こんにちは、こぱんです!
2021年1月4日、JBpressにてジャーナリストの近藤大介さんが「人口増加に執念、ハンガリーの「すごい」少子化対策」という記事を公開しました。
この記事を読んで、リベ大はハンガリーの少子化対策の本気度に驚きました。
そもそも、Business Insider Japanの「2050年までに最も大きく人口が減る国ワースト20」では、日本と共にハンガリーもランクインしています。
日本(9位)
- 2020年:1億2,650万人
- 2050年:1億580万人(16.3%減)
ハンガリー(14位)
- 2020年:970万人
- 2050年:850万人(12.3%減)
日本の少子化は歯止めがきかない一方で、ハンガリーでは徹底的な少子化対策で状況が改善しました。
- 子供を望むハンガリー人は、過去10年で2割増加
- 結婚数は43年ぶりの高水準(前年比6.7%増)
- 1人の女性が一生の間に産むとされる子供の数である「合計特殊出生率」は1.23(2011年)から1.55(2018年)に急回復
片や日本の状況(2019年時点)は対照的な動きになっています。
1899年以来、過去最少の出生数
合計特殊出生率が1.36という12年ぶりの低水準
同じ少子化に悩む先進国として、ハンガリーから学ぶべきことは多くあります。
そして学ぶべきことの中には、皆さんの生活を良くする為のヒントも満載なのです。
そこで今回は、ハンガリーの少子化対策に関して、以下の2つのことを解説します。
- ハンガリーの驚くべき7つの少子化対策
- ハンガリーの少子化対策から学ぶべき3つのこと
なお、記事内の為替レートは2021年1月時点のものを参考にしています。
目次
解説動画: 【日本も見習うべき?】4人産んだら税金ゼロ!ハンガリーの少子化対策がスゴすぎる
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
ハンガリーの驚くべき7つの少子化対策
まず、ハンガリーが実際に行った、7つの少子化対策を見ていきましょう。
- 対策①:子供を4人出産すると定年まで所得税ゼロ
- 対策②:子供が3人以上の家族に対する新車購入補助
- 対策③:3年間の有給育児休暇
- 対策④:9年間で子供を3人出産すると約350万円もらえる
- 対策⑤:子供が3人以上いる家庭への不動産購入補助
- 対策⑥:学生ローンの返済減免
- 対策⑦:体外受精に関する費用の全額補助
対策①:子供を4人出産すると定年まで所得税ゼロ
1つ目の対策は、「4人目の子供を産むと、その後はどれだけ働いても所得税がかからなくなること」です。
リベ大では、「税金は人生で最も大きな支出だから節税しよう!」と伝えています。
関連動画
ですが、ハンガリーで子供を4人出産すれば、所得税に対するあらゆる節税策は一切不要になるのです。
ちなみに、子供が1~3人の場合でも、それぞれのケースに合わせた税額控除(所得税が安くなる仕組み)があります。
ハンガリーでは、現在100万人以上の母親が恩恵を受けている対策です。
対策②:子供が3人以上の家族に対する新車購入補助
2つ目の対策は、「子供が3人以上の家族が、7人乗り以上の新車を購入すると7,500ユーロ(約94万円)を補助すること」です。
ただ、なぜ新車の購入費用補助を少子化対策に取り入れたのでしょうか?
