
こんにちは、こぱんです!
リベ大では、お金のなる木を育てて、資産と自由な時間を増やしていく力、「増やす力」に関する情報発信もしています。
▼図解:増やす力
資産運用の勉強をしている皆さんの中には、米国株投資の関心が高まっている人も多いでしょう。
実際、2021年5月21日現在の楽天証券の「月次買付ランキング」は次の通りです。
- 全銘柄で最も買われているファンド:S&P500
- ユーザーが最も積立設定をしているファンド:S&P500
- 非課税制度NISAで最も買われているファンド:S&P500
皆さんの中にも、S&P500に投資している人も多いでしょう。
そんな皆さんに質問があります。
- S&P500とは何か?
- S&P500に選ばれる会社の基準は?
- 投資先は500社なのに「米国企業全体を買うようなもの」と言われるのはなぜか?
そこで今回は、意外と説明できないS&P500について、以下の2点を解説します。
- S&P500の歴史
- 絶対に覚えておきたいS&P500の特徴6つ
今回の記事を読めば、S&P500に投資していない人は、S&P500の魅力が分かるでしょう。
その上で、ぜひ自分が保有しているファンドと比較してみてください。
また、すでにS&P500に投資している人は、理解がより深まるでしょう。
日々の株価に振り回されず、腰を据えた長期投資ができるようになります。
世界的に投資の王道的存在である「S&P500」について、基本をマスターしましょう^^
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:最強指数S&P500 中身の秘密
目次
解説動画: 【初心者向け】意外と説明できない「S&P500」の中身について分かりやすく解説(アニメ動画)
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
S&P500の歴史
S&P500の名前の由来
S&P500の「S&P」は、「Standard&Poor's(スタンダード・プアーズ)」の頭文字を取っています。
スタンダードを「標準」、プアーを「貧しい」と訳すと、「標準的な貧乏企業500選」というとんでもない解釈になってしまいます。
もちろん、それは誤解で、プアーは創業に関わった人物の名前なのです。

(出典:S&P Global)
Standard&Poor's社の誕生
では、S&P500誕生の歴史を簡単に見てみましょう。
ヘンリー・ヴァーナム・プアー氏は、1812年にアメリカで生まれました。
彼は1838年に弁護士資格を取得すると、兄ジョン・プアー氏と弁護士事務所を開業します。
その後、当時成長中だった製材業に投資をしてお金持ちになったのですが、1849年に転機が訪れます。
鉄道業界の有力者になっていた兄ジョン・プアー氏が、「American Railroad Journal」という雑誌を買収しました。
弟ヘンリー氏はAmerican Railroad Journalの経営者兼編集者に抜擢され、投資家のためにアメリカ中の鉄道会社の経営状況をまとめることになったのです。
後に、ヘンリー氏は息子とともにPoor's Publishing(プアーズ出版)を設立しました。
そして、「鉄道業界に特化した会社四季報」の改訂と出版を毎年行うようになります。
1905年にヘンリー氏が亡くなり、しばらく経った1941年、プアーズ出版は資金繰りに困っていました。
そこで、Standard Statistics(スタンダード・スタティスティックス)という会社と合併することになりました。
合併した会社の新社名こそが、Standard&Poor'sだったのです。
S&P500の完成へ
スタンダード・スタティスティックス社は、1923年に「アメリカの優良企業233選」のような指数をすでに作っていました。
1941年にプアーズ出版と合併した後は、指数に含める企業数は223から416に増加しました。
最終的に現在の500社という形式になったのは、1957年のことです。
ヘンリー・ヴァーナム・プアー氏が生まれてから145年、長い旅を経てようやくS&P500が完成したのです。
ちなみに、Standard&Poor'社は後にMcGraw-Hill(マグロウヒル)という会社に買収され、現在はS&P Global(S&Pグローバル)という社名になっています。
興味深いことに、S&Pグローバル社自身もS&P500を構成する優良企業の一員なのです。
以上が、S&P500誕生の歴史です。
マメ知識として、頭の片隅に置いておきましょう。
絶対に覚えておきたいS&P500の特徴6つ
ここからは、覚えていると投資の際に役立つ、S&P500の特徴を6つ解説していきます。
- ①構成銘柄上位はGAFAM
- ②時価総額加重型の指数
- ③厳格な採用基準
- ④現在はIT・ヘルスケアが主力
- ⑤単位はポイント
- ⑥EPSが右肩上がり
特徴①:構成銘柄上位はGAFAM
まずは、S&P500を構成している企業を押さえましょう。
S&P500に最も多く含まれている銘柄TOP10は、以下の通りです(2021年4月30日現在)。

