参考:日本経済新聞「2023年度与党税制改正大綱 全文と要旨」
色々な話題が出ていますが、私たちにとって大切なのは「NISA」に関しての内容です。
NISAというのは、資産運用が非課税になるという優遇制度ですが、今回神改正が入りました。
新しいNISAを使いこなせる人は、もう老後の心配はないでしょう。
そこで今回の記事では、以下の2点について解説します。
新NISAのココがスゴイ5選
新NISAに対する感想
今回の記事を読んでもらうと、新NISAに関する概要はバッチリ掴めます。
制度を解説するだけではなく、有効活用のためのポイントも紹介します。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:神改正!新NISA徹底解説
▼図解:新NISAの投信 1,000本公表
目次
解説動画:【歴史が変わる】新NISAのココがスゴイ5選
このブログの内容は以下の動画でも解説しています!
新NISAのココがスゴイ5選
早速結論からお伝えします。
- 旧制度と併用できる
- 投資枠が1,800万円もある
- 最速5年で枠を使い切れる
- 非課税期間は永久
- 売却すると非課税枠は復活
スゴイ点①:旧制度と併用できる
旧制度というのは、以下2つのNISAを指します。
- 一般NISA
→ 「年間120万円 × 5年間」の計600万円分の投資が非課税になる制度。
- つみたてNISA
→ 「年間40万円 × 20年間」の計800万円分の投資が非課税になる制度。
2018年から「つみたてNISA」をやっていた人にとっては、超朗報です。
2024年以降、新規に40万円の積立投資をすることはできませんが、2023年までに投資した分は、非課税期間(投資してから20年)が保証されます。
つまり、2018年~2023年の、「40万円 × 6年分 = 240万円分」については、先行者利益を享受できるのです。
次の項目で詳しく解説しますが、新NISAの投資枠は1,800万円分あります。
新旧制度を合計すると、「つみたてNISA:240万円 + 新NISA:1,800万円」となり、トータル投資枠で2,000万円分以上の優遇が受けられるワケです。
もし長期間の運用を経て、投資元本が2.5倍の5,000万円になった場合、通常であれば利益の3,000万円に約20%の税金がかかります。
しかしNISAで運用していると、利益に対する税金がまるまる非課税になります。(下図参照)
600万円という金額は、子どもを4年生大学に通わせられるくらいの大きな金額です。
新NISAは、一般NISAをやっていた人も併用可能です。
2024年以降は新規に投資することはできませんが、2023年までに投資した分は、非課税期間(投資してから5年)が保証されます。
ただし、つみたてNISAのように必ずしも「朗報」と言えない側面もあります。
例えば下図のケースのように、5年後に損する可能性があるからです。
上図は、2018年に「リベ大株」を120万円分買い、2023年に「リベ大株」が70万円に値下がりしているケースになります。
非課税期間の終了とともに、この株はNISA口座から特定口座に払い出されます。
その際に、取得価額が120万円から70万円に置き替わってしまうのです。
今後この株が値上がりして、もともとの取得価格である120万円に戻ると、「120万円 - 70万円(新しい取得価額)」の50万円に税金がかけられることになります。
仮にNISA口座を使っていなければ、株価はプラスマイナス0に戻るだけです。
もともと120万円の株が70万円まで値下がりして、再度120万円に戻っただけなので、NISA口座を使っていなければ税金も0のはずでした。
NISAを活用した今回のケースでは、70万円で株を取得した扱いになるため、値上がり益に税金がかかるワケです。
とはいえ、このデメリットは今に始まったことではありません。
一般NISAを使っている人にとっては、納得済みのデメリットのはずです。
ただ、これまではロールオーバーというものがありました。
ロールオーバーというのは、非課税期間(5年)経過後に、その商品を新たな非課税投資枠に移すことです。
旧NISAは廃止になるので、移管先がなくなりロールオーバーができなくなる可能性があります。
ロールオーバーができなくなれば、より不利になるという点は、出口問題として認識しておくべきでしょう。
スゴイ点②:投資枠が1,800万円もある
新NISAでは、非課税の投資枠が1,800万円という大きな金額になりました。
ポイントは、非課税上限額の1,800万円は取得価格ベースで、含み益は入らないという点です。
1,800万円の枠のうち、100万円を使ってAファンドを購入する。その後Aファンドが200万円に値上がりした場合、残っている非課税枠はいくらか?残りの非課税枠は、「1,800万円 - 200万円(時価)」の 1,600万円ではなく、「1,800万円 - 100万円(取得価額)」の1,700万円となる。
つまり1,800万円の枠を使って買った株がどれだけ値上がりしても、時価で見るのではなく取得した時の金額で見るワケです。
また1,800万円の内訳には、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。
「つみたて投資枠」では、現行のつみたてNISA対象ファンドが購入できます。
つみたてNISA対象ファンドは、日本に約6,000本以上あるファンドの中から厳選された、約220本のファンドです。
つみたて投資枠に制限はなく、1,800万円までフルに投資可能となっています。
一方、1,800万円のうち1,200万円までは「成長投資枠」として利用することも可能です。
成長投資枠では、様々な上場株式や投資信託が購入できます。
個別株や米国株は成長投資枠で購入可能ですが、債券ETFやレバレッジ商品は購入できません。
もともと日本で「老後2,000万円問題」が騒がれていたことを考えると、1,800万円というのはそれに匹敵する金額です。
投資どうこうの問題以前に、1,800万円を貯金できていたら、一般的にはそれだけでかなり堅い老後と言えるでしょう。
ここで20代、30代の皆さんに質問です。
皆さんは定年までに、1,800万円貯金できそうですか?
