それは、「〇〇投資ってどうですか?」という質問です。
過去、リベ大で何度も回答してきましたが、質問がなくなる気配はありません。
というワケで、国に助けを借りることにしました。
確かに、ライオン姿のリベ大両学長が「そんな投資、やめときなはれ!」と言っても、「分かりました学長!」とはならないかもしれません。
今回は、金融庁が注意喚起・問題視している投資を紹介する企画です。
金融庁というのは、とても重要な組織です。
以下のような超大手をはじめとしたあらゆる金融機関が、金融庁の監督下に置かれています。
- 三菱UFJ銀行、三井住友銀行などの日本最強のメガバンク
- 日本生命、第一生命などの日本最強の保険会社
- 野村證券、大和証券などの日本最強の証券会社
金融庁は「利用者保護」、つまり皆さんの保護をその役目として掲げており、顧客を軽視した金融商品を絶対に許しません。
分かりやすく言うと、シンプルに「私たちの味方」というワケです。
金融庁が注意喚起・問題視している投資7選
金融庁が注意喚起していない投資とは?
今回の記事では、色々なタイプの「注意すべき投資」を紹介しますが、解説は分かりやすさを重視します。
記事を最後まで読んでもらうと、「この名前を見たら、冷静・慎重になりましょう」という投資商品がサクっと分かります。
投資を成功させる重要なポイントは、とにかく「ババ」を引かないことです。
ハズレ商品、ゴミ商品を引かないことが重要というワケです。
ぜひ、ババ抜きレベルを上げてください。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:注目!国が注意喚起 危険な投資
目次
解説動画:【ダメ出し7選】国が「注意喚起」している投資商品を分かりやすく紹介します
このブログの内容は以下の動画でも解説しています!
金融庁が注意喚起・問題視している投資7選
今回紹介する注意が必要な投資は、次の7つです。
バイナリーオプション
ソーシャルレンディング
レバレッジ型ETF
仕組債
ファンドラップ
外貨建て保険
暗号資産
一体、どこがダメなのか?何に注意しなければいけないのか?
注意する投資①:バイナリーオプション
金融庁は、2020年2月28日に、次のリリースを出しています。
「赤字」「下線」「!」など、これでもかというほど、注意が強調されています。
皆さんはバイナリーオプションという言葉、聞いたことはありますか?
バイナリーオプションというのは、あらかじめ決められた時点の数値を予想して、ある値よりも「高いか」「低いか」を二者択一で選ぶという取引です。
言葉で聞くとややこしいですが、下図を見てもらうと分かりやすいでしょう。
「満期時点で、目標レートより円安になると思いますか?円高になると思いますか?」という予想をして、お金を賭けるイメージです。
いわゆるHigh&Lowです。
取引の簡明さと比べ、仕組み自体は複雑。
元本を失う恐れがある。
期待する投資成果を得るためには、知識や経験が必要なリスクの高い取引。
「必勝法、勝率〇〇%、投資額の〇〇%の利益」をうたい、ノウハウを高額で販売する詐欺が広がっている。
SNS(TwitterやInstagramなど)で、「このツールを使えば儲かる」と勧誘され、投資用USBメモリーなどを売りつけられるトラブルが増加。
無登録業者と取引してはいけない。
無登録の海外所在業者と取引したら、助けてあげられない。
リベ大にも、一時期毎日のように「バイナリーオプションってどうですか?」という質問が寄せられました。
「やらない方が良い」というよりも、「やるかどうか、検討することすら時間の無駄」というレベルです。
とても家族や友人に勧められる投資ではありません。
注意する投資②:ソーシャルレンディング
金融庁は、2019年5月29日に、次のリリースを出しています。
冒頭の「高い利回りの情報だけで投資をしていませんか?」というフレーズは、グサッと刺さる人が結構多そうな注意喚起になっています。
ソーシャルレンディングの一般的な仕組みは、インターネットでファンドの募集を行い、ファンド業者を通じて、投資者のお金を企業などに貸し付けるイメージです。
下図からも分かる通り、「匿名組合契約」「金銭消費貸借契約」などが絡む、非常にややこしい取引です。
「融資型クラウドファンディング」「貸付型クラウドファンディング」などと呼ばれることもあります。
金融庁は、以下のように言っています。
情報提供の内容が理解できない場合、申込みは行わないでください。