(出典:S&P Global)
- Apple
- Microsoft
- Amazon
- Alphabet(Google)
- Tesla など
実は、S&P500は500社へ均等に投資しているわけではありません。
500社に均等に投資するなら1社あたり0.2%ずつになるはずですが、1位のAppleは5.7%です。
また、上位10銘柄だけで全体の26.3%を占めています。
S&P500は、均等加重平均型ではなく「時価総額加重平均型」の指数なのです。
特徴②:時価総額加重型の指数
特徴①で触れた通り、S&P500は500社に均等に投資する指数ではありません。
例えばAppleには6%、Microsoftには5%、Amazonには4%のように、各銘柄によって投資する割合にばらつきがあります。
つまり時価総額加重型の指数には、以下のことが言えます。
- 時価総額が大きい銘柄には、多く投資する。
- 時価総額が小さい銘柄には、少なく投資する。
時価総額は、「発行済株式数 × 株価」で計算ができます。
つまり時価総額が大きい企業ほど、株価が高い人気企業と言えます。
皆さんがイメージしやすいよう、サーティワンのアイスクリーム売り場を例に説明します。

(出典:イエモネ「サーティワン」)
サーティワンでは、ショーケースのアイスが同じ分量ずつ準備されています。
しかし、S&P500の世界は、サーティワンアイスのように平等な世界ではありません。
人気の味は大きなアイスケース、不人気の味は小さなアイスケースというように、人気を反映してアイスケース自体のサイズを変えてしまうのです。
つまり、S&P500というアイス屋さんには、現在とんでもない量の「Apple味」「Microsoft味」「Amazon味」のアイスが売られているわけです。
お客さんから見ても、何が売れていて、どのくらい人気があるのか一目瞭然でしょう。
特徴③:厳格な採用基準
皆さんの中には、「人気があればS&P500に選ばれるの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。
そこで、S&P500の採用基準をもう少し具体的に見てみましょう。
- 米国企業であること
- 時価総額が61億ドルを超えること
- 浮動株比率が最低50%あること
- 健全な財務(黒字決算)であること
- ユニバース全体のセクター構成に等しくなること
米国企業であること
資産の所在地や売上が出ている地域、上場場所などを総合的に判断します。
米国企業であることが条件なので、残念ながら日本の企業は候補にすらなれません。
時価総額が61億ドルを超えること
61億ドルは、日本円にして約6,600億円です。
時価総額6,600億円を超える企業は、日本には約220社しかありません。
浮動株比率が最低50%あること
浮動株比率は、実際に株式市場で流通している株式の割合です。
例えば、会社が発行している株式のうち90%を創業者が保有していた場合、残り10%しか売買できないことになります。
上記のような多くの人が株式取引できない会社は、採用されません。
健全な財務(黒字決済)であること
財務健全性の観点からも条件が付けられています。
直近の四半期が黒字決算、かつ直近4つの四半期の利益の合計がプラスであることが求められます。
つまり、しっかりと利益を出してる会社であることが条件です。
ユニバース全体のセクター構成に等しくなること
まず、ユニバースとセクターの意味を確認しましょう。
- ユニバース:母集団
- セクター:業種
そもそも優良企業500社を選定するには、母集団があるわけです。
例えば、男性と女性がそれぞれ10人ずついるクラスから、優秀な生徒を2人選ぶとします。
男1人:女1人の割合で選ぶルールがあると、「母集団の男女比」と「選ばれたメンバーの男女比」は一致します。
S&P500のユニバースは米国企業全体です。
米国企業全体のセクター割合と同じになるように選抜されるので、「S&P500は米国全体を表している」と言われることがあるのです。
ちなみに、S&P500の採用基準はある程度公開されていますが、すべてが明かされているわけではありません。
最終的には指数委員会が、S&P500にどの銘柄を新規に組み入れて、どの銘柄を除外するかを判断しています。
特徴④:現在はIT・ヘルスケアが主力
続いて、S&P500のセクター比率(2021年4月30日時点)を見てみましょう。

(出典:S&P Global)
- 情報技術(IT):26.7%
- ヘルスケア:12.8%
- 一般消費財:12.7%
- 金融:11.5%
まさにハイテク一強ですが、ハイテクが強いのはS&P500の特徴ではなく、米国の産業全体の特徴です。
セクター比率は、時代によって大きく入れ替わります。
エネルギーセクターが大きく目立つ時もあれば、金融セクターが大きく目立つ時もあります。
この「適者生存」「新陳代謝」こそが、S&P500が選ばれる理由の1つです。
時代によって投資先が入れ替わるので、「S&P500は何に投資しているのか?」という質問には、セクター比率の推移を見ないと答えられません。
ちなみに、以下が各セクターを代表する企業です。
- 情報技術(IT):Apple、Microsoft
- ヘルスケア:Johnson&Johnson、Pfizer、Merck
- 一般消費財:Amazon、Disney
- 金融:J.P. Morgan、Bank Of America
特徴⑤:単位はポイント
意外に答えられないのが、S&P500の単位です。
日経平均株価の単位は「円」ですが、S&P500の単位は「ポイント」です。
皆さんも「S&P500が過去最高を更新。4,000ポイント突破」といったニュースを見たことがあるでしょう。
S&P500の単位であるポイントは、以下のような仕組みです。
- 1941年~1943年のS&P500構成銘柄株価の平均を、10ポイントとする。
- 上記を基準とした増減を、ポイントで表す。
基準点を決めているので、そこからどのくらいポイントが増減したかを判断できるのです。
1940年代に10ポイントだったS&P500は、2021年現在、以下のようになっています。

