【初心者向け】全世界株ファンド・オルカンの「中身」と「補強法」について解説

こぱん
リベ大では、資産運用のコアとして2つのファンドをおすすめしています。
リベ大でおすすめしているファンド
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

これを聞いて、「私が買っているファンドはこれじゃないよ…。」という人も安心してください。

S&P500に連動する低コストのインデックスファンドや、全世界株指数に連動する低コストのインデックスファンドであれば、必ずしも上記のファンドでなくても問題ありません。

「SBI・V・S&P500」や「楽天VT」などがその一例です。

こぱん
名前の違う「唐揚げ弁当」のようなイメージです。

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は投資家からの評価が非常に高く、買い付けランキングでもかなり上位にいます。

下図のように、SBI証券では2位・3位、楽天証券では1位・3位となっています。

SBI証券

(出典:SBI証券「販売金額人気ランキング」)

楽天証券

(出典:楽天証券「全銘柄ランキング(買付金額)」)

あひるくん
押しも押されぬ人気ファンドだね!

一方、「実のところ、中身はそれほど良く分かっていない」「何となく分かっているけど、自分の言葉では上手く説明できない」という人も少なくないでしょう。

このような人のために、S&P500については過去の記事で詳しく解説しました。

 

今回の記事は、上記の「オルカン」バージョンです。

オルカンというのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の略です。

要するに、皆さんが自分の言葉で説明できるくらいオルカンに詳しくなり、しっかりと長期投資するための記事です。

あひるくん
「アメリカ定食だけではなく、全世界定食も理解していこう!」というイメージになります。

中身をしっかり理解していないと、暴落や不況が来た時に不安になり売ってしまいます。

インデックス投資における最強のアクション、「何もしない」ができなくなるワケです。

知っていれば正しい行動がとれる(お金を増やせる)一方、知らないと間違った行動をとってしまう(お金を失う)という意味で、今回の記事は100万円以上の価値があるかもしれません。

そこで今回の記事では、以下の2点について解説します。

今回の記事で分かること

絶対に覚えておきたいオルカンの特徴7選

オルカンの補強法3選

投資初心者が絶対に知っておくべきオルカンの基本から、オルカンの「穴」を埋めるための補強法(中・上級者向け)まで1粒で二度おいしい内容です。

こぱん
ぜひ、最後まで読んでみてください。

以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。

▼図解:今さら聞けない オルカンって何?

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解説動画:【初心者向け】全世界株ファンド・オルカンの「中身」と「補強法」について解説

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

絶対に覚えておきたいオルカンの特徴7選

こぱん
結論からお伝えすると、次の7つです。
オルカンの特徴7選

① ベンチマークはMSCI ACWI

② (全世界株のくせに)小型株は含まない

③ (全世界株のくせに)フロンティア市場は含まない

④ (全世界株のくせに)スタンドアローン市場は含まない

⑤ 1987年以来のリターンは年率約7.6%

⑥ 現在の投資先の比率

⑦ コスト最安級で指数との乖離も小さい

特徴①:ベンチマークはMSCI ACWI

特徴①:ベンチマークはMSCI ACWI

オルカンは、インデックスファンドです。

投資の世界には、ざっくり以下の2種類のファンドがあります。

2種類のファンド
  • インデックスファンド

→ 日経平均株価やS&P500など、「指数」への連動を目指したファンド。

  • アクティブファンド

→ 「指数」を上回る成績を目指したファンド。

こぱん
一見アクティブファンドの方が儲かりそうに見えます。

しかし、「長期的には、7割~9割のアクティブファンドがインデックスファンドに負ける」「インデックス投資の方が再現性が高く、万人向け」というのは、今まで散々お伝えした通りです。

さて、オルカンは「どのような指数」への連動を目指しているのでしょうか?

その指数の名は、MSCI ACWIです。

「MSCI」は、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社の略で、「ACWI」はオール・カントリー・ワールド・インデックスの略です。

つまり、「モルガンスタンレーが作っている、ACWIという指数」になります。

この会社が作成・公表している指数(=MSCI指数)は非常に有名です。

MSCI指数は、多くの機関投資家や投資信託のベンチマークとして採用されているので、ぜひ押さえておきましょう。

あひるくん
覚えておくよ!!

