こんにちは、こぱんです!
リベ大では、手にしたお金を失わないための「守る力」についても発信しています。
▼図解:守る力
相続対策なんて、お金持ちがやるものじゃないの?
しかも、相続はお金を守る力の中で「最も重要なテーマ」でもあるんだ!
相続で失敗すると大変な目に遭います。
そのため、リベ大としては義務教育でしっかり扱うべきテーマの1つだと思っています。
お金に悩む
家族・親戚関係にもヒビが入る
時に、自分の人格も傷つける
そこで今回は、相続に関する「基本中の基本」として、相続対策の3つの誤解について解説します。
- 誤解①:相続対策はお金持ちがするもの
- 誤解②:法定相続分は「印籠」である
- 誤解③:相続の話をするのは「親不孝」「不謹慎」
相続について、以下のような疑問を持つ人も大勢います。
これらの疑問を通じて、今回は
相続に関する基本的な用語・ルール
相続の成功とはどんな状態なのか?
について、学んでください。
初級編のため、マニアックなノウハウは解説しませんが、以下の内容をパーフェクトに理解している人は少ないと思います。
ここを誤解したまま、細かいテクニックばかりに注目するのは本末転倒です。
ぜひ「本質」に目を向けてください^^
関連動画
目次
解説動画:【誤解してたら致命的】相続対策に関して「よくある3つの誤解」を解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
誤解1:相続対策はお金持ちがするもの
相続に関する、よくある誤解の1つ目が「相続対策は、お金持ちがするもの」です。
この誤解は、相続トラブルの元凶になります。
相続“税”対策はお金持ちだけがするものですが
相続対策は、ほぼすべての家庭に必要です
相続“税”対策と相続対策の違いをしっかり区別できるようになりましょう。
相続“税”対策は、可能な限り相続税を減らすための節税対策です。
生命保険文化センターの調査によると、2018年における「死亡者数に対する課税件数の割合」は8.5%です。
つまり、100人のうち9人しか相続税がかかっていないということです。
100人のうち91人は、相続税とは無関係のため、多くの人が
「うちには大した財産がないから相続対策なんて不要」
と考えてしまいます。
相続税がかかる人が少ない理由は、相続税には「基礎控除」という考え方があるためです。
基礎控除によって「3,000万円+600万円×法定相続人の数」だけ、課税対象額が小さくなります。
例えば、
- 遺産総額:3,500万円(現預金のみ)
- 相続人:妻と子1人
という場合は、基礎控除額は3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円になります。
このケースだと、遺産総額3,500万円 < 基礎控除額4,200万円となり、課税対象額はゼロになるため、相続税は一切かかりません。
ベースになる3,000万円
相続人1人つき600万円
この2つの数字を、ぜひこの場で覚えてしまいましょう。
ちなみに、平成26年12月31日以前に発生した相続の場合の基礎控除は「5,000万 + 1,000万 × 相続人」でした。
基礎控除額が、かなり減らされてるの分かります。
「基礎控除が減る = 課税対象額が増える = 増税」です。
増税は、所得税や消費税だけではありません。
とはいえ「3,000万 + 600万 × 相続人の数」でも、かなりの金額になります。
これだけの基礎控除が残っていれば、相続税がかからない家庭は、まだまだ多そうです。
実際、増税された際も
「私の家にはこんなにお金はないから大丈夫」
みたいな意見が見受けられました。
しかし、先ほど言ったように、相続対策はほぼすべての家庭に必要です。
仮に遺産総額が1,000万円で、相続税がかからないとしても
残された人たちにとって重要な財産であることには変わりなく、
どう分けるかで揉めるには、十分な大金だからです。
数百万円の遺産をめぐって「争族」が発生し、一家がバラバラになった話もあります。
理想の相続というのは
相続税が1円もかからない相続ではなく、
あなたが1円でも多く受け取れる相続でもなく、
