こんにちは、こぱんです!
日本は3月決算の会社が多く、6月から「3ヶ月間(4月~6月)の業績を集計した決算」を発表され始めました。
コロナウィルス感染症の影響を大きく受けた期間であり、「ひどい業績」になるだろうと予想されていました。
事実として、コロナウィルス感染症をキッカケに、日本経済は不景気になっていると言えるでしょう。
日本における不景気到来については、下記の動画でも解説したので参考にしてみてください。
解説動画
→ 【潮目が変わった】日本経済の現状について分かりやすく解説【不景気到来】
そこで今回は、過去最大の赤字を計上した日本企業10社を取り上げました。
各社の決算結果を通して、以下の2つのことを解説します。
- 各企業の決算データから見る日本経済の現状
- 現状を理解した上で資産運用に取り組む姿勢
決して、みなさんの不安を煽(あお)りたいわけではなく、リベ大の目線を知り今後の投資に活かして欲しいと考えています。
なお、決算に関する数値は分かりやすいように概算にしています。
目次
解説動画:日本企業ピンチ?過去最大の赤字を計上する企業続出
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
過去最大の赤字を計上した日本企業10社
2020年7月30日までに公表された決算から、今回取り上げる過去最大の赤字を計上した10社は以下の通りです。
- オリエンタルランド
- 吉野家ホールディングス
- 日産自動車
- ANA(全日本空輸)
- パナソニック
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 帝国ホテル
- イオン
- キャノン
- コニカミノルタ
どれもこれも、皆さんが一度は聞いたことがある有名企業ばかりです。
①:オリエンタルランド
みんな大好き夢の国、ディズニーリゾートを運営する企業です。
日本で1番恋人たちが愛を育む場所としても有名ですが、現実の業績は以下の通り。
- 売上60億円(前期比1,150億円減、−95%)
- 純利益−250億円(前期比480億円減)
ディズニーランド、ディズニーシー、さらにホテルも休業となり、売上は完全に蒸発しました。
それによって、東日本大震災があった2011年を上回る、過去最大の赤字を計上。
以前は1日8.5万人もいた入場者も、現在は3万~4万人ほどで、利益を出すためには5万~6万人が必要とのことです。
例えば、手取り30万円の会社員が月40万円のお金を使った場合、赤字は10万円です。
この「赤字10万円のインパクト」を理解するためには、以下の2つの情報を利用します。
- 赤字額
- 純資産額
2つ目の純資産額は、「資産」から「負債」を引いたものです。
- 資産:預貯金、株式・債券、住宅など
- 負債:奨学金、借金、クレカ残高など
つまり、貯金300万円、クレカ残高20万円なら、純資産は280万円(300万円-20万円)になります。
以下の具体例を見ると、赤字による「ヤバさ」が全然違うことが分かります。
家計が10万円の赤字の場合
- Aさん(純資産280万円):純資産へのダメージ約3%
- Bさん(純資産15万円):純資産へのダメージ約67%
- 赤字額:約250億円
- 純資産額:約8,200億円
- 純資産に与えたダメージ:約3%
純資産に与えたダメージの3%という数字が大きいのか?小さいのか?、この後紹介する企業と比べてみてください。
続いて、オリエンタルランドのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:16,000円
- コロナショック後:12,000円弱まで下落
- ※その後は16,000円まで回復し、現在は下落傾向
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−25%(日経平均は−10%)
- 【結果】大きく市場平均に負けている
②:吉野家ホールディングス
牛丼で有名な吉野家を中心とした、外食チェーンストアの大手です。
「うまい、やすい、はやい」という伝説のコピーを生み出した企業ですが、現状の業績は以下の通り。
- 売上400億円(前期比130億円減、−25%)
- 純利益−40億円(前期比50億円減)
赤字決算の主な原因は、コロナウィルス感染症拡大を受けて実施した以下の取り組みです。
- 店舗の休業
- 営業時間の短縮
また、国内外にある「吉野家」「はなまるうどん」など3,300店舗のうち、最大150店舗を閉店することを決定しました。
さらに役員報酬の減額も決め、雇用も給料も失われる厳しい展開を迎えています。
- 赤字額:40億円
- 純資産額:約480億円
- 純資産に与えたダメージ:約8%
続いて、吉野家ホールディングスのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:3,000円
- コロナショック後:1,800円弱まで下落
- ※その後は2,500円まで回復し、現在は1,800円前後を推移
