こんにちは!こぱんです。
リベ大では、支出のバランスをコントロールする「貯める力」、どんな時代・状況でも十分な収入を得る「稼ぐ力」に関する情報発信もしています。
▼図解:貯める力、稼ぐ力
2021年3月7日付の日本経済新聞で、「コロナで減資 窮余(きゅうよ)の一策」という記事が出ました。
居酒屋「庄や」などを運営する大庄、旅行会社のJTBをはじめとした大企業が、資本金を「1億円」に減らして中小企業化を進めているというものです。
マネーリテラシーが高い人たちにとってみれば、今回の記事は納得のいくものなのです。
しかし学校で金融教育を受けてこなかった人の多くは、自分には無関係だと思うか、資本金を減らす意図が理解できないでしょう。
そこで、今回の記事では以下の3つを解説します。
- 資本金とは何か?
- なぜ、大企業が続々と中小企業化しているのか?
- 中小企業の8つの特典
資本金や中小企業に関する知識・理解は、皆さんの未来を変えるきっかけとなるでしょう。
そしていつか、役に立つタイミングが来るかもしれません。
フリーランスとして独立するとき
副業を法人化するとき
小さく起業するとき
リベ大では、誰でも資産5,000万円以上の小金持ちになれると考えています。
そのためには、以下の「小金持ちチューニング」ができればOKです。
- 収入:★★★★☆(平均よりちょっと上の収入)
- 支出:★★☆☆☆(平均よりちょっと少ない支出)
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資本金・中小企業に関するお金の知識を身につけて活用すれば、「稼ぐ力」や「貯める力」がグングン育ち、小金持ちになるまでの時間を圧倒的に短縮できます。
20年かかるところを、10年・5年にできるかもしれません。
目次
解説動画:【裏技】大企業が続々と「中小企業化」する理由を徹底解説【JTB/大庄】
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
資本金とは何か?
資本金とは、会社を作る際の「元手」のことです。
皆さんが事業を始めるときの「最初のお金」を指します。
- 300万円を元手に、雑貨屋を始めたい
- 500万円を元手に、カフェを作りたい
- 1,000万円を元手に、ボロ戸建てリフォーム事業を始めたい
昔は、株式会社を作るには資本金1,000万円以上が必要で、有限会社を作るには資本金300万円以上が必要でした。
しかし、2006年の法改正によって、資本金1円で会社が作れるようになったのです。
もし今でも会社を作るのに300万円もかかるなら、リベ大は気軽に法人を作ることをおすすめできなかったでしょう。
皆さんの中には資本金が、金庫や銀行口座もしくは財布の中にあると思っている人もいるでしょう。
しかし実は、資本金は現金としてどこかに存在しているワケではありません。
仮に、500万円を元手にカフェを作ろうとした場合、資本金は以下のモノに使われます。
- 店舗を借りるための敷金や礼金、仲介手数料
- 内装をキレイにするための工事費
- 食材などを仕入れるためのお金
上記のように、資本金はいろいろなモノに化けたり、形を変えたりしているのです。
言い換えれば、資本金は「これが元手です」というメモの金額でしかありません。
実際、以下のような状態の会社もたくさんあります。
資本金:1,000万円
現金:200万円
商品の在庫:800万円分
その後商品がドンドン売れ、事業が成長し、さらなる事業拡大のために手元の資金を増やしたいと考える社長は多いでしょう。
そこで、新しい株主を探してきてお金を出資してもらい、資本金を増やす(=増資する)のです。
増資によって会社の資本金は大きくなり、大企業が生まれるのです。
- 増資前:資本金1,000万円
→ もともと、社長が出したお金 - 増資後:資本金1億円
→ 社長の1,000万+新しい株主が出したお金9,000万
なぜ、大企業が続々と中小企業化しているのか?
さて、資本金について学んだところで、日本経済新聞の記事「コロナで減資 窮余の一策」の解説に移ります。
この記事における要点は以下の通りです。
居酒屋「庄や」などを運営する大庄が、資本金を86億円から1億円に圧縮
旅行会社のJTBやANAセールス、居酒屋チェーンのチムニーなども資本金を1億円に圧縮
2020年に16社もの大企業(一部上場企業)が、資本金を減らしている
節税目的で減資をする「大きな中小企業」が増えることへの懸念
日本では、資本金1億円以下の会社は中小企業という扱いになり、大企業よりも税金面でかなり優遇されます。
そのため実態は大企業にも関わらず、資本金だけ小さくして中小企業のフリをしているので批判する人もいます。
皆さんの中には、2015年にシャープが1,200億円の資本金を1億円に減らそうとして、かなり非難を受けたことを覚えている人もいるかもしれません。
(出典:日本経済新聞「シャープ『1億円減資』断念 批判考慮、5億円に」より)
そんなに節税になるの?