入社してから定年までの期間を40年と考えると、1,800万円貯めるには毎月約4万円貯金し続ける必要があります。
雨の日も風の日も、病気やケガで働けない時も、子供が生まれたり親の介護が必要になったりした時も、どんな時もひたすらに貯金する必要があるのです。
もともと、つみたてNISAの枠が「年40万円 × 20年」の800万円だった理由として、「多くの家庭では、その金額を捻出するだけで精いっぱいだから」という話もありました。
よって、新NISAの1,800万円という枠をMAXで使い切れない人も多いはずです。
その意味で、1,800万円という投資枠は確かに魅力的ではあるものの、「何がなんでも使い切る」「あの人はフルで枠を使い切っているから私も負けない」のように焦る必要はありません。
焦らずに、自分のペースで淡々とやっていきましょう。
周りに釣られて、全力ダッシュして疲弊するというのは、クールな大人・投資家のやることではありません。
スゴイ点③:最速5年で枠を使い切れる
先ほどもお伝えした通り、新NISAの枠は1,800万円です。
しかし、この金額はあくまで「生涯投資可能額」「非課税上限額」の話です。
1年間で1,800万円をフルに投資できるのかというと、そうはいきません。
新NISAでは、年間投資上限額が以下のように決まっています。
- 「つみたて投資」枠:120万円
- 「成長投資」枠:240万円
→ 合計:年間360万円
NISAのモデルになった、イギリスISAの年間投資額は約335万円ということなので、「それより大きい金額を!」という背景もあるようです。
つまり、以下のように柔軟に考えることができます。
要は、人それぞれのペースで自由に投資できるということです。
一定のペースで、投資をやり続ける必要すらありません。
例えば「年間50万円投資する年」「年間300万円投資する年」「ほとんど投資しない年」を経て、ジグザグしながら1,800万円を埋めていくのもアリです。
この柔軟性は、従来の制度では見られなかった大きなポイントです。
この点については、後ほど解説します。
ほかにも、NISAが富裕層ではなく一般層の底上げを狙った優遇税制という趣旨も、年間投資上限額の設定に関係しているかもしれません。
非課税枠は早く埋めて長く運用した方が有利なので、もし1,800万円を1年で埋められるのであれば、富裕層が有利になります。
このような状況にならないためにも、年間投資上限額があることで「趣旨に合う制度」になるのでしょう。
スゴイ点④:非課税期間は永久
新NISAは非課税期間が「無期限」になります。
旧制度(つみたてNISA)は、非課税期間が20年でした。
旧制度の非課税対象になる取引は、2018年~2042年までに投資したものだけで、非課税期間も投資してから20年という縛りがありました。
しかし新NISAは、以下のような制度となりました。
非課税の対象となる取引:いつ始めてもOK
非課税期間の縛り:なし
もちろん、その時まで日本がこの制度を維持しているという前提は必要です。
先ほど、最短5年で1,800万円を埋められる一方、50年かけても大丈夫とお伝えしたのは、NISA制度が「恒久化」されたからです。
この改正は、大変ありがたい仕様になりました。
ちなみに、クレジットカードには「年会費、永年無料」と「年会費、永久無料」という似た言葉があります。
どちらも「一生ずっと無料」に見えますが、実は違います。
つまり、永年無料のクレジットカードは、いつか有料化する可能性もあります。
一方で、永久無料というのは、言葉通りずっと無料という意味です。
NISA恒久化の「恒久」という意味は、永久という意味なので、NISAは皆さんが生きている間、一生非課税になります。
実は2階建てNISAも、制度として導入されるはずでしたが立ち消えました。
政府が変われば、税制は変わります。
よって、本当に新NISAがずっと続くのか、怪しいものはあります。
「100年安心」と言われた年金制度が、今はどうなっているかという話です。
