皆さんは投資をしていますか?
リベ大では、お金に困らない自由で豊かな人生を歩むための手段の一つとして、株式投資をおすすめしています。
リベ大をきっかけに投資を始めた人や勉強している人なら、ウォーレン・バフェット氏やチャーリー・マンガー氏の名前を聞いたことがあるかもしれません。
2022年4月30日、投資の神様と呼ばれるバフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」の57回目となる株主総会が、ネブラスカ州オマハで開催されました。
バークシャー・ハサウェイ社の株主総会は、投資家にとって聖地巡礼のような超人気イベントです。
対面での株主総会が行われたのは3年ぶりで、バフェット氏、マンガー氏が世界中の投資家からの様々な質問に回答しました。
例えば、下記は株主総会での両氏の発言です。
「米国の株式市場は、カジノになっている。」
「米国株式は、ポーカーのチップだ。」 「私たちは投機的な取引はしない。賢いからではない。正気だからだ。」 「ビットコインは無価値である。」今回の記事では、株主総会でのバフェット氏、マンガー氏の興味深い発言を5つのジャンルに分けて紹介します。
- ①現在の株式市場
- ②マーケットタイミング
- ③新興国株投資
- ④インフレ
- ⑤ビットコイン
投資の神様は今何を考えていて、両氏の発言について皆さんはどのように感じるでしょうか。
自分自身の考えを深めることができれば、きっと皆さんの資産形成に役立つはずです。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:教えて!投資の神様
目次
解説動画:【2022年最新】投資の神様ウォーレン・バフェットが年次総会で語った「興味深い発言」について解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
ジャンル①:現在の株式市場
最初に、現在の株式市場に関して、株主総会での両氏の発言を紹介します。
チャーリー・マンガー氏
「今の株式市場は、狂った投機市場になっている。
何もわかっていない素人が、よくわかっているわけでもないアドバイザーの指示で買っている。」
ウォーレン・バフェット氏「ウォール街では、株式をポーカーゲームのチップのように扱うよう奨励している。
米国の金融市場は、事実上カジノに変わった。
ウォール街は、人々が「投資」より「賭博」をするとき、より多くの金を稼ぐ。
資本主義という食卓から落ちるパンくずを手に入れている。
私たちは投機的な取引をしない。賢いからではない。正気だからだ。」
両氏は、現在の株式市場を不安定と見ています。
その原因となっているのが、オプション等を使った投機的な取引です。
もし株式を使って儲けたいのであれば、自分で株式に投資をするよりも、以下のように他人にリスクを取らせて手数料を稼ぐ方が確実です。
- 手数料の高い金融商品を売る
- 何度も何度も売り買いさせて手数料を取る
上記のような方法が横行しているのが現在のウォール街です。
手数料を抑えることが投資の鉄則であるとリベ大では伝えていますが、儲かるという夢が見れると、いくらでも手数料を支払う投資家もいます。
なぜなら、自分が払う手数料以上に儲かると思っているからです。
リベ大としては、投機的な取引を好む投資家を、一切否定しません。
マーケットの世界は、下記の点が全く考慮されないという特徴があります。
- 学歴
- 投資経験
- 目的
- 性別や年齢
- 収入や資産額
つまり、投資初心者もプロも、どんな投資手法の人も、皆同じ土俵で戦っているのです。
どんな人がいても良く、「お金が増えたかどうか」だけが基準の、実に平等な世界と言えるでしょう。
また、時に投機的な取引を行うアクティブな人たちは、マーケットに次のような影響をもたらす可能性があります。
- マーケットに流動性を提供する。
→ 売買が活発でなければ、欲しい時に買えず、売りたい時に売れない。