まず、資本金を減らすというのはどういうことでしょうか?
実際に「大庄」の決算書にある、バランスシート(貸借対照表)の一部を見てみましょう。
→ 会社設立時のお金 + 株主による出資で増えたお金(増資)
→ 2019年8月末まで積み上げてきた利益の合計
なお、決算書の数字は100万円単位です。
この資本金8,626百万円(約86億円)が、1年後どうなったのかを見ていきましょう。
さて、ここで皆さんには正答率0.1%のクイズに挑戦してもらいましょう。
資本金が8,626百万円から100百万円に減ってしまったわけですが、差額の8,526はどこに消えたのでしょうか?
これが分かる人は、かなり金融リテラシーが高い人です。
きっと、ムダな税金は1円も払わないで生きていけるでしょう。
いろいろな数字が出てきますが、気負わずに読んでみてください。
正解は、「消えた8,526は『資本剰余金』という項目につけ変わった」です。
資本剰余金は資本金の仲間のようなもので、元手という意味では同じです。
それでは、実際の決算書を見てみましょう。
2019年から2020年にかけて増加した資本剰余金の中に、消えた資本金が含まれています。
その証拠として、連結株主資本等変動計算書を資本金・資本余剰金に分けて上から下に向かって見てください。
資本金の推移
- 当期首残高(スタート時点):8,626
- 減資:マイナス8,526(△はマイナスという意味)
- 当期末残高(ゴール時点):100
資本剰余金の推移
- 当期首残高(スタート時点):10,034
- 減資:8,526(資本金の減少額と同じ数字)
- 当期末残高(ゴール地点):18,740
先ほどの連結株主資本等変動計算書は、資本金が8,626百万円から100百万円に減った理由を見る明細資料だったのです。
居酒屋「庄や」を運営する大庄は、資本金を約86億から1億円に減らしましたが、差額の約85億円は資本剰余金につけ変わっただけなのです。
資本金も、資本剰余金も元手であるという点ではまったく同じなので、現実世界では何も起きていないと言えます。
要するに、数字遊びをしているだけなのです。
大企業ってヒマなの?
資本金が多ければ多いほど、以下の税金が高くなります。
- 法人税率
- 住民税
- 事業税
結果として、驚くほど多額の納税義務が発生します。
例えば、パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)は資本金を約877億円から1億円に減らしました。
(出典:日本経済新聞「JOLED、資本金1億円に減資 中小企業扱いで税負担軽減」より)
これだけ巨額のお金を持つ大企業でさえ、資本金を減らすと節税のインパクトが大きいのです。
なぜ、あらゆる数字をもとにややこしい解説をしたかというと、以下のことをきちんと理解して欲しかったからです。
- 減資によって、現実世界で何かが起きるわけではない
- 紙の上で数字の移動がある
複雑なので今回は解説しませんでしたが、お金が実際に減る減資も存在するため、減資の全てが数字遊びというわけではありません。
とはいえ、ただ数字遊びをするだけで、数百万~数千万円、時に数億円の節税になるのも事実です。
「大企業は儲けてるんだから、ズルをせずに税金を払え」という批判が起きるのも当然と言えるでしょう。
今回、皆さんに何よりも理解して欲しいのは、事実として中小企業の制度が恵まれているということです。
世間から批判を浴びることがある
中小企業扱いされることで、多大なメリットがある
リベ大は、皆さんに自分の会社を作ることをおすすめしています。
その理由を理解するために、恵まれていると言われる中小企業の8つの特典を見ていきましょう。
中小企業の8つの特典
- ①法人税率が優遇されている
- ②住民税が安い
- ③外形標準課税がかからない
- ④税務調査は、国税局ではなく税務署が担当
- ⑤交際費は800万円まで認められる
- ⑥30万円未満の資産は、購入後すぐに経費にできる
- ⑦大きな損失が発生した場合、最大10年間税金を払わなくてOK
- ⑧大きな損失が発生した場合、前年に払った税金を取り返せる
特典①:法人税率が優遇されている
法人税率は通常23.2%です。
しかし、資本金1億円以下などの条件を満たす中小企業については以下のルールになっています。