その理由は、「市民が3人目の出産を躊躇(ちゅうちょ)するのは、移動が大変だから」という情報を政府が掴んだからです。
そこで移動が楽になるように、大型車の購入費用を国が援助すると決めたワケです。
対策③:3年間の有給育児休暇
3つ目の対策は、「3年間しっかりと有給育児休暇が取得できること」です。
子供が生まれる前に、親が社会保険に加入していた場合、以下のお金が一定期間支給されます。
→ 金額は子供が生まれる前の給与の7割がベース
→ 金額は同じく給与の7割がベース
簡単に言えば、2~3年間はしっかりと有給育児休暇が取得できるということです。
ちなみに日本でも、出産・育児においては、比較的手厚い現金給付があります。
▼図解:出産・子育てでもらえる手当
→ 1人産んだら約42万円を受け取れる(出産費用とほぼ同額)
→ 産前42日~産後56日
→ 給与の3分の2が支給される
→ 産後56日~最大2歳まで
→ 最初の半年間は日給の67%が支給される
→ その後は日給の50%が支給される
さらに児童手当として、中学卒業まで合計で約200万円も受け取れるため、給付額としてはハンガリーに負けていないでしょう。
対策④:9年間で子供を3人出産すると約350万円もらえる
4つ目の対策は「新婦が18歳~40歳までの夫婦なら、最大1,000万ハンガリーフォリント(約350万円)のローンが受けられること」です。
しかも、このローンは住宅・育児・車など、どんなことにも使える自由なお金です。
実は、ローンを受けた夫婦が子供を出産する度に、ローンの返済が優遇されるのです。
→ 無利子のまま、返済が3年間猶予される
→ 3年間は、利子を1円も払わなくても、元本を1円も返済しなくても良い
→ 返済がさらに3年間猶予される
→ さらに、ローンの3分の1が返済不要となる
→ ローンの返済が不要となる
皆さんの中には、「子供を3人も産んで約350万円では割に合わない」という人もいるかもしれません。
ですが、1,000万ハンガリーフォリント(約350万円)は、ハンガリー人の平均年収の約2.5倍に相当します。
日本人の平均年収は約400万円なので、日本人の生活費・金銭感覚に置き換えると、「400万円 × 2.5倍 = 1,000万円」規模のローンが免除されるということです。
ちなみに、日本のソフトバンクグループ株式会社では、従業員に対する出産祝い金として、最大で総額915万円を支給しています。
- 第1子:5万円
- 第2子:10万円
- 第3子:100万円
- 第4子:300万円
- 第5子:500万円
(出典:ソフトバンクグループ株式会社「仕事と育児・介護の両立支援」より)
ハンガリーでは子供を3人出産すると、日本なら1,000万円もの価値があるお金が手に入るわけですから、いかに政府が少子化対策に本気なのかが分かります。
対策⑤:子供が3人以上いる家庭への不動産購入補助
5つ目の対策は、「子供が3人以上いる家庭が、新築不動産を購入する場合、3万ユーロを給付すること」です。
3万ユーロは日本円に換算すると、約380万円です。
ハンガリーの平均年収が約130万円ですから、年収の約3倍の金額になります。
つまり先程と同様、日本人の感覚で言えば約1,200万円(日本人の平均年収400万円 × 3倍)に相当するわけです。
さらに、4.5万ユーロまでの住宅ローンにかかる金利は、政府が補助してくれます。
「政府から頭金をもらい、しかも住宅ローンの金利まで負担してくれる」というイメージでしょう。
対策⑥:学生ローンの返済減免
6つ目の対策は、「子供の出産人数に合わせて学生ローンの返済を減免すること」です。
この対策は、大学などを卒業した、高学歴女性の出産を促す政策です。
奨学金などの学生ローンを借りていた女性が子供を出産すると、ローン返済を減免してくれます。
→ ローン返済が、3年間猶予される
→ ローン返済が、追加で3年間猶予される
→ さらにローン残高の50%が返済免除となる
→ ローン返済が全額免除となる
日本でも、奨学金の返済負担が重すぎて、「出産どころか、結婚もできない」という人が多くいます。
こういった人達に、ハンガリーの政策と同じようなフォローがあれば、少子化の流れも少し変わるかもしれません。
対策⑦:体外受精に関する費用の全額補助
最後7つ目の対策は、「体外受精に関する費用を一定回数だけ全額補助すること」です。
- 第1子:5回まで
- 第2子以降:4回まで
さらに、体外受精にかかる医薬品については、完全に「保険適用」となので、健康保険が適用されます。
過去に動画「2020年12月におけるお金のニュースBest9」でも解説した通り、日本でも不妊治療に関する助成がドンドン進んでいます。
体外受精などの高度な不妊治療を受けた場合の助成は、1回につき30万円
事実婚の夫婦も対象
所得制限も撤廃
最大6回までの助成回数を、「子ども1人につき」最大6回までに変更
最終的に不妊治療にかかる医療費は、2022年4月に公的医療保険の対象となる予定です。