- 投機的な取引によって、株価が妥当な価格に落ち着く可能性がある。
→ 安いものは買われ、高いものは売られ、常に是正される。
- 過剰な売買が行われることで、チャンスが生まれる可能性がある。
→ バフェット氏も「マーケットはたまにおかしなことをするが、おかげでバークシャーにもチャンスが巡ってくる。」と述べている。
リベ大のスタンスは、投機的な取引を否定しないものの、家族や友人に勧めることもしません。
どんな投資スタイルでも、自分で考えた軸を持てているかを、常に問いかけるようにしましょう。
ジャンル②:マーケットタイミング
バフェット氏は、「投資の神様」や「オマハの賢人」と称される投資界のレジェンドです。
最近では、万年割安株だった日本の総合商社に投資をして、2年で倍に増やした実績もあります。
(※参考:韓国経済新聞-バフェット氏、日本の総合商社に投資し2年で元金の倍稼ぐ)
バフェット氏に、「株の買い時はいつ?」や「安値で重要な投資を実行する秘訣は何?」と聞きたくなる人もいるでしょう。
こういったマーケットタイミングに関するバフェット氏の回答は次の通りです。
「月曜日に株式市場が開いたとき、私たちはどうなるかほとんどわからない。
私たちのどちらも、市場がどうなるか、経済がどうなるかに基づいて投資すべきと言ったり考えたりしたことはない。
買い時が分かったことなどない。
自分がやっているのはバリュー投資。買い時は当てられないが価値があるものを安く買えているかは大体分かる。」
要するに、バフェット氏は、マーケットタイミングを見ていません。
これに関しては、マンガー氏も同様の回答です。
両氏は、マーケットタイミングを上手に読めているように見えるだけで、実際は「そんなことはない」と言っているのです。
投資を始めたばかりの人は、投資のプロは相場が読めると勘違いしがちです。
しかし、経済の動きや市場全体の値動きは、いわゆる複雑系です。
複雑系とは、相互に関連する複数の要因が合わさって、全体として何らかの性質を見せるものの、全体としての挙動は、個々の要因や部分から明らかになるものでもないモノを指します。
要するに、要素が複雑に絡み合いすぎて、次にどう動くかや、なぜそう動いたのか、という原因が特定できなくなる世界です。
もし皆さんが、「私は相場が読める!」と豪語している人を信用しかけた時は、投資のレジェンドでさえ「投資タイミングは分からない」と言っていることを思い出してください。
ジャンル③:新興国株式投資
「ロシアや中国など独裁的政権下の企業への投資にはリスクが伴うのでは?」という質問に対して、マンガー氏は次のように答えました。
「中国に投資するのは、優良企業に安く投資できるからだ。
そのためならリスクは多少高くても良い。
そう思わない人もいるだろう。」
最近では、投資に関して次のような考え方をしている人も多いのではないでしょうか。
ここで、2011年~2022年までのVOO(S&P500連動ファンド)、VWO(新興国株式の指数に連動するファンド)の推移を表したグラフを紹介します。
- 青線:2011年~2022年までのVOOの推移
→ 11年間で年率13.23倍(約4倍の成長)
- 赤線:2011年~2022年までのVWOの推移
→ 11年間で年率1.6%(約1.2倍の成長)
個別に見ると、S&P500を上回る成績を出している新興国株式もありますが、全体としてはイマイチな成績となっています。
新興国株式には下記の注意点があり、上級者向けの投資と言えます。
- GDPの成長通りに株価が伸びるとは限らない。
- 法整備が甘く、粉飾決算やインサイダー取引などの不正取引が横行している。
- 不況になると、真っ先に資金が引き上げられる。
新興国株式は、短期・中期で見ると爆発力があるのも事実ですが、長期投資には向かない傾向があります。
皆さんは、投資の世界に「人の行く 裏に道あり 花の山」という格言があるのをご存知でしょうか?
