こんにちは、こぱんです!
リベ大では、経済的自由を目指すための「貯める力」、支出のバランスをコントロールする力に関する情報も発信しています。
▼図解:貯める力
2021年12月27日に楽天証券の改悪が発表されたのも束の間、2022年2月1日にさらなる改悪が発表されました。
2021年12月27日に発表された楽天証券の改悪については、以下の記事で解説しています。
そこで今回の記事では、楽天証券の改悪について以下の3つを解説します。
- 楽天証券の改悪内容2つ
- 楽天証券の改悪に合わせて始まる新サービス
- 改悪に対する3つの選択肢
この記事の内容は、読むだけで1万円得するくらい価値のある内容になっています。
楽天経済圏で生活している人や生活を検討している人は、今回の記事はとても参考になるでしょう。
目次
解説動画:【悲報】またまた超改悪!楽天証券の「2つの改悪」と「対処法」について解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
楽天証券の改悪内容2つ
では早速、2022年2月1日に楽天証券から発表された2つの改悪内容について解説します。
- 改悪①:楽天カードクレジット決済におけるポイント還元率の一部変更
- 改悪②:SPUの条件変更
改悪①:楽天カードクレジット決済におけるポイント還元率の一部変更
投資信託の積立を楽天カードクレジット決済した場合のポイント還元率が、2022年9月の買付分から一部変更されます。
変更前
- 積立額 × 1%のポイント還元(上限月5万円)
変更後
- ファンドの代行手数料が0.4%以上の投資信託:積立額 × 1%のポイント還元(上限月5万円)
- ファンドの代行手数料が0.4%未満の投資信託:積立額 × 0.2%のポイント還元(上限月5万円)
投資信託を購入すると、運用や管理のための費用として「信託報酬」を支払うことになります。
例えば、Aファンドに年間1%の信託報酬がかかるとしましょう。
その場合、信託報酬は以下のように3者に配分されます。
- 投資信託会社(ファンドの運用を指示する人):0.45%(委託者報酬)
- 販売会社(ファンドを売る人):0.45%(代行手数料)
- 信託銀行(資産管理をする人):0.1%(受託者報酬)
※上記配分は、あくまで例です。
楽天証券は3者のうち、販売会社の立場になるため「代行手数料」を受け取っています。
つまり、楽天証券は「自分の取り分が多いファンド買ってくれないと、1%のポイント還元はしません!」と言っているワケです。
なお、信託報酬については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
資産運用をしている人なら「積立額の1%がノーリスクで手に入る」ことの異常さは、すぐに理解できるでしょう。
実際、楽天証券でクレジットカード決済をする投資家の多くが、以下のように考えていたはずです。
「S&P500や全世界株式などの低コストで優良なファンドを、クレジットカードで月5万円積立するだけで、投資額の1%がノーリスクで手に入るなんて最高!」
「日本国債ファンドを月5万円購入後すぐに売却して利益確定すれば、ほぼノーリスクで投資額の1%の利益を得られる!」
「メガバンクの預金金利が0.002%の時代に、1%還元なんて嬉しすぎる!」
しかし、投資家にとって「異常に有利」なことは、楽天証券側には「異常に不利」と言えます。
つまり「積立額1%のポイント還元」というのは、持続ができないほど大盤振る舞いの設定だったのです。
まとめると、今まで一律で「1%還元」だったのが、代行手数料0.4%を境に「1%還元」と「0.2%還元」に分かれます。
そのため、代行手数料0.4%未満の低コストファンドを積み立てている人は、ポイント還元率が1%から0.2%に8割も大幅減少すると覚悟しておきましょう。
改悪②:SPUの条件変更
2022年4月1日からSPU(スーパーポイントアッププログラム)も改悪されます。
SPUとは、対象サービスの条件を達成すると楽天市場での買い物でもらえるポイントがアップするプログラムです。
変更前
- 500円以上のポイント投資をする:SPU + 1.0倍
変更後
- 楽天ポイントを含めて月3万円以上の投資信託を買う:SPU + 0.5倍
楽天銀行と楽天証券の連携(マネーブリッジ)が必須
- 楽天ポイントを含めて月3万円以上の米国株式を買う:SPU + 0.5倍
楽天銀行と楽天証券の連携(マネーブリッジ)が必須
米株積立や外貨決済したものは対象外
買付手数料無料の米国株式(VTやVOOなど)は対象外
楽天ポイントを効率よく貯めたい人は、今まで以下のような積み立てをしていたのではないでしょうか。
- クレジットカード決済で上限5万円の投信積立をする。
- 5万円の1%の500ポイントを獲得する。
- 獲得した500ポイントで投資信託を購入する。
- SPU + 1.0倍を獲得する。
→ ノーリスクで1%のリターンを得つつ、SPUも1倍獲得できる。
しかし今回の改悪で、上記の設定ではSPUは + 0.5倍になってしまいます。
さらに改悪①の影響により、代行手数料が0.4%未満の投資信託を買っている場合は、獲得ポイントが500ポイントから100ポイントに減ってしまうのも、押さえておきたいポイントです。
2つの改悪で損する金額は?