不妊治療に関しては、政府の動向を今後もよく確認しておきましょう。
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さて、ハンガリーの驚くべき7つの少子化対策をあらためて振り返ってみましょう。
- 対策①:子供を4人出産すると定年まで所得税ゼロ
- 対策②:子供が3人以上の家族に対する新車購入補助
- 対策③:3年間の有給育児休暇
- 対策④:9年間で子供を3人出産すると約350万円もらえる
- 対策⑤:子供が3人以上いる家庭への不動産購入補助
- 対策⑥:学生ローンの返済減免
- 対策⑦:体外受精に関する費用の全額補助
大学卒業後、正社員として3年間働き、結婚をする。
結婚後、8年の間に4人の子供を産むと、最大で総額約2,000万円の恩恵を受けられる。
(出典:荒川和久『ハンガリーの少子化対策「女性よ、結婚したら8年以内に4人産め、産んだらまた働け」ということ』より)
ハンガリー人の平均年収(約130万円)を基準に考えれば、日本人なら「4,000~5,000万円」ぐらいの金銭的メリットと言えるでしょう。
今回の政策実施のために、ハンガリーはGDPの4.7%を少子化対策に当てています。
先進国の集まりであるOECD加盟37カ国の少子化対策は、平均で2.55%、日本では0.8%しか充てていないことを考えれば、ハンガリーの本気度が見て取れます。
そして政策を実施した結果、少子化に歯止めが掛かり、駐日ハンガリー大使も以下のようなコメントを残しました。
こうした制度がなければ、2011年以降、10万4000人もの子供が生まれなかったという統計が、制度の正しさを証明していると言えます。少子化対策というのは、最低でも10年はかかる国家の大計ですが、移民に頼らなくても人口を増やすことは、十分可能なのです
もちろん、ハンガリー国内において、国民全員が満足しているわけではありません。
誰もが満足する政策はありえないのですから、当然紹介した7つの対策にも賛否両論があるでしょう。
例えば、
しかし、政治家は色々な意見がある中で様々なしがらみを調整しながら、時に強いリーダーシップで改革を推し進める必要があるのです。
少子化対策の成功例の1つとして、皆さんも知っておくべき事例と言えるでしょう。
ハンガリーの少子化対策から学ぶべき3つのこと
さて、ハンガリーの少子化対策を知った皆さんからは、色々な意見が聞こえてくるでしょう。
「日本でも、同じような政策を導入すれば良いじゃん!」
「なんで日本の政治家は、もっと少子化対策に本気にならないんだ!」 「いやいや、子供を産む、産まないはその人の価値観次第でしょ?」 「産みたがる人ばかりが優遇されるのはおかしくない?」 「子供を産めない(産まない)女性は、社会に価値がないって言われてるみたい…。」その上で今回は、ハンガリーの少子化対策のニュースから人生を豊かにするために学ぶべきことを、リベ大目線で3つ解説します。
- ①政策は人々の行動を変える
- ②知らないと損をする
- ③自分の理想の人生を追い求めよう
学び①:政策は人々の行動を変える
政策というのは、国から国民へのメッセージみたいなものです。
例えば、「Go To トラベル」という政策は「みんな!もっと旅行して経済を回して!」というメッセージと言えます。
実際、「Go To トラベル」を利用して、旅行の計画を立てた人も多いのではないでしょうか?
「コロナを感染拡大させるんじゃないか?」
「ホテル・旅行業者ばかりが優遇されるのはおかしいんじゃないか?」
世の中には、たくさんの人がいるため、全員が満足・納得する政策というのは絶対に存在しません。
だからこそ、皆さんがすべきことは「国の政策が、人々の行動を変えてしまう」ということを意識した選挙行動です。
「自分には納得できない政策をする政治家」に投票する
「自分が理想とする政策をしてくれる政治家」に投票する
お金の勉強をすればするほど、「政治と経済」が密接に繋がっていることが分かってくるはずです。
今、国が行っている政策をしっかりと把握しながら、「自分の生活は自分で良くする!」という意識をしっかり持ってください。
そして、社会を良くするために「自分の1票」を大切に使っていきましょう。
日本の少子化についても、解決に向かうかどうかは、他でもない皆さんが持っている1票をどう使うか次第です。
学び②:知らないと損をする
リベ大は、これまで「情報を知らないと損をする」と、繰り返し伝え続けています。
YouTubeやブログで、お金の情報を発信するたびに「そんなこと知りませんでした!」というコメントをいただきます。
今回、ハンガリーの少子化対策について説明しましたが、もしかしたら、この内容を知らないハンガリー人もいるかもしれません。
言い換えれば、日本政府のお得な税制・お得な政策を全て把握していない日本人もいるかもしれないということです。
