2022年6月13日の株式市場で、S&P500が3.9%安と急落しました。
これにより、2022年1月3日の過去最高値からの下落率が21.8%となり、「直近高値から20%以上の下落」を記録したため、弱気相場入りとなりました。
株価急落の背景には、物価高騰や、それに伴う景気後退懸念があります。
このような状況になると、以下のような気持ちを抱く人も多いでしょう。
「不景気が来るなら、株はいったん手仕舞いした方が良いのでは?」
「いやいや、ピンチはチャンス。絶好の買い増しタイミングでしょ?」
これに対するリベ大の答えは、「インデックス投資は、どんな時も、いつも通り淡々とやりましょう」です。
つまり、保有ファンドの売却はせず、積立額も変えずに、冷静にコツコツと続けることをおすすめします。
インデックス投資を成功させる肝は、航路を守り続けることです。
とはいえ、少しまとまったお金を持っている人は、以下のような悩みを抱えている場合もあるでしょう。
上記のように、ある程度まとまった現金ポジションがある人の中には、少しでも安い値段で優良インデックスファンドを仕込みたいという人もいるでしょう。
そこで今回の記事では、このような人たちに向けた投資プランを解説します。
弱気相場とは?
ナンピンとは?
S&P500ナンピン計画のポイント
繰り返しになりますが一番のおすすめは、これまで通り、コツコツ積み立てを続けることです。
弱気相場が来たからといって、全力での投資を推奨するワケではありません。
あくまでも、少しでも安い値段で購入したいという人に向けた「1つのプラン」に過ぎない点をご承知おきください。
目次
解説動画:【ご利用は計画的に】優良インデックスファンドの「ナンピン方法」について解説
このブログの内容は以下の動画でも解説しています!
弱気相場とは?
まずは、弱気相場の定義をおさらいしましょう。
弱気相場とは、直近1年間の高値から、株価が20%下落した状態を指します。
この定義を押さえた上で、過去の弱気相場に関する以下2つのデータについて解説します。
- どのくらいの期間続いたのか(弱気相場の期間)
- どれくらいまで下落するのか(最大ドローダウン)
データ①:弱気相場の期間
過去の弱気相場が、どのくらいの期間継続したのかについては、J.P.MorganのGuide to the Marketsのデータを紹介します。
以下で紹介するデータは、1950年代以降のS&P500の弱気相場の期間を表したものです。
データからは、弱気相場の最も短い期間・最も長い期間がどの程度続いたかが分かります。
→ 約1カ月(2020年:コロナショック)
→ 約2年半(2000年:ドットコムバブル)
かなりバラつきはあるものの、弱気相場の多くは2年もあれば終わる(底値を付ける)イメージです。
ちなみに、「株式市場のバリュエーションと、その後の弱気相場の長さに相関性は無い。」と言われます。
1900年以降に発生した30数回の弱気相場を以下の2つのグループに分類します。
- 弱気相場開始時に「株式市場が割高」だったグループ
- 弱気相場開始時に「株式市場が割安」だったグループ
そして、この2グループの弱気相場の平均期間に、統計的な差は見られませんでした。
(参考:THE WALL STREET JOURNAL.「次の弱気相場、どのくらい続くのか」)
要するに、「コロナバブルでS&P500は割高だったから、今度の弱気相場は長くなる」ということは、過去の統計上は成立しません。
データ②:最大ドローダウン
次は、弱気相場中に株価がどの程度まで下落するのかを解説します。
最大資産からどこまで落ちたかを示す下落率を、ドローダウンと呼びます。
その中でも、最大ドローダウンというのは、最大資産からの最も大きい下落率を指します。
1946年以降のS&P500の弱気相場における最大ドローダウンは、以下の通りです。
このグラフによると、一番マシな時で20%程度の下落率、一番厳しい時で50%前後の下落率となっています。
さらに日本から投資する場合、これに為替が加わる点も要注意です。
2022年6月には「1ドル=136円台」と24年ぶりの円安を記録しました。
(参考:NHKニュース「NY外為市場 1ドル=136円台後半 24年ぶりの円安ドル高水準更新」)
このように急激な円安が進んでいる場合は、株価の下落を円安が相殺する形になり、ダメージは負いにくい状態になります。
一方で、超円高になってしまうと、株価の下落と合わせて、かなりのダメージを負います。
上記グラフの最大ドローダウンを見ると、「まだ下落余地がある」と感じている人がいるのも納得できるでしょう。
なお、CFRA(アメリカのリサーチ会社)のチーフ投資ストラテジストは、株価が底を打ってから、それ以前の高値を回復するまでの期間について、以下の通り分析しています。
(参考:REUTERS「アングル:米株弱気相場入り、S&P500種が最高値から20%安」)
- 平均で2年
- 早ければ3カ月
- 遅ければ最長69カ月
上記のように、株価が回復するまでの期間はまちまちです。
ここまで解説してきた弱気相場の株価についてまとめると、以下の通りです。
- 数カ月から2年超という期間で下落
- 高値から20%~50%程度の下落
- 底値から高値回復には3カ月~69カ月必要(平均2年程度)
ナンピンとは?