では一体、2つの改悪で損する金額はいくらになるのでしょうか。
計算の前提条件は以下の通りです。
- 投資額:楽天ポイント含めて月5万円(楽天カードクレジット決済の上限)
- 積立商品:代行手数料が年率0.4%未満の投資信託
- 楽天市場でのお買い物金額:月1万円(年間12万円)
ではまず、1つ目の改悪「楽天カードクレジット決済におけるポイント還元率変更」による想定損失額を見てみましょう。
代行手数料が年率0.4%未満の投資信託を積み立てているため、1%還元から0.2%還元に変更となります。
そのため、変更後の年間損失ポイントは以下の通り4,800ポイント(=4,800円)です。
- 改悪前の年間獲得ポイント:6,000ポイント(5万円 × 1% × 12カ月)
- 改悪後の年間獲得ポイント:1,200ポイント(5万円 × 0.2% × 12カ月)
→ 年間損失ポイント:4,800ポイント(6,000ポイント - 1,200ポイント)
楽天ポイントを含めた米国株式投資をしていないため、獲得できるSPUが1.0倍から0.5倍に下がります。
そのため、楽天市場で年間12万円の買い物をする場合の年間損失ポイントは、以下の通り600ポイント(= 600円)となります。
- 改悪前の年間獲得ポイント:1,200ポイント(12万円 × 1%)
- 改悪後の年間獲得ポイント:600ポイント(12万円 × 0.5%)
→ 年間損失ポイント:600ポイント(1,200ポイント - 600ポイント)
つまり、今回の改悪による年間損失ポイントの合計は、5,400ポイント(4,800ポイント + 600ポイント)というワケです。
ここで、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏のエピソードを紹介します。
世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏は、若い頃に仲間から「彼は、散髪代の10ドルを支払うことも嫌がる」と言われていたそうです。
ではなぜ、バフェット氏は10ドルの散髪代を支払うのを嫌がっていたのでしょうか。
それは、その月10ドルの散髪代を複利運用すれば、将来大きなお金になるからです。
実際、年間利回り20%で運用するバフェット氏が、月10ドルの散髪代を30年運用すると、なんと約30万ドル(3,000万円弱)にも及びます。
このような思考法で、バフェット氏は若いころから「30万ドルの散髪代は妥当か」と自問自答してきたそうです。
もし、バフェット氏と同じ視点で考えた場合、今回の改悪による損失額は約37万円となります。
- 投資できたはずの金額:年間5,400円(月額450円)
- 想定利回り:5%
- 積立期間:30年
→ 損失額:約37万円
今まで持たなかった視点だよ。
今回の楽天の改悪ニュースを聞いた皆さんの中には、以下のように思った人もいるでしょう。
「こんな細かい話にこだわらなくても良くない?たかが数千円の話でしょ?」
「失うポイントを複利運用するケースで損失額を考えるなんて、ピンとこない!」
しかし、ある程度の利回りで資産運用できる人や、将来さらにお金持ちになりたい人には、「複利運用できずに将来的に数十万ドルを失うのと同じ」というバフェット氏のエピソードは、参考になるでしょう。
▼図解で分かる「お金が貯まる9つの質問」
今回の改悪ラッシュは、国が税金や社会保険料の負担を上げる時と同じです。
広く、薄く、ジワジワと変更し、さらに理解しにくいよう複雑にすることで、多くの人を諦めさせます。
