こんにちは、こぱんです!
2020年5月18日にソフトバンクグループの決算発表がありましたが、営業損益はなんと約1.4兆円の大赤字でした。
この四半期だけの成績を見ると、「日本企業の四半期赤字額としては過去最大」とインパクトのある決算でした。
では、ソフトバンクグループの全てがダメなのか?というと、実はそうでもないのです。
- 2020年3月期→増収増益
- 2021年3月期→コロナ影響を加味しても増収増益の予想
では、何が1番足を引っ張っているのかと言えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、ビジョン・ファンド)です。
約1.8兆円という莫大な営業赤字をビジョン・ファンドは叩き出しています。
「ニュースで聞いたことある気がするけど、実は何か知らない」
「初心者投資家として、ソフトバンクグループに興味がある」
そこで今回は、ざっくりと雰囲気を理解したい初心者向けに、ビジョン・ファンドについて以下の2つを解説していきます。
- ソフトバンクグループについて
- ビジョン・ファンドとは何か?
また、リベ大がソフトバンクグループに対して、投資の観点からどう考えているのかについても触れます。
目次
解説動画:ところでビジョン・ファンドって何?
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
ソフトバンクグループについて
まず、ソフトバンクグループには5つの事業があります。
- ファンド事業:投資
- ソフトバンク事業:通信
- アーム事業:半導体設計
- ブライトスター事業:海外での携帯端末流通
- その他:スマホ決済(PayPay)やソフトバンクホークス等
ソフトバンクグループは資金調達や税金対策など、色々なことを考えながら、かなりテクニカルに投資を行っている会社です。
「ソフトバンクはスマホ会社でしょ?」と思っている人は、こっそり頭の中を訂正してきましょうね。
ちなみに、ソフトバンクグループの税金対策はとても有名です。
2019年11月の東洋経済「税負担の少ない大企業ランキング」TOP200社」では、堂々26位にランクイン。
2020年2月には、週刊誌のAREA(アエラ)で以下のような記事も紹介されています。
SBGの営業利益は、18年3月期が1.3兆円、19年3月期が2.3兆円。ところが、法人税は両期とも500万円(SBG単体)しか納めていないのだ。
日本の伝統的な大企業においては、高額納税している企業や人の方が社会的に貢献して立派だと考えているところも多いです。
ある企業で、経理が経営陣に節税対策を提案すると「この会社の歴史に泥を塗る気か!!」と激怒されたという話もあります。
一方で、社歴の浅い新興企業は節税対策に熱心なところも多く、以下のように考えています。
「税金として納めて国が再分配するより、自分達が全部使った方が社会のため」
ビジョン・ファンドとは何か?
ビジョン・ファンドは先程の5つの事業における、1つ目のファンド事業の主力です。
ソフトバンクグループの公式ホームページの紹介文には、以下のように綴られています。
AI革命がもたらすビジネスチャンスをつかめるポジションにあり、起業家のリーダーシップのもと事業を展開する企業について、その価値を見極め、投資し、パートナーとしてサポートすることを目指しています。
ビジョン・ファンドは約10兆円を運用しており、その内、約3兆円がソフトバンクグループの出資です。
この10兆円ものお金を、先程のかっこいい理念に基づいて、スタートアップ企業に投資しているのです。
創業から2~3年くらいの起業を指すことが多いかな?
投資先の会社の価値が投資額より大きくなれば利益が生まれ、その反対なら損失となります。
現在の投資先は88社で、2019年4月~2020年3月までの状況は以下のとおりです。
- 価値が上がった:19社(+0.4兆円)
- 価値が下がった:50社(-2.2兆円)
- 価値が変わらなかった:19社
- 【全体】→1.8兆円の損失
1.8兆円という損失額は、みなさんご存知の「世界の任天堂」(純資産額1.5兆円、日本企業における約50位)が飛ぶくらいの金額です。
こんな状況を聞くと「一体どんな会社に投資したんだ!?」と感じる人も多いでしょう。
そこで、ビジョン・ファンドが投資する88社の中から、リベ大の独断と偏見で特に気になる以下3つの企業を紹介します。
- WeWork(ウィーワーク)
- Uber(ウーバー)
- OYO(オヨ)
企業①:WeWork(ウィーワーク)
1つ目の企業は、何かと話題となっているWeWork(ウィーワーク)です。
WeWorkはコワーキングスペースを展開しており、画像のようなかっこいいオフィスが月額料金だけですぐに使えます。
ビジョン・ファンドは累計で約1.1兆円を投資をしていますが、現在の評価額は約0.3兆円。
今でも以下のようなトラブルが続いています。
- 株式上場計画の撤回
- 事業計画の大幅下方修正
- 会計不正の疑惑
- CEOの辞任
- コロナでの顧客激減
ソフトバンクグループのCEO孫 正義さん自身に、「失敗した、私がばかでした」とまで言わせている問題児でもあります。
「WeWorkで投資の失敗をしたのは公に認めている。私がばかでした。私が失敗しました。私が見損ないました」
企業②:Uber(ウーバー)
2つ目の企業は、ビジョン・ファンドが保有する上場株式8銘柄の中で、最大の累計損失を出しているUber(ウーバー)です。