まずはナンピンについての基本を押さえましょう。
ナンピンという言葉は、以下の意味を持つ投資用語です。
→ 株式や投資信託などが下落した時
→ 「買付コスト=平均取得価格」を引き下げることを目的
→ さらに買い付ける
「ナン(難)=損失」を「平均」することから、難平と書きます。
ナンピンの具体例について、以下の図を見ながら考えてみましょう。
上図のように、Amazon株を1株100$で購入したとします。
その後、Amazon株は70$まで下落しました。
この時点で、株式の平均取得価格は100$で、含み損は30$です。
この70$のところで、ナンピン買いを実施します。
1株70$で追加購入すると、平均取得価格は(100$ + 70$) ÷ 2 = 85$となります。
もともとの取得価格は100$だったので、損益がトントンになるには、株価が70$から100$になるまで、30$も値上がりする必要がありました。
しかし、ナンピンにより平均取得価格が85$に下がったため、株価が70$から85$まで、15$値上がりすれば損益がトントンになります。
上記がナンピン買いの具体例です。
ナンピン買いをすると、平均取得価格が下がり、損益分岐点(損益がトントンになるライン)が下がります。
人間誰しも含み損は嫌なので、できることなら早く含み損を解消したいと考える人が多いでしょう。
しかしここで注意してください。
相場の世界には、「ヘタなナンピン、素寒貧(スカンピン)」という格言があります。
これは、いい加減にナンピンすると、一文無しになってしまうという注意喚起の意味を持つ格言です。
ナンピンには、平均取得価格を引き下げられるメリットがあります。
一方で、株価のさらなる下落により、損失がさらに拡大する可能性もあるのです。
先ほどの例で、Amazon株が70$から50$まで下落した例を下図を見ながら考えてみましょう。
Amazon株を1株100$で購入し、70$になった時点でナンピンをしています。
ナンピンをしない状態であれば、100$から50$の下落で、50$の損失で済んでいました。
しかし、ナンピン買いをしたせいで、損失は70$に膨らんでいます。
計算方法:(現在の株価50$ - 平均取得価格85$) × 2株 = -70$
このように、何もしなければ50$で済んでいた損失が、70$まで拡大していることが分かりました。
ナンピンは、すればするほど投資ロットが大きくなり、損失も膨らむ傾向にあります。
統計を取ったわけではありませんが、投資経験の浅い人がするナンピンは、ほぼ失敗します。
優良ではない投資商品を感情的になって(ムキになって)買い増し続けるからです。
そうすると、いずれ大きな損切りを迫られ、投資の世界から退場することになります。
逆に言うと、以下の2つのポイントを押さえた買い増しには、勝算があります。
- 優良な商品を購入
- 計画的に購入
優良なものを計画的に購入することは想像以上に難しいものです。
このような理由から、多くの人には、これまで通りコツコツ積み立てることをおすすめしています。
一方で、優良な商品という意味では、S&P500は「ナンピン買いしても良い」と言える、本当に数少ない優良投資先の1つです。
補足ですが、インデックス投資をしていると、含み損になるフェーズはいくらでも訪れます。
含み損がある時の定期積立ては、「ナンピン買いみたいなもの」とも言えます。
しかし、今回のナンピンの話と定期積立をごちゃ混ぜにしないでください。
→ 幅広く分散された指数にまるっと投資する
→ リスク許容度の範囲内でリスク資産を持つだけ
インデックス投資は、上記の特徴がある投資ですが、結果的にナンピン買いになることがあります。