家族の絆が強まる相続です。
戦国時代でもあるまいし、今はもう古い考えかもしれません。
しかし「一族全体の繁栄」のために、どれだけ皆がお互いのことを考えられるかが、重要なポイントです。
故人の希望がしっかりと尊重されて
相続人1人1人の置かれた立場を、お互いが思いやって
相続人全員が、納得のいく財産分配が行われる
このような理想的な相続を実現するには、普段のコミュニケーションが欠かせません。
「うちにはお金がないから、相続対策なんて不要」
という視野の狭い考えを捨てて、普段から「来るべき日」について話しあっておく必要があります。
お金で失敗する人というのは、いつどんな時でも“後手“に回っています。
誤解2:法定相続分は「印籠」である
相続に関する、よくある誤解の2つ目が「法定相続分は“印籠”である」です。
「相続割合は、法律で決まっている」と勘違いしている人は非常に多いです。
多くの人が誤解しているので、基本的なところから確認していきましょう。
まず、遺産を相続できる人=相続人になれる人は、法律で決まっています。
この人のことを、法定相続人と呼びます。
- 子供がいる場合の相続人:配偶者(妻/夫)と子供
- 子供がいない場合の相続人:配偶者と父母など
- 子も親もおらず、兄弟姉妹がいる場合:配偶者と兄弟姉妹
そして、彼らが相続できる割合も法律上に定めがあります。
これを法定相続分と呼び、割合は以下の通りです。
第1順位(子)がいる場合
- 配偶者:1/2
- 子供:残り1/2を均等に分ける
第1順位(子)がおらず、第2順位(親)がいる場合
- 配偶者:2/3
- 父母など:残り1/3を均等に分ける
第1順位(子)、第2順位(親)がおらず、第3順位(兄弟姉妹)がいる場合
- 配偶者:3/4
- 兄弟姉妹:残り1/4を均等に分ける
この「法定相続分」を水戸黄門の印籠のようにかざして
「私にはこれだけ相続する権利があるのよ!」
「俺はこれだけ相続できて当然だ!」
なんて言っている人を、時々見かけます。
家族の前で、表立って口に出さなくても、
「うちの親は相続について何も言ってないけれど、法律上1/2だけ相続できるはず…」
と、親の遺産を「自分のもの」として計算している人もいます。
ですが、法定相続分というのは「あくまで目安」です。
相続には、主に次の3パターンがあります。
- 遺言による相続
- 分割協議による相続
- 法定相続
遺言書がある場合、原則遺言書に従って相続します。
もし遺言書がない場合、相続人全員で協議して相続します。
つまり、法定相続の割合というのは「必ず従わなければいけない割合」ではなく
- 遺言書
- 遺産分割協議
を利用しなかった場合の割合だということです。
決して、皆さんの取り分を保証してくれる「印籠」ではありません。
「法定相続分=自分の取り分」だという誤解は、不幸の元です。
いざ相続が発生した時に
「次男に全部相続させる」なんて遺言がでてくる
「私は介護で面倒見たんだから、もっと多く相続させてちょうだい」と言われる
など、自分が思っていた割合で相続できなさそうな状況になると、揉め事に発展します。
基本的に、イライラ・怒り・絶望というのは、期待との落差から生まれます。
もし、最初から1円ももらえないと思っていたら
- 実際に、相続財産がゼロでも何とも思わない
- もし相続財産がいくらかもらえるなら、ラッキー
となりますが、逆に「たくさんもらえる」と思っていたのにもらえないなら、自分の権利を声高に主張し始めるでしょう。
良い悪いではなく、人間の脳はそういう風にできています。
法律で守られる最低限の遺産の取り分のことは、法定相続分ではなく「遺留分」と呼びます。
「俺にも最低限の遺産をもらう権利があるんだ!その分だけはきっちり遺産をもらうぞ!」
という時に「印籠」になるのは、この「遺留分」です。
遺留分制度の概要は以下の通りです。
- 被相続人(亡くなった人)の財産は、基本的に被相続人が自由に処分できるが、
- 家族の協力によって得られた財産でもあるので、
- 最低限の財産は家族に残すべきだから、その割合を請求できるようにしておく
遺留分は、法定相続分の1/2または1/3になります。
