投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、投資の世界の生きるレジェンドです。
彼は、自分が経営する会社の株主に向けて、年に1回手紙を出します。
あまりに内容が面白いので、過去の分をひとまとめにした書籍が発売されています。
2023年の手紙の冒頭には、次のようなことが書いてありました。
※バークシャー・ハサウェイ(バフェット氏が経営する会社)
普通の人は、老後のために貯蓄をします。
若い時に貯蓄して、老後を迎えたらその貯蓄を生活のために取り崩し(=家計は赤字に)、亡くなる時にはささやかな財産だけが残ります。
しかしバークシャーの投資家たちは、若い時に貯蓄して、老後を迎えても貯蓄をし続け(=家計は黒字のまま)、人生において「常に貯蓄し続けるタイプだ」と言っているワケです。
そこで今回の記事では、以下の2点について解説します。
3種類のお金持ち
一生貯蓄し続ける人が考えていること3選
記事を読んでもらうと、なぜ世の中に「死ぬまで貯蓄し続ける人たち」がいるのか分かるはずです。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:一生貯蓄を続ける人 何のため?
目次
解説動画:【投資の神は肯定派】「一生貯金し続ける人」が考えていること3選
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
3種類のお金持ち
本題に入る前に、前提を整理しておきましょう。
世の中には、ざっくり「3種類のお金持ち」がいます。
① 一般層
資産:普通
収入:普通
→ 年収は数百万円、貯金は数十万円~数百万円という人。
② 資産リッチ
資産:多い
収入:普通
→ 年収は数百万円~1千万円台で、資産規模が最低でも億を超えるような人。時間をかけてお金を増やした公務員共働き家庭、(一時期)大成功した自営業者、一般企業の中間管理職など。
③ インカムリッチ
資産:普通
収入:多い
→ 年収は約2千万円~で、金融資産は数百万円~数千万円くらいの人。医者、弁護士、会計士、外資系金融機関・コンサルタント会社勤務、経営幹部の人など。
④ ガチ富裕層
資産:多い
収入:多い
→ 収入は数千万円台で、資産は最低でも数億円規模という人。大きな収入が一時的ではなく長期的に継続する”本当の”お金持ち。事業オーナーや地主など。
普通の人は、お金持ちを上記のように区分しないので、「②資産リッチ」「③インカムリッチ」「④ガチ富裕層」をまとめて「お金持ち」と呼びます。
つまり、人がお金持ちに関する話をしている時は、上記3種類のいずれかのお金持ちをイメージしているワケです。
Aさんは「資産リッチ」をイメージする一方、Bさんは「ガチ富裕層」をイメージしていることもあるでしょう。
そして今回のテーマ「一生貯蓄し続ける人」は、往々にして「資産リッチ」の人たちです。
インカムリッチの人たちは「使ってナンボ」と考えるため、貯め続けるようなダサイことは絶対にしません。
そしてガチ富裕層の人たちは、そもそも「貯める」ことにわざわざ意識を向けませんが、「気がついたら資産が増えていた」ということは多々あります。
1983年からの40年で、リターンは脅威の約5万%になっています。
過去十数年で見ても、4倍以上になっていることが分かります。
バークシャーに長期投資している人は、とっくに「お金持ち」になっているはずなので、お金を贅沢に使っても何の問題もないはずです。
お金が足りている状態であれば、新たに得られた収入は全て使っても困りません。
「インカムリッチ」と「ガチ富裕層」は、以下のように多くの人がイメージするお金持ちの暮らしをしています。
- 一等地の高級住宅に住む
- 高級車に乗る
- 高級な洋服・時計を身に着ける
もちろん全員ではありませんが、多くの「インカムリッチ」と「ガチ富裕層」は、いかにも成功者という暮らしをしています。
一方「資産リッチ」は、お金持ちにもかかわらず、お金持ちらしい暮らしをしていません。
一生貯蓄し続ける人が考えていること3選
結論からお伝えすると、「一生貯蓄し続ける人」が考えていることは以下の3つです。
- 経済的安定
- 道徳
- 社会
考えていること①:経済的安定