しかし、そもそも株価の下がったタイミングを狙って(平均取得価格を下げることを目的に)積み立てをしているワケではありません。
本来であれば、インデックス投資家はいつも通り積み立てを続ければ良いだけです。
今回解説しているナンピンは、良いタイミングを狙っているという点で、定期積立とは切り分けで考えてください。
繰り返しになりますが、ナンピン買いの勝率を上げるためには、優良な投資商品を計画的に買い増す必要があります。
以下のチャートの通り、S&P500インデックスファンドが、世界トップレベルの優良商品であることは歴史的に見ても異論が無いでしょう。
超長期にわたり年利約7~11%という成長を見せてきた指数であり、未来に対しても期待が持てることが分かります。
ここから先は、具体的な計画の立て方についてのヒントをお伝えします。
S&P500ナンピン計画のポイント
始めに、S&P500ナンピン計画のポイントを5つ紹介します。
- 小さく刻み過ぎない
- 同じ価格で買い増さない
- 最悪を想定する
- ナンピン状況を人に宣言しない
- 何を分割しているか自覚する
ポイント①:小さく刻み過ぎない
ナンピン計画のポイント1つ目は、小さく刻み過ぎないことです。
初心者は、指数が50pt下落するごとに買い増したり、1%下落するごとに買い増したりと、とにかく細かく刻みがちです。(補足:2022年6月27日時点のS&P500は3900.97pt)
細かく刻むことによる問題点は、以下の4つがあります。
相場に張り付く必要があり、買付処理も面倒。
- そのうち管理しきれなくなり、ナンピンルール自体がどうでもよくなる。
相場に張り付くうちに、メンタルが市場に左右されるようになる。
- 上がれば嬉しく、下がれば悲しくなる。
- 上記のような毎日を繰り返していたら、遅かれ早かれ情緒不安定になる。
防衛ラインを突破される頻度が多くなると、メンタルダメージがより大きい。
- 「また1%下落した、また1%下落した…。」という感情になる。
- 防衛ラインは突破されにくいラインがちょうど良い。
上記デメリットを被るわりに、平均取得価格の引き下げインパクトが弱い。
2022年7月現在、S&P500は直近高値から約20%下落している状態です。
ここからのS&P500のナンピン方法は、(直近高値の基準点から)5%分下落したら買い増しするイメージです。
例えば、今後大恐慌になり、直近高値からマイナス50%まで落ちる(現状からマイナス30%)可能性があると想定しましょう。
その場合、マイナス25%、マイナス30%、…マイナス50%というように、合計6回のナンピンタイミングが発生します。
ここで解説したのは、あくまでもイメージですので、リベ大として5%ごとのナンピンを推奨しているワケではありませんので、くれぐれもご注意ください。
参考までに、リベ大の両学長が行っている高配当個別株のナンピンについて紹介します。
両学長は、指数のナンピン買いはしていません(今後する予定もありません)が、高配当個別株のナンピン買いはしています。
高配当個別株をナンピンする基準は、買値から20%の下落で1回です。
指数に比べて条件が厳しいのは、個別株は指数より値動きが激しく、5%10%の下落は日常茶飯事だからです。
両学長は、この方法(優良高配当株のナンピン)でヤケドした経験は、今のところほとんどありません。
ポイント②:同じ価格で買い増さない
ナンピン計画のポイント2つ目は、同じ価格で買い増さないことです。
以下の図を参考にしながら具体的に考えてみましょう。
前提として、S&P500の平均取得単価を120ptとします。
