皆さんがリベ大で日々学んでいるように、リベ大両学長も日々「お金のノウハウ」を蓄積しています。
今回の記事は、両学長がインプットしたニュースの中から、お得なモノやトレンドを毎月ピックアップしてお届けする人気企画、「お金のニュース」です。
リベ大で紹介するお金のニュースは、以下のテーマに関係したものに絞っています。
- 年収アップ(転職、副業、起業ネタ)
- 貯蓄額アップ(節約ネタ)
- 投資(株式投資、不動産投資ネタ)
- 資産防衛(節税対策、詐欺にあわないための知恵)
今回は2024年の第2弾として、皆さんの資産形成に関係する重要なニュースを厳選しました。
「お金のニュース」は、以下のような人に向けた時間節約記事となっています。
「新聞を読む暇がない」
「ネット記事を見る時間がない」
「読んだけどよく意味が分からなかったから、解説してほしい」
毎月1本、このシリーズの記事を1年間読み続ければ、金融リテラシーが上がるネタを約100本も学べます。
コツコツと積み上げていくことで、毎月確実にレベルアップできるでしょう。
関連記事
目次
解説動画:【知って得する】学長が選ぶ「お得」「トレンド」お金のニュースBest7
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
【2024年 第2弾】お金のニュース
ニュース①:あおぞら銀行大減配!個人投資家大ショック
1つ目のニュースは、2024年2月1日のロイターから、「あおぞら銀、今期15年ぶり最終赤字に 有価証券で410億円の損失」です。
あおぞら銀行が赤字・大減配という状況になりました。
- 米国のオフィス向け不動産融資が焦げ付きそう
- 外国債券などの有価証券で大損した
という状況になっており、結果的に15期ぶりの赤字転落で配当金が出せなくなるという内容です。
高配当株投資家にとっては非常に重要な話題です。
そもそもあおぞら銀行というのは、日本にある銀行の中で、売上ランキングは15位前後の規模になっており、日経平均株価にも採用されている大企業です。
(参考:日本経済新聞「日経平均株価 銀行」)
個人投資家にとっては、以下のように「高配当株」としても大人気でした。
(参考:バフェット・コード「銀行業業界 売上高ランキング(企業一覧)」)
- 2019年~2023年3月期の平均配当利回り:約6.1%(超高利回り)
- 年4回の配当(通常の日本株は年1〜2回の配当)
- 過去、旧NISAでの買付金額ランキングでTOP3に入ったこともある
(出典:ZAiオンライン「【NISA口座】みんなが買っている人気の銘柄は?」)
過去10年を遡っただけでも、以下のように配当が減った実績があります。
- 2018年:3円減配
- 2019年:30円減配
- 2021年:32円減配
(出典:IR BANK「あおぞら銀行」)
そもそも銀行業は景気敏感な業種に分類されます。
その意味で、リーマンショックのような不景気では最前線で「直撃弾」を食らうことになります。
そこで、他の高配当株と比べてもより厳しい目で
- 収益性(効率的にたくさん儲けているか)
- 財務安全性(何があっても持ちこたえられる財産があるか)
をチェックしなければなりません。
この点あおぞら銀行は、銀行の中で見ても特別に高い収益性があるワケでもなく、特別に高い財務安全性があるワケでもありません。
実際あおぞら銀行が減配した2018年、2019年、2021年は、三菱UFJフィナンシャルグループや三井住友フィナンシャルグループなどは減配していません。
ちなみに2023年のあおぞら銀行の配当性向は、なんと206%という水準になっています。
(出典:IR BANK「あおぞら銀行」)
200%という数字は、稼いだ利益の「約2倍の金額」を他人に渡している状況です。
今年の利益は100円なのに、株主には206円配当したような状況と考えてください。
例えるなら、手取り月給20万円の人が大好きな人に振り向いてもらうために、40万円のプレゼントを買っているようなイメージです。
最終的に、プレゼントに使える額は減ってしまいます。
そのタイミングが早速やってきたのが、今回のあおぞら銀行のニュースというワケです。
今回皆さんにお伝えしたいのは、ただ配当利回りが高いだけの「人気高配当株」には要注意!という点です。
高配当株投資をする上では、以下のようにクオリティの高い株を選ぶ必要があります。
