こんにちは、こぱんです!
2020年9月、ダイヤモンド社から「DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ=ゼロで死ね)」という本が発売されました。
この本が伝えたいことを一言でまとめるなら、「お金なんて死ぬ前に全部使い切るのが正しい」ということです。
著者はアメリカ人の億万長者ですが、今回のような金融に関する本の多くは、金融大国アメリカが発信の原点なのです。
そのため、今後は日本でも「お金を増やす」のではなく、「お金を使い切る」という話題の本が増えるかもしれません。
そこで今回は、「お金を使い切ること」に関する3つのことを解説します。
- 「DIE WITH ZERO」で紹介された興味深いデータ
- お金を使い切れない4つの理由
- 学長自身の考えとみなさんにオススメの戦略とは?
みなさんも、ただ「お金を貯めるだけ」という味気のない人生にならないようにしていきましょう。
目次
解説動画:【ゼロで死ね】死ぬときに「資産をゼロ」にするのは正しいか?
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
「DIE WITH ZERO」で紹介された興味深いデータ
「DIE WITH ZERO」における著者の主張を簡単にまとめると、以下の5つです。
- お金は「今しかできないこと」のために使え
- 若いうちにしかできない「経験」は、借金をしてでもやれ
- 人生で一番大切な仕事は「思い出づくり」
- 45歳~60歳で資産を取り崩し始めろ
- ゼロで死ね
一般的な金融関係の本と比べて、最も異なるのは4つ目の「45歳~60歳で資産を取り崩し始めろ」です。
こんな突拍子もない主張をしている金融関係の本は、かつて見たことがありません。
一般的に老後は、60歳以上を想定しているため、45歳~60歳というのは資産形成期です。
なぜ「DIE WITH ZERO」では、資産形成期にあたる45歳~60歳に資産を取り崩し始めろと叫んでいるのでしょうか?
その理由は、非常に多くの人が「死ぬまでお金をため続け、そのお金を使わずに死んでいる」という事実を発見したからです。
アメリカで行われた調査の結果ですが、日本人でも十分参考になります。
また、「DIE WITH ZERO」のデータを知っているだけでも、みなさんの金融リテラシーはグッと上がるでしょう。
世帯収入・支出の比率
- 60代~90代の退職者全体で、年齢を問わず収支比率は「1 : 1」
- いつまで経っても、収入と支出は同じ金額である
- 退職した後も貯めた資産には手を付けない傾向がある
経済的に豊かな人達の資産推移
- 退職前に50万ドル(約5,200万円)以上の資産を持つ人達を調査
- 20年後、または死亡するまでに使った資産は、全体のわずか11.8%
- 88%以上の資産を残して亡くなっている
資産額が少ない人達の資産推移
- 退職前に20万ドル(約2,100万円)未満の資産を持つ人達を調査
- 退職後の18年間で、わずか25%の資産しか使っていない
- 75%もの資産が残っている
退職後の資産
- 全退職者の3分の1が、退職後に資産を増やしている
年金受給者の場合
- 退職後も安定した収入源が保証されている人達
- 退職後の18年間に使った資産はわずか4%だけ
- 一方、非年金受給者は、退職後の18年間で34%の資産を使っている
- 安定した年金を受け取っている人は、資産をほとんど使わない傾向がある
「老後のためにしっかりお金を貯めましょう」という言葉は、資産運用を始めると必ず目にするフレーズです。
ところが、現実のデータからは、全く違った風景が見えてきます。
老後の収支はトントンの人が多い
裕福な人は、退職時の資産を88%も残して亡くなる
裕福でない人も、退職時の資産を75%以上も残している
老後世帯の3分の1は、資産を増やしてしまう
年金受給者は、退職後の18年間で4%しか資産を減らしていない
つまりアメリカでは、「老後のためにしっかりお金を貯めてきた」という人達も、実際に退職すると全然お金を使っていないわけです。
そして、本当にそのまま、お金を使わないで死んでいきます。
さらに、「人々は70歳を過ぎても、意識的にお金を増やそうとしている」というデータまであるそうです。
上記のような事実を踏まえた上で、「DIE WITH ZERO」の著者は以下のように考えました。
使い切れないお金を稼いで死ぬことは時間の無駄
稼いだお金は全て使ってゼロで死なないとコスパが悪い
さて、みなさんは自分の老後に関して、どのような計画を立てていますか?
