皆さんは、世界中で格差が広がり続けていることをご存知でしょうか?
- 上位1%の超富裕層の資産が、世界全体の個人資産の37.8%を占める。
- 下位50%の資産を合わせても、全体の2%にしかならない。
全然知らなかったよ!
「ラクして儲けるなんて、許せない!」
「お金は汗水流して稼ぐべきだ!」 「他者から搾取して、自分だけ良い思いしてるんでしょ!」表立って声を出さないものの、上記のように思っている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、「投資のズルさ」と「投資の代償」をテーマに以下の2点を解説します。
投資がズルいと言われる3つの理由
- お金持ちに有利
- 手間暇がかからない
- 税の繰り延べができる
投資の代償4選
- 精神的ストレス
- お金が減る
- 時間や労力
- 機会損失
最近では、「S&P500に投資しておけばOK」といった意見を聞いたことのある人もいるでしょう。
一見ラクして儲けているように見える投資家ですが、その裏では多くのモノを犠牲にしています。
この世界では、何のリスクや苦労なしに大金をゲットできることはありません。
今回の記事を読むことで、皆さんは「上級者の運用法」を知り、投資リターンを高められるはずです。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼投資のズルさと投資の代償
目次
解説動画:【勘違いです】「お金持ちはラクしてお金を増やす」は本当か?投資の代償4選
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
投資がズルいと言われる3つの理由
投資がズルいと言われる理由は次の3つです。
- ①お金持ちに有利
- ②手間暇がかからない
- ③税の繰り延べができる
理由①:お金持ちに有利
投資は、お金を持っているほど有利になる「規模の世界」です。
- 1万円を年利5%で運用しても、500円の利益。
- 1億円を年利5%で運用すると、500万円の利益。
お金を持っている人とそうでない人で、同じ商品に投資をしていても、利益には大きな差が生まれます。
また、お金持ちにとって投資が有利な理由は他にもあります。
- 適格投資家(お金を持っている投資家)にしか買えない投資商品がある。
- お金持ち特有のコネクションで、良い投資商品を紹介してもらえる。
- お金を持っているので、ある程度の損失に耐えられる。
お金のない人に厳しく、お金持ちに優しいのが投資の世界です。
理由②:手間暇がかからない
投資は「お金に働いてもらう行為」であり、基本的に不労所得と言われます。
特に株式や債券などのペーパーアセットは、不労所得の色合いが強いです。
「僕は毎日夜10時まで働いて、A評価を取っても昇給幅は月に1万円。
その一方で、何もしていない投資家は、毎年株価が伸びて配当金をもらっている。
汗水流して働いている人よりラクして稼げるなんて、ズルくない?」
「ただお金を出した」という理由だけで、のんびりお金を増やしている投資家に対して、ズルいと言いたくなる気持ちを理解できる人は多いのではないでしょうか。
理由③:税の繰り延べができる
サラリーマンの所得は完全に捕捉されているため、稼いだお金に対して、しっかり税金が課されます。
一方で、投資で得た利益は税の繰り延べが可能です。
例えば、インデックス投資で投資した10万円が30万円になったとします。
普通なら差額の20万円に税金が課されそうですが、この場合は課されません。
投資の場合、売却して利益を確定しなければ税金がかかることはありません。
月給10万円の人が30万円に昇給したら税金は増えますが、10万円のファンドが30万円になっても、すぐに税金が増えるワケではないのです。
税金の納付を先延ばしにできると、投資の元本が減らないため、お金を効率的に増やせます。
なお、最高効率でお金持ちになる方法の一つが、「賢く節税をして税金の負担を減らすこと」です。
「賢い節税なんてできないよ!」と思うかもしれませんが、全てを完璧に理解する必要はありません。
労働者は頑張って働いて多くの税金を納めている一方で、投資家は税金の納付を先延ばし、資産を増やし続けます。