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−40%(日経平均は−10%)
- 【結果】大きく市場平均に負けている
③:日産自動車
ルノー・日産・三菱自動車連合であり、世界3位に位置する自動車メーカーです。
カルロス・ゴーン氏とのお家騒動もあり、業績が傾いていた中でコロナウィルス感染症拡大が追い打ちをかけました。
- 売上1.2兆円(前期比1.2兆円減、−50%)
- 純利益−2,850億円(前期比2,900億円減)
通期では6,700億円の赤字になる見通しで、去年も6,700億円の赤字、つまり2年連続の超巨額赤字を計上する状況です。
なお、日産自動車は一時高配当株として人気でしたが、今回の決算で無配転落が発表されました。
- 赤字額:2,900億円
- 純資産額:約4.4兆円
- 純資産に与えたダメージ:約7%
続いて、日産自動車のチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:600円
- コロナショック後:350円弱まで下落
- ※現在は少し回復して380円前後を推移
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−40%(日経平均は−10%)
- 【結果】大きく市場平均に負けている
④:ANA(全日本空輸)
国内最大規模の航空会社であるANA(全日本空輸)ですが、航空業界は世界中で大打撃を受けています。
投資の神様とまで言われるウォーレンバフェット氏が「世界は変わる」と発言して、米航空株を全て売却したことは大きなニュースにもなりました。
バフェット氏は新型コロナウイルスの感染拡大によって「世界が変わる」として、保有していた米航空株を全て売却したと明かした。
そんな航空業界を代表するANA(全日本空輸)の業績は以下の通りです。
- 売上1,200億円(前期比3,800億円減、−76%)
- 純利益−1,100億円(前期比1,200億円減)
四半期の決算としては、過去最悪の赤字を計上しました。
国際線・国内線ともにお客さんの数は、前年同時期に比べ約90%も減少し、文字通りお客さんが「消えた」状態に。
- 赤字額:1,100億円
- 純資産額:約1.1兆円
- 純資産に与えたダメージ:約10%
続いて、ANA(全日本空輸)のチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:3,500円
- コロナショック後:2,200円弱まで下落
- ※一時2,900円まで回復したが、現在は2,200円弱に下落中
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−37%(日経平均は−10%)
- 【結果】大きく市場平均に負けている
なお、同業のJALも約900億円の赤字、米航空会社のボーイングも約2,400億円の赤字を出しています。
⑤:パナソニック
経営の神様、松下幸之助さんが創業した松下電器にルーツを持つ、国内3位の電機メーカーであるパナソニック。
ちなみに電機メーカーの1位は日立、2位はソニーです。
- 売上1.4兆円(前期比5,000億円減、−26%)
- 純利益−100億円(前期比600億円減)
最終赤字になったのは9年振りですが、重要なのは売上が1.4兆円もあるのに、利益が上がるどころか赤字という事実です。
ちなみに、業績に対して足を引っ張ったのは以下の2つです。
- 自動車向けの部品
- 航空機向けの部品
通期では黒字確保の予定ですが、前期比−56%減という大幅減益です。
- 赤字額:100億円
- 純資産額:約2兆円
- 純資産に与えたダメージ:約0.5%
続いて、パナソニックのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:1,200円
- コロナショック後:700円弱まで下落
- ※一時1,000円台まで回復したが、今回の決算で約12%も暴落し、900円台を推移
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−25%(日経平均は−10%)
- 【結果】市場平均に負けている
⑥:東日本旅客鉄道(JR東日本)
関東甲信越から東北まで日々お世話になっている鉄道会社、東日本旅客鉄道(JR東日本)。
日本を代表する、インフラ企業でもある東日本旅客鉄道の業績は以下のとおりです。
- 売上3,300億円(前期比4,100億円減、−55%)
- 純利益−1,600億円(前期比2,500億円減)
主力である鉄道、駅ビル、ホテルにおいて、お客さんが激減しています。
赤字額は東日本大震災があった2011年の2.5倍以上で、もちろん過去最大でした。
鉄道収益は61%も減少して、お盆期間の指定席予約も8割減とまだまだ厳しい状況です。
- 赤字額:1,600億円
- 純資産額:約3兆2000億円
- 純資産に与えたダメージ:約5%