(出典:Yardeni Research)
- 約80年間にわたり右肩上がりを続けている
- 4,000ポイントオーバー(2021年4月現在)
特徴⑥:EPSが右肩上がり
EPSは、1株当たりの利益のことであり、株式投資において非常に重要な指標です。
EPSを見れば企業の収益性が分かるため、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏も重視しています。
では、S&P500のEPS推移を見てみましょう。

(出典:multpl.com)
上昇と下落を繰り返していますが、長期的には右肩上がりを続けています。
前述のS&P500が右肩上がりになっている背景には、EPSの右肩上がりが関係しています。
つまり、S&P500に含まれる企業が利益を出し続けていると、株価も上がっていくわけです。
ちなみに、S&P500に含まれる企業が利益を出し続けている秘密は、やはり「新陳代謝」にあります。
- 利益を出せない企業を除外する
- 利益を出せる企業を組み入れる
厳格なアメリカでは、戦力外通告で消えていく会社は後を絶ちません。
企業にとっては残酷かもしれませんが、投資家にとってはありがたい仕組みです。
一方で、他国の指数は新陳代謝がうまく機能しないので、「ゾンビ企業が生き残っているからダメだ」と言われてることがあります。
まとめ:雰囲気で投資をしている状態から一歩前へ進もう
今回の記事では、以下の2点を解説しました。
- S&P500の歴史
- 絶対に覚えておきたいS&P500の特徴6つ
S&P500の「S&P」は、「Standard&Poor's」の頭文字を取っています。
1941年に、スタンダード・スタティスティックス社とプアーズ出版が合併してできた会社です。
紆余曲折を経て、現在はS&Pグローバルという会社名に変わっています。
S&P500は1957年に完成して以来、世界中で最も注目される株価指数の1つになっています。
絶対に覚えておきたいS&P500の特徴は、以下の通りです。
構成銘柄上位はGAFAM
- 2021年4月時点で上位10社で26.3%を構成
時価総額加重型の指数
- 人気企業ほどウェイトを占める
厳格な採用基準
- 米国企業であること
- 時価総額が61億ドルを超えること
- 浮動株比率が最低50%あること
- 健全な財務(黒字決算)であること
- ユニバース全体のセクター構成に等しくなること
現在はIT・ヘルスケアが主力セクター
単位はポイント
EPS(1株当たり利益)が右肩上がり
今回の内容が理解できれば、雰囲気で投資している状態から一歩前に進めます。
S&P500は、アメリカという金融先進国において、歴史の荒波にもまれながら厳格に運用されてきた結果、長期的に右肩上がりを記録し続けてきました。

(出典:Yardeni Research)
- 短期で見れば、マイナスを経験する。
- 長期で見れば、トータルで右肩上がりを期待できる。
米国の人口動態や企業文化を見る限り、今後も右肩上がりの傾向を期待して良いでしょう。
S&P500は過去100年、3年以上連続でマイナスになったことは3回しかありません。
数多くの戦争や経済危機を乗り越えて、成長し続けてきた実績があります。
S&P500は半値まで暴落しても買い増して良い、数少ない指数だと言えるかもしれません。
今回の記事を読んでS&P500に投資してみたいと思った人は、楽天証券やSBI証券で口座開設してみてください。
どちらの証券会社でも、以下のような優良ファンドに格安の手数料で投資できます。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・バンガード・S&P500インデックス
(楽天証券での取り扱い無し) - Vanguard 500 Index Fund ETF(VOO)
- 楽天・全米株式インデックスファンド
いずれのファンドも、金融機関の窓口では絶対におすすめされません。
手数料が安すぎて、金融機関の儲けにならないからです。
楽天証券は猛スピードで口座開設数を伸ばしており、日本最大の証券会社である野村證券も射程圏内です。
楽天経済圏を活用している人なら、楽天証券だとポイントが貯まりやすくお得でしょう。
また、複数の証券会社を持つメリットについても、過去の記事を参考にしてみてください。