ちなみに、ズルいの究極系とも言えるのが、以下のような3つの特徴を持つ「S&P500投資」でしょう。
- 右肩上がりの成長で負け知らず
- 非常に安い運用コスト
- 自動メンテナンス
まずは、「右肩上がりの成長で負け知らず」を米国株式の長期チャートで見てみましょう。
アメリカで行われた研究によると、「1950年~2017年の間では、どの年代から投資を始めても、15年以上続ければマイナスにならなかった」ことが分かっています。
いつから投資を始めようと、15年以上続けていればマイナスにならないどころか、平均で年利10%超のプラスです。
長期間投資をすれば誰でも勝てる点から、「ズルい!お金持ちがよりお金持ちになるだけじゃないか!」と思ってしまうのも、仕方ないかもしれません。
先ほど「お金持ちの投資家にしか買えない投資商品がある」と解説しましたが、一方で「お金持ちに勝てる投資が身近にある」ことも事実です。
すごく低コストで投資ができるんだ。
例えば、バンガード社が運用しているVOOというファンドを例に挙げます。
VOOはS&P500に連動したインデックスファンドであり、ファンドを購入するための手数料はゼロ円です。(※リベ大でおすすめしている楽天証券やSBI証券で購入の場合)
さらに、ファンド保有にかかるコストは驚異の0.03%と安く、仮に100万円投資をしている場合、運用コストは300円となります。
銀行の窓口では、購入手数料2%以上、信託報酬1%以上といった高いコストのファンドが数多く売られています。
仮に、こういったファンドを100万円分購入するとコストだけで3万円も必要です。
さらに、S&P500への投資が優れている点として、新陳代謝があります。
S&P500は時代の変化に伴い、廃れていく企業を除外し、有望な企業を加入していくのです。
そのため、皆さんがどのような企業に投資するかを判断する必要はありません。
要は、永遠に米国企業ベスト500が維持され続けるといったイメージです。
ここ数年でGAFAM(ガーファム)という言葉を耳にする機会が増えた人も多いのではないでしょうか。
GAFAMとは、以下の5つの企業をひとまとめにした総称です。
- Amazon
- Facebook(※現在の社名はMeta)
- Apple
- Microsoft
S&P500のリターンの大半をGAFAMが稼いでいることもあり、「S&P500ではなく、GAFAMに投資すれば良いのでは?」と考える人もいるようです。
確かに現状はGAFAMが大きなリターンをもたらしていますが、今後ずっとGAFAMが伸び続けるかどうかは誰にも分かりません。
しかし、S&P500への投資であれば、以下のように今も未来も取りこぼしを最小限に抑えられるのです。
- 今はGAFAMのリターンを最大限に得られる。
- GAFAMが衰退した時は、自動で除外してくれる。
- 次の有望企業や有望産業が生まれた時は、自動で加入させてくれる。
「永遠に繁栄する企業はない」という前提で、「次のGAFAMが何になるかは読めない」のであれば、S&P500への投資は非常に合理的な選択となります。
さて、ここまで解説してきたように、以下の3つの理由から投資はズルいといった印象を持っている人が多いです。
- お金持ちに有利
- 手間暇がかからない
- 税の繰り延べができる
さらに、S&P500のような完成度の高い投資が身近になると、ますます「投資はズルい。格差が広がるだけ。」と感じる人が増えてくるでしょう。
ただ、投資は良いことばかりではありません。
この世の中は、何の代償も払わずに美味しい思いができるほど甘い世界ではないのです。
投資の代償4選
投資の代償として次の4つが挙げられます。
- ①精神的ストレス
- ②お金が減る
- ③時間や労力
- ④機会損失
代償①:精神的ストレス
既に実感のある人もいるかもしれませんが、投資をしていると様々なストレスがかかります。
- 自分が買い付けた翌日に、ファンドが値下がり。
- 投資をしている会社の決算が悪く、1日で資産が5%減少。
- 1カ月で資産が10%増加と思いきや、翌月に10%減少。