日本中、どこを歩いていても見かけるのがコンビニですが、投資の世界のどこを歩いていても見かけるのがMSCI指数です。

「ここにもいたのか!」というように、本当によく見かけます。

そして、そのMSCIが作った指数の一つがACWIというワケです。

この指数は、すでに触れている通りオール・カントリー・ワールド・インデックスの頭文字をとったもので、日本では「アクウィ」と呼ばれることもあります。

こぱん
2022年10月末時点で、ACWIは以下のような指数になっています。
ACWIとは
  • 投資対象になっている国: 先進国23カ国と新興国24カ国の計47カ国
  • 投資銘柄数: 上記の国に上場する約2,900銘柄
  • 株式市場の時価総額のうち85%をカバー

上記のような数字は、必ず頭に入れておきましょう。

ココが分かっていないと、要は「何も分かっていない」ことになります。

唐揚げ弁当を買っているのに、「あなたのお弁当の中身は?」と聞かれて、「分からない…。」と答えているような状態です。

さらに指数の特徴として絶対に押さえておきたいのは、この指数が「時価加重型」である点です。

正確に言うと、「浮動株調整後 時価総額加重平均」です。

あひるくん
アニメに出てくる最終奥義みたいに長い名前だね…。

前半と後半に分解して、ざっくりした意味だけ解説していきます。

浮動株調整後とは?

前半の「浮動株調整後」についてですが、「浮動株」というのは、実際に市場で売買される可能性の高い株式のことです。

この反対は「固定株」で、親会社が持っている株式、政府が持っている株式、企業間の持ち合い株式のような、市場で売買される可能性が低い株式のことです。

例えば、政府が持っている株を皆さんが「売ってくれ!」と言っても、簡単に「ハイそうですか」と売ってくれることは無いでしょう。

こぱん
このような株は、実質的に「取引できない株」です。

「浮動株調整後」というのは、各銘柄へいくら投資するか決める時は、「固定株」は除いて「市場で取引可能な株式」をベースに考えるという意味です。

固定株が多い銘柄には、いずれにせよたくさん投資できません。

時価総額加重平均とは?

次に、後半の「時価総額加重平均」ですが、ACWIは「約2,900の銘柄に同じ金額ずつ投資している」ワケでも、「47カ国に同じ金額ずつ投資している」ワケでもありません。

ACWIは、以下のような仕組みになっています。

ACWIの仕組み
  • 時価総額が大きい銘柄には、たくさん投資する。
  • 時価総額が小さい銘柄には、少しだけ投資する。

時価総額というのは「株価 × 株式数」で計算できます。

つまり、時価総額が大きい企業というのは、株価が高い人気企業というワケです。

ざっくり言うと、人気のある大企業ほど、たくさん組み込むというのが、「時価総額加重平均」です。

こぱん
以下のグラフをご覧ください。
世界の株式時価総額割合

(出典:DIAMOND HILL「The Case for International Investing」)

上図1900年の時点では、世界の株式時価総額に占める割合は、アメリカがたったの15%で、イギリスはトップの25%でした。

しかし現在の状況は以下のようになっています。

世界の株式時価総額割合

(出典:DIAMOND HILL「The Case for International Investing」)

現在は、アメリカが全体の半分以上を占めており、イギリスは数%程度となっています。

あひるくん
100年前と全く違うね!

世界の情勢は、刻々と変化するというワケです。

「時価総額加重平均」の強みは、勝つ国を、わざわざ予想して選ばなくて良いという点にあります。

強い国には多く投資して、弱い国には少なく投資するというように、効率的なバランスにポートフォリオを自動調整してくれるのがACWIの特徴です。

特徴②:(全世界株のくせに)小型株は含まない

特徴②:(全世界株のくせに)小型株は含まない

「全世界株(オルカン)」と聞くと、世界中のあらゆる企業が投資対象に含まれるように感じるかもしれません。

しかし、そもそもオルカンの投資対象に入るのは「上場企業」だけです。

例えば、リベ大両学長が経営している会社は、全世界株には含まれていません。

さらに、上場企業のすべてに投資しているかというと、そうでも無いのです。

上場企業を時価総額の大きい順に並べた時に、「上位70%に入る大型株」と「中位15%に入る中型株」の2つだけを投資対象にしています。

こぱん
つまりオルカンの投資範囲は、下図のようになります。
オルカンイメージ図

上図の大型株・中型株部分に該当する銘柄が、全部で約2,900あるワケです。

そして、下位15%にあたる小型株部分はオルカンには含まれません。

有名な全世界株指数に、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスというものがあります。

これはバンガードが運用する、全世界株ファンド「VT」のベンチマークです。

「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」や「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」も、こちらの指数をベンチマークとしています。

あひるくん
こっちのファンドも聞いたことあるよ!