1つだけ例を出して解説しておくと、相続人が「配偶者と子」の場合(表の一番上)、遺留分は相続財産の1/2になります。
そして、それを配偶者と子でさらに半分ずつ分けることになります。
もし、相続財産が3,000万円あった場合は以下の通りです。
1,500万円:被相続人が、自分の希望する人に相続させられる
750万円:配偶者の遺留分
750万円:子の遺留分
法定相続分と遺留分の違いは、誤解のないようにしっかり押さえておきましょう。
- 法定相続分:あくまで「目安」にすぎない
- 遺留分:「最低限の遺産をもらう権利」として主張できる
誰かが遺留分の主張を始めるような相続だと、ほとんどが揉めに揉める悲しいケースになります。
遺留分の主張なんて、ないまま終わらせるのが一番幸せですよね。
「法律に書いてあるんだから、もらえるもんはもらっとけ」
という考え方ではなく、ゼロベースで、どう配分されるのがベストかを考えた方が良いです。
100件発生したら、100通りの正解があるのが相続だと言うことを認識しておきましょう。
誤解3:相続の話をするのは「親不孝」「不謹慎」
相続に関する、よくある誤解の3つ目が「相続の話をするのは親不孝・不謹慎」です。
「元気なうちから相続の話をするなんて、縁起でもない」
「子供から親に相続の話を持ち掛けるなんて、親不孝だ」
リベ大の考えですが、家族全体で「相続」について話し合うことは、親不孝でも何でもありません。
両学長の友人が、高齢の父に相続の話を切り出したそうです。
「そろそろ、相続についてしっかり話し合っておくべきだと思うんだけど…」
すると、父は激怒し、
「そんな縁起でもない話するんじゃない!俺はまだピンピンしてるぞ!」
「親の金をアテにするなんて、恥ずかしいと思わないのか」
と言われたそうです。
友人は、
「相続が発生した時に残された家族が揉めないように、今のうちから模索して、みんなで共有したかっただけなのに…」
とガッカリしてしまい、以来この手の話は一切しなくなってしまったそうです。
相続の話を、早いうちからしておいた方が良い理由は、3つです。
- 被相続人(亡くなる人)が、お金に強いとは限らない
- 被相続人が、死期を間近にして正常な判断ができるか分からない
- 相続というのは、当事者が複数いる「共同プロジェクト」である
世の中に足が速い人と遅い人がいるように、世の中にはお金に強い人と弱い人がいます。
もしお金に強い家族がいるのなら、その人の力を活用しつつ「どうやって最適な遺産分配を実現すべきか」考えた方が良いです。
少子高齢化で、経済は縮小していく日本では、「いかに世代間でうまく資産承継するか」が非常に重要な問題です。
相続について真剣に考え始める時期=死が間近に迫ってきている時なので、被相続人が相続についてしっかり考えられないかもしれません。
このことはしっかり認識しておきましょう。
そもそも相続というのは、多くの親族を巻き込んだ「共同プロジェクト」です。
遺産を残す人だけが納得したら成功ではなく、
関係者みんなが納得したら成功です。
「自分の遺産だから、誰にどう残そうが勝手」という考えで、自分ひとりが納得すれば良いという「ソロ・プロジェクト」ではありません。
これは「受け取る人たちがいる」ということを無視した、視野の狭い考えで、リーダーとしては間違いなく失格です。
相続は、上手に関わることができれば「家族の絆を強くする」素晴らしい機会になります。
"争族”という言葉に表されるように「相続というのは揉めるもの」という認識を持っている人も少なくありません。
でも世の中には、相続の話題や相続そのものをきっかけに、より深い家族の絆を構築している人達もいます。
例えば、障害を持った子供がいる妹の家庭を心配して
「私は1円も相続しなくて良い。今後、お金が必要になるだろうからお父さんの遺産は、ぜんぶ妹にあげて欲しい」
と言っているお姉さんもいます。
彼女自身も、決して裕福といえる経済状況ではないにもかかわらずです。
お父さんは
「いやいや、お姉ちゃんにも残してあげたいんだけどな…」
と言いつつ、どこか嬉しそうにしています。
「オヤジ、俺にたくさんお金を残してくれよな」
