資産運用に関して、「いったい誰の話を信じれば良いか分からない…」と悩んだことはありませんか?
世の中には、大量の投資情報が出回っています。
- 〇〇を買え
- 〇〇は買うな
- これから暴落が起きるから注意しろ
- いやいや、これからは好景気が来るぞ
そこで今回の記事では、投資の情報源を「人」という切り口に分類して紹介します。
今回分類する4人のプレイヤーは、以下の通りです。
エコノミスト
ジャーナリスト
一般投資家
ちなみにリベ大両学長は、上記の中の一般投資家に分類されます。
これら4種類の「人」の特徴を知ることは、情報の取捨選択をする上で非常に重要です。
資産運用がうまくいっていない人は、もしかすると情報源に問題があるのかもしれません。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:誰を信じる?投資の話
目次
解説動画:【超キホン!】投資の話は誰を信じれば良いのか?「4人のプレイヤー」を紹介
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
4人のプレイヤー
プレイヤー①:経済学者
経済学を専門にしている人のことを、日本語では「経済学者」「エコノミスト」と呼びます。
そもそもエコノミストという言葉は、”経済学者”の英訳です。
よって、「経済学者とエコノミストは同じでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし日本では一般的に、この2人は以下のように区別されます。
経済学者
→ 大学教授など、大学に所属する経済学の専門家。学問の世界にどっぷり浸かっている。
エコノミスト
→ 民間の研究所などに所属する経済の専門家。シンクタンクや金融機関(銀行・証券会社・保険会社など)に勤務。
つまり経済学者は大学教員で、エコノミストはサラリーマンというイメージです。
エコノミストの特徴については、後で詳しく解説します。
バートン・マルキール氏
→『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者。プリンストン大学教授。
ジェレミー・シーゲル氏
→『株式投資の未来』の著者。ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授。
投資家界隈に影響力のある経済学者は、日本よりも投資の本場であるアメリカにたくさんいます。
日本の経済学者は、日本経済新聞や投資雑誌などに、よく経済コラムを出しています。
例えば、『ウクライナ問題が日本の貿易に与えた影響』のようなお堅い内容のコラムです。
① 信頼性が高い
→ 「自分の感想」レベルの内容ではなく、科学的な方法によって研究された内容。主張には客観的な証拠(データ)がある。
② お堅い
→ 難しい言葉・専門用語が並び、一般の人には読みづらい。
③ 自説縛り
→ 学問の世界には「学派」があり、途中で自説の過ちに気づいても修正しづらい。自分の主張の正しさにこだわりすぎる傾向がある。
ちなみに3つ目の自説縛りの例としては、「政府はガンガン経済政策をすべき!お金をバラまくべき!」という説や、「政府は財政規律を守るべき!お金をバラまくな!」という説などがあります。
一旦1つの説を唱えると、「やっぱりこっちの説にします」とは言いづらいワケです。
例えばインデックス投資を推奨しているバートン・マルキール氏も、「実はインデックス投資より、アクティブ投資の方が良いかも!」のようには今更言えないでしょう。
もちろん、マルキール氏がこのように考えているかどうかは分かりません。
とにかく、一度唱えた自説は変えにくい傾向があるという点は、押さえておきましょう。
経済学者の情報発信(論文・コラムなど)は、論理性・データの裏付けという点では、ピカイチです。
Twitterのつぶやきなどと比較すると、全く信頼性が違うワケです。
内容をしっかり読み解ける人にとっては、経済学者の発信する情報はまっとうな情報源になります。
なぜなら経済学者の発信する情報は、難しくつまらないからです。
結果として多くの人は、簡単で分かりやすく、面白い情報だけを見るようになってしまいます。
