こんにちは、こぱんです!
2020年9月18日、戦後2番目の規模である超・巨額詐欺事件を起こした「14名の幹部達」が逮捕されました。
事件を起こした会社の名前は、ジャパンライフ株式会社。
- 被害者数…高齢者を中心にのべ10,000人
- 被害総額…約2,100億円
→(単純平均)一人あたり2,100万円の被害
この被害額は、以下のような「時価総額が約2,000億円の企業の株価」が吹き飛ぶほどの金額です。
- ミクシィ
- ビックカメラ
- 出前館
- KADOKAWA
- テレビ朝日ホールディングス
実際に8,500万円もの被害にあった秋田県在住・70代の男性は、新聞社の取材に対して以下のように答えています。
「本当に悔しい」
「一生かかって蓄えてきた財産を失い途方に暮れている。何としても返済してもらいたい。徹底して調べ、犯罪の事実を明らかにしてほしい」
リベ大では「お金にまつわる5つの力」の大切さを、繰り返し伝え続けています。
そのうちの1つ、「守る力」がないと言葉通り「一瞬」で人生が狂う可能性があるのです。
▼図解で簡単にわかる「守る力」
みなさんも「自分は大丈夫だ!」と決して思い込まずに、しっかりと「守る力」を身につけてください。
そこで今回はジャパンライフ巨額詐欺事件に関して、以下の3つのことを解説します。
- ジャパンライフ巨額詐欺事件の手口とは?
- 事件の登場人物は全員「ヤバい」悪人ばかり
- 被害者にお金は戻るのか?事件の「その後」について
また、誰もが気になる「出資額の何%が返ってくるのか?」に関しても、過去の事件を参考に、具体的な数字を紹介します。
目次
解説動画: 「元本保証 利回り6%」投資案件の末路【ジャパンライフ巨額詐欺事件】
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
ジャパンライフ巨額詐欺事件の手口とは?
まず、30円で仕入れた磁石を1,500個使った、原価6万円のベルトを作成します。
次に、以下のような宣伝トークで、作成したベルトを買ってくれるお客さんを集めます。
『このベルトにはレアメタル(希少金属)が使われており、使うと磁気の力で腰痛が治ります。ですが、このベルトをただ買うだけではもったいないのです。なぜならこのベルトを「お金を払って借りたい」という人が多くいるからです!
そこで、みなさんは1本600万円のベルトを購入したら、私どもにお預けください。私達が他のユーザにベルトを貸して賃料を受け取ります。それによってオーナーの皆さんには年利6%の配当金をお支払いできます!
安心してください。弊社は絶対につぶれませんし、元本は保証致します!』
- 顧客にモノを購入してもらい、オーナーとなってもらう
- 販売会社は顧客が購入したものを預かり、他人へ貸与する
- 貸与の収益を、顧客に配当金として分配する
上記の仕組みは「預託(よたく)商法」と呼ばれ、ジャパンライフではレンタルオーナー制度と呼ばれていました。
ちなみに、ジャパンライフが扱っていた商品は、例として挙げた磁気ベルトをはじめとした健康・医療機器でした。
さて、先程のセールストークを使って1,000人に営業をかけると、1人ぐらいは購入する人が現れます。
ですが実際、磁気ベルトには治療効果もなく、借り手も賃料も多くありませんでした。
東京商工リサーチによると、消費者庁が行ったジャパンライフの調査結果は以下の通りでした。
- 2015年9月末時点で預託を受けていた商品:22,441個
- 実際にユーザーへ賃貸していた商品:2,749個
では、全体の1割しか賃料を受け取っていないにも関わらず、どうやってオーナーへ配当金を支払っていたのか?
