こんにちは、こぱんです!
2020年11月10日にビッグニュースが飛びこんで来ました。
「ファイザーの新型コロナワクチン、確率90%超で感染防ぐ暫定結果」(出典:ブルームバーグ)
これを受けて、NYダウは先週末比1,600ドル高、一時2万9,933ドルまで暴騰しました。
史上最高値を更新し、3万ドルに迫るなど、お祭り騒ぎになっています。
一方、このニュースを受けて疑問を抱いている人も多いと思います。
そこで今回は、コロナワクチンに関する疑問と今後の相場状況について解説します。
- ワクチンQ&A
- 相場状況・今後の売買のヒント
皆さんの「情報リテラシー」を高めるため、
誰でも使える
非常に役に立つ
有用ツールも紹介します。
目次
解説動画:【株価爆上げ】米ファイザーの新型コロナワクチンと「株式市場への影響」を解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
ワクチンQ&A
今回のワクチン開発に関するニュースについては、国内外のメディアで様々な報じ方をしています。
各報道機関の情報が分散しているので、まとめて「Q&A形式」にしました。
- Q1:どこの会社が開発しているワクチン?
- Q2:どんなワクチン?
- Q3:どれぐらいの効果がある?
- Q4:安全性に問題はない?
- Q5:ワクチン開発は、数年以上かかると言われてなかった?
- Q6:ワクチン開発をしてる会社は、他にもなかった?
- Q7:皆に行き渡るワクチンを確保できる?
- Q8:他に、何か知っておいた方が良いことはある?
Q1:どこの会社が開発しているワクチン?
今回話題となっているワクチンを開発したのは以下の2社です。
- ファイザー(アメリカの超大手製薬企業)
- ビオンテック(ドイツのバイオ医薬品ベンチャー)
ファイザーは、製薬企業のうち世界第2位の売上を誇るメガファーマです。
RPGとかマンガで例えるなら、製薬業界の「ラスボス」のポジションの会社です(笑)
このニュースを受けて、11月9日の株価は一時プラス15%と大暴騰しました。
Q2:どんなワクチン?
mRNAワクチンという種類です。
体内に侵入したコロナウイルスを退治する、免疫システムを強化するワクチンです。
BBCニュースが使っていた「絵」が分かりやすかったので、引用します。
作用機序(薬が治療効果を及ぼす仕組みのこと)をまとめると以下の通りです。
- RNAと呼ばれる新型コロナウイルスの遺伝子コードを採取し、脂質に封入することで人間の細胞内に入るようにする
- 患者に注射することでワクチンは細胞に入り、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を生成するよう指示する
- これによって免疫系が刺激され、抗体が作られるとともに、感染した細胞を破壊するT細胞が活性化する
- ワクチンを接種した人が新型ウイルスに接触すると、抗体とT細胞がウイルスへの攻撃を始める
ウイルスは人の体(宿主)に入ると、入り込んだ細胞に自身の設計図(RNA)を送り込みます。
そして自分のコピーを、宿主の細胞に複製させることで増殖していきます。
ウイルスが細胞に対して
「俺のコピーを作れ!」
という命令をするイメージです。
mRNAワクチンは、ウイルスの複製と似たような仕組みです。
コロナウイルスから人体に悪さをする部分を取り除き、コロナウイルスを攻撃する抗体の設計図(mRNAワクチン)を人工的に作ります。
作ったmRNAワクチンを人体に投与すると、体の中でコロナウイルスを攻撃する物質が作られるのです。
つまり、ウイルス感染の仕組みを人工的に作って、抗体を作らせるのがmRNAワクチンです。
要するに、このワクチンを接種すると
- 抗体
- T細胞
が、新型コロナウイルスを攻撃してくれるようになるということです。
Q3:どれぐらいの効果がある?
90%を超える確率で、感染を防いだとのことです。(出典:ブルームバーグ)
Q4:安全性に問題はない?
ファイザーの発表によると「治験参加者は43,538人で、重大な安全性の懸念は認められない」とのことです。(出典:ファイザーリリース資料(英文))
ですが、今はまだワクチン開発の最終フェーズにすぎません。
今のところ重大な安全性の懸念がないというだけで、開発状況次第では今後どうなるかは分かりません。
安全性に問題がないというのは、あくまで会社側のデータに基づく発表であり、これから行政機関によるチェックも入ります。
医薬品の開発では
会社側のデータに不備や改ざんがある
試験の最後の最後に、重大な副作用が発見される
など、日常茶飯事です。
Q5:ワクチン開発は、数年以上かかると言われてなかった?