- 収益性が高い
- 財務安全性が高い
- 売上やEPS(1株あたり純利益)が増加傾向
- 安定配当(なかなか減配しない)
- 不人気で割安
とはいえ、これだけ注意しても減配を食らうのが株式投資の怖いところです。
というワケで、今回あおぞら銀行で減配を受けてしまった人も、へこむ必要は全くありません。
リスクを取っていれば、今回のようなことは必ずついて回るものだからです。
以下のように色々な考え方があるので、今回のケースを踏まえて次に生かしていきましょう。
「今回のことは想定内。配当利回りを得るにはリスクはつきもの」
「今度は配当利回り以外にも、もっと色々なところを見よう」
「今度は投資銘柄をもっと増やして分散して、ダメージを減らそう」
逆に今回のようなニュースで多くの人が悲観的になると、「優良な高配当株」を安く買える可能性も高まるため、プラスに捉えることもできます。
良い銘柄を少しでも安く買うためには、人気は出ない方が良いワケです。
引き続きリベシティ内では、優良高配当株や優良高配当株ファンドに関する情報を発信していきます。
月5万円の配当金を受け取れるようになったら、本当に生活がラクになります。
言うなれば、時給1,000円で月50時間働いてくれる妖精さんが、家庭に1人増えるようなものです。
ニュース②:公的年金の運用、過去最高収益を更新
2つ目のニュースは、2024年2月3日の日本経済新聞から、「GPIF収益、昨年最高の34兆円」です。
日本の年金積立金がものすごく増えています。
皆さんが将来受け取ることになる年金ですが、その財源は次のうちどれでしょう?
- 現役世代が納付する年金保険料
- 税金
- 国が運用する年金積立金
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
チクタクチクタク…
まずは年金の基本を振り返りましょう。
公的年金は、原則として65歳から受給可能です。
よく勘違いする人も多いところですが、日本の年金制度は「積立方式」ではなく「仕送り方式」です。
自分が現役の時に納めた保険料を貯金のように取っておいて、自分が65歳になった時に少しずつ取り崩しながら受け取るシステム
今自分が納めている保険料は今の年金受給者に給付され、自分が年金受給者になった時は現役世代の保険料から受け取るシステム
「日本は、めちゃくちゃ少子高齢化が進んでるよね」
「少ない若者でたくさんの老人を支えるの?」
「仕送りなんてできるワケないじゃん!むしろしてほしいくらいだよ」
国の偉い人もこのような反応があることが分かった上で、年金制度の持続性を高めるために他の財源を用意しようと考えたワケです。
そこで考えられたのが、次の2つです。
- 税金
- 年金積立金
年金保険料は、現役の人は納める一方で引退後の人は納めません。
一方の税金は、現役の人だけではなく引退後の人も納めます。
このような意味で、幅広い世代から「年金の財源」を集められるというワケです。
また年金積立金は、「お金が足りなくなるなら、運用して増やせば良い」という発想で、保険料の一部が運用に回っています。
今回紹介したニュースは、その「年金積立金の運用がうまくいっている」という話です。
- 年金保険料:7割
- 税金:2割
- 年金積立金:1割
とはいえ2050年時点や2100年時点など、時期によって比率は変わるので、おおよそのイメージだけ掴んでおいてください。
結論、年金積立金はバッチリ成長しています。
記事によると、GPIFの2023年の収益は34兆3,077億円のプラスという状況です。
ちなみにGPIFというのは、将来世代のための年金積立金を運用している組織です。
34兆3,077億円のプラスというのは、年間の収益としては過去最高でした。
先ほど解説したように、年金積立金から得られる財源は全体の1割程度なので、あくまでも「補完的な役割」という位置づけです。
とはいえ運用収益が積み上がることで年金制度の安定運用につながる点を考えると、間違いなく私たちにとって良い状況と言えるでしょう。
ちなみに、GPIFの資産配分は以下のようになっています。
外国株式、国内株式、国内債券、外国債券に、それぞれ25%ずつ投資するスタイルです。
全体の約9割がインデックス投資というのも、重要なポイントです。
「国際分散投資」「インデックス運用」という点を押さえるだけで、投資初心者でもGPIFと似たような成績が出せるワケです。
