こんにちは、こぱんです!
リベ大では、経済的自由を達成するために「お金にまつわる5つの力」について情報発信をしています。
▼図解:お金にまつわる5つの力
2021年11月のThe Financial Pointerの記事によると、著名な投資家であるレイ・ダリオ氏が「金融資産には本質的な価値はない」と述べました。
そこで今回は、彼の発言を元に「真の富とは何か」についてリベ大の見解を解説していきます。
レイ・ダリオ氏は、アメリカにある世界最大の資産運用会社「ブリッジウォーター・アソシエイツ社」の創業者です。
彼の会社のファンドが運用する金額は10兆円以上で、非常に大きな金額を動かしています。
レイ・ダリオ氏は、2021年現在の相場を見て、以下のように述べています。
ある人たちは、保有資産の価格が上昇するのを見て、裕福になっていると勘違いしている。
(引用:The Financial Pointer「金融資産には本質的な価値はない:レイ・ダリオ」より)
2020年のコロナショック以降、株式や不動産、原油など、様々な資産の価格が上がっています。
リベ大ブログの読者の中にも、株価の爆発的な上昇に喜んでいる人もいるでしょう。
しかし、資産が増えて自分の生活が豊かになっていると誤解しないよう、注意が必要です。
なぜなら、真の富とは保有する資産額のことではないからです。
そこで今回の記事では、以下の2点について解説します。
- 真の富とは何か?
- 富を失わず最大限に活用するために意識する3つのこと
今回の記事を読むことで、お金の使い方が上手な人が持つ貯金500万円の方が、お金の使い方が不器用な人が持つ貯金1,000万円よりも価値がある可能性に気づけるでしょう。
金融リテラシーが磨かれ、自分が持つ資産の価値について見つめなおすキッカケにもなるはずです。
目次
解説動画:【金融資産に価値無し?】「真の富」と「富を失わずに活かす方法」を解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
真の富とは何か?
富と聞くと、皆さんは様々な金融資産を連想するのではないでしょうか。
- 貨幣:円やドルなど
- ペーパーアセット:株式や債券など
- 貴金属:ゴールドやプラチナなど
しかし、レイ・ダリオ氏は「富とは“購買力”である」と定義しており、富の尺度を物やサービスをどれだけ買えるかという視点で考えているのです。
さらに記事によると、レイ・ダリオ氏は真の富について以下のように語っています。
真の富とは「家・車・ストリーミングビデオなど、保有し使いたいために人々が買うもの」だという。
(引用:The Financial Pointer「金融資産には本質的な価値はない:レイ・ダリオ」より)
本質的な価値を持っているのは、物やサービスそのものであって、金融資産ではないとレイ・ダリオ氏は伝えています。
金融資産は物やサービスを入手するまでの一時的な道具(ツール)であり、物やサービスと交換しない限り、ひたすら蓄えても資産運用で増やし続けても生活は豊かになりません。
したがって、金融資産そのものを富とは呼べないというワケです。
例えば、日本の貨幣を見てみましょう。
100円硬貨や1万円紙幣の素材と重量は以下の通りですが、日本の貨幣を富と呼べるでしょうか。
実は、貨幣そのものに物質的な価値があるワケではありません。
現時点で日本政府が「貨幣に記載された金額と同額の価値がある、物やサービスと交換できます。」と貨幣を保証しているため、購買力があるだけなのです。
さて、ここまでの情報をまとめてみましょう。
富とは、物やサービスそのものを指す。
物やサービスを買う力が購買力であり、金融資産が価値を持つのは、購買力として機能する時だけである。
現在、実際の富に変えられるよりはるかに多い金融資産が存在し、よって、金融資産は価値を下げざるをえない。
(引用:The Financial Pointer「金融資産には本質的な価値はない:レイ・ダリオ」より)
彼は2021年現在、富である物やサービスよりも、物やサービスの引き換え券である金融資産の方が増えてしまい、金融資産の価値が低下していると伝えているのです。
ここで、記事の冒頭で紹介したレイ・ダリオ氏の言葉に繋がります。
ある人たちは、保有資産の価格が上昇するのを見て、裕福になっていると勘違いしている。
(引用:The Financial Pointer「金融資産には本質的な価値はない:レイ・ダリオ」より)
裕福になるためには、ひたすらに金融資産を増やせば良いワケではありません。
