その書籍の名前は「夢と金」です。
お金の情報を発信しているリベ大としては、触れないワケにはいかないタイトルの本です。
この書籍、発売初日に10万部を突破するという、とんでもない売れ方をしています。
(参考:PR TIMES「キンコン西野の最新刊『夢と金』が発売初日に10万部突破!」)
「夢か?金か?」という議論をキミのまわりの連中は繰り返すだろう。
耳を傾ける必要はない。あんなのは全て寝言だ。
「夢」と「お金」は相反関係にない。僕らは「夢」だけを選ぶことはできない。
「お金」が尽きると「夢」は尽きる。これが真実だ。
西野氏はさすがエンタメの最前線を走り続けているだけあり、冒頭から魅せてくれる文章になっています。
この書籍「夢と金」をベースにして、この記事では以下の2点について解説します。
お金の勉強をしている人にこの本を読んでほしい理由
「夢と金」の面白いエピソード3選
この書籍は、流行のマネー本とは一味違います。
間違いなく、皆さんに「新しい視点」をもたらしてくれる本になるでしょう。
つまり、「お金持ちになるヒント」を与えてくれるワケです。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:お金が尽きると 夢は尽きる
目次
解説動画:【夢と金】キングコング西野氏の新刊について解説【書籍紹介】
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
お金の勉強をしている人にこの本を読んでほしい理由
結論からお伝えすると、皆さんにこの本を読んでほしい理由は「皆さんの“穴”を埋めてくれるから」です。
個人投資家界隈には、とにかく勉強熱心な人がたくさんいます。
自覚のない人も多いかもしれませんが、リベ大で学んでいる皆さんのほとんどは、世間一般のフツウの人とは異なる個人投資家界隈に属する人です。
皆さんの中には、以下のようにいろいろな種類のマネー本を読んでいる人も多いのではないでしょうか。
しかし個人投資家界隈でよく読まれる本には、落とし穴があります。
その落とし穴の正体は、「稼ぐ力」が軽視されているという点です。
特に日本で発売されている入門系の資産形成本は、大半がこのような構成になっています。
多くの本では、極論「節約しましょう」「そのお金で投資しましょう」の2つしか言っていません。
例えば株式投資系・不動産投資系の本は、以下のような内容になっています。
株式投資系の本
- まずは種銭を貯めましょう(稼ぐ系の話はここで終わり)
- 年利10%~20%でグルングルン回しましょう
不動産投資系の本
- まずは種銭を貯めましょう(稼ぐ系の話はここで終わり)
- とにかく早く1棟目を買って上手に運営し、その後も融資を受け続けましょう
つまり人的資本(=働いて稼ぐ力)に関しては、多くの資産形成本でほとんど話が出てきません。
「なんやかんやお金を貯めて」の部分がないワケです。
仮にこの部分が出てきたとしても、「副業とかも大事だよ」くらいの温度感で、少し触れられる程度になっています。
そして投資手法を深堀りしている本を読んで実践しようとすればするほど、働いて稼ぐ時間や年収を高めるためのスキルアップの時間がなくなっていきます。
資産形成を始めたばかりの人にとって、資産形成のスピードを決めるのは、「投資利回り」ではなく「稼ぐ力」です。
ある程度早くお金持ちになろうとする場合、「稼ぐ力」を鍛えるしかありません。
▼図解:稼ぐ力
なるべく早く1億円の資産を作ろうと考えた場合、大事なことは、
投資利回りを5%から15%に上げるための努力をする…ではなく
投資に回せる資金を、年50万円から年500万円にする
つまりは後者の方が大切というワケです。
理由はシンプルで、資産形成初期は元手が少ないからです。
例えば10万円を年利15%で運用すると、年間1万5千円の利益になります。
これであれば、自分で稼ぐ方がはるかに早いワケです。
不労所得を得る感じや、複利のパワーを実感できるのは、もっと後の話です。
お金の勉強は、どうしても節約・投資の話題に偏りがちになります。
ところが今回紹介する西野氏の書籍「夢と金」には、逆に以下のような話が全く出てきません。
- 〇〇をして節約しよう
- 〇〇のファンドに投資しよう
- 世の中の経済が、どのように回っているか
- 自分がビジネスをするなら、どのように戦うべきか
つまり最初にお伝えしたように、この本は皆さんの穴(=弱点)を埋めてくれます。
これが、皆さんに「夢と金」を読んでほしい理由です。
穴を埋めるだけではなく、すでにお金の勉強をしている人やセンスの良い人にとっては、鬼に金棒になるでしょう。
ここからは、書籍「夢と金」の中から、面白いエピソードを3つ紹介します。
ネタバレになる内容も含むため、「書籍で直接読みたい!」という人は、先に書籍を読んでからブログを読み進めてください。
「夢と金」の面白いエピソード3選
紹介するのは次の3つのエピソードです。
- 高価格帯にクレームを入れる人がいるけれど…
- 「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いを知れ
- 「オーバースペック」と「ハイスペック」の違いを知れ
エピソード①:高価格帯にクレームを入れる人がいるけれど…
西野氏は、「怒らないで付き合ってほしい」と前置きしつつ、「高価格帯にクレームを入れるやつはバカ」と断言します。
例えば飛行機の「東京 → ニューヨーク」のチケット料金について考えてみます。
飛行機の座席表を表した以下の図をご覧ください。
- エコノミークラス:147席
- プレミアムエコノミークラス:40席
- ビジネスクラス:49席
- ファーストクラス:8席
座席の料金は、エコノミークラスが約23万円なのに対し、ファーストクラスが約188万円になっています。
まさに高価格帯の商品と言えるでしょう。
世の中には、このような高価格帯の商品にクレームを入れる人がいます。
先ほどの座席配分で、全てのチケットが売れたと考えてみましょう。
すると売上は約9,500万円になります。
採算が合うように価格設定されているため、大体これくらいの売上がないと航空会社は飛行機を飛ばせないということです。
ここで仮にクレーマーの主張を受け入れ、全てエコノミークラスにして全員平等にするとどうなるでしょうか?