年間の所得が800万円以下だと、法人税率15%
800万円以上所得が出たら、超過分は23.2%の税金を払う
▼図解:年商・収入・手取り・所得の違い
特典②:住民税が安い
法人が活動している場所に納める住民税には、均等割と法人税割の2種類があります。
- 均等割:利益の有無に関係なく、従業員数や資本金の金額をもとに課税
- 法人税割:法人税額を基礎として課税
中小企業は、均等割も法人税割も非常に安くなっています。
例えば、大阪市の均等割は以下のようになっています。
資本金等の額が1,000万円以下、従業者数が50人以下:50,000円
資本金等の額が50億円超、従業者数が50人超:3,000,000円
従業者数の違いなども税額に影響するものの、資本金の額によって住民税が全く異なっています。
資本金の金額が小さくなると、いたるところで税金が減るのです。
ちなみに、今回のニュースのような数字遊び的な減資では、住民税均等割は減らせません。
まずは、小さな自分の法人を作るときは、資本金を小さくすると住民税が安いと覚えておいてください。
特典③:外形標準課税がかからない
法人事業税も法人税や住民税と並んで、法人が支払う税金のひとつです。
この法人事業税の中に、外形標準課税という呪文のような名前の理不尽な税金があります。
なぜなら、企業の大きさをもとに計算されるため、赤字・黒字に関わらず納めなければならないからです。
- 支払った給料の額
- 事務所の家賃などで支払った賃借料の額
- 銀行借入の利子などで支払った利息の額
- 資本金の額
しかし、外形標準課税もまた大企業だけの話で、資本金1億円以下の中小企業は課税対象外です。
赤字の年は、税金を払いなさいと言われることはありません。
特典④:税務調査は、国税局ではなく税務署が担当
国税局と税務署では、担当者の知識レベルや調査に対する厳しさが全く違います。
そして税務調査の担当は、基本的に以下の通り分担されています。
- 資本金1億円以上の大企業:国税局が担当
- 資本金1億円未満の中小企業:税務署が担当
税務調査について詳しく知りたい人は、以下の動画や記事を確認してください。
特典⑤:交際費は800万円まで認められる
交際費は、ビジネスを円滑に進めるため、事業の関係者へお金を使うことを言います。
例えば、以下のような例が挙げられるでしょう。
- 仲良しなビジネスパートナーと、高級なお鮨を食べる
- 懇意にしている取引先と、超有名ホテルのラウンジでお茶する
- 親交のある社長仲間に、誕生日プレゼントをあげる
中小企業は説明のつく範囲であれば、特に問題なく交際費として認められます。
さらに資本金1億円以下の中小企業の場合は、800万円までの交際費は経費として認めるというルールがあるからです。
もちろん大企業には、上記のような特別ルールはありません。
特典⑥:30万円未満の資産は、購入後すぐに経費にできる
事業に使うために、最新の27インチiMacや高級なオフィスチェアのような、10万円~30万円する買い物をしたと仮定します。
大企業と中小企業では、これらの設備を1年で全額経費に上げられるかどうかで違いがあります。
- 中小企業:30万円未満なら全額を使い始めた年の経費にできる
- 大企業:一部しか買った年の経費にできない
年間300万円までという上限はありますが、中小企業なら簡単に経費にできるため、節税もしやすくなります。
特典⑦:大きな損失が発生した場合、最大10年間税金を払わなくてOK
例えば、皆さんが新たな事業に挑戦することを想像してください。
もし2020年は上手くいかず5,000万円の大赤字となった場合でも、中小企業であれば損失を最大10年間繰り越せます。
→ 赤字と利益を相殺し、利益をゼロにできる
大企業も損失の繰り越しはできるのですが、相殺のやり方に縛りがあって中小企業よりも使い勝手が悪いです。
特典⑧:大きな損失が発生した場合、前年に払った税金を取り返せる
先ほどの特典⑦で、赤字が翌年以降に繰り越せることが分かりました。
しかし、「そもそも前年に支払った税金を取り返して欲しい!」ということも言えてしまうのが、資本金1億円以下の中小企業です。
過去にさかのぼって赤字を相殺して税金の還付を受けることを、「繰戻し(くりもどし)還付」と言います。
会社員が今年の生活が苦しいからといって、去年払った税金返してもらうことはできないように、もちろん大企業も繰り戻し還付はできません。
