こんにちは、こぱんです!
2020年12月10日に、令和3年度の「税制改正大綱(ぜいせい かいせい たいこう)」が発表されました。
税制改正大綱は、日本国民のみなさんに対する税金の方向性(増税・減税)が分かる、とても重要な資料です。
増税地獄に叩き落とされるのか?
減税天国に招待されるのか?
国は、実際に税制改正大綱をたたき台として、来年3月頃に改正法案を国会で審議して、4月に新しい税制を始動させます。
ただ税金、しかも法律が関係あると聞くと、以下のように感じる人も多いでしょう。
「何だか面倒くさいな…。」
「正直、難しいから考えたくない…。」
「税金とか法律とか聞くだけでアタマ痛いよ…。」
覚えておいて欲しいことですが、この世には税金を気にしないお金持ちはいません。
GAFAMの一角を担うAmazonも、2018年の利益は約1兆800億円でしたが、税金は1ドルも納めていませんでした。
例えば、アマゾンは2018年に100億ドル(約1兆800億円)以上の収入を得た。しかし、税額控除を利用することにより、アメリカ証券取引委員会(SEC)が公表した納税申告書によると、同社は所得税をゼロにし、1億2900万ドル(約140億円)の還付金を得た。
だからこそ、みなさんも「税金のアンテナ」をピンと立てて、学び・行動することが大切なのです。
そこで今回は、税金に関する以下の2つのことを解説します。
- 令和3年度の税制改正大綱における6つの税制改正
- 理解しておくべき重要な2つの税金ニュース
今回の内容をしっかり理解しておけば、日本の上位3%の知識層への仲間入りを果たせるでしょう。
また、銀行員・保険の営業マンなどから「よくご存知ですね…(変な商品を勧められないな…)。」と思われること間違いありません。
ちなみに記事の中で、政府与党(自民・公明両党)に親しみを込めて「お館様」と表現させていただきますので、ご承知おきください
目次
解説動画:【2021年はどうなる】最新の「税制改正大綱」が公表されたので、皆に関係ありそうなところだけ解説します
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
令和3年度の税制改正大綱における6つの税制改正
令和3年度の税制改正大綱において、みなさんが注目すべき税制改正は以下の6つです。
- ①固定資産税
- ②エコカー減税
- ③住宅ローン減税
- ④産後ケア
- ⑤認可外保育所利用の助成
- ⑥教育資金贈与
改正①:固定資産税(減税)
固定資産税はショバ代、つまり「土地と建物を持っているだけで納めなければならない税金」です。
そのため支払わなければ、土地も建物も没収されてしまいます。
また、税額は資産の評価額に連動します。
- 銀座で10億円の土地を持っている人:納税額は多い
- 田舎で1,000万円の土地を持っている人:納税額は少ない
資産の評価額は3年に一度見直されますが、ここ数年の地価は上昇傾向にありました。
そのため、2021年の固定資産税額は「増税」になると予想されていたのです。
しかし今回の税制改正では、コロナウィルス感染症拡大による大変な状況ということを考慮して、去年と同じ税額と決定されました。
もちろん、地価が下落している地域は、連動して固定資産税額も減少します。
地価上昇で税金が増える人 → 去年の税額で据え置き
地価下落で税金が減る人 → 連動して税額が減る
持ち家の人、不動産投資をしている人には嬉しい改正と言えるため、お館様に感謝しましょう。
改正②:エコカー減税(減税)
エコカー減税は、「2021年4月末までの間、燃費の良い車の自動車重量税を安くする」という制度です。
自動車重量税は2つのタイミングで支払わなければならない税金です。
- 自動車の新規登録時
- 車検時
エコカー減税を利用すると、自動車重量税が25%以上も減税され、最大で100% = 免税となる場合もあります。
今回の税制改正では、エコカー減税の期限が2年間延長されることとなりました。
現在、新車販売の70%がエコカー減税の対象となっており、そのうち25%は免税対象となっています。
制度が延長されることで、新車の売れ行きにはかなり影響があるとも言えるでしょう。
また最近、世界中で「クリーンエネルギー」が注目されているため、環境問題に配慮した持続可能な社会を志向するという、お館様の姿勢はさすがです。
改正③:住宅ローン減税(減税)
住宅ローン減税は、「年末の住宅ローン残高の1%を10年間キャッシュバックする」という制度です。
仮に、住宅ローンを組んでマイホームを購入して、今年の年末に3,000万円のローンが残っているとしましょう。
この場合、3,000万円 × 1% = 30万円が、納付した税金から還付されるのです。
通常、住宅ローン減税の期間は10年間ですが、現在は特例が適用され13年間となっています。
そして、今回の税制改正によって2022年12月までに入居すれば特例の対象となり、実質延長されました。
ただし、契約期限については注意しておきましょうね。
- 注文住宅を購入する場合:2021年9月までに契約
- 分譲住宅を購入する場合:2021年11月までに契約
また、住宅ローン減税の対象となる床面積の条件も緩和されました。
従来は床面積が50㎡以上の物件が対象
今後は床面積が40㎡以上の物件も対象
独身を楽しみたい人、広めの1LDKに住みたいという人にとっては、嬉しいルール変更と言えるでしょう。
コロナで厳しい経済状況が続く中、減税期間を伸ばし、対象物件を拡大するというお館様の慈悲深さが表れています。
借入金利が0.5%と低金利なのに、1.0%も還付してあげる必要はないよな?