インデックス投資で、60歳に3,000万円を手に入れた時、本当に60歳を過ぎて取り崩せそうでしょうか?
関連動画
→インデックス投資(積立投資)のオススメ出口戦略! ~「4%ルール」で資産を長持ちさせながら効率よく取り崩そう~(マンガ動画)
おそらく、今回紹介したデータと同じように、多くの人が「使い切れないまま死ぬ」可能性は高いです。
そこで次は、なぜお金を使い切れないのか?という理由を分析していきましょう。
お金を使い切れない4つの理由
リベ大は、人がお金を使い切れないという事実に対して、4つの理由があると考えています。
- ①自分がいつ死ぬのか分からない
- ②老後の生活は意外にお金がかからない
- ③資産額はステータス・力となる
- ④子供に残したくなる
理由①:自分がいつ死ぬのか分からない
1つ目の理由は、「自分がいつ死ぬのか分からないから」です。
当たり前の話ですが、資産がゼロの状態で死ぬためには、大前提として死ぬタイミングを正確に把握する必要があります。
しかし、人間の寿命が見える「死神の目」を持つ人が存在するのは、漫画や映画の世界だけです。
災害があったらどうしよう
食料がなくなったらどうしよう
病気になったらどうしよう
ある意味で、不安を抱えて生きることが、遺伝子レベルで刻み込まれていると言えるでしょう。
だから、いつ死ぬか分からないのに、「不安」の多くを解消してくれるお金という強力なアイテムを手放すことはとても難しいのです。
これから10年、20年と生きるかもしれないのに、倉庫の食料をドンドン食べてゼロに近づけていくことは、精神的にかなり無理があるでしょう。
理由②:老後の生活は意外にお金がかからない
2つ目の理由は、「老後の生活は意外にお金がかからないから」です。
老後は、大きなお金が必要なライフイベントが全て終わっているという状態です。
結婚に対する費用:支払い済
子供の教育資金:支払い済
住宅の取得費用:支払い済
その他、ライフイベント費用:支払い済
また年齢を重ねていくと、体力が低下して、若い頃のように遊びまわることが難しくなります。
好奇心・意欲・食欲も低下していくため、「買いたいもの・欲しいものは特にない」という高齢者の方も少なくありません。
「DIE WITH ZERO」の著者の言葉を借りれば、「人間は年齢を重ねれば重ねるほど、お金から価値を引き出す能力」が下がっていきます。
下記は少し極端な例ですが、年齢によってお金の価値は全く違います。
- 20歳の人が持っている1,000万円
- 100歳の人が持っている1,000万円
若い人は旅行や勉強など、ガンガンお金を使って価値を引き出せますが、年を重ねるほど旅行などにも行けなくなってきます。
価値を引き出せないから使うこともできず、結果として老後の生活費がドンドン下がるというわけです。
老後にお金がかかるだうと現役時代に一生懸命貯めても、実際に老後生活に入ると、お金のかからない事実に違和感を覚えるかもしれません。
現役時代
- 「老後も、今と同じぐらいお金がかかるだろう」
- 「老後は病気なんかもするから、今以上にお金がかかるだろう」
老後
- 「あれ?思ったよりお金が減らないぞ?」
- 「なんであんなに一生懸命貯めてたんだ…?」
理由③:資産額はステータス・力となる
3つ目の理由は、「資産額はステータス・力となるから」です。
人間は世間体を気にする生き物なので、「人からどう見られているのか?」は、自分の人生の満足度を決める重要な要素なのです。
TwitterやInstagramなどのSNSで、資産額をアピールする投資家を見れば、承認欲求については理解しやすいでしょう。
そして、資産額によって他人からの見え方が変わることも事実です。
- 資産100万円より、資産1,000万円の方が凄いと言われる
- 資産1,000万円より、資産1億円の方が凄いと言われる
- 資産5億円なら…(以下続く)
このことは、決してネットの世界に限らず、みなさんが住んでいる地域でもおなじではないでしょうか?
