かぶミニには、以下のような特徴があります。
- 国内株式も1株からの少額投資が可能
- リアルタイム取引が可能
- ポイント投資が可能
かぶミニは、日本株の投資家の間では結構話題になっています。
皆さんの中にも、「米国株は1株から買えるのに、日本株はなんで100株からになってるの?日本株も1株から買いたい!」と考えている人もいるはずです。
このニーズに答えてくれるのが、かぶミニのような「単元未満株」を買えるサービスです。
単元未満株を購入できる仕組みは、以下のようなネット証券ではすでに導入されています。
- SBI証券:S株
- マネックス証券:ワン株
- auカブコム証券:プチ株
楽天証券はこれらの証券会社を追撃して、ユーザーを取り込もうとしています。
そこで今回の記事では、以下の2点について解説します。
かぶミニって、どんなサービス?
同業他社との比較について
日本株に投資している人や、これから投資しようと考えている人は、知っておいて損しない内容です。
サービスの落とし穴や弱点についてもしっかり触れるので、ぜひ最後までお付き合いください。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:楽天証券かぶミニ ぶっちゃけどう?
目次
解説動画:【新サービス】楽天証券の1株投資「かぶミニ」ってどうなの?完全解説
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
かぶミニって、どんなサービス?
まずは、「かぶミニ」の特徴を5つ紹介します。
- 1株から少額投資可能
- 配当金が受け取れる
- NISAに対応している
- リアルタイムでの取引が可能
- ポイント投資が可能
特徴①:1株から少額投資可能
通常、日本株は100株単位での取引が基本ですが、かぶミニなら1株から購入できます。
例えば1株3,000円の会社に投資する時、通常であれば「3,000円 × 100株 = 30万円」の投資資金が必要になるところ、かぶミニなら3,000円で1株から買えるワケです。
少額投資が可能になるので、気軽にいろいろな会社の株を買うことができます。
高配当株投資のように、分散が大前提の投資スタイルという人には使い道があるはずです。
単元株制度では、100株などの一定株数を1単元として考えます。
そして1単元の株式については議決権の行使を認め、1単元未満の株式(単元未満株)については議決権の行使を認めないという制度です。
株主というのは会社のオーナーであり、株を持つということは議決権を持つということです。
議決権があれば、株主総会で自分の意見を経営に反映させることができます。
単元株制度では、議決権を行使できる株主の数が制限されるので、企業側としては株主管理のコストを削減できるメリットがあります。
このように単元株制度の下では、単元未満株の保有者は議決権を行使できません。
とはいえ、「議決権は必要ない」「株価の値上がり益や配当金を貰えればOK」という人にとっては、大きなデメリットにはならないでしょう。
特徴②:配当金が受け取れる
単元未満株の保有者でも、配当金はきちんと受け取れます。
そもそも株主は、「株主権」という以下のような権利を持っています。
① 議決権
→ 株主総会に参加して、議決に加わる権利。
② 利益配当請求権
→ 配当金などの利益分配を受け取る権利。
③ 残余財産分配請求権
→ 会社の解散などに際し、残った会社資産の分配を受ける権利。
つまり株式投資というのは、権利のコレクションともいえます。
先ほども解説したように、単元未満株で制限されるのは議決権です。
配当金を受け取る権利は、一切制限されていません。
単元未満株を保有しているだけでも、チャリンチャリンと配当金をもらえるワケです。
ちなみに「株主優待」については、条件により受け取れないケースもあるので注意してください。
株主優待を受け取るために必要な株数などの条件は、銘柄により異なります。
特徴③:NISAに対応している
かぶミニは、NISA口座にも対応しています。
NISA口座で保有している株式については、売却益・配当金にかかる税金が非課税になります。
通常、税金として持っていかれる金額は、売却益の約20%、配当額の約20%です。
かぶミニと同じように1株から買える他社サービスの中には、NISA口座に対応していないところもあります。
税金はコストなので、削減できるのであれば絶対に削減した方が良い部分です。
特徴④:リアルタイムでの取引が可能
かぶミニでは、主要ネット証券で初めて「リアルタイム取引」が可能になりました。
ここでいう主要ネット証券とは、以下の通りです。
- SBI証券
- auカブコム証券
- 松井証券
- マネックス証券
- 楽天証券
- 指値注文
→ 「500円になったら買います」のように、価格を指定する方法。 - 成行注文
→ 「相場価格に任せて買います」のように、価格を指定しない方法。
基本的に、単元未満株は「成行注文」しかできません。
つまり成行で注文して、大体その辺りの価格になるイメージです。
そして単元未満株の取引は、売買が成立するタイミングも限られていました。
1日のうち、「株式市場が開いてすぐのタイミング」や「株式市場が終わる直前のタイミング」など、決まったタイミングでしか売買が成立しなかったワケです。