無登録業者は詐欺的な勧誘である恐れが高いため、一切関わらないでください。
登録業者だからといって、金融庁や財務局が業者の信用力を保証してるわけではありません。
利回りだけを強調し、リスクなどの情報を分かりやすく提供していないファンド業者との取引は注意してください。
高い利回りである場合、商品によっては「貸付先の返済遅延」や「デフォルト」などのリスクが高いことを、十分に認識することが大切です。
リベ大にも、定期的に「ソーシャルレンディングってどうですか?」という質問が寄せられます。
関連動画
→ 【年利10%ってホント!?】こんなにヤバいソーシャルレンディング
今現在も、結論は上記の動画と同じです。
注意する投資③:レバレッジ型ETF
金融庁は、2021年6月30日に、次のリリースを出しています。
この資料は、過去のリベ大ブログの記事でも取り上げたことがあります。
レバレッジ型ETFというのは、レバレッジ型指標に連動する運用を行う商品です。
レバレッジ型指標というのは、原指標の日々の変動率に、一定の倍数を乗じて算出される指標になります。
原指標というのは、TOPIXとかS&P500などの「ベースになる指標」を指します。
要するにレバレッジ型ETFは、日々の値動きが「TOPIXの2倍」「S&P500の2倍」のように、「ベースになる指標の〇倍になるように運用するETF」というワケです。(下図参照)
主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
投資経験が少ない個人投資家が、中・長期の資産形成を目的として投資対象とする場合には十分な注意が必要。
こうした金融商品の取引にあたっては、取引の仕組みや内容を十分理解し、取引に伴うリスク・コストを十分に認識した上で、自己の財産、取引経験及び取引の目的等に照らして適切であると判断する場合にのみ、自己の責任において取引を行ってください。
要するに、「長期投資向きではなく、初心者向きでもないから、よく考えて使ってね!」ということです。
リベ大にも、各種商品についての質問が多く寄せられます。
「レバレッジをかけて投資するのはどうですか?」という質問に対しては、ハッキリ次のように回答します。
信用取引・レバレッジを使いこなせるのは、一部の熟練した投資家だけです。
注意する投資④:仕組債
2022年11月8日に、朝日新聞デジタルから、「仕組み債、販売停止相次ぐ「売るかやめるか」迫った金融庁」という記事が出ました。
銀行や証券会社が「仕組債」の販売見直しに追い込まれているという記事です。
仕組債というのは、一般的な債券には見られないような特別な「仕組み」を持つ債券を指します。
スワップやオプションなどの、デリバティブを利用した、とてつもなく複雑な取引です。
「仕組債という名前を聞いたら、用心深くなりましょう」ということだけ分かればOKです。
金融庁は、次のように言っています。
販売態勢や商品性に関する問題点がある。
中長期的な資産形成を目指す一般的な顧客ニーズに即した商品として、ふさわしいものとは考えにくい。
損失率の裾野が広く、リスクが相応に高いが、安定して高めの利子が得られる債券と誤認されているとの指摘がある。
コストの開示が十分でなく、丁寧な情報提供もなされていない。
(参考:金融庁「第1回 金融審議会 顧客本位タスクフォース 事務局説明資料」)
要するに、「危ないのに、危ないと思わずに買っている人が多いよ!」という話です。
仕組債のエグさについては、「あのお金、返してください!!」という書籍も出版されていました。
仕組債についても、リベ大にたくさんの質問が寄せられます。
「年率10%の仕組債ってどうですか?」という質問に対しては、「中身が分からないものに投資してはいけません」と回答します。
注意する投資⑤:ファンドラップ
2022年10月20日の東洋経済ONLINEから、「「仕組み債」は序の口、当局が狙う次の金融商品 市場拡大を続ける「ファンドラップ」にも転機か」という記事を一部引用します。
2022年9月26日に金融庁が開催した「顧客本位タスクフォース」
金融機関による商品選定や勧誘のあり方を議論するこの会議で配られた資料で、商品性や営業手法に問題を抱えているとして、3つの商品が名指しされた。
仕組み債、外貨建て一時払い保険、そしてファンドラップだ。
- 資産運用の専門家が、顧客と一緒に投資の目的や方針を確認し
- 投資一任契約に基づいて、資産配分や投資先ファンドの選定、運用状況の報告等を総合的に提供する投資サービス。