2022年からはルールを見直して増税になるからよろしく!
改正④:産後ケア(減税)
みなさんは、「ワンオペ育児」という言葉を知っていますか?
ワンオペとは、ワンオペレーションの略称で、「すべての作業を一人でこなす」という意味です。
- 家事
- 子育て
- 仕事
「ワンオペ育児」とは、ブラック企業の「ワンオペ労働」と、母親達の家事育児の状況が似ているということで、2015年頃から使われ始めた言葉です。
そして、ワンオペ育児が社会問題化したことをキッカケに、「産後ケア事業」が注目されるようになりました。
- 家族から育児などの支援を十分に受けられない人
- 産後に心身の不調・育児不安がある人
上記の人を対象に、自宅に助産師などが産後の健康管理・育児指導をしてくれるという訪問サービスです。
利用料は、1回あたり約500円~約7,500円とサービス内容によって幅があります。
今回の税制改正によって、地方自治体が提供する「産後ケア事業」には消費税が課税されないことになりました。
現在の消費税率(10%)は、今後も増税が見込まれていることから、今回の非課税化はタイミング的にも重要なことと言えます。
そもそも女性にとって、出産は身体に「事故」のようなダメージを与えます。
▼図解で簡単に分かる出産のダメージ
上記のような状況でワンオペ育児を強いられることは、精神的にもかなりツライです。
改正⑤:認可外保育所利用の助成(減税)
みなさんは、ベビーシッター・認可外保育所を利用すると、自治体から「助成金」を受け取れることを知っていますか?
具体例として、東京都の試算を見てみましょう。
- 年収:500万円
- 時期:2020年4月 ~ 12月
- 利用内容:ベビーシッター・認可外保育所
- 利用時間:毎月50時間
- 受け取れる助成金:総額約100万円
2016年のユーキャン流行語大賞にランクインした、「保育園落ちた日本死ね」でも話題となった待機児童問題。
そこで利用料が割安な認可保育園に落ちても、ベビーシッター・認可外保育所の利用で「助成金」が貰えれば、待機児童問題も解決に向かうと考えられました。
しかし、実際には上手くいっていません。
その理由は、ベビーシッター・認可外保育所の利用には高いお金が必要であり、そして何より、助成金を受け取ると税金がかかるためです。
仮に、年収500万円の人が助成金100万円を受け取ると、「雑所得」となり、確定申告で20万円も税金を支払う必要があります。
ナニソレ…ドウイウコト??