「一生貯蓄し続ける人」が最も重視していることは、経済的安定です。
「良い暮らしがしたいと思っているのなら、金は永遠に貯まらない」
「経済的に自立したいと思っているのなら、金は貯まるだろう」
そもそも資産リッチになるような人たちは、「良い暮らしがしたい!」という強烈な願望を持っているワケではありません。
ここで言う良い暮らしというのは、「人よりもお金を使う生活」です。
- 人より、ちょっと良い家に住む
- 人より、ちょっと良い服を着る
- 人より、ちょっと良い車に乗る
- 人より、ちょっと良いものを食べる
- 人より、ちょっと良い教育を受ける(受けさせる)
上記のような生活をしている人を見ると、「あぁ、あの人は良い暮らしをしてるな~」と思うはずです。
しかし、一生貯蓄し続ける人が考える良い暮らしは、このような暮らしではありません。
不景気でリストラされても、10年20年、今と変わらない生活を続けられる。
病気やケガで働けなくなっても、自分と家族が何の心配もなく生活できる。
自分にもしものことがあっても、配偶者や子どもに十分な資産を残せる。
事件や災害に巻き込まれても、簡単に住居を変えて新生活をスタートさせられる。
収入ベースではなく、興味・関心ベースで仕事を探すことができる。
つまり彼らは、「お金を使い生活水準をグレードアップさせる」ということを、最優先に考えているワケではないのです。
ここでひとつ、「倹約」という言葉について重要なことをお伝えします。
倹約は目的(ゴール)そのものであり、必ずしもお金持ちになるための「手段」ではありません。
倹約というのは、以下のようなことを指します。
- 無駄を省く
- 価値を重視する
- モノを大切にする
- お金を大切にする
もし倹約がお金持ちになるための手段なのであれば、目的を達成したらやめるはずです。
しかし、無駄を省いたり、価値を重視したり、モノやお金を大切にしたりというのは、お金持ちになったからといって、やめるものではありません。
これまで私は世界各国に家を持ちたいとか、高級車を何台も所有したいとか、そういった類の“贅沢”をしたいと思ったことはありません。
朝食はいつもマクドナルドで$3.17(約330円)、それ以上は使いません。
携帯電話も$20(約2,200円)のいわゆる“ガラケー”でしたが、今年の2月に遂にiPhone11に機種変更しました。
ただの電話として使っていますが。
出典:VOGUE JAPAN「「贅沢はモノを所有することじゃない」─90歳の“投資の神様”ウォーレン・バフェットが説く真の豊かさ。」
1958年、バフェット氏はネブラスカ州オマハに3万1,500ドルで家を買いました。
(参考:BUSINESS INSIDER「思った以上? 世界で3番目の富豪、ウォーレン・バフェット氏の質素なお金の使い方」)
為替レートによっても前後しますが、およそ300万円〜400万円くらいです。
バフェット氏がこの家に長い間住み続けているのは、有名な話です。
倹約上手な人は、倹約生活に不満を抱くどころか満足しており、それによって手に入る「経済的安定」を愛しています。
貯蓄が増え続けるということは、経済的安定がますます強固になっているということです。
考えていること②:道徳
「豪邸がダメとか、高級車がダメとか、高級時計がダメとか、買ったこともないのに言わないでほしいなぁ。実際に買ってみてから“これはいらない”って言うならともかく、買う前に“これはただの贅沢、ただの浪費で価値がない”なんて、おかしいよ!」
彼らが経済的安定を最重視しているのは、先ほどお伝えした通りです。
お金を浪費すると単純にお金が減ってしまうため、経済的安定を脅かしかねないワケです。
今に満足している人は、あえて積極的にいろいろと試す必要がありません。
資産リッチの「負の側面」と言えるかもしれません。
平均的な収入からコツコツと資産を作ってきた人は、得てしてお金の使い方がヘタです。
- 家族サービスで、豪華な旅行に行く。
- 家族サービスで、贅沢なディナーに行く。
- 趣味の道具で、高級なものを買う。
資産リッチの人は、心のどこかで次のように考えているワケです。
「倹約は、成功の土台」
「贅沢は、敵」
「贅沢は、社会のマーケティングに踊らされた“愚か者”がすること」
「贅沢をすると、今の幸せが壊れるかもしれない」