分かりやすく言うと、ちびまる子ちゃんに出てくる花輪クンの執事「ヒデじい」が、皆さんのために資産運用をしてくれるイメージです。
金融庁は、次のように言っています。
コストが嵩みがちな構造になっている。
→ 「投資信託の信託報酬 + ファンドラップ独自の手数料」がかかる。
コスト控除後の平均パフォーマンスは、バランス型投信に総じて劣後。
→ コストを差し引いた後のパフォーマンスがバランス型投信に比べて総じて悪いのであれば、ただバランス型投信を買っているだけの方が良い。
顧客本位の営業を行う観点から、商品・サービスのあり方を再検討することが期待される。
コストが高いファンドラップほど、パフォーマンスが劣る傾向。
高コストで安全資産の組み入れ比率の高いファンドラップは、真に顧客利益に資するものか、商品性についての再考が求められる。
要するにファンドラップは、「コストが高い!」「こんな超低金利の時代に、安全資産を多く組み入れて1.5%以上の手数料を取ると、顧客は損をする!」というワケです。
下図のように、ファンドラップは、年率1.5%~3.0%超のコストが発生しています。
長期の日本国債の利回りは0.2~0.3%ほどです。
「あなたのために年0.2~0.3%資産を増やすけど、1.5%の手数料をください」というのはヒドい状態です。
リベ大にも、「ファンドラップってどうですか?」という質問がよく寄せられます。
手数料という名の「寄付」をしたい人には、おすすめです。
注意する投資⑥:外貨建て保険
「仕組債」「ファンドラップ」と並び、名指しされた商品が「外貨建て一時払い保険」です。
一括で払い込んだ保険料を、米ドルや豪ドルといった外貨で運用する保険です。
外貨建て保険の苦情件数は、ここ最近までずっと右肩上がりでした。
平成26年度と比べると、令和元年度は約3倍になっています。
締め付けが厳しくなったことで、最近は多少減ったようです。
しかし産経新聞の記事によると「金融庁幹部は”他の金融商品に比べればまだ高水準”と警戒している」とのことです。
表に出ている数字は、まだ氷山の一角ということでしょう。
外貨建て一時払い保険を運用商品として提案する際、類似する他の商品と比較して説明する事例はほとんど見られない。
顧客は「投資」のつもりで保険を買おうとしているが、販売サイドは顧客の「資産全体における保険の位置づけ」を踏まえた上で提案しているワケではない。
(参考:金融庁「第1回 金融審議会 顧客本位タスクフォース 事務局説明資料」)
例えば、販売員が総額100万円の資産を持つ顧客に対して、「100万円全部を保険に突っ込んでくれても大丈夫」と考え、提案している可能性があるということです。
販売サイドのことと、手数料をたくさん取ることしか考えていません。
要するに、保険販売に際して「銀行預金よりは良いですよね?」という資産運用上のメリットを強調しているにもかかわらず、他の投資商品との比較データを見せたり、資産バランスを考えてあげたりはしないというワケです。
まともな投資商品と比べたら、ゴミ商品ということがバレるので、仕方ないかもしれません。
外貨建て保険は、かねてより「元本割れの可能性について説明がされていない」「手数料の構造が不明瞭」といった問題点も指摘されています。
貯蓄型保険・外貨建て保険の中身を見てみると、「薄い保障の保険 + ぼったくりファンド」「保険会社有利で、契約者不利なリスク構造」ということは多々あります。
不利益を被る顧客も多く、金融庁だけではなく国民生活センターも注意を呼び掛けているくらいです。(下図参照)
リベ大にも、「この外貨建て保険はどうですか?」という質問が永遠に寄せられます。
保険は保険、投資は投資で分けて考えることをおすすめします。
「コスパの良い優良な掛け捨て保険」+「まともなファンドへの投資」という組み合わせは、多くのケースで外貨建て保険に勝ります。
注意する投資⑦:暗号資産
金融庁・消費者庁・警察庁は共同で、2021年4月7日に、次のリリースを出しています。
- 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる。
- 電子的に記録され、移転できる。
- 法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない。
上記の性質を持つ暗号資産の中では、「ビットコイン」「イーサリアム」が有名です。
先ほどのリリースには、「国がその価値を保証している”法定通貨”ではない」「インターネット上でやり取りされる