- 成行でしか注文できない。
- 価格は、始値(はじめね)や終値(おわりね)になる。
これまで単元未満株を買う場合、相場の途中で「イイ感じの価格」があったとしても、その価格では買えませんでした。
ところが、かぶミニではリアルタイム取引が可能です。
相変わらず「指値注文」での取引はできないものの、チャンスは広がったといえるでしょう。
特徴⑤:ポイント投資が可能
かぶミニでは、楽天ポイントを使った投資も可能です。
しかし楽天経済権を使いこなせる人にとっては、まだまだポイントの宝庫です。
主要ネット証券のうち、単元未満株のポイント投資に対応しているのは、「楽天証券」「auカブコム証券」の2社だけです。
この点も、かぶミニの実力を評価する上で、見逃せないポイントになるでしょう。
以上の内容が、かぶミニの大まかな特徴です。
- 1株から少額投資可能
- 配当金が受け取れる
- NISAに対応している
- リアルタイムでの取引が可能
- ポイント投資が可能
この特徴を見る限り、リベ大で勉強している皆さんとは、比較的相性の良いサービスに見えます。
なぜなら、皆さんの多くは以下のような特徴があるからです。
- 資産運用の経験は、1年~3年程度の初心者の人が多い。
- 楽天経済圏のサービスを利用している人が多い。
- 全世界株・米国株などのインデックスファンドを投資のコアにしている人が多い。
- 日米の高配当株を購入し、インデックスファンドとの二刀流をしている人が多い。
資産額の変動が少なく、コツコツ買っていける単元未満株は、資産運用(=リスク資産の値動き)に慣れる意味でも悪くありません。
一方で単元未満株の特性上、かぶミニは以下に該当する人が一生懸命使うべきものではありません。
- 運用資金が豊富な人
- 「5年で1億円!」のような投資をしたい人
- インデックス投資至上主義の人
同業他社との比較について
かぶミニの特徴を押さえたところで、同業他社のサービスと比較してみましょう。
楽天証券は「単元未満株取引」の最後発です。
このジャンル最後の参入者ということで、下位互換のサービスでは困ります。
比較項目①:手数料率
- 楽天証券:買付は無料、売却は1回あたり11円。
- SBI証券:買付は無料、売却は売却額の0.55%。
- auカブコム証券:買付・売却ともに取引額の0.55%。
- マネックス証券:買付は無料、売却は売却額の0.55%。
- 松井証券:そもそも買付ができない。
上記の内容だけを見た場合、主要ネット証券5社では、楽天証券が最強に見えます。
「11円 ÷ 0.55% = 2,000円」となり、2,000円以上の売却をする場合、楽天証券が最安になるからです。
しかし比較をする際は、次の項目「最低手数料」も含めて考えなければいけません。
比較項目②:最低手数料
2つ目の比較項目、最低手数料まで考慮すると、見える状況は少し変化します。
例えばSBI証券の売却手数料は、「売却額の0.55%」になっていました。
しかし実際にかかる手数料は、以下の2つの金額を比較して高い方の額になります。
- 手数料率:売却額 × 0.55%
- 最低手数料:55円
SBI証券としては、最低でも55円の手数料は確保できるというワケです。
金融の世界には、超重要なことは「※」を打ち小さく書くという、謎のルールがあります。
皆さんもぜひこの点を覚えて「守る力」を高めてください。
「※」に該当する部分を見てみましょう。
「かぶミニは手数料と別にスプレッドがあります」と書かれています。
多くの人は、「ん?どういうこと?」となるでしょう。
ややこしい話を抜きにして簡単にお伝えすると、スプレッドというのは要するに「手数料」です。
結局かぶミニでは、買う時も売る時も0.22%のスプレッド(手数料)がかかります。
売る時は、さらに1回あたり11円の手数料がかかる点も要注意です。(下図参照)
このスプレッドの存在が、かぶミニの落とし穴の1つ目というワケです。
楽天証券は最後発というだけあり、他社の手数料体系をよく研究しています。
その上で、以下のように簡単に他社比較ができない手数料体系を導入してきました。
- Aのケース:楽天証券(かぶミニ)が最安
- Bのケース:SBI証券が最安
- Cのケース:〇〇証券が最安
複雑な料金体系は、利用者としては嬉しいものではありません。
細かく場合分けしても仕方ないので、どのケースでどの証券会社が良いのかについて、ざっくりとしたイメージだけお伝えしておきます。
- 買う時
→ SBI証券やマネックス証券など、「買付無料」の会社が最安クラス。 - 売る時
→ 楽天証券が最安クラス。 - 売買トータル
→ SBI証券、マネックス証券、楽天証券で大差なし。
高配当株投資は、基本的に長期のバイ&ホールドが前提なので、めったなことでは売りません。
よって高配当株投資をする場合は、買付手数料が「本当に無料」の会社を使った方が良いワケです。
比較項目③:リアルタイム取引
リアルタイム取引ができるのは、主要5社の中では楽天証券だけです。
それは、「リアルタイムで取引できる銘柄が、100銘柄しかない」ということです。
取引できる銘柄は順次拡大するとのことですが、100銘柄というのはさすがに少なすぎます。
特にリベ大で紹介している高配当株投資では、中小型株への投資がポイントになります。