認可保育園に落ちた人の金銭負担を助けるための助成金なのに、受け取ったら税金がかかる謎の仕組みなのです。
ところが、今回の税制改正によって、地方自治体などが行っている助成については「非課税」となりました。
「お館様のことだから何かワナがあるかも!」と感じるかも知れませんが、認可外保育所利用の助成に関しては大丈夫です。
改正⑥:教育資金贈与(減税)
日本は、相続税・贈与税が本当に高い国として有名です。
相続税の高さは、「どんな資産家でも3代で財産がなくなる」と表現されることもあります。
また贈与税も同様に高く、仮に子供へ1,000万円を贈与すると、それだけで約230万円の税金がかかります。
つまり、親の口座から子供の口座にお金を移しただけで、約230万円が消えることを意味します。
しかし、人口減少・少子高齢化が進む日本において、「子や孫への資金援助ぐらい甘く見てあげても良い」という意見もあります。
そこで、教育資金と結婚・子育て資金の贈与のために設けられた特例が2つあります。
教育資金
- 期間:2021年3月末まで
- 対象:30歳未満の子や孫
- 目的:教育資金の援助
- 非課税額:最大1,500万円
結婚・子育て資金
- 期間:2021年3月末まで
- 対象:20歳以上50歳未満の子や孫
- 目的:結婚・子育て資金の援助
- 非課税額:最大1,000万円
そして今回の税制改正によって、上記の特例が2年間延長されることが決まりました。
「日本の将来を憂う、心優しきお館様に感謝を」と言いたいところですが、お館様も何か言いたいことがあるようです。
実は現行制度だと、祖父母が亡くなった場合、「贈与を受けてから3年経過後の使い切れていない残りのお金」に相続税がかかりませんでした。
ですが、今回の税制改正によって贈与を受けた孫が23歳未満や在学中である場合を除き、「使い切らずに残っているお金は相続税の課税対象となり、通常の税額に2割加算する」と決定しました。
本来、教育・結婚・子育てを目的にしたお金を贈与したわけですから、全て使うことが前提のはずです。
それを贈与を受けておきながら、使わずに口座に残しているということは基本的にオカシイことです。
もし、子や孫の資産形成のためにお金を移しているのであれば、それは「子供の資産形成援助」であり、目的が違います。
新しい制度ができる度に、制度の趣旨にはそぐわない活用法(悪用法?)を考える人が現れるのです。
さて、令和3年度の税制改正大綱で、みなさんが注目すべき6つの税制改正について解説してきました。
- ①固定資産税
→ 地価上昇に連動した増税はしない(2021年限定) - ②エコカー減税
→ 2年間の延長 - ③住宅ローン減税
→ 「10年→13年」の特例を2年間延長
→ 対象となる床面積を拡大「50㎡ → 40㎡」 - ④産後ケア
→ 利用した時に消費税が課税されない - ⑤認可外保育所利用の助成
→ 受け取った助成金に税金がかからない - ⑥教育資金贈与
→ 最大1,000~1,500万円まで贈与税が課税されない(2年間延長)
「税金弱者」から卒業するために、理解しておくべき話題だからね。
理解しておくべき重要な2つの税金ニュース
みなさんが理解しておくべき税金ニュースは、以下の2つです。
- ①児童手当
- ②高齢者の医療費負担
ニュース①:児童手当(増税)
2022年から世帯主の年収が1,200万円を超えている世帯は、児童手当が「全額カット」されます。
現在、一般的な子育て世帯では月1~1.5万円の児童手当が支給されています。
しかし、年収960万円以上の世帯では、一律月5,000円と減額されているのです。
高年収であっても、「全額カット」は可哀そうだから月5,000円は特別に支給するという考え方でした。
もちろん年収1,200万円以上の世帯でも例外なく支給されていましたが、今回の改正で「全額カット」されるわけです。
ただ児童手当は、子供が生まれてから中学校卒業までの合計で約200万円となる、子育て世帯の重要な財源です。
「子供一人あたり、児童手当の総額は200万円」は、重要なキーワードですから覚えておきましょう。
年収1,200万円以上を超えている世帯だとしても、「全額カット」は精神的にもツライものでしょう。
また今回の税制改正において、「世帯主の年収ではなく、世帯年収で1,200万円という線引きにすべき」という議論が話題になりました。
要するに「高所得の共働き世帯」も増税対象とするかが議論になっていたというわけです。
結論として「夫婦合算」は見送られましたが、今後も同じ話題が出てくるでしょう。
基礎控除がなくなる
住宅ローン控除が使えなくなる
児童手当がもらえなくなる
