
書籍の中に、次のようなやりとりが出てきます。
金持ち父さん「馬券を買う人と、株を買う人の違いは何だと思う?」
ロバート・キヨサキ氏(本の著者)「分かりません」金持ち父さん「同じようなものさ。株を買う人には絶対なってはいけない」
今回の記事では、「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」に紹介されている、「投資家の7つのレベル」という考え方について解説します。
記事を読んでもらうと、以下のような点が分かります。
自分は、レベルいくつの投資家なのか?
自分の家族や友人が、レベルいくつの投資家なのか?
なぜ、まずはレベル4の投資家を目指すべきなのか?
金持ち父さんが、「株を買うような人にはなるな」と言った理由も分かるはずです。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:投資家レベル あなたはいくつ?
目次
解説動画:【金持ち父さんに学ぶ】投資家の「7つのレベル」について解説
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
投資家の7つのレベル

投資家は0〜6まで、7つのレベルに分類できます。
- レベル0:投資すべきものをまったく持っていない人
- レベル1:お金を借りる人
- レベル2:お金を貯めてから使う人
- レベル3:賢い投資家
- レベル4:長期的投資家
- レベル5:洗練された投資家
- レベル6:資本家
レベル0:投資すべきものをまったく持っていない人

レベル0の人は、投資のためのお金をまったく持っていません。
なぜ持っていないのかというと、稼いだお金は全て使ってしまうからです。
「収入が少なく、生活するだけで精いっぱい」なのか、「収入は十分だが、ついお金を使い過ぎてしまう」のか、理由は人それぞれです。
しかし、年収が200万円であろうと1,000万円であろうと、「投資すべきお金がまったくない」という点では、同じレベルにあります。
- 単身世帯の34.5%が貯金ゼロ
- 2人以上世帯の23.1%が貯金ゼロ
(参考:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査2022年(単身世帯調査)」)
(参考:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」)
上記に該当する人たちは、運用のためのお金や、将来に備えて蓄えているお金がまったくありません。
図にすると、以下のようなイメージです。

(参考:Like U「実は結構いる貯金ゼロの人…お金を貯めたい人への3つのヒント」)
2人以上世帯の約5世帯に1世帯は「レベル0」、単身世帯の約3世帯に1世帯は「レベル0」という状態です。
とはいえ、「今はまだレベル0」という人も、不安にならなくても大丈夫です。
誰もが最初はレベル0からスタートします。
レベル1:お金を借りる人

レベル1の人は、お金に困ると「借金」で解決しようとします。
「欲しい洋服やブランドバッグ、時計があるなら、クレジットカード(リボ払い)で買えば良い」
「欲しい車があるなら、カーローンを組んで分割払いで買えば良い」
「家を買うお金がないなら、住宅ローンを組めば良い」
「投資するお金が足りないなら、お金を借りて投資(信用取引)すれば良い」
このレベルの人たちは、ブランドバッグや車、家、投資商品などの価値あるものを持っていても、その裏には必ず借金がついているイメージです。
世の中には、「良い借金」と「悪い借金」があります。
銀行から5,000万円借り、中古アパートを5,000万円で買う。(アパートは相続絡みの急ぎの売り案件で、本当は6,500万円の価値あり。)
この場合、借金が5,000万円あったとしても、資産6,500万円の家を買えたことになるので、以下のように純資産が増える。
資産6,500万円 - 負債5,000万円 = 純資産1,500万円純資産が増える借金は、良い借金の典型。
一方で悪い借金は、純資産を毀損(きそん)します。
資産価値のないガラクタを買い、借金だけが残るパターンです。
資本主義社会において、借金ができるというのは「信用力」の表れです。
- 最初は消費者金融で借りられたのに、借りられなくなる。
- カード限度額に達し、これ以上カードが切れなくなる。
- 3,000万円の家が買いたいのに、ローンが1,500万円までしか組めなくなる。
悪い借金を重ねると、すぐに上記のような状態に陥ります。
お金を借りられるだけの信用力がある一方、信用力は減るばかりというワケです。
つまり、純資産が減るような「悪い借金」しかできない人が、レベル1の人たちです。
「価値あるもの」と「ガラクタ」を見極める目を鍛えない限り、レベルアップはできません。
レベル2:お金を貯めてから使う人