このような状態は、かなり栄養が偏っている状態とも言えます。
もし皆さんの読んでいる投資本や記事の執筆者に、「〇〇大学経済学部 教授」のような人が一切いなければ、皆さんが取り入れている情報の栄養バランスは偏っているのかもしれません。
好きな情報だけを取り入れて健康をキープできれば良いですが、情報の栄養バランスについても一度考えてみましょう。
プレイヤー②:エコノミスト
エコノミストは、先ほど解説したように「シンクタンク(民間の研究所)」「金融機関(銀行、証券会社、保険会社)」などに勤める経済の専門家です。
- 〇〇証券 エコノミスト
- 〇〇研究所 経済研究部主席エコノミスト
- 〇〇生命 主任エコノミスト
投資雑誌や新聞記事を読む際は、ぜひ筆者の肩書を見てください。
エコノミストの多くは、大学などで経済学を専門に学んだ後、研究の場を大学ではなく民間に求めた人たちです。
経済学者と方向性の違いはあるものの、広い意味での経済の専門家という点では変わりません。
エコノミストの中には、民間企業と大学を行ったり来たりする人も少なくありません。
以下のような経済予測についてレポートするのが、彼らの主な仕事というワケです。
リベ大で紹介しているお金のニュースも、ニッセイ基礎研究所のレポートなどを参考にしています。
エコノミストの活動は、いわばPR活動の一環です。
例えば、生命保険会社の子会社(シンクタンク)が『30年後の日本の社会保障制度~公的保険の持続性に影~』のようなレポートを出すと、以下のようにいろいろな場面で使えます。
- 生命保険会社の信用力を高めることにつながる
- 保険の販売活動に使える
証券会社勤務のエコノミストの場合、『金の時代到来か?ゴールドの相場サイクル』のようなレポートを出すかもしれません。
このようなレポートを出す理由は、要するに「ゴールドを売りたい」ということです。
① 信頼性が高い
→ 「自分の感想」レベルの内容ではなく、科学的な方法によって研究された内容。主張には客観的な証拠(データ)がある。
② ポジショントーク
→ 自分の業界に不利益なことは言いづらい。
③ 予測の正確さを競う
→ 経済学者がいつの時代も通用する普遍的な「理論」を追求する一方で、エコノミストは「予測」と「精度」を追求する。
例えば、とあるエコノミストが「日本のGDP成長率は3%になる」と予測して、実際の成長率が3%に着地した場合、世間から注目されるでしょう。
一方で予測が当たらないエコノミストは、世間から相手にされなくなるワケです。
ここで経済学者とエコノミストの違いについて、ざっくりと整理しましょう。
経済学者
→ 中長期目線での理論研究・データ分析に関心がある
エコノミスト
→ 短期目線での精緻な経済予測に関心がある
エコノミストの情報発信も、使い方によっては非常に有用です。
国の統計が発表されてからの情報整理・分析・発表などもタイムリーで、クオリティは「さすがプロ!」と呼べるものです。
いち個人の情報発信と比べると、持っているデータの豊富さや分析手法の洗練具合などの点で、圧倒的な差があります。
その一方で、自社(業界)の不利益になることは言いづらい点や、景気予測を100%当てられる人はいないという点は、しっかり認識しておきましょう。
プレイヤー③:ジャーナリスト
なぜ一般人が経済学者やエコノミストの情報を見ないのかというと、「難しいから」の一言に尽きるでしょう。
数式まみれのややこしいレポートや、見たことのない専門用語の羅列を、一般の人が読まないのは当然かもしれません。
経済学者やエコノミストの暮らす「専門家の世界」と、私たちが暮らす「一般人の世界」は、普段は完全に断絶しています。
ところがここに、2つの世界をつないでくれる「経済ジャーナリスト」が登場します。
彼らは、「一般の人は、こんな難しいことは分からない」ということを良く知っています。
そこで経済学者やエコノミストの発信を噛み砕いて、私たちに伝えてくれるワケです。
ジャーナリストの典型は、新聞社や雑誌社に勤める記者です。
記者の中には、フリーで活動している人も少なくありません。
ジャーナリストは、経済の専門家に取材して記事を作ったり、専門家と対談してその内容を動画などで公表したりと、一般人と専門家の橋渡しを行います。