その上で、現在の価格が100ptであり、以下のように動いていくことを考えます。
- ①一週間後に94ptに下落したところで買い増し(ナンピン)。
- ②10日後に102ptに上昇。
- ③1カ月後、再度94ptに下落。
この③のタイミング、2回目の94ptで購入するのが、同じ価格で買い増すナンピンです。
③の2回目の94ptでは買わない方が良いというのが、リベ大の意見です。
その理由は、価格分散が弱くなるからです。
ナンピン買いによる平均取得価格引き下げの効果が弱まるから、とも言えるでしょう。
「その価格のS&P500はすでに持っている」と考えたら分かりやすいでしょう。
金の延べ棒を使った例え話で考えてみましょう。
前提として、皆さんは現在「S&P500・120pt」と書かれた金の延べ棒を1本持っています。
次に、ナンピンにより「S&P500・94pt」と書かれたもう1本の金の延べ棒を購入します。
現在皆さんの手元には2つの延べ棒がある状態です。
この時、3本目の「S&P500・94pt」と書かれた延べ棒が欲しいかどうか?という話です。
分散は色々なものを持つからこそ防御力が高まります。
銘柄や金額など、とにかく分散することに意味があります。
S&P500は銘柄に対してすでに十分な分散が効いている状態のため、価格の分散が重要です。
今回紹介した例のように、何度も同じ価格が訪れる時は、「その価格のS&P500はすでに持っている。」と考えましょう。
- 資金を温存できる。
- メンタルを守れる。
- さらに下落した時にナンピンすることで、平均取得価格を引き下げられるようになる。
ポイント③:最悪を想定する
ナンピン計画のポイント3つ目は、最悪を想定することです。
考えられる最悪の例としては、以下のようなものがあるでしょう。
- 多額の損切りをするハメになる
- 投資額をまるまる失う
- 超長期間塩漬けになる
多額の損切りをするハメになる
全世界株指数やS&P500指数に基づくインデックス運用においては、そもそも損切りという考え方はそぐいません。
なぜなら、人類の経済成長を前提に保有し続けることで、リターンを得る戦略だからです。
一方で、個別株はこの限りではなく、撤退も視野に入れたナンピンが必要でしょう。
投資額をまるまる失う
インデックス運用においては、投資額をまるまる失うリスクも考えなくて良いでしょう。
優良なインデックスファンドは、チューリップバブルの時のチューリップや、超高利回りをうたう詐欺の金融商品などとは異なります。
超長期間塩漬けになる
解説したように、上記2つの最悪の例は、インデックス運用においては実現しない可能性が高いでしょう。
一方で、超長期間の塩漬けについては、インデックス運用においても起こりえます。
マイナス30%~50%という巨額の含み損を5年10年抱えるイメージです。
とはいえ、そもそもインデックス運用のお金は、15年20年のような長期投資を前提としている資金のはずです。
どうせ使わないという意味では、運用期間中「含み益」か「含み損」かは、気分が良いか悪いかくらいの違いしかありません。
急にお金が必要になった場合は別ですが、そもそもそのようなお金は現金として保有しておくべきです。
最悪を想定しておくと、以下のように考えられます。
→ 「オッケー!ラッキー!」
→ 「大丈夫、想定内。」
減って困るのは、あくまでも今日明日に使うお金です。
15年後に使うお金は、15年後に増えていれば良いワケです。
ナンピンした後、短期間のうちに株価が急反発して含み損が無くなったことで、「私は優れた投資家だ」と気持ちよくなってしまう人はいませんか?