その秘密は、下記のお金を活用していたのです。
- オーナーが購入したベルトの売上:600万円
- 新たな人が購入したベルトの売上:600万円
オーナーの人達は年利6%に相当する配当金を受け取れるため、誰もが安心するというわけです。
ただ、その配当金の原資は自分がベルトを購入したお金ということも知らずに…。
だからジャパンライフは多額の負債を抱えて破産したんだ。
ちなみに、「新規の出資金で自転車操業的に配当金を払う詐欺」をポンジ・スキームと言います。
リベ大のマンガ動画でもポンジ・スキームを解説しているので、参考にしてみてください。
解説動画
→あなたも必ず騙される!実録・世界最恐の投資詐欺! 知っておけば回避できる・恐怖の”ポンジ・スキーム”の見抜き方【マンガ動画】
余談ですが、ポンジ・スキームを考えたポンジさんは、逮捕後以下のような人生を歩みました。
- 詐欺罪で捕まり刑務所に収容された後、出所後も何度も詐欺を働きアメリカ市民権を剥奪される
- イタリアからブラジルへと渡る
- その後、心臓発作・脳障害・視力障害などに苦しみ、晩年はほとんど失明同然
- 1949年に貧しいまま慈善病院で没した
リベ大両学長も、悪いことでお金を集めた人は、最終的にお金を無くすなど、長い目で見るとあまり良い人生を送っていないことが多いと話していました。
関連動画
事件の登場人物は全員「ヤバい」悪人ばかり
まず、ジャパンライフを巡る経緯を時系列でまとめました。
- 1975年:ジャパンライフ設立
- 2003年:預託商法を開始
- 2016~2017年:会社が危機的な状態でも出資者を集め続ける
- ※消費者庁が4度の行政処分を下す
- 2018年3月:破産手続きの開始
- 2020年9月:元会長ら、旧経営陣14人を詐欺容疑で逮捕←NEW!
まず、元会長の山口隆祥(たかよし)容疑者(78歳)です。
もともとマルチ商法でボロ儲けした人で、過去には法人税法違反で告発された経験を持つ、今回の巨額詐欺事件のトップです。
2007年には、娘である山口ひろみ容疑者に社長の座を譲りましたが、今回の事件に関して以下のような行動を起こしていました。
→今回逮捕された原因の「詐欺容疑」にあたる
→自分達だけ資産隠しをしようとしていた疑い
→福島県で営業店舗を増やして活動
- 会社が危機的な状況と知りながら勧誘を継続
- 事実上の経営破綻状態だった2017年にボーナスを受け取る
- 億を越える高級マンションを購入
また、会社が破産すると、最終的に会社に残った資産から負債を引いて残ったお金を、債権者などに分配することになります。
この分配手続きに対して、一枚噛んで手数料を狙う人物まで出現しているそうです。
さらに、ジャパンライフ元社員の中には、顧客名簿などを悪用して営業をしている人までいるとのこと。
しかし、そんなジャパンライフの商品も、事実として売れていたわけです。
『なぜ多くの人が購入したのか?』
その理由の1つが「著名人に高額な報酬を支払い、広告塔として利用した」ことです。
- 元経済企画庁・長官秘書官:9,000万円
- 元消費者庁・課長補佐:360万円
- 元朝日新聞社・政治部長:3,000万円
さらに、中央省庁や新聞社の6人のOBを顧問に就任させ、6人に総額1億6,000万円を支払っていました。
上記の人達を通じて、営業向けのパーティに政治家を呼んでいたわけです。
被害者の弁護団達は、著名人の顧問に対して「顧問料を返還せよ!」と要請していますが、応じた元顧問はいません。
連絡会によると、ジャパンライフの顧問には、元官僚らが名を連ね、総額1億6千万円を超える顧問料が支払われていたという。石戸谷弁護士は「詐欺商法の信用性を高める役割を果たした。顧問料は全額破産管財人に返還して被害者に使われるべきだ」と訴えた。
産業経済新聞「ジャパンライフ被害弁護団「捜査機関の努力に敬意」」より
顧問の中には「どんな会社か知らなかった」という言い訳をしている人もいるそうです。
兎にも角にも、ジャパンライフの事件に登場する人物は全員ヤバい悪人ばかりです。
リベ大でも何度か登場している、「闇金ウシジマ君の世界」が現実に存在していると言えるでしょう。
実際の世の中というのは、みなさんが思いもしないような「悪意」が確実に存在しています。
悲しいことではありますが、事実として認識しておきましょう。
被害者にお金は戻るのか?事件の「その後」について
では、ジャパンライフ詐欺事件の「その後」に関して、以下の2つを解説します。
- ①被害者にお金はほとんど戻らない