株式市場で利益を得るには、人と違うことをやらなければいけないという意味です。
初心者が個別株を選定するのが難しいという点は、ハッキリ意識しておくべきです。
リベ大としては、新興国株式が全世界株式の一部に含まれていれば、十分に分散できていると考えています。
マンガー氏は、「優良企業を安く買うためなら、多少リスクが高くても良い。」と言っています。
新興国株式特有のリスクや難しさは、当然承知しているでしょう。
チャンスがあるとチャレンジしたくなるのが人間ですが、チャンスとリスクは表裏一体です。
大切なのは、重要なリスクをすべて洗い出すことです。
リスクを洗い出した上で、そのリスクが現実になった時に自分が耐えられるのかを考えましょう。
チャンスだけに目が眩んで、リスクと真剣に向き合えないのは、投資初心者の特徴です。
ここで、マンガー氏の「そう思わない人もいるだろう」という発言について補足します。
投資のレジェンドは、マーケットには正解が無く、自分たちと異なる意見を持った人がいることを十分に理解しています。
自分の主張をした上で「そう思わない人もいるだろう」という大人の対応をしているのです。
王道と思えるS&P500や全世界株式に投資する人でさえ、世間からは「裏道を行く人」と思われているかもしれません。
家族や友人に自分が株式投資をしていると伝えた時、「株式投資ってリスクが高いんじゃない?」と言われることも多いでしょう。
そんな時は、マンガー氏のように「株式に投資をするのは人類の成長に乗れるからだ。そのためなら多少リスクは高くても良い。そう思わない人もいるだろう。」と答えると初心者っぽさが無くなるかもしれません。
ジャンル④:インフレについて
2022年現在、世界中でインフレが進行しています。
特にアメリカのインフレ率は約8%と、40年ぶりの高水準です。
インフレの原因を尋ねられた、バフェット氏は次のように回答しました。
「大規模な経済刺激策を実施したことが、インフレの主な原因だ。
ただ、パウエル※は自分にとってはヒーローだ。
やらねばならないことをやったのだから。」
※ジェローム・パウエル氏:アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の議長
アメリカはコロナ禍において、大規模な経済刺激策を実施した結果、インフレになりました。
しかし、当時何もしなかったら、インフレ以上に良くないことが起きていた可能性もあります。
また、中高生くらいの女子学生から、「このようなインフレ下で、投資する銘柄を1つ挙げるとしたら何ですか?」という質問が出ました。
両氏はこれに対して、特定の銘柄を挙げず、下記のように回答しました。
「たった1つの銘柄より、良いことを教えよう。
あなたが何かの活動でみんなから選んでもらえるようになれば、歌、野球、弁護士なんであれ、あなたから奪うことができない能力なら、あなたがインフレで目減りすることもない。
他の誰かが育てた小麦、綿花、なんであれ、あなたの能力と売買したがるだろう。だから、ダントツで最良の投資とは、自らを成長させることなんだ。それには税金もかからない。
あなたが本当に好きで、うまくやれて、社会にとって有益なことにたどり着いたなら、ドル札の購買力なんてどうでもいいことだ。
町で一番の医者なら(能力とそれが生み出す購買力を)奪い取ることなんてできないんだ。」
要するに、インフレに対する最強の防衛策は、「人的資本=働いて稼ぐ力」をつけることが重要と言っているのです。
これはリベ大でもずっと伝え続けています。
大切なのは、総合力やバランスです。
両氏の回答は、どれか1つの銘柄でインフレに備えようとするのはナンセンスと再認識させてくれます。
そしてマンガー氏は、次のように付け加えています。
「私も、あなたにアドバイスがある。
老後のための資金運用でアドバイザーにビットコインを勧められても"ノー"と言いなさい。」
インフレになると、通貨の価値は下がります。
ドルやユーロ、円などの法定通貨の価値は、刷りすぎると下がっていきます。
一方で、発行枚数に上限があるビットコインは、インフレする心配が無く、「老後のための資産運用として良いのでは?」と思う人がいるかもしれません。
ジャンル⑤:ビットコイン
ビットコインについて、バフェット氏、マンガー氏は次のように語っています。
ウォーレン・バフェット氏
「ビットコインは何も生まない。農地や賃貸物件のように実質的な価値がない。だからビットコインには投資しない。」
チャーリー・マンガー氏「愚かなこと、悪いこと、他人と比べて自分を悪く見せることは避けなければならないが、ビットコインはこの3つをすべて持っている。」
「もし君が世界のすべてのビットコインを所有していて、それを私に25ドルでオファーしたとしても、私は受け取らない。
なぜって、それ(ビットコイン)で何をするっていうんだい?