言わずと知れた配車サービスの企業ですが、コロナウイルス感染症の影響を大きく受けています。
それに加えて、以下のような悪いニュースも出ています。
- 乗車が80%減
- 45か所のオフィス閉鎖
- 約6,700人の従業員解雇
- 独立請負業者であるドライバーとのトラブル
当期のビジョン・ファンドの損失において、30%にあたる約5,600億円の原因はUberなのです。
企業③:OYO(オヨ)
3つ目の企業は、インドの格安ホテルチェーンのOYO(オヨ)です。
脚光を浴びた時期もありましたが、コロナウイルス感染症の影響はかなり大きくなっています。
- 売上が60%減
- 従業員一時帰休
- 役員報酬25%カット
- フランチャイズ先オーナーとのトラブル
- 新規市場開拓による損失
いろいろな状況が重なり、厳しい状況が続いていると言えます。
業績が良かった企業
上場株式の中で業績が良かった企業が、Guardant Health(ガーダントヘルス)です。
累計利益が1番大きく、$1,667-million、約1,800億円でした。
がんゲノム医療の企業で、膨大なデータを収集して血液検査などからガンを診断することに取り組んでいます。
その他にもビジョン・ファンドは以下の企業にも投資しています。
【TikTok:動画アプリ(バイトダンス・テクノロジー)】
→コロナによる外出自粛影響で利用拡大中
【Slack:ビジネス用コミュニケーションツール】
→リモートワーク拡大で好調
【ドアダッシュ:料理宅配サービス】
→アメリカで上場申請していたが、コロナ影響で計画見直し中
【Paytm:モバイル決済】
→インドのスマホ決済最大手。マイクロソフトが出資を計画との報道も
【FirstCry:Eコマースでのベビー用品販売】
→インドでオムニチャネル展開中
※オムニチャネル:ネットだけでなく店舗などリアルの場を含めたあらゆるチャネルを連携させ顧客との接点を持ち売上をアップさせる手法
これだけ幅広いビジネスに投資していましたが、今回は全体で約1.8兆円の損失。
結果として、ビジョン・ファンドがソフトバンクグループを巨額営業赤字に陥れたと言えます。
CEO孫 正義さんのビジョン・ファンドに対する見解
累計の投資額は8.8兆円で、投資損失はわずか0.1兆円ほど、つまり成績としてはマイナス1%程度と言えます。
コロナウイルス感染症の拡大による経済的な打撃は、世界恐慌に匹敵するほど大きいです。
株式市場も、わずか3ヶ月で以下のように暴落しました。
- ダウ平均株価は23%下落
- 日経平均株価は20%下落
つまり、「マイナス1%という成績は現在の状況においては決して悪くない」というのが孫 正義さんの見解です。
ちなみに、ビジョン・ファンドにおける来季の見通しは以下の通りです。
- 15社は倒産して大赤字
- 60社は泣かず飛ばずでトントンくらい
- 残り15社が飛躍して、結果的にファンド全体で20%くらいの利益をもたらす
まとめ:常に広い視点で検討しよう
リベ大から見ても、ビジョン・ファンドには面白い投資先が多くあります。
ですが、業績が好調とは言いづらく、コロナウイルス感染症の影響もあり判断は難しいところです。
それでも決算発表の孫 正義さんの話を聞くと、ソフトバンクグループに投資することも悪くないという気持ちにさせられます。
しかし、リベ大が一貫しておすすめしている投資方法は以下の2つです。
インデックス投資
高配当株投資
ソフトバンクグループは2021年3月期の配当未定、「ゼロ配当も有り得る」と公言されています。
つまり、ソフトバンクグループへの投資は、どちらの投資法にも当てはまらないです。
関連動画
→インデックス投資:インデックス投資の魅力と「失敗させないためのコツ」5選
→ 高配当投資:はじめての高配当株投資!始め方&ポイントを専門用語をほぼ使わずに解説
ソフトバンクグループへの投資は、もはや孫 正義さんがファンドマネージャーのアクティブファンドを買うようなものと言えます。
例えば、カリスマ投資家の会社でも、ウォーレン・バフェットが率いる「バークシャーハサウェイ」はかなり魅力的です。
- バークシャーハサウェイ:年利9.6%(20年ちょっとで8.4倍)
- S&P500:年利8%(20年ちょっとで6倍)
ちなみに直近の10年間だと、S&P500の方が好成績ということからも、市場平均に勝つことは難しいと改めて分かります。
つまり、ソフトバンクグループに投資するなら、以下のものを比較対象とした広い視点で検討すべきです。
- BRK.B(バークシャーハサウェイ)
- 国内外のアクティブファンド
アクティブファンドは「運用期間が長く、市場平均に勝ち続けているもの」にすることが大切です。
ソフトバンググループは、もはや普通の事業会社ではありません。
みなさんも「増やす力」を身につけるため、投資に関する情報を日々調べることもあるでしょう。例えば、
- 投資について考えながらニュースを見る
- 様々な企業について調べる
そんな時、自分の投資方法に合わない株式も、ふと魅力的に見える瞬間があります。
ただ、そういう気持ちに振り回されてはいけません。
世の中のニュースに敏感になり、知見を深めることは大切です。
ですが、自分の目的にあった投資手法はしっかり守り、お金を「増やす力」をしっかり磨いていきましょう。
以上、こぱんでした!
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