- 大暴落に巻き込まれて資産が30%減少し、含み損が1,000万円。
ここ10年間、株式相場は絶好調であるため、嬉しい思いをしている人が多いかもしれません。
しかし、時代によって株式相場は数年から十年もの間、低迷することがあります。
そのため、投資で利益を出すために、相場が右肩下がりでお金が減り続けているのにも関わらず、以下のように投資し続ける必要があるのです。
- 汗水流して働き、稼いだ給与から追加投資し続ける。
- 一生懸命に倹約し、浮いたお金を追加投資し続ける
また、投資は不調の時だけでなく、好調の時でもストレスを感じることがあります。
なぜなら、隣の芝が青く見えるからです。
例えば、以下のようなAさんとBさんを考えてみましょう。
Aさん「自分の成績は年利5%。100万円が105万円に増えて嬉しい!」
Bさん「自分の成績は年利40%!100万円が140万円になって嬉しい!」両者とも上手くいっているにも関わらず、リターンの低いAさんは自分のことを不調だと思いこんでしまうのです。
ここで、さらに良い成績を出そうとし、「成績の良いものに乗り換える」戦略が上手くいかないことを投資の上級者たちは知っています。
上手くいっても、いかなくてもストレスがかかるのが投資です。
人は安心して平穏に生きることを願う生き物であるため、以下のような状況は「代償」として大きなインパクトがあるでしょう。
- 日常的にストレスがかかっている。
- 上手くいっても、いかなくてもストレスがかかる。
- 暴落時など、多くのストレスがかかる。
代償②:お金が減る
先ほどの代償は精神的なものでしたが、投資の世界ではもっと直接的な代償があります。
それが、お金が減ることです。
投資の世界は常に不確実であり、絶対はありません。
そのため、どのような人にも「お金が減るリスク」が付いてまわります。
例えば、儲けようとして100万円を投資した結果、60万円になったのであれば、40万円ものお金が減ったことになるのです。
投資の世界では全てが自己責任です。
仮に投資でお金を減らした人がいても「そのお金を補填してあげよう」と思う人はいないでしょう。
富士経済研究所とヘッジファンドダイレクト株式会社が行った調査によると、以下のような結果が得られたようです。
調査対象:累計投資額が300万円以上の個人投資家1,000人
- 投資家の約7割が通算損益でマイナス
- 平均損失額は-525万円
- 投資信託の平均損益率は-30.7%
他にも2018年の日本経済新聞では、投資信託を保有する個人顧客のうち、46%が損失を抱えているデータが紹介されていました。
(※参考:日本経済新聞-投信で損失、個人の半数 金融庁調査)
調査時期や対象、方法により結果は大きく異なるかもしれませんが、世の中には「投資の代償」を払っている人が多くいます。
つまり、お金を増やせた人は、様々な代償を払った人というワケです。
代償③:時間や労力
投資をするためには、時間や労力がかかります。
投資をする前には、不労所得を得られる優良資産を選定するための時間や労力がかかります。
例えば、同価格の2台の中古車が並んでいるとして、良い投資家と悪い投資家では以下のように判断が異なるのです。
良い投資家:時間と労力を使い、良い車を選ぶ。
→ 結果、長く乗れる。
悪い投資家:いい加減な目利きで、ポンコツな車を選ぶ。
→ 結果、すぐに故障する。
同じ金額を使い資産を購入しても、その後の結果は大きく異なるのです。
また、お金を稼いでくるのは皆さんが購入した「資産の仕事」ですが、資産の集まりであるポートフォリオを管理するのは「皆さんの仕事」です。
投資をした後にも、管理という仕事は残ります。
野球に例えて考えてみましょう。
皆さんは、野球チームの監督で、大勢いる選手の中から9人を選出して試合をします。
試合中に選手の一人が軽い怪我をしました。
皆さんは、軽い怪我をした選手をプレイさせますか?それとも交代させますか?
良い監督(投資家)は、自分が選んだ選手に対して、以下のようなことを観察しています。
- チーム(ポートフォリオ)の中で、どのような役割を果たしているのか?
- チームの中で、不調に陥っている人はいないか?
- チームの中で、他の誰かと役割が被っていないか?