「贅沢をすると、神様や運に見放されるかもしれない」
特に「貯める力」が備わってくると、お金持ちになってからも今までと同じ暮らしを続けがちになり、この罠に陥る人が多くなります。
結果的に、お金は貯まり続ける(=貯蓄し続ける)一方というワケです。
世の中には、以下の2種類の人がいます。
- お金から価値を引き出すのが上手な人
- お金から価値を引き出すのが下手な人
価値を引き出すのが上手な人というのは、すなわち「使う力」の高い人とも言えます。
ややもすると、一生貯蓄し続ける人は、お金から価値を引き出すのが下手な人になりがちです。
しかし、長い時間をかけて築き上げたライフスタイルは、そう簡単には変わらないようです。
考えていること③:社会
経済的安定を重視し、贅沢に不道徳感・罪悪感を覚える「一生貯蓄し続ける人」は、最後に「社会のためになることをしよう」と考えます。
バフェット氏は株主への手紙の中で、「バークシャーの個人投資家の多くは“一度貯蓄したら、一生貯蓄し続けるタイプ”」と言及した後に、次のようなことを言っています。
- このような人たちは、豊かな生活を送りつつ、最終的にその資金のほとんどを慈善団体に寄付する。
- そして、その資金は、多くの人々の生活を向上させるために使われる。
- お金の使い道は、人間の仮面を剥ぐようなもの。
- バークシャーの株主は、見栄を張ったり、自分の「王朝」を築こうとしたりしない。
- そんな株主のために働くことを、喜ばない人はいないでしょう。
株主はバークシャーへの投資を通じて資産を増やし、「経済的安定」を手にすることができます。
そして家族や友人と豊かに過ごし、自分が亡くなるタイミングで、資産を「社会」にバトンタッチするワケです。
バフェット氏は、このような人たちのためにバークシャーを成長させ続けます。
会社の株価が伸びれば伸びるほど、バフェット氏自身の財産も増えていきます。
実際バフェット氏は、自身が死んだ後、財産の大半を寄付することを表明しています。
子どもに大金を残すつもりはないらしく、周りの人に「お前は子どもを愛していないのか!」と非難されたこともあるそうです。
これほど美しい経済サイクルは、なかなか思いつきません。
人類最高レベルのお金持ち、バフェット氏がたどり着いた「お金の出口」が、きっとこのカタチなのでしょう。
2023年4月現在、リベ大YouTubeチャンネルには、230万人を超えるチャンネル登録者がいます。
そしてリベ大のオンラインコミュニティ「リベシティ」は、ちょっとした市町村レベルの人口になっています。
この仲間たちが、リベ大の情報発信などを通じて経済的自由を手にし、自分らしく楽しく暮らした上で、自分のお金を次の世代にうまくバトンタッチしてくれると想像してみましょう。
バフェット氏の言う通り、「このような人たちのために働くことを、喜ばない人はいない」はずです。
余談になりますが、聖書には、イエス・キリストが弟子たちに次のように言ったと記されています。
はっきり言っておく。
金持ちが天の国に入るのは難しい。
重ねて言うが、金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。
キリスト教の信者が最後に遺産の多くを「寄付」するのは、このような背景があるからだと言われています。
もしかしたら、日本人にはピンと来ない考え方かもしれません。
リベ大で学びマネーリテラシーを高めている人たちは、いずれ最後はそれなりの資産を築くことになるでしょう。
今回紹介したように、お金の先輩が何を考え、どのように行動しようとしているのかについて、アタマの片隅に入れておくことは非常に有用です。
生きている間に「使う力」を存分に発揮して人生を謳歌しつつ、遺産のうち必要な分を家族に残した上で、余った分は社会に還元する。
この方法も、1つの答えとして知っておいてください。
まとめ:自分がどんなお金持ちになりたいか考えてみよう!
今回の記事では、以下の2点について解説しました。
3種類のお金持ち
一生貯蓄し続ける人が考えていること3選
一口に「お金持ち」と言っても、世の中にはざっくり3種類のお金持ちがいます。
② 資産リッチ
資産:多い
収入:普通
③ インカムリッチ
資産:普通
収入:多い
④ ガチ富裕層
資産:多い
収入:多い