世の中というのは、兎にも角にも、「知らなければ損をする」ようにできています。
今回の記事を読んで、「ハンガリーすごい!最高!日本もこういう国になればいいのに!」と感じた人もいるかも知れません。
しかし、ハンガリー人に今の日本のお得な制度を紹介したら、「日本すごい!最高!ハンガリーもこういう国になれば良いのに!」と言われるかも知れません。
だからこそ、他の国の良さを知ること以上に、自分の国の良さを知ることが大切なのです。
「日本で暮らすメリットとは、なんだろうか?」
「自分に、もっと活用できる制度はないだろうか?」
上記のような目線で、あらためて自分の知識を整理してみましょう。
日本には、先人達が血の汗を流しながら積みあげてきてくれた、国民が豊かに暮らすための仕組みがたくさんあることにも気づいてください。
学び③:自分の理想の人生を追い求めよう
仮に自分の理想とする人生があるなら、政府が自分の理想とする政策をやってくれなくても、それを追い求めましょう。
実際のところ、日本で結婚や出産に悲観的な感情を持っている人は少なくありません。
「そんなこと言っても、こんな国じゃ結婚なんてできないよ!」
「この国でたくさん子供を産んで育てるなんて無理!」
ただ、リベ大はそれを承知の上で、皆さんには、やりたいことがあるならやる方法を考えて欲しいです。
- 結婚したいなら、結婚する
- 結婚したくないなら、結婚しない
- 子供が欲しいなら、金銭的な理由で諦めず産む
- 子供が欲しくないなら、子供を産まない
家計の状況や働き方を理由にして、やりたいことを諦める必要はありません。
大切なのは、ただ「自分がどうしたいのか?」というだけなのです。
あなたは年齢を重ね、いざ「死ぬ」時がやってきました。
すると神様が、「はい、お疲れさま。あなたの人生はここで終わりです。」と話しかけてきたのです。
その時、「政府がまともな政策をしてくれなかったから、ロクな人生にならなかった」という思いを抱いて死にたいでしょうか?
多くの人が「やれることをやって、納得して、満足して死にたい」と願うのではありませんか?
もし、皆さんが日本を嫌だと感じているなら、ハンガリーに移住する選択肢もあるでしょう。
他人の意見に左右されることなく、個人として理想の生活を求めて成功した人もいます。
学長がリベ大を運営している理由は、「1人でも多くの人に、自分らしい自由な人生を歩んで欲しいから」です。
リベ大が発信する「お金にまつわる5つの力」を学ぶことで、お金と時間が増え、自由な人生に一歩近づくでしょう。
▼図解:お金にまつわる5つの力
リベ大は、これからも皆さんの年収・資産が増えるように、あらゆるコンテンツを作っていきます。
ぜひ、一緒に頑張って皆さんの「理想の暮らし」を追い求めていきましょう。
まとめ:情報を手に入れるアンテナと共に自分の理想の人生を歩もう
今回は、はじめにハンガリーの驚くべき7つの少子化対策について解説しました。
- 対策①:子供を4人出産すると定年まで所得税ゼロ
- 対策②:子供が3人以上の家族に対する新車購入補助
- 対策③:3年間の有給育児休暇
- 対策④:9年間で子供を3人出産すると約350万円もらえる
- 対策⑤:子供が3人以上いる家庭への不動産購入補助
- 対策⑥:学生ローンの返済減免
- 対策⑦:体外受精に関する費用の全額補助
様々な統計からも「成功」と言える数字が出ているため、1つの成功例として知っておくと良いでしょう。
また、今回のニュースから、皆さんの人生が豊かになるための学びを3つ解説しました。
- ①政策は人々の行動を変える
- ②知らないと損をする
- ③自分の理想の人生を追い求めよう
政策は、国から国民へのメッセージであり、皆さんがそれをどう受け取めるのかが大切です。
誰もが満足する政策が存在しないからこそ、「国の政策が、人々の行動を変えてしまう」ということを意識した選挙行動をしましょう。
社会を良くするために、皆さんが持っている1票を大切に使ってください。
今回紹介した、ハンガリーの少子化対策の内容を知らないハンガリー人もいます。
そして、ハンガリー人から見たら「日本は最高だね!」と思う制度もたくさんあるはずです。
他の人の畑を見て、うまいやり方を眺めるのも良いですが、自分の畑の良さ・強みもしっかり把握しましょう。
政策は確かに重要ですが、かといって政策だけが人生を決めるわけではありません。
1票を投じる選挙行動を通じて、政策を変える働きかけをしながら、自分は自分として、理想の人生を求めましょう。
そのためにも、お金にまつわる5つの力をはじめ、必要な力を身につけることを微力ながらリベ大もお手伝いします。
日本の少子高齢化は、今のところ歯止めがかかる兆しはありません。
これから、どんな世の中になっていくのか誰にも分かりませんが、学び続けて、自分らしく生きていきましょう。
以上、こぱんでした!
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