このように一喜一憂するような戦略は、立てない方が無難でしょう。
ポイント④:ナンピン状況を人に宣言しない
ナンピン計画のポイント4つ目は、ナンピン状況を人に宣言しないことです。
投資を始めて間もない初心者の人は、以下のようにしがちです。
SNSなどで「長期投資を始めます!」と宣言。
→ 値下がりが続くと、「含み損が多いと他人に馬鹿にされる(尊敬されない)」と感じ、何かしらアクションを起こすべきという強迫観念にかられる。
→ 「安い!バーゲンだ!」などと頻繁につぶやき、「ナンピン・買い増し」を宣言。
このような行為は、メリットがほとんど無いのにデメリットだけを背負っている状態と考えられます。
仮にナンピンが上手くいって、SNSで尊敬を集めたとしても、何となく気分が良い程度のメリットしかありません。
自分をブランディングして何かを売りたい人にはメリットかもしれませんが、そもそも経歴・実績はいくらでも盛れます。
一方で、ナンピン後にさらに価格が下がった場合は、以下のように経済的な損害につながります。
- 自分に対するプレッシャーになる。
- プレッシャーがメンタルを狂わせる。
- 結果的に、ヘタな売買や損切りが続き資産を失う。
そんな長い間「ナンピンしています」と宣言し続けても、SNSでは誰も見向きもしなくなるでしょう。
相場が悪くなればPVが減るのは株ブログや株アカウントの運命です。
そして、「あいつは、オワコンの投資先をムキになって買い続けてるだけ」という心ないツッコミだけが残ります。
もしナンピンが報われて「さぁ、私に賞賛を!」と思う頃には、フォローしている人はすっかり入れ替わっているでしょう。
いずれにしても、投資はメンタルとの戦いです。
良い計画を作って、その計画を実行すれば、上手くいく可能性は高いと言えるでしょう。
しかし、良いナンピン計画を作ったとしても、それを宣言することが足かせになってしまうと台無しです。
メリット・デメリットをよく考えた上で、デメリットの方が大きかったり、割に合わなかったりする場合は、やらない方が良いはずです。
ポイント⑤:何を分割しているか自覚する
ナンピン計画のポイント5つ目は、何を分割しているか自覚することです。
皆さんは、ナンピンは何を分割しているか分かりますか?
多くの人はあひるくんのように、 ナンピンにより投資資金を分割して、平均取得価格を下げようとしてると考えるでしょう。
しかし、もう一歩踏み込んでみると、ナンピンが分割しているものは「恐怖」と「欲望」と言えます。
今、皆さんが手元にある資金を一括でS&P500に投資しない理由は、以下のような恐怖からでしょう。
「あと10%下がるかもしれない。」
「いや、20%下がるかもしれない。」
「いやいや、さらに下がって、二度と戻らないかもしれない。」
上記のような恐怖から来る感情が邪魔をして、お金を一括で投資に回せないワケです。
一方で、この恐怖は機会損失につながります。
リスクを取らない投資家はお金を増やせません。
今から相場が急反発するとしたら、「今、手元にある資金を一括でS&P500に投資したい!」と考える人が増えるでしょう。
このように考えるの理由は、以下のような欲望の感情があるからです。
上記のような欲望により、手持ちの資金を一括投資したくなる人がいます。
一方で、この欲望は巨額の損失につながります。
欲望をコントロールできない投資家は、丸裸にされて市場から追い出されるでしょう。
今回解説したように、恐怖と欲望を分割するために、ナンピン計画をするというワケです。
この前提を理解していると、以下のように、相場がどちらに転んでも「まぁ良いか」と思えます。
→ まだ資金は温存されている
→ 少しは良い値段で買えた
一方で、ナンピンが恐怖と欲望を分割するという前提を理解していない場合、以下のように考えてしまいます。
→ 恐怖を上手に分割できていない
→ 欲望を上手に分割できていない
上記のようになるケースは、そもそものナンピンの計画がおかしいと言えるでしょう。
どちらに転んでも後悔せずに「まぁ大丈夫」と思えるのが良い計画で、どちらに転んでも後悔するのが悪い計画です。
最後に補足です。