そしてこれだけ大規模な優遇税制を作るのであれば、どこかで増税はあると見るべきでしょう。
今回は「金融所得課税の強化」は実現しなさそうですが、今後は分かりません。
とにもかくにも、とりあえずNISAは恒久化されました。
「総額1,800万円・年額360万円」の枠を守る限り、いつ投資を始めても、いつまでも非課税で投資ができます。
スゴイ点⑤:売却すると非課税枠は復活
1,800万円の投資枠は、持っている投資商品を売却すると復活します。
つまり、非課税枠の「再利用」が可能になるワケです。
1年目に、大阪食い倒れファンドに100万円投資する。この段階で残る投資枠は、「1,800万 - 100万円 」の1,700万円。
2年目に、大阪食い倒れファンドが150万円になり、儲かったため売却。利益に対する税金は一切ナシのまま、利益確定に成功。
この時、非課税の投資枠は1,700万円 → 1,800万円に復活する。
1,800万円の投資枠は、あくまで取得価額ベースで管理されます。
上記の例の場合、100万円で買ったものが、その後いくらになろうと関係ありません。
つまり1,800万円という投資枠は、以下のように整理できます。
「死ぬまでの間に、総額1,800万円まで非課税で投資できる」
「生きている間は、1,800万円分の非課税ポジションを持てる」
つまり取得価額が1,800万円未満になった場合、1,800万円になるまで、また投資して良いというワケです。
気にすべき縛りは、「年間360万円の投資上限額」の方です。
例えば、2030年に360万円の投資枠をフルに使い切ったと仮定します。
2029年に買っていた100万円分のファンドを売った場合、非課税枠は100万円分もとに戻りますが、年間投資上限額は360万円のままです。
つまり、「すでに使い切っているため、これ以上の投資はできない」ことになります。
復活した100万円分の非課税枠を利用できるのは、翌年からです。
この「360万円ルール」がなければ、1,800万円の範囲内で、以下のように自由に投資商品を売買できることになります。
- 買って、利益が出たらすぐに売却する。
→ 利益は非課税
- 非課税枠はすぐに復活し、新しい株を買う。
- 利益が出たらすぐに売却する。
→ 利益は非課税
トレードで利益を出し続けられる前提ですが、上記のように1年を通じてちょっとした錬金術が可能になってしまいます。
「非課税枠が復活」する仕様は、サプライズと言っても良いでしょう。
生涯投資額と呼ばれる通り、一生の間でその金額までしか投資できないと考えられていたところ、非課税枠が復活するというのは投資家にとっては朗報です。
とはいえ、リベ大では頻繁に売り買いするトレードはおすすめしていません。
ガチャガチャ動かさずに持ち続けることが、長期投資のコツのひとつだからです。
しかし、何があるか分からない人生において「もしも」売ってしまった場合でも、非課税枠が復活するのは、非常にありがたい設計だと言えます。
ここまでの内容を、いったんまとめます。
新NISAの概要は、以下通りです。
- 投資枠は1,800万円
→ うち1,200万円が成長投資枠
- 年間の投資上限額は360万円
→ つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円
- 非課税期間は永久
→ 売却すると非課税枠が復活。
- 旧制度と併用できる
- 投資枠が1,800万円もある
- 最速5年で枠を使い切れる
- 非課税期間が永久
- 売却すると非課税枠が復活する
もちろん最速5年で枠を使い切れる一方、自分のペースでゆっくり投資してもOKというのも、新NISAのスゴイ点です。
リベ大としては、ここまでの大盤振る舞いをしてくるとは正直考えていませんでした。
仮に夫婦二人でこの枠を使い切れば、総額3,600万円になります。
時間をかけてでもフル活用すれば、十分に億の資産を築けるポテンシャルがある金額です。