レベル2の人は、定期的にお金を貯めています。
月1万円や3万円というレベルからでも、貯蓄の習慣があるワケです。
このレベルの人たちの貯蓄には、以下のような傾向があります。
- 「投資」のためではなく「消費」のためにお金を貯める
- 行動原理の根本は「不安」
借金や投資がイヤな理由は「なんとなく怖いから」です。
このタイプの日本人は、結構多いのではないでしょうか。
「投資はなんとなく怖い!」「借金は悪いことでしょ?」など、かなり多くの日本人が、このレベルにとどまっているイメージがあります。
一見、非常に堅実に見えるこのスタイルですが、大きな落とし穴があります。
それが、「インフレ」です。
「通貨の価値は下落する」というのは、歴史が証明するところです。
デフレが続いていた日本ですら、最近では3%を超えるインフレ率になってきました。
物価が毎年3%値上がりするということは、今年100円で買えるものが来年は103円になるということです。
突然ですが、皆さんは「100年定期のニュース」をご存じですか?
(参考:日本経済新聞「旧新潟貯蓄銀の100年定期、満期到来 でも…「すずめの涙」」)
旧新潟銀行が1915年(大正4年)に募集した100年定期預金が、2015年に満期を迎えました。
利率は年6%ということで、100年かけて預けた金額は300倍超に増えたそうです。
問題は、インフレにより現在の貨幣価値が当時の数千分の1以下になっているということです。
当時の初任給は、小学校教員で10円~20円程度でした。
仮に給料の1割にあたる1円~2円を定期預金した場合、100年かけて増やしたとしても300円~600円にしかなりません。
まとめると、レベル2の人たちには以下のような傾向があります。
- 100円を節約するために、貴重な時間を費やす。
- 貯金を崇拝する一方でインフレを過小評価し、投資リスクを過度に嫌がる。
レベルアップした方が、お金も時間もゆとりのある「もっと良い景色」が見られるようになるでしょう。
レベル3:賢い投資家

「賢い投資家」と聞くと良いイメージを持つかもしれませんが、この表現には少し皮肉が込められています。
正確には「賢い(と自分では思っている)投資家」というイメージです。
レベル3の投資家には、以下のような特徴があります。
- 投資するための余裕資金を持っている
- 投資の必要性を認識している
レベル3の投資家の中でも、「どのような投資スタイルを取っているか」という点で、同じレベル内でもタイプが分かれます。
このタイプにあたる人の決めゼリフは、「お金に関しては、プロ・専門家に任せている」です。
自分自身が、投資について計画したり、深く勉強したりなど、手間暇をかけて何かの手続きをすることは、ほとんどありません。
配偶者やFP、銀行員などの人に「任せて終わり」というタイプです。
「どうしてその投資がうまくいかないか」を延々と説明できる、頭でっかちのタイプです。
勉強熱心で、投資本の名著や有名経済紙、有名アナリストに精通しています。
そして、悪いことが起きると「そうなると思っていた」と言い、良いことが起きても「そうなると思っていた」と言います。
しかし実のところ、本人の投資額やポジションは大したことがありません。
この人たちの心の奥底にあるのは、不安と恐怖です。
それを克服するために権威にすがり、他人にダメ出しをしながら、自分は小さなポジションで慎重に(臆病に)やっていくタイプです。
すね者が慎重すぎる一方で、ギャンブラーには慎重さが足りません。
いつも投資の極意を探していて、あらゆる投資商品に飛びつくのが特徴です。
自分は賢いと思っているので、自分だけは市場を出し抜ける(=人より良い成績を出せる)と考えています。
まれに本当の大物も生まれますが、実際のところこのタイプの大半は「カモ」というワケです。
3つのタイプの投資家に共通しているのは、投資の必要性は認識しているという点です。
しかし、多くの場合以下のような結果になります。
- 何も考えず「人任せ」にしてしまい、失敗する。
- 慎重すぎて、手間や心労の割に大した利益が出せない。
- 慎重さが全く足りず、大きく儲けたり損したりを繰り返し、そのうち退場する。
レベル4:長期的投資家