全ての座席をエコノミークラスにすることで座席数を351席に増やせるにもかかわらず、これだけ売上が減るワケです。
実に、元の売上より1,600万円も少なくなりました。
これでは、航空会社は飛行機を飛ばせません。
結果として、エコノミー席の料金を値上げするしかなくなります。
1,600万円の不足分を、全てのエコノミー席(351席)で割ると、1人あたり約5万円負担額が増えることになります。
つまり現在の姿は、ファーストクラスを買ってくれる人がいるおかげで、エコノミークラスの料金が安くなっているワケです。
ファーストクラスに乗っているVIPを見たら、次のように考える方が実態に合っているのです。
「うわぁ〜羨ましいなぁ。なんかズルいな!」
「あなたのおかげで安く乗れます!ありがとう!」
より一般的な言い方をするのであれば、高価格帯の商品を買ってくれる人がいるおかげで、その他の価格帯の商品がリーズナブルになっているのです。
つまり自分が買うワケでもない高価格帯の商品にクレームをつけるのは、自分のクビを締める行為でしかありません。
そこで西野氏は少し口の悪い表現ですが、「バカ」と断言しているワケです。
ちなみにリベ大のオンラインコミュニティ「リベシティ」でも、会員区分別に料金が異なっています。
つまり、最高ランクのお金を支払ってくれる人がいるおかげで、ノーマルランクの人の負担が最低限で済んでいるのです。
見る人によっては、「そんなに高い料金を支払わせるなんて!」と言うかもしれませんが、実際のところ非常にうまく回っています。
もちろん、高価格を支払ってくれる人からぼったくるのはダメです。
「価格相応の価値を感じてもらう」というのは絶対条件です。
今回紹介したような話は、皆さんがスモールビジネスをする際にも、とても役立ちます。
- 商品のラインナップを3つくらい用意する
- 各商品の特徴をしっかり決める
- トータルで、ほしい売上・利益を実現していく
「高価格商品はダメ」「安ければ安いほど喜ばれる」という発想ではいけません。
皆さんの商品をリーズナブルな値段で多くの人に届けるためにも、「高価格帯の商品を持つ」「高価格帯の商品を買ってくれるファンを作る」という発想は、非常に重要です。
エピソード②:「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いを知れ
「高価格帯の商品を作れ」「それを買ってくれるファンを作れ」とは言うものの、どうすべきか分からないという問題です。
ご安心ください。この本にはその点についてもしっかり解説されています。
キーワードは、「プレミアム」と「ラグジュアリー」です。
皆さんは、この2つの言葉の違いが分かるでしょうか?
- プレミアム:競合がいる中での最上位の体験
- ラグジュアリー:競合がいない体験
例えばプレミアムの商品としては、BMWやベンツといった車をイメージしてください。
これらの車は、動力性能、静粛性、環境性能など、「機能面」は競合他社と比べても文句ナシです。
その上で、「この車に乗ってるオレ、いけてるでしょ?」というブランド力も十分です。
要するにプレミアムというのは、「最高レベルで競合商品より良いモノ」と言えます。
一方同じ車の中でも、フェラーリやランボルギーニはどうでしょうか?