繰り返しになりますが、本当に大きなメリットがある改正になりました。
新NISAに対する感想
ここからは、新NISAの改正を受けて、現時点でのリベ大の感想をお伝えしていきます。
皆さんが、どのように行動した方が良いのかについても解説します。
結論からお伝えすると、新NISAは「素晴らしい改正」となりました。
もちろん、50代以降の人にとっても十分に利用価値はあります。
ただし資産運用の世界は、早く始めれば早く始めるほど有利で、若ければ若いほど有利という世界です。
その理由は、暴落後のリカバリーチャンスが長いこともありますが、何よりも複利が効くからです。
新NISAでは、1人あたり1,800万円の投資枠(夫婦2人で3,600万円)が与えられました。
超少子高齢化が進む日本という国で、若い世代も含めて多くの可能性が与えられたのは、まさに朗報です。
とはいえ、大規模な投資減税を認める代償として、以下のような反動も覚悟する必要があります。
- 法人税が上がる
→ 給与が上がりにくい要因になる。
- 金融所得課税が上がる
→ 現在約20%のところ、25%や30%になる可能性もある。
- 消費税が上がる
→ 消費税率10%は通過点に過ぎない。
上記のように、どこかにシワ寄せがいく可能性は高いでしょう。
このように考えると、以下のような状況が発生します。
本来投資家が払うはずだった税金を、投資をしていない人たちが増税などにより負担する構図になり得ます。
「お金を取られるところにいて、お金をもらえるところにいない」のであれば、ジリ貧になってしまいます。
非課税制度は、利益が出てナンボです。
利益が出なければ、非課税も何もあったものではありません。
加えてほかのところで増税されていたら、トータルは損になってしまいます。
損をしない人になるにはどうすれば良いか?
結論はシンプルに以下の2つです。
① NISA口座を作り投資をする。
② 利益が出る投資をする。
①はとても簡単です。
最近のネット証券口座は、必要項目に記入して口座開設の申し込みをするのに、10分もかかりません。
その後、1週間から10日程度で、口座開設の手続きは済みます。
銀行口座から証券口座にお金を移せば、すぐに投資を始められます。
ここでつまずく要因になるのは、「めんどくさい」という気持ちだけです。
この気持ちに勝てれば、100人中100人が口座開設できます。
問題は、2つ目の「利益が出る投資をする」ことです。
こちらは、全員が必ずクリアできるイージーな難易度ではありません。
未来はいつも不確実なので、投資に絶対はありません。
一方で、再現性の高い・勝率の高い投資が存在することも事実です。
リベ大でもずっとおすすめしている「インデックス投資」が、それにあたります。
インデックス投資は、S&P500・日経平均株価といった指数に連動した成績を目指す投資です。
利益が出る投資をしたい場合、以下のような広く分散された低コストの株式インデックスファンドに投資しましょう。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
投資期間が40年・50年と長くなればなるほど、上記ファンドの妥当性は高くなります。
NISAの非課税枠は、1,800万円あります。
「年間120万円のつみたて投資枠」「年間240万円の成長投資枠」のいずれもインデックスファンドに投資し、「トータル1,800万円全てがインデックスファンド運用」というのが基本戦略です。
このようにお伝えすると、「つみたて投資枠とは別に、成長投資枠ではもっと攻めた方が良いのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、「成長投資枠」の実態は、おそらく「金融機関の営業のため」のものです。
営業マンの、「年間120万円は堅実にインデックスファンドに投資して、成長投資枠ではより高い成長が見込めるアクティブファンドに投資しましょう!」という営業トークが目に浮かびませんか?