そこで続いては、裕福になっているという勘違いを修正しつつ、富を最大限に活用するために意識することを解説していきます。
富を失わず最大限に活用するために意識する3つのこと
富を失わず最大限に活用するために、以下の3つを強く意識しましょう。
- ①インフレ(インフレーション)
- ②選択肢
- ③効用(満足度)
意識すること①:インフレ(インフレーション)
富を失わず最大限に活用するために意識すること1つ目は、インフレ(インフレーション)です。
インフレとは、物やサービスの価値が上昇し、お金の価値が相対的に下がることです。
▼図解:インフレとデフレ
皆さんは、ロングセラー商品のチョコレート駄菓子「チロルチョコ」をご存知でしょうか。
実は発売当初のチロルチョコは3個で10円、つまり1個で約3.3円でした。
しかし、その後1970年代に発生したオイルショックによる経済状況の悪化で、1個10円に値上がりし、2021年現在では1個20円となっています。
例えば、1個10円で買えた時代に「大人になったらチロルチョコを1,000個食べよう!」と1万円を貯金したとしましょう。
しかし、2021年ではチロルチョコは1個20円のため、消費税を考慮しない場合でも「1万円 ÷ 20円/個 = 500個」となり、貯金していた1万円では500個しか買えません。
これがインフレです。
さらに、インフレの典型例として新築マンション価格の上昇があります。
以下の情報を見てみましょう。
不動産経済研究所が発表した2021年度上半期(4~9月)の新築マンションの平均価格は1都3県で6702万円という驚きの価格となった。
前年同期比で10.1%増。1973年の調査開始以来、上半期として過去最高額だという。
あくまで結果論ですが、少しでも早くマンションを購入しておくのが正解だったという状況が起こっているのです。
日本では長い間、物やサービスの価値が全体的に低下していくデフレ(デフレーション)の時期が続いてきたため、インフレの状況をイメージできない人も多いでしょう。
しかし、最近はマンションだけでなく、様々な物やサービスの値上がりが着々と進んでいます。
- 電気やガス代
- 教育費
- 電子機器
- 精肉や野菜といった生鮮食品
特に教育費はインフレが進行しやすい分野の一つで、子育て世帯は他の人たちに比べ、インフレの影響を受ける可能性は高いでしょう。
物やサービスの値上がりは、皆さんの購買力の低下に繋がるため、富を得ているどころか失っている状況とも言えるのです。
レイ・ダリオ氏はインフレと購買力の低下について、以下のように述べています。
今のように金融資産が上昇している時には、あなたの購買力が低下しているなら、本当の富を得ていると考えてはいけない。
(引用:The Financial Pointer「金融資産には本質的な価値はない:レイ・ダリオ」より)
インフレ率が5%つまり物価が毎年5%の値上がり時に、金融資産の投資収益率が年利3%なら、実質的に購買力は低下しているのです。
もし、裕福な人生を送りたいと考える人は、以下のように自分の購買力について細心の注意を払っておきましょう。
- インフレ率に注目し、欲しい物やサービスの価格動向をよく観察する。
- 手元のお金をインフレ率以上の利回りで運用する。
- 定期的に「自分は富を得て、裕福になっているのか?」を確認する。
なお、インフレ率やインフレが日常生活にどんな影響を与えるのか、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
意識すること②:選択肢
富を失わず最大限に活用するために意識すること2つ目は、選択肢です。
まずは、以下のシチュエーションをイメージしてみましょう。
皆さんの手元には100万円があります。
しかし、皆さんがいるところは無人島です。
無人島を脱出する手段は、今のところありません。
手元の100万円に価値はあるでしょうか?
なぜなら、無人島では物やサービスと100万円を交換できる選択肢そのものがないからです。
ではもう一つ、以下のシチュエーションを見てみましょう。
皆さんは7歳の子供で、ある夜に両親と一緒にお祭りへ出かけました。
お祭りで両親から「このお金で好きな物を買いなさい。」とお小遣い1,000円を渡されました。
お小遣いに大喜びしたのも束の間、両親は皆さんに目隠しをして言いました。
「ただし、目隠しをした状態で買い物するんだよ。この目隠しを外したらダメだよ。」
このシチュエーションで、渡されたお小遣い1,000円に価値はあるでしょうか?