中小企業が、いかに優遇されているか分かることでしょう。
さて、中小企業の8つの特典を見てきましたが、これでもかというほどの恩恵があることが分かったでしょう。
中小企業は社会的に弱い存在であり、優しくしなければドンドン潰れてしまうため、これだけ優遇されているワケです。
そして金融リテラシーの高い人達の一部は、中小企業の特典を最大限に活用しています。
一家にひとつは欲しいほど、法人のメリットは大きく便利です。
一方で、会計処理や税務申告、売上を立てて利益を残すのは簡単ではないでしょう。
法人を作れば誰でも蓄財できる話ではありませんが、だからこそ、その壁を乗り越えられた人は「富」を蓄えられるのです。
今は会社員の人も、まずは副業で小さく売上を作ることから始めて、大きく育てていきましょう。
- せどり
- 動画編集
- プログラミング
- ウェブデザイン
- ハンドメイド
- YouTube配信
- ブログ/アフィリエイト
- コンテンツ販売
- コンサルタント
- Webライター
以下の記事では、10個の副業の具体的な始め方や大切な考え方を解説しています。
まとめ:税金は必修科目。法人の制度を理解して上手に使いこなそう
- 資本金とは何か?
- なぜ、大企業が続々と中小企業化しているのか?
- 中小企業の8つの特典
今回の記事では、上記の3点について解説しました。
資本金は事業を始める「元手」です。
現金としてどこかに存在しているワケではありません。
財務諸表に載っている金額は、元手の累計額=メモぐらいのものだと思っておきましょう。
2020年は、16社の一部上場企業が資本金を1億円に減らしました。
その理由は、ちょっとした数字遊びをするだけで、簡単に節税ができるからです。
大企業でも、景気の影響で払えなくなるほど死活問題
大企業でも、中小企業になりがたがるほど重い
税金は、資産5,000万円以上の小金持ちを目指す上での必修科目です。
リベ大でしっかり学べば、誰でも小金持ちになれるからこそ、しっかり行動し続けていきましょう。
▼図解:本当に効果がある節税ベスト6!
皆さんが自分の法人を活用できるようになると、蓄財は非常に有利になります。
- ①法人税率が優遇されている
- ②住民税が安い
- ③外形標準課税がかからない
- ④税務調査は、国税局ではなく税務署が担当
- ⑤交際費は800万円まで認められる
- ⑥30万円未満の資産は、購入後すぐに経費にできる
- ⑦大きな損失が発生した場合、最大10年間税金を払わなくてOK
- ⑧大きな損失が発生した場合、前年に払った税金を取り返せる
ひとり社長や家族経営の法人をマイクロ法人やファミリー・カンパニーと言ったりしますが、世の中のお金持ちはだいたい自分の法人を持っています。
法人を上手に使いこなすことが、蓄財に欠かせないと知っているからです。
今回の記事でマイクロ法人に興味を持った人は、以下の書籍を読むのもおすすめです。
少し古い書籍ではありますが、考え方はとても参考になります。
また簿記の有用性や、マイクロ法人の活用法については、以下の記事や動画を確認してください。
関連動画
→ 【最高の基礎教材】本気でお金持ちになりたいなら簿記とFPを学ぶべき5つの理由(アニメ動画)
最後に、法人はあくまで「箱」なので、売上が立たないことにはどうにもなりません。
売上の立て方は人の数だけ方法があるので、そこはどうしても皆さん自身に頑張ってもらうしかありません。
ですが、人生を変えるきっかけは、最初のたった1,000円の売上ということもあります。
今副業をいろいろ頑張っている人は、きっと未来に繋がるはずです。
今回の記事で紹介した以外にも、法人活用のメリットはたくさんあります。
皆さんも、小さくても良いので売上を立てて、自分の法人を持っていけるように頑張りましょう。
自分のビジネスの作り方(売上の立て方、伸ばし方)については、今後よりいっそう強化して発信していくので、楽しみにしていてください。
以上、こぱんでした!
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同じ志を持った仲間と一緒に成長していきましょう!
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