- ②預託商法は法改正される
事件のその後①:被害者にお金はほとんど戻らない
会社に資産が残っていれば分配も可能ですが、経営破綻する会社は「お金がないから破綻する」ため、返せるお金なんてありません。
そもそも詐欺の目的は「私腹を肥やし豪遊するため」なので、返せるお金が残っていると考えるのは甘すぎます。
和牛預託商法で、過去最大の4,200億円もの被害額を出した安愚楽(あぐら)牧場事件。
この事件では最終的に「出資額の約5%」が債権者に分配されました。
つまり、「5,000万円を出資した被害者には250万円しか戻ってこなかった」ということです。
残酷な現実ですが、詐欺に巻き込まれたらハッピーエンドはありえません。
事件のその後②:預託商法は法改正される
みなさんが今回の事件を通して感じたように、預託商法は致命的な欠陥を抱えたビジネスモデルです。
消費者は購入したモノの存在を確認できない
消費者は購入したモノの運用を把握できない
その結果、配当金どころか元本すらも手元に戻ってこないという事態が頻発しています。
実際、日本における被害総額トップ3の詐欺事件は、全て預託商法の仕組みを利用しています。
- 安愚楽(あぐら)牧場事件
- 被害者:約73,000人
- 被害総額:約4,200億円
- ジャパンライフ事件
- 被害者:約10,000人
- 被害総額:約2,100億円
- 豊田商事事件
- 被害者:約30,000人
- 被害総額:約2,000億円
その結果、販売預託商法を原則禁止とする預託法の改正が行われる予定です。
「法整備が被害を後追いしている」との批判もあり、消費者庁は21年の通常国会に預託商法の原則禁止を盛り込んだ預託法の改正案を出す方針を決めている。
日本経済新聞「繰り返される「預託商法」被害、原則禁止の法改正へ」
法律が変わるのは、いつの時代も「被害者が生まれた後」ということを理解しましょう。
リベ大は、みなさんが法改正のきっかけになるような事件の被害者にならないためにも、「守る力」に関する情報発信を続けていきます。
まとめ:常に警戒心を失わないようにする
今回は史上2番目の規模となる、巨額詐欺事件、ジャパンライフ詐欺事件について解説しました。
- 被害者数…高齢者を中心にのべ10,000人
- 被害総額…約2,100億円
- 一人あたり被害額:約2,100万円(単純平均)
- 原価の100倍以上もするゴミ商品を顧客に販売
- 販売会社が購入したものを預かり、他人へ貸与する
- 貸与の収益を、顧客に配当金として分配する
扱っていた商品は健康・医療機器でしたが、もちろん治療効果はありません。
その上で、聞こえの良い以下のようなセールストークで顧客に営業していました。
ですが実態は、新規の出資金を分配金に回すだけの自転車操業で、伝統的な詐欺である「ポンジ・スキーム」です。
「元本保証がセットになった高利回り商品」を信じない
「有名人のお墨付き」を信じない
みなさんが想像している以上に、あの手この手で「悪意」に満ちた新しい詐欺はどんどん出てきます。
「今回ばかりは過去の詐欺商品とは違ってホンモノだ!」という考えに取り憑かれてはいけません。
「元本保証の高利回り商品は100%詐欺」ということを、しっかり心に刻み込んでください。
今回、残念なことに甚大な被害にあってしまった高齢者の方々が多くいます。
しかし、以下のように分散投資を意識しておけば、人生が台無しになるほどのダメージを受けることはありませんでした。
今ある全資産を使って全力で投資する
全資産の10%だけ投資する
分散投資しておけば、万が一詐欺に遭ってしまっても、全力でなければリカバリーできる可能性もあります。
人間というのは欲がピークに達した時、警戒心はもろくも崩壊していきます。
「この投資商品に賭ければ一生安泰」と楽になりたい気持ちも分かりますが、欲に惑わされず、常に警戒心を失わないようにしましょう。
- 学長
- 他のインフルエンサー
- 米国株
- 格付けAの債券
リベ大でも繰り返し伝えていますが、自分以上に「自分の資産を守ること」に真剣になれる人はいません。
学長でも、リベ大でも、他のインフルエンサーでも鵜呑みにすることなく、警戒心を失ってはいけないのです。
詐欺というものは、みなさんが一生懸命稼いだ大切なお金を、一瞬で失う破壊力を持っていることを忘れないでください。
以上、こぱんでした!
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