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスという全世界株指数は、ACWIとは異なり小型株を含みます。

投資銘柄数は約9,000銘柄で、株式市場の時価総額のうち98%をカバーしているように、より広範囲に投資ができる指数です。

ここまでの話で、以下のように疑問を持つ人もいるでしょう。

ここまでの話から出てくる疑問
「ACWIと、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス、どっちが良いの?」

「85%カバーと98%カバーなら、98%の方が良いのでは?」

こぱん
結論は「どちらでも大差は無い」になります。

2つの指数に連動するETFの成績を、比較可能な2009年から見比べてみましょう。

2つの指数の推移

(出典:PORTFOLIO VISUALIZER

2つの指数の成績比較(2009年以降)
  • ACWI連動のETF:年利9.19%
  • VT:年利9.33%

10年以上の期間を比較して、その差は0.14%しかありません。

この期間では小型株が優位だったためかVTに軍配が上がりましたが、中型・大型株が優位な場合はACWIに軍配が上がるでしょう。

いずれにせよ、「大差無い」という事実は変わりません。

特徴③:(全世界株のくせに)フロンティア市場は含まない

特徴③:(全世界株のくせに)フロンティア市場は含まない

「全世界株」と聞くと、世界中のあらゆる国が投資対象に含まれるように感じるかもしれません。

しかし実のところ投資対象になっている国は、先進国23カ国、新興国24カ国の合計47カ国しかありません。

「あれ?今、地球上には190以上の国・地域が無かった?47カ国は少なすぎない?」という疑問を持った人は冴えています。

こぱん
実は、MSCIは世界の株式市場を以下の3つに区分しています。
3つの区分とは?
  • 先進国
  • 新興国
  • フロンティア

フロンティア市場というのは、新興国に比べてさらに国が小さく、株式市場が未成熟で株式取引の流動性が低い(売買高が少なく、取引が成立しづらい)市場です。

歪みも伸びしろもある市場と言えます。

皆さんの中には、新興国への投資と聞くと「ハイリスク・ヤバい」という印象を抱く人もいるかもしれません。

それよりさらにトガっているのが、フロンティアです。

あひるくん
えぇ~怖いよ~。

そもそも、フロンティアという言葉の意味は「開拓地と未開拓地の境界」や「未開拓の分野」です。

「夢」と「ロマン」と「リスク」がぎっしり詰まっていそうなエリアというワケです。

現在、フロンティア市場に区分されている国は以下の例を含めた約20カ国です。

フロンティア市場に区分されている国(例)
  • ヨーロッパ:クロアチア、アイスランド
  • アフリカ:ケニア、ナイジェリア
  • 中東:オマーン、ヨルダン
  • アジア:パキスタン、ベトナム

こぱん
全世界株ファンドと言えど、上記のようなエリアは含みません。

これらの国々にある上場企業がとてつもなく成長しても、その果実は手にすることができないワケです。

特徴④:(全世界株のくせに)スタンドアローン市場は含まない

特徴④:(全世界株のくせに)スタンドアローン市場は含まない

ココから先の話は、意外に知っている人は少ないかもしれません。

実は投資の世界には、先ほど紹介した「先進国・新興国・フロンティア」という区分の他に、もう1つ禁断のエリアがあります。

こぱん
それが、スタンドアローン市場です。

スタンドアローンというのは、「孤立」という意味です。

スタンドアローン市場に分類されている国の株式市場は、資本規制が厳しく(例:海外投資家は投資できない)、流動性が著しく低いといった特徴を持っています。

貧困や内戦・紛争など、何かしらの大きな問題を抱えている国ばかりなので、カントリーリスクが非常に高く、「投資不適格」の市場と言えるでしょう。

もともと、オルカンの投資対象には「ロシア株」が含まれていました。

それは、ロシアが新興国扱いだったからです。

しかし、現在のロシアは「スタンドアローン市場」に格下げされています。

こぱん
結果として、オルカンの投資対象から外れている状況です。

現在、以下のような国がスタンドアローン市場に分類されています。

スタンドアローン市場に分類されている国(例)
  • 南米・中南米:アルゼンチン、ジャマイカ
  • ヨーロッパ:ロシア、ウクライナ
  • アフリカ:ボツワナ、ジンバブエ
  • 中東:レバノン、パレスチナ