確かに、払うべきものは払わないといけませんが、合法的な防御策を講じなければ、文字通り「取られっぱなし」になるでしょう。
増税の話題ばかりで稼ぐモチベーションが無くなると、最終的にお金に困るのは他でもない、みなさん自身です。
リベ大で戦い方をしっかり学べば大丈夫ですから、一緒に学び・行動し続けていきましょう。
ニュース②:高齢者の医療費負担(増税)
2020年11月、「75歳以上で年収200万円以上を対象に、医療費の窓口負担を1割から2割への引き上げを検討する」と報じられました。
詳細については、既に動画で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
解説動画
→【老後がヤバい】「後期高齢者医療制度」の改悪と老後の医療費対策について解説(アニメ動画)
今回の改正は、高齢者にとっては増税ですが、現役世代にとっては助かる内容となっています。
みなさんが支払っている健康保険料の一部は、高齢者の医療制度を支えるために使われているのです。
今回の改正では、「まだまだ生ぬるい」という声もあり、社会保険制度を存続させるためには高齢者の自己負担を更に増やさなければなりません。
ただ、そうすると政治家は選挙に勝てなくなるため、「メスを入れるのが怖い」というのが本音です。
そういう意味で高齢者優遇は続いており、「高齢者の負担をもっと増やすべき」という声は今後も根強いでしょう。
高齢者の負担が増える医療制度の確立は、将来みなさん自身の負担が増えることを意味します。
「現役世代の負担が重すぎるから、高齢者も負担せよ!」という意見は、至極まっとうなものでしょう。
ですが、いつかブーメランのように自分に返ってくる意見だということも理解しておくべきです。
日本全体で人口が減り、若者が減り、高齢者が増えるということは、社会保障制度という観点では「勝者のいない世界」になる事を意味します。
そして、右肩下がりの社会制度を前提に生きるためには、とにもかくにも、個人として経済力を身につける他ありません。
公的保険が保険戦略の「軸」であることに変わりはありませんが、改悪が避けられないという事実を受け止めましょう。
まとめ:社会と自分の生活をよくするための行動をしよう
今回は税金に関して、みなさんが理解しておくべき2つのことを解説しました。
- 令和3年度の税制改正大綱における6つの税制改正
- 理解しておくべき重要な2つの税金ニュース
- ①固定資産税
→ 地価上昇に連動した増税はしない(2021年限定) - ②エコカー減税
→ 2年間の延長 - ③住宅ローン減税
→ 「10年→13年」の特例を2年間延長
→ 対象となる床面積を拡大「50㎡ → 40㎡」 - ④産後ケア
→ 利用した時に消費税が課税されない - ⑤認可外保育所利用の助成
→ 受け取った助成金に税金がかからない - ⑥教育資金贈与
→ 最大1,000~1,500万円まで贈与税が課税されない(2年間延長)
コロナウィルス感染症拡大によって、日本経済は依然厳しい状況が続いています。
基本的には「減税」の方向性ですが、お館様の「ただし…」という部分にはしっかり注意しておきましょう。
国もコロナ対策として様々な経済対策を行っていますが、「せっかくの経済効果を増税で相殺しては意味がない」ということでしょう。
その上で、みなさんが理解しておくべき、重要な2つの税金ニュースも解説しました。
- 児童手当
→ 年収1,200万円以上の人は全額カット - 高齢者の医療費負担
→ 年収200万円以上なら、1割から2割負担へ
つまり日本のトレンドとしては、上記2つは間違いなく「増税」の方向性であり、今後もずっと続く話題になるでしょう。
今回解説した6つの税制改正と、2つのニュースをしっかり理解しておけば、みなさんの金融リテラシーは相当高くなります。
お金に疎い家族・友人から見れば、異端扱いされてしまうかもしれませんが、だからこそ「少数派」のお金持ちになれると言えるでしょう。
また、税金について学びだすと、資産形成だけではなく、政治や選挙に対する行動にも影響が出ます。
みなさんも今回の記事を読んで、お館様の決定・方針に関して賛成・反対など様々な意見を持ったと思います。
その思いを1票という形に変えて、ぜひ自分の意思を示してください。
社会が良くなるための行動
自分の生活を良くするための行動
「言うべきことを言い、やるべきことをやる」ということを大切にしながら、上記2つの行動を一緒に取り組んでいきましょう。
今後もリベ大では、政府・経済に関するニュースをタイムリーに解説していきます。
以上、こぱんでした!
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