コロナのワクチンは、例外的に超スピードで開発されています。
一般的なワクチンは、開発から製造まで10年かかりますが、コロナウイルスのワクチンは、開発から配布までを2年でやろうとしているのです。
本来、治験はゆっくり時間をかけて少しずつ行いますが、今回は特別にどんどん試していっているそうです。
この超スピード開発が、今後重大な副作用、薬害事件をもたらさないかどうか懸念している人たちも、当然存在しています。
Q6:ワクチン開発をしてる会社は、他にもなかった?
2020年11月現在、試験の最終フェーズ(第3フェーズ)にあるワクチンは11種類です。
- ファイザー(米国)
- オックスフォード大学・アストラゼネカ(英国)
- 米モデルナ(米国) etc
ちなみに、
- 第1フェーズにあるワクチンが38種類
- 第2フェーズにあるワクチンが14種類
と、それぞれあります。
さらに、医薬品の規制が緩めな中国やロシアなどでは、6種類のワクチンが限定使用の承認を受けています。
人類トップの頭脳を持つ科学者たちが、総力戦で挑んでくれています。
「承認」されたワクチンはまだありませんが、誰かがゴールまでたどり着いてくれると信じましょう。
Q7:皆に行き渡るワクチンを確保できる?
日経新聞によると、次の通り。
ファイザーは規制当局の承認が得られれば、年内に世界で最大5,000万回分(2,500万人分に相当)、21年末までには最大13億回分のワクチンを製造する計画だ。
日本政府は同社から1億2,000万回分のワクチンの供給を受けることで基本合意している。
ワクチンが完成しさえすれば、皆が接種できるというわけではありません。
厚生労働省によると摂取対象者に優先順位をつけることを検討しているようです。
全国民に提供できるワクチンの数量を確保することを目指していますが、国民の人数に匹敵する大量のワクチンは一度には生産できず、徐々に供給が行われることになりますので、接種対象者に一定の接種順位を決めて接種する必要があると考えられます。
新型コロナウイルス感染症患者に直接医療を提供する施設の医療従事者等や高齢者及び基礎疾患を有する者を接種順位の上位に位置付けて接種することについて検討しています。
ちなみにBBCニュースによると、今回のワクチンは「摂氏マイナス80度以下で保管しなければならない」らしく、流通面で数々の困難が待ち受けています。
- 完全に保冷して、飛行機で国別に輸送
- 空港から保冷トラックで、倉庫(冷蔵室)へ輸送
- 保冷ボックスに移し、各医療施設・家庭へ
などの配慮が必要です。
新興国などでは、効果を保持した状態でワクチンが届けられるか危惧されています。
Q8:他に、何か知っておいた方が良いことはある?
独断と偏見によるリベ大の所感ですが、以下のニュースが気になりました。
これらのことは知っておいても良いでしょう。
ワクチンができたとしても、まだ多くの課題が残っていることもわかると思います。
「ワクチンできたからもう絶対に安心!」とハメを外した結果、感染拡大する可能性
「開発が早いすぎる。副作用が怖いから接種しない。」という人も出てきそう
「ワクチンを優先的に得られる権利を売ります。」という詐欺も出てきそう
といった問題も想定されるので、油断せずにいましょう。
Q&Aまとめ
当初、ワクチンの有効性はせいぜい60~70%ぐらいだと考えられていたそうです。
それが、ファイザーのワクチンは90%の確率で予防できるということで、
驚異的
異常
だとして、感染症の専門家に称賛されています。
素晴らしいニュースに世界が湧いており、科学者たちの努力に頭が上がりません。
一刻も早く医療従事者たちの負担が減り、不況に苦しむ企業・自営業者たちの業績が回復することを願っています。
色々な情報が出回っていますが、その中から本当に重要な情報を選択し、世の中が良くなっていくように、みんなで一緒に頑張っていきましょう^^
ちなみに「海外発」の情報は、やはり元のメディアを見れた方が良いです。
DeepLという無料翻訳サイトを使えば、かなり高い精度で日本語に翻訳してくれるよ^^
使い方は非常に簡単です。
海外メディアの記事をコピー
DeepLの左側にペースト
→ ペーストしたら、右側に翻訳結果が表示される
昔の翻訳ツールは和訳の精度が低く、要点を掴むことすら難しかったのですが、DeepLなら要点を掴むのに困ることはほぼありません。
小さなニュースをいちいち翻訳する必要はありませんが、今回のような世界が動く大きなニュースに関しては、自分の目で確かめるクセをつけた方が良いでしょう。
世の中には、マネーリテラシー的にアウトな姿勢の人も大勢います。
- 記事の中身を読まず、タイトルだけを見て反応する