ご近所さんや親戚などを横目に見ながら、誰もが他人の資産額を1つの基準として見ているのです。
資産50万の人は、資産100万の人を良いなと思う
資産100万の人は、資産200万の人を良いなと思う
そして、資産額が一種のステータスである以上、資産が減ることに対して喜びを感じる人はいません。
ある程度の資産を作った人なら、「他人と比較して裕福さを感じた経験」があるのではないでしょうか?
例えば、「同年代の貯金の平均は300万円だけど、自分は1,000万円あるから裕福だ」と考えることです。
要するに資産額は、自己肯定感・精神的余裕に繋がっているということを意味しているのです。
そして、お金があれば選択肢も増えるので、お金はやはり「力」であるという事実も忘れてはいけません。
「やろうと思えば色々できる」という状態は、非常にストレスが少なく、心地が良いものです。
一度、資産1,000万円を経験した人は、資産100万円の頃に戻りたいとは思わなくなります。
実際には資産額以外にも幸福度に影響する要素はたくさんあるため、「お金がなくなると不幸になるかも…」という思い込みは、一種のメンタルトラップと言えるでしょう。
ところが、この思い込みを克服するためには、悟りを開いた賢者にならないと難しいのも現実です。
資産0円の「貧困老人」として死にたくない
資産1億円の「裕福な老人」として死にたい
理由④:子供に残したくなる
4つ目の理由は、「子供に残したくなるから」です。
自分の人生を精一杯生きて、加齢によって気力・体力が衰えてくると、人は自分の財産を誰かに残したくなるものです。
特にお金持ちの多くは、教育熱心なことで知られており、彼らが強く望むのは「一族の繁栄」です。
そういう意味でも、子孫が栄える姿を見たいというのは、動物の本能的欲求なのかもしれません。
ちなみに、子供がいない人達の場合は、慈善事業に多額の寄付をしたりします。
相続人がおらず、お金を全て国に吸い上げられてしまうぐらいなら、みずから使い道を選んで寄付を望むのです。
「最後は社会の役に立ちたい」と考える人は、決して少なくないのです。
というわけで、4つの理由からも、お金を使い切るというモチベーションは全然湧かないわけです。
→ 不安で手元にお金を残しておきたい
→ 年齢を重ねていくと、お金から価値を引き出せなくなる
→ 減らすと自己肯定感や選択肢が減ってしまう
→ 一族の繁栄、もしくは社会への貢献を望む
リベ大は上記の理由から、データで示されているように「多くの人が資産を減らさずに死ぬこと」になるのだと考えています。
実際、学長のまわりでも「DIE WITH ZERO」に向けて、一生懸命にお金を減らそうとしているお金持ちはいないそうです。
学長自身の考えとみなさんにオススメの戦略とは?
結論から言えば、学長は「DIE WITH ZERO」ではなく、「持続可能な永遠の右肩上がり」を目指すそうです。
「何歳で死ぬことになっても、人生のピークで死にたい」というのが学長の想いです。
学長は、橘玲(たちばなあきら)さんが「幸福の資本論」で主張する「幸福は3つの資本が土台となる」という点を、感覚的に正しいと考えています。
- 金融資本:持っているお金の量
- 人的資本:働いて稼ぐ力
- 社会資本:家族・友人などとの絆・繋がり
また、上記の3つに加えて「健康」と「時間」も幸福の要素だと考えています。
この考えを前提にすると、「稼いだお金を無理にでも全て使い、コスパ良く生きること」は幸福の要素ではありません。
言い換えれば、稼いだお金・貯めたお金を使い切れるかどうかは、人生の満足度を決める最重要項目ではないということです。
そこで、学長が考える幸福な状態を、3つの資本に照らし合わせてみました。
金融資本
- いつも十分な金融資産がある
- 様々な「選択肢」を自由に選べる
人的資本
- 自分の事業を通じて自分の能力を活かせる
- 世の中に価値を提供してキレイにお金を稼げる
社会資本
- 家族や友人との繋がりをしっかり持てる
→ 自由な時間が持てる
→ 好きな仕事をすることができる
→ 良い人間関係を保てる
→ 健康にもプラスに働く
適度な労働・良好な人間関係が、健康・寿命に影響するということは、研究結果としても報告されています。
もし、「幸福の土台となる3つの資本」があり「時間」も「健康」も恵まれた状態を想像してみてください。
仮に「明日死ぬ」となったとき、お金を使い切れなくて人生を損したと感じるでしょうか?