最後に、次のグラフをご覧ください。
年金積立金の市場運用が始まった2001年以降、収益額の累計は132.4兆円にもなっています。
年金積立金から得られる収益は、今後約100年で計画的に使われていく予定です。
現状しっかり運用されており、お金が増え続けている点は認識しておきましょう。
「長期国際分散投資 × インデックス運用」のパワーは本当に強大です。
GPIFによると、今の日本は以下のような状態になっています。
- 人口の3人に1人が年金を受け取っている
- 高齢者世帯の平均所得の約6割が年金
- 年金給付額の合計は、GDPの約1割に当たる
(出典:GPIF「公的年金制度と年金積立金」)
リベ大としては、この状況の中で以下のような選択肢は全くおすすめしません。
「老後が心配だけど国の制度は信用できない!年金保険料なんて払わない!」
「老後が心配だから、民間の貯蓄型保険に入って備えよう!」
上記は、泣きを見る可能性の方が高い選択肢と言えます。
リベ大としては、以下の方法をおすすめします。
公的年金の保険料は払う
余計な民間保険には一切入らない(貯蓄型保険は毒キノコ)
じぶん年金は投資で作る
老後を迎える“前”に、豊かになれる可能性も十分にあります。
ニュース③:「子育て支援金」の負担水準、首相明言
3つ目のニュースは、2024年2月6日の日本経済新聞から、「首相、子育て支援金「1人月500円弱負担」 個人間では差」です。
少子化対策のために、国民1人あたり月約500円くらい負担してもらう予定というニュースです。
政府は今、「加速化プラン」と称して様々な少子化対策を実行しようとしています。
以下の図をご覧ください。
① 若い世代の収入アップ
→ 賃上げ、児童手当拡充など
② 子育て世帯への支援充実
→ 保育所の質向上、こども誰でも通園制度創設など
③ 共働きをしやすく
→ 男性の育休促進、育休制度の拡充など
加速化プラン実施に充てる予算は、年間3.6兆円を想定しているようです。
現状政府が考えている財源は以下のようになっています。
- 1.5兆円分:元々あった予算
- 1.1兆円分:社会保障の支出見直し
- 1兆円分:国民から集める!
今回のニュースは、3つ目の1兆円を捻出するために、国民1人あたりの負担が月500円くらいになると首相が明言したというものです。
ちなみに支援金の徴収は、2026年4月から段階的に実施される予定とのこと。
これを受けて世間の声は、「少子化対策として月500円くらいなら大丈夫!」とはならなかったワケです。
懸念点としては、大きく次の3つが挙げられます。
- 負担額が500円以上の人もいるのでは?
- 「実質的な負担は生じない」というのは本当?
- 負担はもっと増えていくのでは?
政府は粗い試算として、「支援金の総額を1兆円と想定すると、28年度の拠出額は、加入者1人あたり月平均500円弱になると見込まれている」としました。
ここでいう加入者は、医療保険制度の加入者を指します。
つまり政府は、子育て支援金を医療保険料に上乗せして徴収しようと考えているワケです。
医療保険料は、加入している制度(会社員か?自営業者か?などで異なる)や個人の給与額など、個々の状況によって変わります。
よって、「月500円程度ならOK」と思っていたとしても、「自分の場合は全然違った…」という状況にもなりかねません。
「本当は500円で済まないのでは?」という猛反発を受け、政府は「粗い試算ではなく、医療保険ごとの徴収額をしっかり試算して公表する」と言っています。
(参考:FNNプライムオンライン「子育て支援金「1000円超も」こども政策担当相が発言」)
「賃上げと歳出改革によって、実質的な負担は生じないようにする!」と政府は主張しています。
とはいえ、現状はそんなに甘くはないでしょう。
現在実質賃金は、21カ月連続で前年比マイナスという状況で、医療・介護費は将来最大27兆円も不足するかもしれないと言われています。
このような状況なので、
「まだ上がってもいない賃金をアテにして、本当に大丈夫?」
「歳出改革って言うけど、むしろ将来どんどん歳出は増えそう…」
というような疑問の声がたくさん上がっています。
制度ができた後、負担がさらに増える可能性も否定できません。
現在、すでに医療保険制度に絡めて徴収されているものの中に、以下の2つがあります。
- 介護保険料
- 後期高齢者支援金
