとめると、皆さんの損益は以下になります。
- ①インデックスファンド:マイナス10,000円の含み損状態
- ②プットオプション:9,900円の利益が確定
→ 10,000円(利益)- 100円(購入費) = 9,900円
- ①と②を合計するとマイナス100円の損失で済んだ
→ ①-10,000円(含み損) + ②9,900円(利益) = -100円(損失)
プットオプションを購入していなかった場合、損失はインデックスファンド投資分のマイナス10,000円です。
一方で、プットオプションを購入し活用したことで、損失はマイナス100円にまで抑えられました。
したがって、プットオプションは保険の役割りを果たしていると言えるでしょう。
- プットオプションを買うと、株価の下落時に利益が出る。
- プットオプションを買うにはお金が必要で、購入費用が保険料に相当する。
より皆さんの身近な例で考えるなら、掛け捨ての生命保険をイメージしてみてください。
掛け捨ての生命保険とプットオプションの特徴を比較すると、以下の通りです。
掛け捨ての生命保険
- 被保険者が死亡や高度障害状態になった場合、保険金が支払われる。
- 被保険者が健康で生存している限り保険金は支払われないため、支払った保険料は掛け捨てとなる。
プットオプション
- 株価が値下がりすれば、利益を得られる。
- 株価が下がらなければ利益を得られないため、購入費用は掛け捨てとなる。