① 速報性・簡潔性に優れる
→ パっと要点が掴める。
② 所属機関による情報の偏り
→ 会社や媒体の方針に合わない情報は出てこない。
③ 商業性
→ 多くの人が関心を持つ「売れる情報」に焦点を当てている。たくさんの人に読まれ、儲からないとやっていけない。
ジャーナリスト個人の腕前次第ではあるものの、時には内容が間違っていることもあります。
経済学者・エコノミストと一般人の間に「正しい橋渡し」をするためには、かなり高い力量が求められます。
橋渡しの過程で、情報がねじ曲がってしまうことも少なくありません。
ジャーナリストとして投資家界隈で活躍している人といえば、後藤達也氏が有名です。
難しい経済の話を分かりやすくユーザーに伝える能力の高さや、情報に偏りがなく公平な点などから、圧倒的な人気を獲得しています。
両学長も、情報源の1つとして大変お世話になっているそうです。
とはいえ先ほどもお伝えしたように、ジャーナリストが伝える情報に関しても「全てが正しい」とは限りません。
両学長が新聞記事や投資コラムを読んでいる時も、「この記者さん、ちゃんと分かってるの?」というケースも少なくないそうです。
そして「橋渡し」というプロセスが入る分、情報を消化する際は、より一層読み手側のリテラシーも求められます。
簡単にすればするほど、誤解も生まれやすくなります。
記事のタイトルだけを見て、大きな勘違いをする人がたくさんいるのも現実です。
読み手としては、「どのような経歴・信念を持つ記者が、どのような背景で発信した情報なのか?」という部分まで、しっかり見る必要があるワケです。
プレイヤー④:一般投資家
- 投資系YouTuber
- 投資系ブロガー
- Twitterの株クラ
両学長も、投資系YouTuberに分類されます。
私たち一般人にとっては、一番身近な情報源というケースも多いでしょう。
皆さんにも1人や2人、「この人の情報発信は欠かさず見ている」という発信者がいるのではないでしょうか。
① 分かりやすい
→ 目線が自分と同じなので、とにかく分かりやすく共感しやすい。
② 速報性
→ 関心が自分と同じなので、タイムリーな情報が手に入る。
③ 情報の偏り
→ あらゆる情報源の中で、最も情報が偏っている。正確性・客観性に大きな弱点がある。どこまでいっても「個人の感想」に過ぎない。
一般投資家が発信している情報には、他の情報源にはない良さもあります。
その1つとして、「本人が身銭を切ってやっていることが多い」という点が挙げられます。
彼らの中には、インサイダー規制などの影響などで、所属機関に投資自体を禁止されている人もいます。
つまり実のところ、彼らの発信は「血が通った生きた情報ではない」場合も多いワケです。
生で体験している人の話でないと、伝わらないケースも多々あります。
とはいえエコノミストやジャーナリストの発信は、所属機関により多少のポジショントークの側面があるにせよ、客観性・公平性に配慮されています。
つまりこれらの情報源は、ある種トレードオフのようになっているのです。
- 偏りが大きい、個人の「生きた情報」を参考にするか
- 偏りが少ない、「(時に)血の通ってない情報」を参考にするか
以前から何度もお伝えしている通り、リベ大で提供しているコンテンツは、「いち個人」の情報発信です。
基本的には両学長が自身で実際に経験したことや、現在やっていることをベースにしつつ、家族や友人に心からおすすめできる内容だけをお伝えしています。
リアルに「今考えていること」「これからに向けて考えていること」だけを紹介しているつもりです。
それは、どこまでいっても「個人の感想に過ぎない」という点です。
リベ大の発信する方法が、皆さん全員に合うとは限りません。
両学長にとっての正しい判断が、皆さんにとっても正しい判断になるとは限らないワケです。
ちなみに一般投資家の究極系は、かの有名なウォーレン・バフェット氏かもしれません。
最強のプレイヤーを、「一般投資家」と呼ぶのは違和感がありますが、あくまでバフェット氏も「いち個人」です。
いずれにせよ、以下のような人について、誰をどこまで信じるかは皆さん次第です。