それぞれの現状について見ていきましょう。
最初に、以下のグラフをご覧ください。
介護保険の給付費と保険料の推移を見ると、20年間ずっと右肩上がりということが分かります。
平成12年から令和1年(平成31年)までの20年間で、給付費は3.2兆円から10.1兆円と約3倍に跳ね上がり、保険料も全国平均で2,911円から6,014円と約2倍になっています。
急速な高齢化が進む中、2040年度には保険料が月9,000円程度になると推計されているのです。
後期高齢者支援金とは、現役世代が75歳以上の高齢者のために医療制度財源の4割を負担するという制度です。
要は、若者から老人への仕送りのようなものだと考えてください。
2008年に始まって以来、支援金総額は右肩上がりに増えています。(下図参照)
実に現役世代1人当たりの負担額は、2008年が2,980円だったのに対し、2022年は5,456円と、14年間で1.8倍に増えている状況です。
紹介した2つの前例を見る限り、負担が年々増加していく傾向にあることが分かります。
今回のニュースの「子育て支援金」が同じようにならない保証は、残念ながらありません。
政府には、丁寧で誠実な説明で国民の理解を得つつ、国民と伴走しながら少子化対策・子育て支援に取り組んでもらいたいところです。
国民全員でしっかり状況を監視し、賢くなり、正しく声をあげるというのが、一番大事なことかもしれません。
今回のような「増税ラッシュ」に耐えるためにも、家計強化を続けていきましょう。
ニュース④:労働者の夢「年金100%」
4つ目のニュースは、2024年2月7日の日本経済新聞から、「メキシコ大統領「年金、現役時並み給付」」です。
突然ですが皆さんは、「現役時と同じ収入を、公的年金で保証してくれればいいのに!」と考えたことはありませんか?
例えば退職時の月給が50万円であれば、退職後も公的年金だけで月50万円貰えるような状況です。
それが、ロペスオブラドール大統領という人物です。
彼は、「労働者は現役時の50%しか年金を受け取っていないが、退職時の給与相当額を年金として受け取れるようにする」といった内容の年金改革を含む憲法改正案を発表しました。
要は、「退職時の給与を老後も100%保証する!」という内容です。
メキシコ国民が、この件にどのように反応しているのかが非常に興味深いところです。
ちなみに日本の年金事情は、以下のようになっています。
- 2019年時点の男性現役世代の平均的な手取り収入:月額35.7万円
- 夫・妻合計のモデル年金:月額22.0万円
退職後の収入は、おおよそ「現役時の約60%」に落ち込むというワケです。
そしてこの数字は、2040年には50%を割り込む見通しと言われています。
(参考:株式会社 第一生命経済研究所「【1分解説】所得代替率とは?」)
政府としては、
と言っているワケです。
「保証」というのは、経済的自立から最も遠い言葉の1つです。
メキシコの話を聞いて、「ずるい!私もそれがいい!」と思った人も多いかもしれません。
しかし現実的にこの制度にはかなり無理があるでしょう。
シンプルに財源の確保が困難だからです。
世界の歴史、地球上のあらゆる国を見ても、全国民に対して現役時代の収入を100%保証できた国はありません。
人は、以下のように保証を求める生き物です。
よって今回紹介したロペス大統領の提案は、多くの国民に刺さるかもしれません。
6月に大統領選挙が行われることを考えると、なぜ彼がこのような提案をしたのかも理解できます。
しかし繰り返しになりますが、保証は経済的自立から最も遠い言葉の1つです。
自立というのは自分の足で立つことを意味しますが、保証というのは他の人に支えてもらうことを意味します。
つまり人は、保証を求めれば求めるほど、自分の足ではなく自分を支えてくれる他者を問題視するようになるワケです。
そして他者の自分に対する支え方にケチをつけ続けるうちに、自分の足の筋肉はどんどん衰えていきます。
何があっても自分の足で立ち続けると覚悟を決め、自分の足を鍛え続けましょう。
これが経済的自立、ひいては経済的自由につながっていきます。
もちろん、社会の一員として社会を良くするために頭をひねることも大切ですが、力の入れ具合を間違えると行きたいところに辿り着けなくなります。
今、リベ大で力を入れている家計管理で苦労している人も多いかもしれません。
しかし家計管理は頑張れば頑