あひるくんの言う通りで、自分の欲しい物を売っているお店そのものが分からない状態では買い物できず、お金を持っていても使えません。
つまり、金融資産が購買力を持っている状態にするには、十分な選択肢が必要というワケです。
無人島の例のように選択肢がない状況や、祭りの例のように選択肢はあっても自分で認識できない状況では、金融資産の価値を発揮できません。
十分な選択肢を認識できている場合と、そうでない場合は、購買力に差が生じるのは明らかでしょう。
実は、現実の世界でも購買力に差が生じる状況は起きています。
Aさん:情報感度が高く、世の中の様々な物やサービスの情報に精通している。
Bさん:日用品や食品以外に、世の中にどのような物やサービスがあるのか知らない。
上記の場合、多くの情報を知っているAさんの方がBさんよりも金融資産を様々な物やサービスと交換しやすく、実質的な購買力があると言えます。
そのため、もしAさんとBさんが同じ金額・資産を持っていても、豊かさや資産の価値は同じではありません。
自分が保有する金融資産の価値を高く保つためには、その金融資産を何に交換できるのかを知り、選択肢を広げる必要があるのです。
金融資産を増やすことに執着し、物やサービスへの情報感度を高める努力をしない人は購買力が磨かれないので、裕福に近づいているとは言えないでしょう。
意識すること③:効用(満足度)
富を失わず最大限に活用するために意識すること3つ目は効用で、要するに満足度のことです。
まずは、以下を想定してみてください。
現在のインフレ率を仮に年間3%とします。
Cさんは株式に投資し、年利5%で運用できているため、Cさんの購買力は下がっていません。
そして、Cさんの手元には臨時収入の10万円があり、使い道は自由です。
例えば10万円を使い、時短家電の食洗機を買っても、最新のiPhoneを買っても、高級ホテルに宿泊しても良いのです。
Cさんは、お金を様々な物やサービスと交換し、富を手に入れるのか十分な選択肢も持っています。
上記のように、購買力と選択肢がある状態で、裕福さを決める最後のピースが効用となります。
経済学の世界において賢い人とは、必ずしもお金持ちのことではありません。
自分の好みをよく理解し、自分の満足度が最大限になるようにお金を使えるのが賢い人です。
さて、先ほどの具体例に沿って、Cさんが10万円で物やサービスを購入した場合のそれぞれの満足度を見てみましょう。
- 食洗機を購入 → 満足度は70点
- 最新のiPhoneを購入 → 満足度は80点
- 高級ホテルに1泊 → 満足度は50点
上記を見ると、最新のiPhoneを購入できた時の満足度が最も高いのが分かります。
そのため、数ある選択肢の中からiPhoneを購入できれば、Cさんは10万円の価値を最大限に引き出せたと言えるでしょう。
さらに、物やサービスをどこで購入するかによって、満足度に違いが生じるケースもあります。
具体的に言えば、最新のiPhoneをD店は10万円、E店は9.5万円で販売している場合、E店で購入した方が満足度は高いはずです。
一般的に購買力と聞くと「どれだけの量の物やサービスが買えるのか?」と考えてしまいがちです。
しかしリベ大は、購買力とは満足度までセットになったものと考えています。
お金から最大限の満足度を引き出せる人は、購買力が高く賢い人と言え、以下の2点を理解しています。
- 人は時代や年齢、時の流れによって好みが変化する。
- 物や数字が増えていくほど効用は低下していく。
自分の好みは、時代や年齢とともに変化します。
環境や自分自身の小さな変化に気づく習慣がないと「自分の好きな物は何だったかな…」と、いつの間にか自分で自分のことが分からなくなります。
満足度と購買力をセットで考えると、自分が何に満足するのか分からない状態は、購買力が低下しているとも言い換えられるのです。
人には物や数字が増えれば増えるほど、効用つまり満足度の上昇具合が小さくなる傾向があり、「限界効用逓減の法則」と言います。
ちなみに、逓減(ていげん)とは「少しずつ減っていく」という意味です。
例えば、満足感が少しずつ低下していくケースとは、以下の通りです。
- 喉がカラカラに乾いた状態で飲む水の1杯目のおいしさ。
→ 2杯目、3杯目と水を飲み続けても、1杯目ほどおいしさを感じにくい。
- 副業で初めて1万円を稼げた時の嬉しさ。
→ 実績を積み、さらにもう1万円稼げるようになっても、最初に稼げた時ほどの喜びは感じにくい。
自分の好みや人間の思考のクセを理解し、満足度を意識している人は、お金の使い方が非常にうまいです。
効用、つまり満足度に敏感な人とそうでない人は、購買力にも大きな差が生じます。
例えば、以下のケースは自分が幸福を感じる買い物ができない点で、購買力が低い状態とも言えるでしょう。
自分の好みが分からないため、自分を満足させられる物やサービスを買えない。
物やサービスをいくら購入しても、全く満足できない。
なぜなら、富との引き換え券であるお金を使っても、富を得られていないからです。
さて、ここまでの話をまとめてみましょう。
お金を富とうまく交換できる購買力の高い人と、そうでない人は以下の通りです。
インフレを意識している。
→ お金と物価の関係性に注意している。
選択肢を意識している。
→ お金をどのような物に交換できるのか、膨大な選択肢を持つ。
効用を意識している。
→ 膨大な選択肢の中から、自分が最大限に満足できる物を買う。
インフレを意識していない。
→ 物価が上がり、物を買えなくなっているのに気づいていない。
選択肢を意識していない。
→ 何と交換できるのか、選択肢をあまり持っていない。
効用を意識していない。
→ 広告に踊らされるがままに、無意識のうちに買っている。
世の中には貯蓄額に関係なく裕福さを感じる人がいる一方で、お金をいくら貯めても裕福さを全く感じられない人もいるのは、購買力が関係しています。
皆さんは、お金を真の富である物やサービスへと上手に交換できる人でしょうか?
