
ちがいます!正解は「国や市町村」です。
前回までの講座では、支出をおさえる話をしましたが、国や市町村も実は「税金」というかたちで、あなたの家計を圧迫しています。
税金というテーマは、「支出を抑える編」の最後になります。税金のしくみや成り立ちを知ることで、節税をして支出を減らすことができるだけでなく、この社会がどういう風にできているか、もわかってきます。
税金のことをしっかり知ってからが、「お金を増やす講座」の本番です!
目次
そもそも税金って何?
税金は、法律に定められた要件を満たす人々すべてに課される、強制的な負担
以上が税金の定義ですが、強制的な負担とされているとおり、日本にいる限りは、日本に税金を支払う必要があります。もし海外に移住すれば、移住先の国へ税金を支払います。
つまり、マイホーム・保険・車と違って、税金の知識とはつまり「全員例外なく知るべき知識」なのです。
税金は昔でいう"年貢"
「昔は負担の大きい年貢に農民が苦しんでいた」なんて話はきいたことがあるのではないでしょうか。そしてこの年貢というのが、当時農民が国におさめるべきお米のことであり、現代でいう税金にあたります。
農民が年貢をおさめていた時代、当時の国(政府)は、あることを恐れていました。
「一揆」といわれる、農民が団結して政府に反発する騒動のことです。
民衆が暴動を起こす基準
年貢の負担が大きくなり、農民の生活が厳しくなると「一揆」が起こるわけですが、実は「自分の収入の50%以上を国にとられてしまうと、生活ができなくなるので一揆が起きる」といわれています。
では、現代の話にもどりますが、いまの日本の最高税率をご存知ですか?
所得税と住民税の最高税率は「55%」です。
※あくまで最高税率の話なので全員が55%を負担しているわけではないです。
サラリーマンの引かれる税金を知る
立場によって税金の引かれ方がかわってきます。
- サラリーマン
- 個人事業主(フリーランス)
- 法人
の三種の立場に大きくわけることができます、この章はサラリーマンに着目して税金の話をしたいと思います。
源泉徴収でヘイトを分散
サラリーマンでは「支給」と「手取り」の金額の差がありますよね。支給(額面)は25万円なのに、手取りは20万円…。この差は「税金が引かれているから」なのは、みなさんもご存知だと思います。
サラリーマンの方は毎月、給料の支給額から税金を天引きされています。これを「源泉徴収」といいます。
源泉徴収は戦時中に始まった制度で、戦争にはお金が必要だったので税金をしっかり徴収する必要がありました。政府は「税金を確実に取り立てるやり方はないか」と考えた結果「会社に税金を徴収させよう」となったのです。
図解:源泉徴収とは
- 源泉徴収はもともと戦争の資金をあつめるための制度
- 会社が給料から税金を回収することを「源泉徴収」という
- 税金に対する不満がなぜか会社にぶつけられていることも
給料から引かれているお金
- ①所得税
- ②住民税(市県民税)
- ③健康保険
- ④介護保険
- ⑤年金
- ⑥労災
- ⑦雇用保険
- ⑧介護保険
こちらが税金と社会保険の一覧です。①と②が税金、③〜⑧が社会保険といいます。
「①所得税」をどれくらい引かれるかは、所得の金額に応じて変わります。これを累進課税といいます。いっぱい稼ぐ人は、たくさん税金をとられます。
こちらは、所得税の早見表です。
課税総所得額 | 税率 | 所得税の控除額 |
195万以下 | 5% | 0円 |
195万〜330万 | 10% | 97,500円 |
330万〜695万 | 20% | 427,500円 |
695万〜900万 | 23% | 636,000円 |
900万〜1800万 | 33% | 1,536,000円 |
1800万〜4000万 | 40% | 2,796,000円 |
4000万超 | 45% | 4,796,000円 |
図解:所得税の算出方法
金額に差はないですが、会社を辞めた方などは年に一度、6月に自分で市に納める方法があります。これを普通徴収といいます。
図解:サラリーマンの納税のタイミング
「③健康保険」は、社会保険の一種で、4月・5月・6月の平均給与で1年分の健康保険料が決まります。健康保険料は平均給与の金額から9%引かれます。
そして、実際に引かれる金額は会社が半額負担してくれています。

「④介護保険」は、社会保険の一種で、40歳以上からとられるようになります。負担金額は1.65%です。
そして、実際に引かれる金額は会社が半額負担してくれています。
「⑤年金」は、社会保険の一種で、健康保険と同じく4月・5月・6月の平均給与で1年分の年金負担額が決まります。厚生年金は平均給与の金額から18%引かれます。
そして、実際に引かれる金額は会社が半額負担してくれています。
「⑥労災」は、社会保険の一種で、就業中の怪我などに対する補償です。これは全額会社が負担してくれています。
「⑦雇用保険」は、社会保険の一種で、失業したときの手当のことです。個人では1000円~2000円程度の負担があります。
- 所得税 : 5%~45%
- 住民税 : 10%
- 健康保険 : 9% (このうち会社が半額を負担)
- 介護保険 : 1.65% (このうち会社が半額を負担)
- 年金 : 18% (このうち会社が半額を負担)
- 労災 : 会社が全額負担
- 雇用保険 : 1000円~2000円前後
ここまで見ていただいたらわかるとおり、「健康保険・年金・労災・雇用保険」の社会保険だけで約30%、さらに住民税10%+所得税5~45%が引かれています。しかし、社会保険は会社が半額負担してくれています。
税金をコントロールする側になろう
税金は非常にわかりにくく作られています。そうすることで、思考停止させているのです。
ルールは偉いひとたちが決めています。そんな偉いひとたちの国会討論をテレビでみながら「けしからん!」なんて文句を言っても仕方がないです。
ここは、しっかり考えて、ルールをしっかり理解して、ルールをうまく活用することが大切です。
所得とは?