私は、どうにかして、それを売り戻さねばならなくなるだろう。それは何もしてくれないだろう。」
リベ大のブログやYouTubeで勉強している人の中には、リベ大はビットコインに否定的と感じている人も多いでしょう。
リベ大は、国家主導の貨幣制度の問題点も認識しつつ、ブロックチェーン技術の未来も理解しています。
しかし、単純に小金持ちを目指すための、再現性の高い資産形成の投資先としては、ビットコインが適切ではないと考えています。
一方で、2022年時点のビットコインの時価総額は、100兆円近くあります。
トヨタの時価総額が約40兆円なので、2倍強の規模です。
つまり、投資家はトヨタの全株式よりも、ビットコインの方が価値が高いと考えているのです。
円やドルが通貨として機能しているのは、人々が「価値がある」と信じているからであり、同様にビットコインにもある程度の信認があると言えるでしょう。
工業的・実用的な要素を除いたとしても、人々が美しいと感じ、価値があると思うからこそ、昔から高値で取引され続けています。
利息や配当を生まないものは無価値という単純な話ではありません。
インカムゲインを生まなくても、キャピタルゲインを生むものは、資産です。
- インカムゲイン:資産の保有によって得られる利益
- キャピタルゲイン:資産の売買によって得られる利益
何らかの理由により、人々が価値があると信じ、値上がりしていくものが資産です
ただし、値上がりの理由が神話や幻想というケースは注意しましょう。
ビットコインが、かつてのチューリップバブル※の球根のように「本当は無価値(もしくは大した価値が無い)」なのか、「新しい通貨として人々の信認を獲得し続ける」のかは分かりません。
1637年にオランダで起きた、チューリップの球根の価格がものすごく高騰した期間。
球根1つで家が一軒買えるほどチューリップの球根が高騰したが、その後突然暴落した。世界で最初のバブルと言われている。※諸説あり
ビットコインに便乗するインチキコインやインチキビジネス
暗号資産界隈に生息している詐欺師や詐欺まがいの業者
投資家保護といった法整備の弱さ
繰り返しますが、リベ大ではビットコインを含めた暗号資産への投資は、堅実な資産形成を目的とするのであれば、おすすめしません。
ただし、バフェット氏やマンガー氏のように、暗号資産の批判もしません。
今回の両氏のコメントから伝えたかったことは、最終判断は自分の頭でする必要があるということです。
あひるくんのような妄信は、資産を築ける人の姿勢としてはおすすめしません。
リベ大からの発信に対しても、皆さんも次のような姿勢で受け取ってください。
納得して自分の生活に活かせるものは取り入れる
納得できず自分とは相入れないものは捨て置く
皆さんの資産形成に関して、誰よりも真剣になれるのは、皆さん自身です。
皆さんを自動でお金持ちの世界に連れて行ってくれるエスカレーターはありません。
まとめ:投資の神様の言葉からどのようなアクションを起こすのか自分で考えよう!
今回の記事では、2022年に開催されたバークシャー社の株主総会で生まれたバフェット氏、マンガー氏の興味深い発言を5つのジャンルに分けて解説しました。
5つのジャンルと両氏の発言をまとめると下記の通りです。
①現在の株式市場
「狂った投機市場になっている。米国の金融市場はカジノになった。
私たちは投機的な取引はしない。賢いからではない。正気だからだ。」
②マーケットタイミング
「私たちには、わからない。買い時が分かったことなどない。
価値があるものを安く買えているかは大体分かる。」
③ロシアや中国などの新興国株投資
「中国に投資するのは、優良企業に安く投資できるからだ。
そのためならリスクは多少高くても良い。そう思わない人もいるだろう。」
④インフレ
「大規模な経済刺激策を実施したことが、インフレの主な原因だ。
ただ、パウエルは自分にとってはヒーローだ。やらねばならないことをやったのだから。
インフレに対する一番の防衛策は、自分への投資だ。」
⑤ビットコイン
「ビットコインは何も生まない。農地や賃貸物件のように実質的な価値がない。だからビットコインには投資しない。
愚かなこと、悪いこと、他人と比べて自分を悪く見せることは避けなければならないが、ビットコインはこの3つをすべて持っている。」
紹介した発言を聞いて、皆さん自身がどのようなアクションを取るのかが重要です。
ここで、現実的なアクションプランを下記に例示します。
市場の急落に備えてリスクを取りすぎない。
下手にタイミングを読まず、淡々と自分のスタイルを守る。
今話題になっていない投資先にも気を配る。
インフレ対策として、株式や人的資本にお金を分配する。
例示したアクションプランは、皆さんの生活を破綻させるものではないとリベ大では考えています。
今回紹介したバフェット氏、マンガー氏の発言を受けて、皆さんも色々な感想を持ったでしょう。
「自分が何を感じて、今後どう行動するべきか。」までアウトプットできると、学びのレベルは一気に深くなります。
以上、こぱんでした!
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