続いて、東日本旅客鉄道のチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:10,200円
- コロナショック後:7,000円まで下落
- ※9,000円台まで回復した後、6,300円台まで下落中
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−37%(日経平均は−10%)
- 【結果】市場平均に大きく負けている
⑦:帝国ホテル
コロナウィルス感染症拡大で、総崩れと言われているホテル業界。
創業130年の老舗(しにせ)ホテルの運営会社である帝国ホテルも、大きな影響を受けました。
- 売上30億円(前期比180億円減、−77%)
- 純利益−30億円(前期比40億円減)
過去最大の赤字で、2021年3月までの業績予想ができないほど厳しい状況です。
6月からはレストランや物販店などの営業を再開しています。
ただ、インバウンドは期待できず、宿泊・宴会・結婚式も激減しているため、いまだに将来は見通せません。
- 赤字額:30億円
- 純資産額:約600億円
- 純資産に与えたダメージ:約5%
続いて、帝国ホテルのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:2,000円
- コロナショック後:1,000円まで下落
- ※2,000円近くまで戻り、現在は1,700円台を推移
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−20%(日経平均は−10%)
- 【結果】市場平均に負けている
⑦:イオン
ミニストップ、マックスバリュー、ウェルシア薬局、イオン銀行に代表される、言わずと知れた身近な流通大手です。
- 営業収益2兆700億円(前期比400億円減、−2%)
- 純利益−540億円(前期比500億円減)
もともと最終赤字だったところへ、臨時休業や営業時間短縮が直撃。
イオンの決算は2月のため3月~5月(3ヶ月間)の数字ですが、これは2009年2月以降で最大の赤字です。
食品の販売が伸びたものの、テナント賃料を減免したことによる損失が大きな要因となりました。
消費マインドへの影響は今後も続くと見られています。
- 赤字額:540億円
- 純資産額:約1兆8500億円
- 純資産に与えたダメージ:約3%
続いて、イオンのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:2,300円
- コロナショック後:1,800円まで下落
- ※最近では2,600円台まで近づいている
日経平均との比較
- コロナ前の株価から+10%(日経平均は−10%)
- 【結果】赤字を物ともせず市場平均に大勝利
⑨:キヤノン
映像機器(カメラ、ビデオ)、事務機器(プリンタ、複写機)などを取り扱う大手電気機器メーカーです。
- 売上1兆4,600億円(前期比3,100億円減、−18%)
- 純利益130億円(前期比530億円減、−80%)
キヤノンは12月決算の会社、つまりこれは6ヶ月間の数字のため、かろうじて黒字に見えているだけです。
4~6月の3ヶ月間で見ると、マイナス90億円でしっかり赤字。
主な原因は、コロナウィルス感染症拡大による以下2つの影響です。
- 在宅勤務→オフィス向けプリンタが売れない
- 外出自粛→カメラが売れない
以前から市場縮小に苦しんでいた状況において、コロナウィルス感染症拡大で大打撃を受け、初めての四半期赤字となりました。
- 赤字額:90億円
- 純資産額:約2兆9000億円
- 純資産に与えたダメージ:約0.3%
続いて、キヤノンのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。
チャート
- コロナショック前:3,100円
- コロナショック後:2,000円近くまで下落
- ※一時は2,400円台まで回復したが、現在は1,800円を下回っている
日経平均との比較
- コロナ前の株価から−40%(日経平均は−10%)
- 【結果】市場平均に大きく負けている
少しずつ業績悪化が進行していたため、「コロナショックが一時的では済まない」と疑われているのかもしれません。
⑩:コニカミノルタ
キヤノンと同業種の電気機器メーカーで、売上の6割近くを欧州が占めているコニカミノルタ。
コロナウィルス感染症拡大を受け、欧州ではロックダウンが行われたので、オフィス向け事務機器の売上が激減しました。
- 売上1,700億円(前期比700億円減、−28%)
- 純利益−170億円(前期比160 億円減)
赤字予定だった純損益ですが、今回の赤字額はカメラ事業の撤退費用を計上した06年に次ぐ規模です。
ちなみに、コロナウィルス感染症の影響は営業利益で300億円程度とのことです。
つまり、営業損失が230億円なので「コロナがなければ営業赤字は避けられた」と言いたいのでしょう。
- 赤字額:170億円
- 純資産額:5,300億円
- 純資産に与えたダメージ:約3%
続いて、コニカミノルタのチャートと市場平均との比較を見ていきましょう。