金融機関は、顧客から手数料をとってナンボです。
売買手数料のかからないファンドや信託報酬の低いファンドばかり売っていても、全然稼げません。
非常に高い手数料が取れるアクティブファンドを売りたくなるのは当然です。
世界的な投資の名著、「敗者のゲーム」には次のような記載があります。
15 年間のプロのマネジャーの成績を見ると、90%はインデックス投資に及ばない。
統計的に見て、皆さんがアクティブファンドに投資して勝てる確率はたった1割です。
これは、金融業界が知られたくない「不都合な真実」の1つと言っても良いでしょう。
アクティブファンドの投資をプロのマネジャーに任せたら勝てそうな気がしますが、現実はそうではないワケです。
15年以上の投資成績を見ると、インデックスファンドに勝てるアクティブファンドは、たった1割しかありません。
「このインデックスファンドに長期投資すると勝率は9割ですが、私に投資すると勝率は1割です」と言う人に投資をする人はいないでしょう。
またアメリカの大学教授の研究によると、「1950年~2017年の間では、どの年から投資を始めたとしても、15年以上投資を続ければリターンはマイナスにならなかった」ということも分かっています。
上図左端のように、1950年~2017年の間にどこかの1年だけで投資をした場合、そのリターンは-37.0% ~ +52.6%まで大きな幅があります。
つまり「当たり年」を引けるかどうかで、成績が大きく変わるワケです。
一方で、どこかの15年間を切り取って投資をした場合(右から3つ目のグラフ)、そのリターンは +4.2%~ +18.9%の間に収まっています。
つまり「どの15年を切り取っても、15年投資すれば損した人はいなかった」ということです。
これは米国株のデータですが、全世界株も似たような傾向になります。
15年以上「優良な指数」に投資すると、損をする可能性はかなり低くなります。
絶対得するかというと、そこまでは言えませんが、損する可能性は限りなく低いというワケです。
一方、高コストのアクティブファンドは、必ずしもこの限りではありません。
成長投資という「誘惑」に負けて、変なファンドを買ったらアウトです。
繰り返しになりますが、結局は多くの人にとって、以下の方法が一番勝率が高いやり方です。
① 広く分散された、低コストの株式インデックスファンドを買う。
② 最低でも15年程度は保有し続けるつもりで投資する。
重要なのは、数年損する期間が続いたとしても、「ひたすら積み立てを続けて売らない」「下手な売買をせずに淡々とやる」という2つを守ることです。
もちろん、凄腕・天才の投資家はこの限りではありません。
しかし、凄腕の投資家になれるのは上位数%の人だけです。
金融庁の「本音」とは?
ここで、金融庁の本音を想像してみましょう。
正直な本音は、「成長投資枠も含めて、まともなインデックスファンド“だけ”買ってくれ」というところでしょう。
実際、有名投資ブロガーたちとの座談会では、金融庁は次のようなことを言っていたそうです。
成長投資枠は人生でつみたてられない時のキャッチアップ枠。つみたて枠の商品のキャッチアップをサポートするという考え方。
(出典:梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー「【追記あり】NISA拡充・恒久化の内容が確定、金融庁でのブロガー座談会速報」)
長い人生の中では、年間120万円投資できない時がある一方、給与・ボーナスが上がって余裕ができ、120万円以上投資できる時もあるはずです。
そんな時は、「成長投資枠を使ってつみたて商品をたくさん買ってキャッチアップしてね(=もともと考えてた積立ペースに追いついてね)」と金融庁は言いたいのでしょう。
成長投資枠を使って「個別株で大きなリターンを狙いましょう!」や「アクティブファンドで攻めてみましょう!」のようには言っていないワケです。
NISAという仕組みを作るには、金融機関のシステム投資などが不可欠です。
口座開設・維持、売買取引などの事務手続きをしてくれるのも金融機関です。
行政が彼らを「手数料を奪う悪魔」のように責め立てるのもアンバランスでしょう。
金融機関は、あくまで営利目的の民間企業です。
もちろん、私たちも金融機関のサービスを使う以上、適正な対価は払うべきです。
アクティブファンドの大半がダメ商品という事実と、金融機関がインフラを整えてくれたおかげで資産運用がやりやすくなったという事実は、分けて考える必要があります。
低コストのインデックスファンドを買うだけで、ほとんど売買せずただ持つだけという人は、証券会社にとっては「全く美味しくない客」です。
しかし、その方法が一番勝率が高く再現性も高いので、仕方ない側面はあります。
どうしても、「ありがとう。ごめんなさい。これからもよろしくね!」という距離感になってしまうところです。
NISAのデメリットについて
最後に、NISAのデメリットについてもお伝えします。
NISAには、「損益通算」や「繰越控除」がありません。
通常、A株で50万円儲けて、B株で30万円損した場合、トータルの利益は「50万円 - 30万円 = 20万円」になります。
しかしNISAではこれはできません。
「儲かった時は非課税なんだから、損した時もそのままだよ」というワケです。
要は、負けた時に取り返すチャンスがない状態です。
この意味で、NISA口座での資産運用は、一般口座での取引以上に損をしてはいけません。
損益通算や繰越控除ができない点も、「NISA口座ではインデックス運用に徹すべき」という背景の1つです。
ちなみに、リベ大で資産運用を勉強した人の中には、「高配当株投資はどうなの?」と気になる人もいるでしょう。
結論だけお伝えするとアリですが、色々な注意点があるので、別途解説記事を作成したいと考えています。
NISAというのは、もともとイギリスのISAという仕組みをモデルにしています。
本家ISAが導入されてから早20年、イギリスでは資産残高が100万ポンド(約1.6億円)超える「ISAミリオネア」が続々と出現し始めているそうです。
「どんな人がISAミリオネアになっているのか?」という分析も進んでいるそうなので、情報が入ればまた皆さんに共有します。
今から数十年後、日本で多くのNISAミリオネア(=億万長者)が生まれることを楽しみにしています。
まとめ:「神制度」新NISAを理解してしっかりと資産形成を進めよう!