だからこそ、学長は「持続可能なペースで、何歳になっても、しっかり幸福の3つの資本を伸ばし続けたい」と考えているのです。
そして、みなさんにオススメする戦略も同じことです。
「DIE WITH ZERO(ゼロで死ぬ)」
可能な限り、幸福の3つの資本を伸ばす
使わないお金を稼いでも意味がない
使わないお金を貯めても意味がない
みなさんは、「DIE WITH ZERO」という考え方について、どんな風に感じているでしょうか?
賛成・反対という意見を持つことこそ、お金との付き合い方を考える良い機会です。
ぜひ一度、みなさんなりの結論を導き出してください。
まとめ:様々なデータ・価値観から「お金に対する自分の軸」を確立しよう
今回は、「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」という本を題材に、「お金を使い切って死ぬこと」について解説しました。
本で取り上げられていた、老後の資産に関するアメリカの調査結果は、まさに驚愕のデータでした。
老後の収支はトントンの人が多い
裕福な人は、退職時の資産を88%も残して亡くなる
裕福でない人も、退職時の資産を75%以上も残している
老後世帯の3分の1は、資産を増やしてしまう
年金受給者は、退職後の18年間で4%しか資産を減らしていない
これが事実だとすれば、「老後のための貯蓄」とは一体何なのか?という根本的な問題にぶつかります。
そこで、リベ大は「人がなぜ、お金を使い切れないのか?」ということに対して、4つの理由があると考えました。
→ 不安で手元にお金を残しておきたい
→ 年齢を重ねていくと、お金から価値を引き出せなくなる
→ 減らすと自己肯定感や選択肢が減ってしまう
→ 一族の繁栄、もしくは社会への貢献を望む
すべての理由を無視して、全部使い切って死ぬことが、本当に合理的なのかは悩ましい問題でしょう。
実際に、学長の友人にも、稼いだお金を全て使うという友人がいます。
稼げている間は良いのですが、稼げなくなった時には選択肢が急激に狭まるため、いつも不安そうにしているそうです。
「お金がある生活」と「お金がない生活」のギャップに、一瞬で馴染めるのなら良いですが、現実はかなり難しいです。
だから学長も、「使い切って死ぬのではなく、幸福の土台となる3つの資本を伸ばし、健康で自由な時間を楽しむ」ことに焦点を当てています。
- 金融資本:持っているお金の量
- 人的資本:働いて稼ぐ力
- 社会資本:家族・友人などとの絆・繋がり
今回の「お金を使い切って死ぬこと」、そして「多くの人が使い切れずに死ぬこと」は、どちらも重要な話題です。
以前、インデックス投資をメインにおいて、キャッシュフローを強化するという戦略を紹介しました。
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→【投資の教科書に載ってないことを言います】配当金を再投資すべきかどうか?考え方を解説
まともな高配当株ファンドに投資して、配当金を再投資せずに全部使うことは、「今」と「未来」のバランスを取った戦略の1つです。
そんな戦略の必要性、そして合理性も今なら深く理解できるでしょう。
- いつ、どれだけ稼ぐのか?
- いつ、どれだけ貯めるのか?
- いつ、どれだけ使うのか?
もしかしたら、自分にはピンとくる答えがすぐに見つからず、モヤモヤした気分になるかもしれません。
ですが、「お金について考えることは、人生について考えること」であり、とても大事な話題です。
だからこそ、今回の記事をキッカケに、ぜひしっかりと考えてみてください。
こういう所で「自分の軸」を固めておくと、稼ぐこと・使うこと・運用することに迷いがなくなります。
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みなさんも、今より一歩自由な暮らしを目指して、着実に歩んでいきましょう!
以上、こぱんでした!
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