- 複数メディアを比較せず、1つのメディアだけを妄信している
- 人の言っていることを、ただ鵜呑みにしてしまう
しかし繰り返し伝えているように、自分以上に自分のお金を大切にしようとする人はいません。
- 自分の収入を増やせるのも
- 自分の資産を増やせるのも
- 自分のお金を守れるのも
究極的には、自分だけです。
ですので皆さんは、情報を基に「自分で考えること」を、ぜひ習慣にしてください。
複数のメディアを比較すること
ソースを確認しにいくこと
海外メディアの情報も、自分で見ること
ワクチンに関するQ&Aをおさえたところで、相場状況・今後の相場影響について見ていきましょう。
今後の相場影響(売買のヒント)
今回のニュースによって、全世界株の指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」は、1.8兆ドル(約190兆円)もの価値が増えたそうです。
「コロナ終了!?世界経済が“通常運転”に戻るぞ!」
と考えた投資家達が、株に殺到したというワケですね。
この数週間、コロナウイルスによる新規感染者は右肩上がりを続けていました。
アメリカでは、1日の感染者数が10万人越え(累計1,000万人、死亡者24万人)
ヨーロッパでは、再度外出禁止令やロックダウン(都市封鎖)実施
など、完全に「第2波」を食らっている状況でした。
そんな中で、ワクチン開発が順調だというデータが出てきたため、一気にお祭り騒ぎになったのです。
株価の推移
冒頭で解説した通り、NYダウは史上最高値を更新して3万ドルに近づきました。
しかしその一方で、ナスダックは下げています。
これは、今回のニュースにおける「象徴的」な値動きです。
コロナでひどいダメージを受けた企業は買い
コロナで業績がアップしたハイテク企業は売り
最近では、ウィズコロナ・アフターコロナ時代に強い企業が選好されていました。
しかし、ワクチン完成によりコロナそのものが退治できるなら、ある程度はビフォーコロナの経済に戻るだろうと考えられているのです。
例えば、航空株を集めた「JETS」というファンドは前日比プラス16.11%と大暴騰しました。
ダウの構成銘柄の中では、航空機会社のボーイングが急騰したほか、娯楽・映画の「ウォルト・ディズニー・カンパニー」が前日比プラス11.87%と急騰。
映画関連株は軒並み上昇しており、その他にも鉄道株、ホテル株なども高騰中です。
SPYD(伝統産業・オールドエコノミーが多い高配当株ファンド)は前日比プラス10.18%と暴騰しています。
HDVやVYMといった高配当ファンドも、4%前後上昇しています。
一方「コロナ銘柄」として脚光を浴びていたzoomは、前日比マイナス17.37%と大暴落です。
ナスダックに上場するハイテク企業を集めた「QQQ」というファンドも、前日比マイナス2.04%と下落しています。
このように
今まで買われてた株が売られて
今まで売られてた株が買われた
という、ターンチェンジが起きたのです。
- 大きく空売りしていた人
- バリュー株に愛想をつかして損切りして、ハイテク株を掴みにいった人
などは、往復ビンタのダメージを受けてしまったのではないでしょうか。
バリュー株は下がったところで損失確定
新しく買ったハイテク株も急落中
正直に言うと、リベ大両学長の考えとしては
- 大統領選挙に伴う、高いボラティリティ
- コロナウイルス感染再拡大
を受けて、短期的には「下落」に動くと見ていたそうです。
それが「ワクチン」というまさかのニュースで大暴騰しました。
これは全くの予想外だったとのことです。
とはいえ短期取引はしないので、空売りをしていたわけではありません。
今回の上げは、全部そのまま保有株にプラスに働くので、特に影響はありません。
上がっても良いし(値上がり+配当金)
下がっても良い(買い増すだけ+配当金)
という投資をやっているので、何も困ってないとのことです。
短期投資で勝負に出た人たちの中には、手痛いダメージを受けている人もいると思います。
ですが、投資ではリスク・リターンは表裏一体で、短期投資をやっている人の中には大儲けしている人もいます。
なので、結局「自分のリスク許容度・投資目的に合ったことをしよう」という結論になりますね。
インデックス投資について
さて、最後に今回のニュースを受けて「今後の売買のヒント」に触れて終わりにします。
まず、インデックス投資についてです。
こちらは、基本的にはどんなニュースがあろうと、淡々と積み立て続ければ大丈夫です。
インデックス投資でも
投資の前提が変わっていないか
アセットアロケーション(資産配分)を調整する必要がないか
をチェックするために、ニュースは追った方が良いです。