今回の記事では、以下の2点について解説しました。
新NISAのココがスゴイ5選
新NISAに対する感想
新NISAの概要は、以下の通りです。
- 投資枠は1,800万円
→ うち1,200万円が成長投資枠
- 年間の投資上限額は360万円
→ つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円
- 非課税期間は永久
→ 売却すると非課税枠が復活。
- 旧制度と併用できる
- 投資枠が1,800万円もある
- 最速5年で枠を使い切れる
- 非課税期間が永久
- 売却すると非課税枠が復活する
最速5年で枠を使い切れる一方、自分のペースでゆっくり投資可能なのも新NISAのスゴイ点です。
20代~40代の若い世代は、未来が変わるでしょう。
ただし、NISAを「正しく使う」という前提が必要です。
正しく使うためには、以下の点をどれだけブレずに徹底できるかがカギになります。
買うものは「広く分散された株式インデックスファンド」が基本。
投資期間は、10年~15年以上が目安。
数十年後、NISAミリオネア(=億万長者)がたくさん誕生するのが楽しみです。
「資産運用は、やった方が良い」から「資産運用は、やらなきゃ損」という社会構造になっていくでしょう。
今後一切増税がなければ良いですが、おそらくあると考えておきましょう。
「やらなきゃ損」をやらなければ、しわ寄せを受けるだけになります。
流しそうめんに例えると、そうめんを流す役回りだけ担当させられて、自分は全く受け取れないイメージです。
今後資産運用をしないと、このように残念なポジションになる可能性があります。
そもそも、日本自体が低成長のワナにはまっています。
資産運用をしなくても、給料が上がり社会保険が充実し続けるなら良いですが、それが期待できる状況ではないでしょう。
日本経済新聞でも「投資会社化するニッポン 海外の稼ぎ、GDP比1割迫る」という記事が出ていました。
悲しい気もしますが、「より成長性の高い国外の市場にお金を流し、その恩恵を受ける」というのが、これからのトレンドになっていきそうです。
まだ証券口座を持っていない人は、ぜひ証券口座を開設して今後に備えてください。
リベ大でずっとおすすめしている証券口座は、「SBI証券」「楽天証券」の2つです。
「楽天経済圏」の住人でない人は、現状はSBI証券が一番おすすめです。
SBI証券は、商品ラインナップ、手数料の安さ、各種特典、どれもレベルが高く、個人投資家から「人気No.1のネット証券口座」になっています。
選んでおいて「ハズレのない選択肢」です。
最後になりますが、投資に絶対はないという点は覚えておいてください。
「勝率が高い」と「絶対に勝てる」は同じではありません。
また、「勝率が高い」と「その過程がラク」も同じではありません。
資産運用の過程では、長い間含み損を抱えて、イヤな思いをすることもあります。
インデックス投資を選択できれば人生勝ち、というワケではありません。
だからこそ、どんな時も「貯める力」「稼ぐ力」「守る力」をバランスよく伸ばし続けることが重要です。
「貯める力」があれば満足度を下げずに生活費を最適化でき、「稼ぐ力」があれば働くことでお金を稼ぐことができ、「守る力」があれば貯めたお金は失いません。
これらの力を伸ばすことができれば、投資が上手くいくための土台になり、投資が上手くいかなくても人生が破綻しなくなります。
▼図解:お金にまつわる5つの力
NISAが拡充されたからといって、NISAに人生を賭ける必要はありません。
周りの人と自分のつみたてペースを比べて、消耗する必要もありません。
比べるのは、いつだって「自分」と「自分」です。
お金のことを学ばずに、お金に振り回されて生きていた過去の自分と、お金のことをしっかり学んで、前向きに生きている今の自分を比べましょう。
あひるくんのように、「人生が良くなっているからOK!」というように考えていきましょう。
このような状態を維持し続けた先に、経済的自由はあります。
▼今回の記事に興味を持ってくれた人に読んでほしい記事はこちら!
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