レベル4の投資家というのが、お金に困らない人生を送りたい場合の「合格ライン」です。
このレベルの長期的投資家は、投資の余裕資金があり投資の必要性を認識している点では、レベル3の投資家と変わりません。
しかしレベル4の投資家は、「主体的」「現実的」「実践的」という点で、レベル3のすね者・ギャンブラーとは異なります。
- 投資の意思決定に関するプロセスに積極的に参加している。
- しっかりした目標を掲げ、長期的な計画も立てている。
- 税金面への気配り(=節税意識)を忘れない。
- 有能なアドバイザーの意見に、しっかりと耳を傾ける。「人任せにしない」という点で、レベル3の面倒くさがり屋とは違う。
- 自分の「取れるリスク・狙うべきリターン」を正しく認識できる。
- 長期的な目標を達成するための、正しい投資対象を選べる。
このレベルの人は、投資資金を捻出するために、家計をしっかりコントロールしているはずです。
収入をアップして、支出を減らすことに余念がない人も多いでしょう。
そして主な投資対象は、株、債券といった伝統的資産です。
「将来的に豊かになりたい(お金に不自由しない人生を送りたい)」「自分の仕事、会社や役所での地位も大切にしたい」と考えている人が目指すべきレベルは、ココになります。
リベ大でお伝えしている「お金にまつわる5つの力」の、「貯める力」「稼ぐ力」「増やす力」などに関するコンテンツを見てもらうと、このレベルには自然に到達するでしょう。
▼図解:お金にまつわる5つの力
このタイプの投資家を「やり手」の投資家と思ってしまう人もいるが、実際はまったく違う。
どのような意味なのか、残る2つのレベルを見てみましょう。
レベル5:洗練された投資家

レベル5の投資家は、レベル4の投資家よりも攻撃的で、リスクの大きい投資をするだけの余裕があります。
なぜこのような投資ができるのかというと、以下のような特徴があるからです。
- お金に関する良い習慣を身につけている
→ 1,000円の価値のものを3,000円で買わない。信用力を高めるために自己資金を貯める。など - しっかりした財政基盤を持っている
→ 総資産100万円の人より、総資産1億円の人の方がリスクを取りやすい。高収入の職業、十分な年金なども財政基盤の1つ。 - 投資のための知識・マインドを持ち合わせている
→ オプション取引や不動産実務、行動経済学・人間心理に詳しい。など
洗練された投資家は、自己資本の20%を限度に「投機的な取引」に取り組み、年利25%以上のリターンを狙います。
先進国の経済成長率(1%~7%程度)をはるかに上回るリターンを狙いたければ、それ相応のリスクを背負いこむ必要があります。
投資額を自己資本の20%程度に抑えておけば、仮にゼロになったとしてもやり直せます。
「金持ち父さん・貧乏父さん」は、日本において多くの不動産投資家を生み出しました。
彼らの中には、レベル5の「洗練された投資家」もたくさんいます。
洗練された投資家からすると、インデックス投資はショボく見えるかもしれません。
無借金のインデックスファンドの積み立てで狙える期待リターンは、せいぜい3%~7%程度です。
一方、不動産投資で良い借金をしてレバレッジを効かせれば、年利25%以上のリターンも狙えます。
「人が作った投資商品を買う」というのがレベル4までの投資家だとすると、自分の努力で「年利25%以上の取引を自ら生み出す」というのが、洗練された投資家です。
金持ち父さんが「株を買うような人になるな」と言っている理由は、以下のような点からです。
誰かが売っている「できあがった投資商品」を買うだけでは、小金持ちにはなれても、大金持ちになることは難しい。
自らのお金を使ってすべきことは、株や債券を買うことではなく、自らの手で利回りの高い投資案件を作り出すこと。
誰かが売っているものを買っているうちは、まだまだというワケです。