豊かな人生を過ごすためには、自分の価値観に基づいて、お金を物やサービスに交換できる力である「使う力」を伸ばすことも大切なポイントです。
▼図解:使う力
まとめ:真の富を理解し「購買力」を十分に高めよう
今回の記事では、以下の2点について解説しました。
- 真の富とは何か?
- 富を失わず最大限に活用するために意識する3つのこと
真の富とは物やサービスそのものを指し、金融資産そのものに本質的な価値はありません。
物やサービスに全く交換できない100万円を「欲しい!」と考える人は少ないはずです。
自分が豊かな人生を送れているかを考える時は、お金を物やサービスに変換する力である購買力にスポットライトを当てましょう。
そして、富を失わず最大限に活用するためには、以下の3つを強く意識することが大切です。
- インフレ(インフレーション)
- 選択肢
- 効用(満足度)
富を失わず最大限に活用するために意識すること1つ目は、インフレ(インフレーション)です。
インフレ率より高利回りの全世界株式・全米株式ファンドや不動産ファンド(REIT)などに投資をして、インフレに負けない資産運用を目指しましょう。
リベ大では「増やす力」として資産運用に関する情報発信も行っているので、ぜひ以下の図解や記事を参考にしてみてください。
▼図解:増やす力
富を失わず最大限に活用するために意識すること2つ目は、選択肢です。
金融資産を貯める・増やすことと並行しながら、今持っているお金で何ができるのかを考え、可能性の幅を広げていきましょう。
以下のような、自らの世界観を広げてみる努力が必要です。
行ったことのない場所に出かけてみる
会ったことのない人に会ってみる
新商品や新サービスを試してみる
富を失わず最大限に活用するために意識すること3つ目は、効用つまり満足度です。
膨大な選択肢の中から、「自分が最も満足できることは何か」を知りましょう。
そのためには、人と比べることではなく自分自身と向き合うことが必要です。
自分の好みは時代や年齢とともに変化するので、自分の変化に敏感になってみてください。
もし「自分の好みが分からない」という人は、価値観マップを作ってみることをおすすめします。
▼図解:生き方の指針を作る「価値観マップ」
自分は何が好きか、何に幸せを感じるのかなど、自分自身の価値観をよく知ることは豊かな人生を歩むための第一歩です。
価値観マップの作り方は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
繰り返しになりますが、富を考える上での大切なキーワードは「購買力」です。
資産の数字を増やすことに没頭して多くの金融資産を保有できても、以下のような人は本質的な意味で購買力がないため、裕福な人生を送っているとは言えません。
インフレによって、実質的な購買力が下がっていることに気づかない。
自分の生活を豊かにしてくれる物やサービスの存在を知らない。
自分の好みに合う、満足度の高い物やサービスを選べない。
「先月や1年前の自分と比べて、購買力は高まっているか?」と自分に問いかける習慣を、ぜひ身につけてみてください。
今回の記事が、金融リテラシーアップに繋がり、皆さんの資産が増えるキッカケの一つになれば嬉しいです。
一方で、数字はあくまで数字という考え方もあり、亡くなる間際に一番お金を抱えていても仕方がないのは事実です。
最も重要なのは、皆さんが心の底から幸福感を感じ、豊かに暮らせることです。
お金は引き換え券であることを理解し、貯め込みすぎず、自分にとって幸せな使い方をしてみてください。
以上、こぱんでした!
▼「使う力をもっと磨いていきたい!」という人に読んでほしい記事がこちら!
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