- 世界は成長し続けるという前提が崩れる
- 資本主義に代わる新しい仕組みができて、世界が変わる
- 地球に隕石が落ちてきて、お金を使わない世界になる(笑)
などで、気づいたときには手遅れのゆでガエル状態にならないように、状況の変化を見極める必要があります。
今回のワクチンのニュースで
「株を増やして、ゴールドを減らそう」 「先進国を増やして、新興国を減らそう」という動きが必要かどうか改めて考えるべきだということです。
自分に最適なアセットアロケーションを「誰かに教えてもらう」ということはできません。
自分で、納得できるまで考え抜きましょう。
正解のない世界なので、ちょっとずつ調整していけば十分です。
両学長個人としては、バブル化を警戒して、キャッシュを十分に残しつつ株式を厚めに持つ予定です。
国別の投資比率を変える気も特になく、今まで通りのスタンスを維持するそうです。
高配当株投資について
次に、高配当株投資についてです。
こちらはアクティブ運用なので、以下2つの見極めが非常に重要です。
- 銘柄選定
- 投資タイミング
高配当株投資は、もしこのまま株価が上がるならやりづらくなります。
本来はもっとボロボロに売られてて良い経済状態でした。
それを、金融緩和のおかげで株価が持ちこたえていたのです。
もともとそんな状況だったにもかかわらず、さらにこのまま株価が上がるなら、「お買い得感」はますますなくなります。
もちろん、個別に見ていけばまだまだ買える株はあります。
しかし、トータルとしてはチャンスが減っていくと思います。
今後の相場状況まとめ
ワクチンの中間解析のニュースでこれだけ株価が上がるということは、なにか失望を誘うニュースがあれば、すぐ暴落するということです。
「短期の株価がどう動くのか?」を正確に予想するのはプロでも難しいので、今後も決して楽観的な見方はできません。
大切なのは、投資を長く続けることです。
とにかく、リスク許容度を守りながら
上がったら嬉しい
下がっても嬉しい(少なくとも、死なない)
というバランスで、やっていきましょう。
まとめ:お祭り騒ぎの株価暴騰に惑わされず、状況の変化を見極めよう
ファイザーによるワクチン開発のニュースを受けて、以下の2つについて解説しました。
- ワクチンQ&A
- 相場状況・今後の売買のヒント
ワクチンに関するQ&Aは以下の通りです。
A:ファイザー(米国)とビオンテック(ドイツ)の共同開発です。
A:免疫システムを強化し「抗体」と「T細胞」でコロナウイルスを撃退するワクチンです。
A:90%の確率で予防できると言われています。
A:ファイザーが「治験参加者は43,538人で、重大な安全性の懸念は認められない」という回答をしています。
ただし、試験はまだ途中のため、行政機関により今後ダメ出しされる可能性はまだまだあります。
A:普通は10年ですが、コロナワクチンは2年の予定です。
例外的に超高速で開発が進んでいます。
A:開発の最終フェーズにあるワクチンは、全部で11種類あります。
A:ファイザーは2021年末までに7億人弱に提供できる量を製造可能としています。
日本には、6,000万人分提供されるように政府が同社と合意しているそうです。
A:リベ大の独断と偏見で知っておいた方が良いことは以下の通りです。
- ワクチンの有効期間は不明
- 高齢者や重症患者にどれだけ効果があるか不明
- ワクチンが開発されても、感染症対策が不要になるわけではない
- 薬害を恐れ、ワクチンを接種しないとしている人も2~3割存在する
相場状況としては、ファイザーのニュースを受けて
今まで買われていた「コロナに強い」銘柄が売られて
今まで売られていた「コロナに弱い」銘柄が買われる
ターンチェンジが起きています。
短期投資をやっている人は、戦略の見直しが必要です。
繰り返しになりますが、ワクチンのニュースでこれだけ株価が上がるということは、失望を誘うニュースがあれば、すぐに大暴落するということです。
どんな状況になろうと、お金にまつわる5つの力をフル活用して、資産を増やしていきましょう。
▼図解:お金にまつわる5つの力
目まぐるしく状況が変わりますが、1日でも早くコロナが収束して、皆が自由に移動できる世界が戻ることを願っています。
資産を増やすことも大切ですが、健康あってこその資産です。
まずは健康第一に、これからもしっかり学んで行動して、自由への道を歩んでいきましょう。
以上、こぱんでした!
「お金にまつわる5つの力」を磨くための実践の場として、オンラインコミュニティ「リベシティ」をご活用ください♪
同じ志を持った仲間と一緒に成長していきましょう!
自由へと一歩近付くための「お金にまつわる5つの力」の基本をまとめた一冊です!