株式投資という観点では、安心して投資できそうにないエリアです。

いかに「全世界株ファンド」と言えど、スタンドアローン市場は含まれません。

「含んで欲しい」というニーズもほとんどないでしょう。

そもそも法規制などで含めることはできず、含めたところで爆弾を抱えるようなものです。

こぱん
オルカンは、投資に適さない国にまで無理に投資していないのです。

事情が変われば、フロンティアから新興国への格上げや、新興国からスタンドアローンへの格下げもあります。

このように、投資先は自動的にメンテナンスされていきます。

つまり、皆さんは何もしなくても「適切な投資対象」に投資できるというワケです。

この点を知るだけでも、ファンドのグリップ力がかなり上がるでしょう。

あひるくん
安心して投資できるね!

ちなみに、市場分類の全体図は下図の通りです。

市場の全体図

(出典:MSCI「MSCI ACWI Index」)

先進国、新興国、フロンティア、スタンドアローン、どの国がどこに分類されているのか知りたい人は、じっくりと見ておいてください。

特徴⑤:1987年以来のリターンは年率約7.6%

特徴⑤:1987年以来のリターンは年率約7.6%

ここまで見てきたように、オルカンのベンチマークであるACWIには、以下のような特徴があります。

ACWIの特徴
  • 先進国23カ国・新興国24カ国の、大型・中型株2,900銘柄に投資している。
  • 小型株は含まない。
  • フロンティア市場は含まない。
  • スタンドアローン市場は含まない。

つまり、存在感の大きい投資適格な銘柄だけを集めて投資しているワケです。

実態として、まさに「全世界株」という名にふさわしい指数になっています。

こぱん
では、その実力はいかほどでしょうか?

いかに美しい設計でも、実力が伴わなければ仕方ありません。

ACWIのこれまでのリターンや、どのくらいのリスクがあるのかを簡単にまとめると、以下のようになります。

ACWIのこれまでの成績など
  • 過去10年のリターン:年率8.54%。

→ 元本が10年で2倍以上になる高利回り。

  • 1987年以来のリターン:年率7.64%。
  • 最大損失:2007年10月末~2009年3月で、高値から58%のマイナス。

→ リーマンショックが起きた時期で、100年に1度レベルの大暴落。

  • リスク:おおよそ15%~20%程度。

投資した1年後に一番良いケースでは約40%儲かり、一番悪いケースでは約30%損失が出るイメージです。

約95%の確率で、運用成績がこの範囲に収まるようになります。

短期で見るとかなりの値動きがあるものの、10年15年と投資を続けると、振り返ってみた時に年利5%~8%くらいで運用できるイメージです。

もちろん、上記はあくまで過去のデータに基づく話です。

こぱん
過去は未来を保障しませんので、その点はご承知おきください。

ちなみに、ACWIの配当利回りは2022年11月時点で約2.3%です。

オルカンは分配金を出さないので、ファンド内の配当金はすべて再投資されます。

指数の利回りがどの程度かも、参考までに知っておくと良いでしょう。

特徴⑥:現在の投資先の比率

特徴⑥:現在の投資先の比率

先ほど紹介した数字は、あくまでも過去のデータです。

ファンドの未来を決めるのは、現在何に投資しているかです。

というワケで、オルカンの投資先を見てみましょう。

オルカンの投資先を見るということは、ACWIの中身を見るということです。

こぱん
まず、組入上位10カ国は以下のようになっています。
組入上位国
  • アメリカ:61.6%
  • 日本:5.1%
  • イギリス:3.5%
  • カナダ:3.1%
  • フランス:2.7%

あひるくん
アメリカは凄いね!

アメリカ1カ国で、なんと全体の6割を超えるシェアを誇ります。

アメリカは以下のような特徴から、過去がそうであったように、将来も最も有力な投資先の1つであり続けるでしょう。

アメリカの特徴
  • 人口動態のバランスが良い(若い人が多い)
  • 先進国では数少ない人口増加国
  • 政治が安定しており、地政学リスクも小さい(本土が攻められにくい)
  • 金融法制が整備されている
  • イノベーションが起きやすい文化がある

こぱん
ちなみに、オルカンの地域別投資比率は以下のように9割が先進国です。