こんな相談は親不孝かもしれませんが、
「家族みんなが納得できるように、今から話し合っておこう」
という相談は、むしろ親孝行になるのではないでしょうか。
日本人は、生命保険が大好きで知られています。
「もしもに備えて、こちらの保険に…」
と言ってくる生命保険の営業マンに対して
「俺は死ぬ予定なんてない!不謹慎なモノ売りつけてくるな!」
なんて言う人はほとんどいないですよね。
- 死について考えて、保険に入ること
- 死について考えて、相続対策をすること
「残される家族の幸せを願って行う」という点で、違いはないはずです。
相続の話をすることは、不謹慎でも親不孝でもなんでもありません。
リベ大の所感ですが、相続についてすでに家族全員の「意思疎通」が完成している家庭は、1%未満です(笑)
将来「不幸の種」を花開かせたくないのなら、「明日相続が発生したらどうするか」という視点で、ぜひ家族皆で話し合ってみてください。
脅すようですが、こういう話し合いを「先延ばし」にする傾向がある人は、目に見えない「不幸の種」を育てているという認識を持ってください。
まとめ:視野を広げ、家族全員の絆が強まる相続対策をしよう
相続対策に関する「3つの誤解」について解説しました。
これらの誤解を1つでも持っている人は、将来の相続で揉める可能性が高いです。
- 誤解1:相続対策はお金持ちがするもの
- 誤解2:法定相続分は「印籠」である
- 誤解3:相続の話をするのは「親不孝」「不謹慎」
- 相続税が発生するかどうかという問題
- いかに関係者全員が納得できるような相続をするかという問題
この2つは、まったくの別問題です。
相続“税”対策が必要なのは「基礎控除額 = 3000万 + 600万 × 法定相続人」を超える資産を持つ家庭ですが、相続対策はどんな家庭にも必要です。
法定相続分というのは、あくまでも
- 遺書
- 分割協議
によらずに相続する場合の「目安」にすぎません。
法定相続分を「当然、自分がもらえるもの」として考えてしまうと、アテが外れた時に骨肉の争いに発展する可能性があります。
最低限の遺産の取り分のことは、遺留分と呼びます。
遺留分は法定相続分より小さく、法定相続分の1/2または1/3です。
納得のいく相続をしている家庭は、法律の定め(法定相続分や遺留分)をよりどころにするのではなく、「愛情」をよりどころにして遺産配分をしているように思います。
相続の話は
家族の絆を深める
家族の関係を再構築する
などの「良いきっかけ」になります。
どれだけ真剣に「相続の話ができるか」が、家族関係の良好さを測る一つの指標になるかもしれません。
話すべきことを話さずにいることが「目に見えない土の下で、不幸の種を育ているのではないか?」を胸に手を当てて考えてみてください。
相続対策と聞くと
- 1円でも税金を安くすること
- (自分が)1円でも多くの資産を相続すること
ということに目が向きがちで、語弊を恐れずに言えば、お金に囚われすぎています。
理想の相続というのは「家族全員の絆が強まる相続」です。
100%完璧な節税対策をやって、多くのお金を相続人に残せたとしても、家族にしこりが残る相続であれば、それは大失敗です。
理想の相続ができるのは、以下の人たちです。
感謝・GIVEの気持ちにあふれている人
相続財産をアテにする必要がなく、経済的に自立している人
自分のこと以上に、親や兄弟姉妹(その子供)の気持ちを大切にできる人
いい相続ができるかどうかの問題は、財産を残してくれる被相続人だけの問題ではありません。
財産を受け取る側(=相続人)の人間性も試されているということを、忘れずにいてください。
以上、こぱんでした!
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同じ志を持った仲間と一緒に成長していきましょう!
140万部発行された、「お金の大学」。
情報を最新化・新規コンテンツ追加して【改訂版】としてパワーアップ!(なんと52ページ増量!)
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