S&P500のナンピン計画を考えるにあたり、ドルベースで考えるか、円ベースで考えるかという問題があります。
S&P500自体が20%下落しているのに、為替が20%円安になっている場合、円ベースで考えるとプラマイゼロの成績になります。
しかし、リベ大ではあくまでドルベースで考えることをおすすめします。
その理由は、ドル円の為替レートとS&P500の本質的な価値の間には、あまり関係が無いからです。
もし、為替込みで考えてしまうと、以下のような不思議な状態になります。
- S&P500が超バブルだとしても、円高だから購入する。
- S&P500が超割安なのに、円安だから購入しない。
日本人は円を使って生活するため、外国通貨建ての資産も、最後は円に替えて使用します。
その意味では、為替は無視して良いものではありません。
しかし、長期投資を前提とするならば、より影響が大きく、重視すべきは本質的な価値です。
価値ある投資先は、10年20年で価格が2倍3倍に成長することが期待できます。
一方、為替はある程度のレンジがあるので、 ± 50%程度の値動きが予想されます。
短期的には為替で嫌な思いをする可能性はありますが、長期的には本質的な価値を重視する方が報われやすいでしょう。
ドル円の為替レートが、「長期的に円安方向だろう」という前提も含めると、S&P500自体が割安だと思うなら、買い向かっても良いでしょう。
まとめ:ナンピンをするなら相場がどう転んでも安心できるプランを立てよう!
今回の記事では、以下の3点について解説しました。
弱気相場とは?
ナンピンとは?
S&P500ナンピン計画のポイント
弱気相場での株価の特徴は以下の通りです。
- 数カ月から2年超という期間で下落
- 高値から20%~50%程度の下落
- 底値から高値回復には3カ月~69カ月必要(平均2年程度)
過去を振り返ると、弱気相場は絶好の買い場でした。
それだけに、アクティブ運用では、攻めるか守るか非常に難しいタイミングとも言えます。
ナンピンとは?
ナンピンという言葉は、以下の意味を持つ投資用語です。
→ 株式や投資信託などが下落した時
→ 買付コスト=平均取得価格を引き下げることを目的
→ さらに買い付ける
「ヘタなナンピン素寒貧」という相場格言があるように、ヘタなナンピンは、みるみるうちに損失が拡大していきます。
初心者の人は、今回解説したナンピン計画のポイントを押さえるなど、くれぐれも注意して取り組みましょう。
S&P500をナンピンするポイントは、以下の通りです。
小さく刻み過ぎない(例えば1%ごとのナンピン)
- 細かく刻むのは面倒くさい。
- 平均取得価格引き下げ効果が薄まる。
- 防衛ラインを突破され続けると、メンタル的にも良くない。
同じ価格で買い増さない
- 「その価格のS&P500は持っている」と考える。
- より丁寧な価格分散ができる。
最悪を想定する
- インデックスの場合、「損切り」や「ゼロになる」リスクはほとんど無い。
- 過去のデータでは、10年15年のような超長期の塩漬けが最悪シナリオと言える。
ナンピン状況を人に宣言しない
- メリットとデメリットが見合わない。
何を分割しているか自覚する
- ナンピンが分割しているのは「恐怖」と「欲望」。
- どう転んでも「恐怖」と「欲望」を支配できるのが良いプラン。
上記のような点を押さえてプランを立てれば、上手くいく確率が高まるはずです。
しかし、「そんなプランは立てられない!」という人もいるでしょう。
その場合は、先人たちの教えを守り、いつも通りインデックス投資を淡々と続けることをおすすめします。
今回解説したような、タイミングを見計らったナンピンをせずとも、インデックス運用は上手くいきます。
むしろ、そのようにしなくて済むのがインデックス運用の強みです。
波乱の相場が続きそうですが、この波を乗りこなしてこそ、宝島にたどり着きます。
荒れ狂う海に対して「バカヤロー!」と叫ぶヒマがあったら、上手に帆をコントロールして航路を守り続けましょう。
実際の波も、相場の波(人の感情の波)も、いつかはおさまります。
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