あくまでも楽天は民間企業であり、国とは規模が違いますが、それでも影響力の大きな企業であることは確かでしょう。
世の中、いつの時代でも不変の真理というものがあります。
お金のアンテナが立っている人は、「余裕のある生活」を送れる。
お金のアンテナが立っていない人は、「なぜか生活が大変」になる。
今、この瞬間もお得なサービスが生まれ、お得だったサービスが改悪され、経済は動き続けています。
あまりにも小さな話に振り回される必要はないですが、大事なポイントを押さえてお金に困らない人生にしていきましょう。
楽天証券の改悪に合わせて始まる新サービス
楽天証券は、改悪に合わせて投信積立での「楽天キャッシュ決済」という新サービスを開始します。
楽天キャッシュとは、SuicaやICOCAのような「オンライン電子マネー」です。
楽天キャッシュに残高をチャージすれば、楽天ペイや楽天市場など、楽天サービスでの支払いに利用できます。
楽天キャッシュを利用するメリットの1つは、楽天カードから残高をチャージすれば、チャージ料金の0.5%のポイントが還元されることです。
今回の改悪に合わせ、新たに楽天キャッシュを使った投信積立ができるようになります。
楽天キャッシュを使った投信積立のサービスは以下のスケジュールで開始となるようです。
- 2022年6月下旬:積立設定の開始
- 2022年8月:決済の開始
楽天証券の操作画面で、投資信託を積立する際の支払い方法を「楽天キャッシュ決済」にするだけで、毎月自動的に投資信託の積み立てが可能になります。
また、楽天キャッシュで投信積立が可能になったのを記念し、キャンペーンも行われます。
- 期間:2022年8月~2022年12月
- 内容:楽天キャッシュで投信積立した額に対し、0.5%のポイントを上乗せする。
上記の図にある通り、楽天キャッシュを利用した1カ月の積立上限は、5万円となります。
つまり、このキャンペーンを最大限に活用すれば、ノーリスクで500ポイントもらえるというワケです。
- ①楽天キャッシュに残高チャージ:0.5%ポイント還元
→ 5万円 × 0.5% = 250ポイント
- ②楽天キャッシュで投資信託を購入:0.5%ポイント還元(期間限定キャンペーン)
→ 5万円 × 0.5% = 250ポイント
合計500ポイント獲得(① + ②)
改悪に対する3つの選択肢
ここまでを読んだ皆さんの中には「じゃあ一体、私はどう対応したらいいの?」と思っている人も多いでしょう。
皆さんが取り得る選択肢は、主に以下の3つです。
- ①何もしない
- ②楽天証券のまま最大限活用する
- ③他社に移管して最大限活用する(有力候補はSBI証券)
選択肢①:何もしない
選択肢の1つ目は、改悪による損失を受け入れ何もしないことです。
「何もしない」か「証券会社を乗り換えるか」の判断ポイントは以下となります。
- ①コスト削減に対する価値観
- ②投資先
- ③乗り換え先で付与されるポイントの使い勝手
- ④手間暇に見合うか
- ⑤今後のネット証券業界の見通し
金融の世界では「同じ内容なら、コストは安い方が良い」というのが大原則です。
- 同じ保障内容の保険ならば、保険料が安い方が良い。
- 同じ指数に連動するファンドならば、運用コストが安い方が良い。
投資したい、あるいは投資しているファンドの代行手数料が0.4%以上なら、乗り換える必要はありません。
例えば、今人気の「iFreeレバレッジ NASDAQ100」にかかる代行手数料は年率0.435%ですので、ポイント還元率は1%のままです。
(参考:楽天証券「iFreeレバレッジ NASDAQ100」目論見書より)