サラリーマンの給料明細には「所得」という項目があります。
「所得」とは、給料額面から経費を差し引いた金額です。
必要経費を差し引いたあとの所得の金額で、所得税や住民税の金額が決まります。つまり、税金は所得に対してかかるんです。
つまり、なるべく経費がかかったと証明したほうが、所得税や住民税を抑えられるんです。
給与所得控除とは
サラリーマンは基本的に経費が認められません。たとえば、日々の生活費や服を買ったりする費用などは、経費として認められません。経費とは事業のためにかかるコストだからです。
しかしそうはいっても、サラリーマンも多少は仕事をするうえでスーツを買い替えたりと、仕事のためのコストがかかりますよね。
そこで「ざっくり一律でサラリーマンの経費を認めてあげよう」という制度があります。
それが給与所得控除です。
サラリーマンの場合、【給料(支給額面) ー 所得控除 = 所得(利益)】という計算で所得をわりだします。
源泉徴収票とは
源泉徴収票とは、今年いくら稼いで、いくら所得税を払ったかの計算表のことです。住民税や社会保険料などの、差し引かれる金額がここで決まります。
源泉徴収票はとにかく見づらくて、ややこしいので解説記事を別途更新いたします。
年末調整とは
年末調整という言葉をきいたことがあると思います。これは、国は毎月一律でざっくり税金を天引きしているので、年末に保険料などの追加経費を認めてあげるという制度です。
控除を活用するべき理由
「給料」から、所得控除を差し引いた「所得」から所得税と住民税は計算されます。控除を活用すれば、それだけ収入を増やせるのです。
源泉徴収票もとてもわかりにくいですし、税金の制度は複雑です。
ここで、「税金ってわからないしめんどうだし」と考えることをやめてしまうと、国が税金取り放題状態なわけです。
関連動画
まとめ
- 源泉徴収はもともと戦争の資金をあつめるための制度
- 会社が給料から税金を回収することを「源泉徴収」という
- 税金に対する不満がなぜか会社にぶつけられていることも
- 所得税は累進課税なので所得によって金額が変わる
- 所得税は、ルールを決める官僚に都合の良い金額という見方もできる
- 会社は健康保険と年金を半額負担してくれている
- 社会保険5種には節税などの逃げ道がほぼない。
- 所得とは給料額面から経費を差し引いた金額のこと
- なるべく経費がかかったことを証明すると税金を抑えられる
- 所得税や住民税などの税金は所得に対してかかる
- サラリーマンの経費をざっくり一律で認める制度が給与所得控除
- 源泉徴収票は、稼いだ金額と払った所得税の計算表
- 年末調整とは、保険料などの追加経費を認める制度
- 税金関係は複雑でわかりづらい。
- わかりづらいからといって思考停止してしまうと、税金をむしりとられる
- 【第1回】貯金ゼロからはじめる「お金の増やし方講座」基本の考え方編
- 【第2回】貯金ゼロからはじめる「お金の増やし方講座」家の支出を抑える編
- 【第3回】貯金ゼロからはじめる「お金の増やし方講座」保険の支出を抑える編
- 【第4回】貯金ゼロからはじめる「お金の増やし方講座」車の支出を抑える編
- 【第5回】貯金ゼロからはじめる「お金の増やし方講座」サラリーマンの税金編
- 【第6回】貯金ゼロからはじめる「お金の増やし方講座」個人事業主の税金編
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