フェラーリは、時速350km/hを出すことができる車です。
実際のところ、アクセルに少し足を置いただけで簡単に100km/hくらいのスピードが出るので、気をつけないといけません。
問題は、公道で350km/hを出すような人はいないということです。
つまり、この機能は明らかにオーバースペックです。
フェラーリを買う人は、350km/hのスピードを出したくてこの車を買っているワケではありません。
つまり機能ではなく、夢を買っているのです。
購入者は、より高機能(=便利)な車を求めて各メーカーの車を乗り比べた結果、最終的にフェラーリにたどり着いたワケではありません。
多くの場合、最初からフェラーリを買おうと思い、フェラーリを買っています。
皆さんの中には、すでに何らかのスモールビジネスを始めている人がいるでしょう。
今回の話を聞いて「自分にラグジュアリー商品なんて作れない!」と思った人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
例えばブログやYouTubeといった情報発信の世界では、コツコツ続けていると多かれ少なかれ「濃いファン」がつくものです。
つまり、「皆さんと関わりを持ちたい」という人が出てきます。
「あなた個人を応援したい」という結論ありきの姿勢と、「フェラーリを買いたい」という結論ありきの姿勢は、本質的には同じです。
ラグジュアリーと呼べるほどパワフルではないかもしれませんが、ちょっとしたブランド力であることは間違いありません。
あなたを応援したいという人の気持ちを素直に受け入れられるかどうかは、皆さんの「お金の器」次第です。
お金は、支払うより受け取る方が難しいと言われることもあります。
もちろんお金を受け取るにあたっては、タイミングや伝え方が非常に難しいのも事実です。
自分の熱心なファンを見つけたからといって、「あのーすみません!私のファンだったら、10万円でコレ買いませんか!」のように言うと、幻滅されて終わります。
- どうやって、もっともっとファンになってもらうか?
- どうやって、もっと「自分」や「自分の商品」を認知してもらうか?
- どうやって、支払ってもらったお金に見合う価値を感じてもらうか?
今回お伝えしたいのは、まずは「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いを知ることが大切という点です。
「違い」を知ることと、その知識を使いこなすことは、全く別次元の話になります。
簡単に実践できる話ではありませんが、実はココがビジネスの本質です。
このような「種」を頭の片隅に忍ばせておくと、世界の見え方がガラリと変わってきます。
まずは知り、次にその知識を使いこなせるように実践するという順番でいきましょう。
まさに、これまでお伝えし続けてきた「お金の世界の話」というワケです。
ちなみに「リベシティ」のことを、よくリベ大のオンラインコミュニティと表現していますが、実のところすでに「オンラインコミュニティ」ではありません。
リアルに一等地のリベシティオフィスを使える
リベシティマップで、住人(会員)さんのリアル店舗に足を運べる
リベ大フェスのようなリアルイベントにも参加できる
いたるところで、毎日のようにオフ会・勉強会などが開かれている
現在リベシティは、ちょっとした市町村レベルの人口になっています。
そしてリベシティには、「類似のサービス」「競合のサービス」「”コレ”というカテゴリー」がありません。
- オンラインサロンの要素はあるものの、オンラインサロンでもない
- マネースクールの要素はあるものの、マネースクールでもない
- ファンクラブの要素はあるものの、ファンクラブでもない
- SNSの要素はあるものの、SNSでもない
まさに、「競合のいない体験」を提供できているのがリベシティという街です。
「機能」を売ろうとする場合は、どうしても価格競争になります。
「より高機能でより低価格」というのが基本戦略になってしまうワケです。
両学長は、リベシティをビジネスとしてやっているのではありません。
その結果として、「機能や価格で売る」ということをせずに済んでいるワケです。
そして競合のいない素敵な体験を提供するために必要な資金は、みんなが納得してくれる形で集めることができています。
両学長は西野氏の書籍「夢と金」を読んだことで、リベシティについて以下のような言語化ができたそうです。
リベシティは規模は小さいながらラグジュアリーのポジションを取れている(=競合のいない体験を提供できている)から、持続性のある形でコミュニティが発展できている。
エピソード③:「オーバースペック」と「ハイスペック」の違いを知れ
リベ大では、転職や副業を推奨しています。
なぜなら、それが「稼ぐ力」アップに直結するからです。
つまづく大きな原因となっているのが、「オーバースペック」と「ハイスペック」の違いを、しっかり理解していない人が多いからです。
西野氏は、ラーメンを例にこの2つの違いを説明しています。
60点のラーメンを80点にすれば値段を200円上げられるかもしれない一方、97点のラーメンを98点にしたところで価格アップは見込めません。
なぜなら、お客さんのジャッジは以下のようになるからです。
両学長もよくスタッフに「70点で十分だから、まずは出そう」と伝えています。
やりながら改善することもできるので、最初から100点を目指す必要はありません。
体操やフィギュアスケートの世界には、プロの審査員が存在します。
そのため、とても細かい刻みで点差がつくため、小さな差が明暗を分けます。
しかし商売の世界に「プロの審査員」は存在しません。
皆さんの商品を評価するのは、「高次元の対決の微差」が分からないお客さんです。