だからこそ、臨機応変にチーム(ポートフォリオ)のマネジメントができるのです。
今後の資産計画を立てる時間
現在投資中の資産を管理する時間
「時間や労力をどれだけ投資に使うか」と「資産額」には、非常に強い相関性があるのです。
投資のリターンはタダではなく、時間や労力といった代償を払って得ていると言えます。
なお、リベ大は時間や労力をかけて投資の知識や経験を増やさなければ、S&P500への投資も成功しないと考えています。
なぜなら、不確実な投資の世界において、知識や経験がなければ、15年以上も我慢してホールドし続けられないからです。
代償④:機会損失
世の中には多くの楽しいことがあります。
- 家族との旅行
- 友人との食事
- 車やスポーツ、音楽などの趣味
どれも人生を豊かにするために大切なモノです。
しかし投資期間中、投資をしているお金は上記のようなモノには使えません。
当たり前のことですが、S&P500や全世界株式として運用されている皆さんのお金は、ハワイ旅行にも、iPhoneの購入にも使えないのです。
人の寿命は誰にも分からないため、機会損失は人生において大きな代償と言えます。
皆さんも、以下のような話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
老後が心配で、ひたすら資産形成に励んだ女性。
1億円以上の資産形成に成功したものの、とある病気が発覚して余命3カ月を宣告される。
もし上記のようなことが皆さんの身に起きたら、どう感じるかを考えてみてください。
手元にあるお金を投資に使ってしまうと、そのお金で今の人生を楽しむことはできません。
「本当なら、これができたはず…。」と楽しみを先送りし続けた結果、「今日と同じ明日を迎えられるか」は誰にも分からないのです。
まとめ:代償を理解した上で、投資をするか判断しよう
今回の記事では、以下の2点を解説しました。
- 投資が「ズルい」と言われる3つの理由
- 投資の代償4選
- お金持ちに有利
- 手間暇がかからない
- 税の繰り延べができる
ズルい投資の究極系の一つとしてS&P500への投資があります。
今回の記事では、S&P500への投資の特徴として3つを紹介しました。
- 右肩上がりの成長で負け知らず
- 非常に安い運用コスト
- 自動メンテナンス
「投資は誰でも儲かる」と言われると、「そうなのか!」と思えるほど説得力のある特徴です。
ただし、投資は誰でもラクに儲かると思われがちですが、そんなことはありません。
投資にも代償(支払うべき対価)があります。
- 精神的ストレス
- お金が減る
- 時間や労力
- 機会損失
投資では、精神的ストレスを自分が受け止められるレベルにコントロールして、時間や労力を費やす必要があります。
さらに、「お金が減る」リスクを受け止め、「今これをすれば人生が豊かになる可能性」に目を瞑った上で、投資収益を得ているのです。
投資が上手い人は儲かる一方で、投資が下手な人は大損して投資の世界から退場していきます。
再現性が高く、比較的誰でもお金を増やしやすいインデックス投資でさえ、余計なことをせずに長く続けられる人は多く無いのかもしれません。
インデックス投資の上級者は、紹介した4つの代償を踏まえた上で、「何もしない」という最も難しいことを長期間やり続けています。
なぜなら、何もしないという我慢料こそが利益を生むと知っているからです。
勘違いしてほしくないのですが、今回の記事で皆さんに伝えたかったことは、以下のような内容ではありません。
- 投資には根本的にズルさがあり、貧富の差が拡大し続けるので良くない。
- 富裕層に対して、もっと増税すべき。
- 資産形成中の人だって苦労しているのだから、資産課税の強化はダメ。
- 富裕層にも苦労はあるのだから、増税は良くない。
世の中はノーリスク・ノーリターン
世の中はノーペイン・ノーゲイン(痛みなくして、得るものなし)
つまり、何の代償も払わずに美味しい思いができる話はないということです。
「投資をしてラクに儲けている人はズルい!」や「投資なんてやれば儲かるんだから、やらないのは情弱だ!」といった意見は本質から外れています。
「自分が何を求め、どんな代償を払う覚悟があるのか?」が明確になっている人は、どのような荒波でも乗り越えていけるでしょう。
また、少し目線を変えて「他者が何を求め、どんな代償を払っているのか?」を察することも大切です。
上手くいっている人を見て、「何の代償も払わずに美味しい思いだけするなんて!」といった勘違いをしないようにしましょう。
ノーペイン・ノーゲインの原則は、「太陽が東から昇って西に沈む」のと同じくらい、太古の昔から変わらない大原則です。
以上、こぱんでした!
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