大物投資家
インフルエンサー投資家
プロ並みの個人投資家
① 経済学者、エコノミストの情報(右下)
→ 客観性・公平性・正確性はある程度担保されているが、内容を読み解くのが難しい。
② ジャーナリストの情報(右上)
→ 客観性・公平性・正確性がある程度担保されており、内容を読み解くのも相対的には易しい。ただし、所属組織や媒体によるスタンスの違いはかなり大きい。
③ 一般投資家の情報(左上)
→ 客観性・公平性・正確性はあまり担保されていないものの、最も読みやすい。
皆さんは初心者から上級者になるまでの間に、以下のように情報源の軸足をずらしていくと良いでしょう。
- 初心者:一般投資家70%、ジャーナリスト30%
- 中級者:一般投資家30%、ジャーナリスト50%、経済学者・エコノミスト20%
- 上級者:一般投資家10%、ジャーナリスト50%、経済学者・エコノミスト40%
経済学者・エコノミストの中にも、「この人はとんでもない!」という人が存在するのも事実です。
逆に一般投資家の中にも、とてもバランスの良い情報発信をしている人もいます。
結局最後は自分が誰を信じて、どのようなバランスを取るか次第というワケです。
金融リテラシーの高い人は、高度な情報をパパっと仕入れ、高度な判断をパパっと行います。
「いい加減な情報を基に、いい加減な判断をしない」ということです。
誰の話を信じるべきかを判断する際は、ぜひ今回紹介したような話し手の分類も意識してみてください。
「どのような経験・背景を持つ人が、どのような立場で情報発信しているのか?」という部分に意識を向けることは、とても重要です。
まとめ:4人のプレイヤーの意見を参考にしつつ、自分自身で正しい判断をしよう!
今回の記事では、投資の情報源を「人」という切り口に分類して紹介しました。
① 経済学者
→ 主に大学に所属する学者。肩書は、〇〇大学経済学部教授 など。いつの時代も通用する普遍的な理論や、社会の姿を適切に捉えるデータ分析などに関心がある。
② エコノミスト
→ 民間のシンクタンク・金融機関などに勤める経済の専門家。肩書は、〇〇証券主任エコノミスト など。実質的に組織のPR役を果たし、精緻な経済予測に関心がある。大学の研究者・民間のエコノミストというキャリアを、行ったり来たりする人もいる。
③ ジャーナリスト
→ 「経済学者・エコノミスト」と「一般人」の橋渡し役。
④ 一般投資家
→ 個人の体験・意見を発信している、いわゆる普通の人。
そして今回皆さんに一番お伝えしたかったのは、皆さん自身が資産運用チームのボスという点です。
皆さんの資産運用チームには、今回紹介した「経済学者」「エコノミスト」「ジャーナリスト」「一般投資家」という4人のスタッフがいます。
毎日のように情報を届けてくれる彼らの性格・情報には、それぞれ特徴があります。
- 正確性
- 客観性
- 公平性
- 速報性
- 分かりやすさ
といった各面において、彼らにはそれぞれ異なる良さ・悪さがあるワケです。
メンバーのバランスをどうするか、そして誰の意見を信じるかを決めるのは、チームのボスである皆さんの仕事です。
今回紹介した4人は、皆さんのボスではありません。
仮にどれだけ彼らがすごくても、どれだけ信用できる人がいても同じです。
「投資の世界はどこまでいっても自己責任」という点は、肝に銘じておきましょう。
最終的な意思決定者は、皆さん自身です。
資産運用・人生の主役は、どこまでいっても自分自身と自覚しておきましょう。
今回の内容が、皆さんの金融リテラシーアップにつながれば嬉しいです。
またリベ大のオンラインコミュニティ「リベシティ」は、皆さんの金融リテラシーや資産をアップするのに最適な場所です。
成果が出ている人もどんどん増えているので、皆さんもぜひ有効活用してください。
皆さんは今後、以下のようにいろいろな場所で、たくさんの情報を目にするでしょう。
- 新聞記事
- 投資コラム
- 投資本
- 資産運用に関する動画
今回お伝えした内容を思い出して、バランス良く栄養を摂取してください。
以上、こぱんでした!
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