かぶミニでリアルタイム取引できる100銘柄は、有名な大企業ばかりで、優良な中小型株は含まれないでしょう。
なお、寄り付き(相場が開いた直後)での取引対象も1,000銘柄と少なくなっています。
こちらも順次拡大していく予定とのことですが、SBI証券であれば東証上場の約3,800銘柄全てに投資可能です。
比較表だけを見ると、リアルタイム取引ができるのは楽天証券だけなので、メリットを感じる人もいるかもしれません。
比較項目④:ポイント投資
ポイント投資については、楽天証券に軍配が上がります。
単元未満株取引のライバルになっている証券会社は、以下のような状況になっています。
- SBI証券:現状ポイント投資なし
- マネックス証券:現状ポイント投資なし
比較項目⑤:日計り取引
日計り(ひばかり)取引というのは、要はデイトレードのことです。
同一の取引者がAという銘柄を買い、A銘柄をその日のうちに売却するような短期売買を指します。
楽天証券のかぶミニは、リアルタイム取引が可能です。
売買の成立タイミングが多く、デイトレードにも使えるということでしょう。
- 売買の際に、必ず0.22%のスプレッド(手数料)がかかる。
- リアルタイム取引が可能な銘柄は、100銘柄と少ない。
そもそもリベ大では、マイナスサムゲームになるデイトレードはおすすめしていません。
その意味では、リベ大で学ぶ皆さんにとって「日計り取引ができる」というのは、他社比較でのメリットとも言いにくいワケです。
ここまでの他社比較をした上で、リベ大が現時点で皆さんにお伝えできる結論は以下の通りです。
一番おすすめなのは、SBI証券。(買う時の手数料が無料で、取り扱い銘柄が多い)
楽天証券(かぶミニ)は総合力は高いものの、現時点ではリベユーザーにはマッチしない。
楽天証券(かぶミニ)はポイント面で優位性があるため、今後手数料体系の変更や取り扱い銘柄の増加により、おすすめしやすくなる可能性もある。
リベ大おすすめの投資スタイルについて詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
株式投資において、コスト管理は最も重要なポイントの1つです。
「どうせ同じことをするのであれば、最安の選択肢を選ぶべき」というのは、成功する資産形成の大前提といっても良いでしょう。
ちなみにビジネスの世界では、必ず最安値が良いというワケではありません。
とにもかくにも、同じ結果を得られるのであれば、最安の選択肢を選ぶのが基本という点は覚えておきましょう。
ちなみにリベ大両学長は、「細かい数字を気にするよりも、ドカっと稼いでしまえ!!」というタイプです。
とはいえ、細かい数字を無視していたら、今回解説した話の土台がひっくり返ってしまいます。
今後も新しいサービスや商品などが出てきた時は、リベ大ではきちんと以下のような点について情報発信をしていきます。
- サービス・商品などを丁寧に見比べつつ、何がメリットで何がデメリットなのかを整理して伝える。
- サービス・商品などの評価ポイントや、皆さんにどうしてほしいかなどを伝える。
まとめ:かぶミニと他社サービスの特徴を理解して、証券口座を活用していこう!
今回の記事では、以下の2点について解説しました。
かぶミニって、どんなサービス?
同業他社との比較について
かぶミニというのは、楽天証券の「単元未満株取引のサービス」です。
かぶミニには以下のような特徴があります。
- 1株から少額投資可能
- 配当金が受け取れる
- NISAに対応している
- リアルタイムでの取引が可能
- ポイント投資が可能
主要ネット証券5社の比較表は、以下の通りです。
- 買う時
→ SBI証券やマネックス証券など、「買付無料」の会社が最安クラス。 - 売る時
→ 楽天証券が最安クラス。 - 売買トータル
→ SBI証券、マネックス証券、楽天証券で大差なし。
- リアルタイム取引は楽天証券のみ可能なものの、取り扱い数が100銘柄と少ない。
- ポイント投資ができるのは、楽天証券とauカブコム証券だけ。
- デイトレード面で、楽天証券に優位性がある。
楽天証券のかぶミニの総評は、「良いサービスに育ちそうなものの、あともう一息」というところです。
「手数料体系の複雑さ」「取り扱い銘柄の少なさ」などは、もう少し頑張ってほしいところです。
特にリベ大でお伝えしている日本の高配当株投資では、誰もが知っている大型株ではなく、あまり知られていないような中・小型株がキーになります。
- 景気循環株が多く、不景気で減配しやすい。
- 値付けが正しいことが多く、割安に買えるチャンスが少ない。
つまり頑丈な高配当株ポートフォリオを組む場合、一部の優良大型株だけではなく、優良な中・小型株も買う必要があるワケです。
今後かぶミニで、優良な中・小型株を買えるようになるかどうかは、まだ分かりません。
ちなみに、今までリベ大でおすすめしてきたネット証券は、SBI証券と楽天証券の2社です。
リベ大では、今のところSBI証券が頭1つ抜けていると評価しています。
とはいえ、今まで単元未満株が買えなかった楽天証券で今後それが買えるようになるのは、間違いなく大きな進歩です。
業界の2トップとして、同業他社と同等か、上位互換であり続けてくれることを期待しています。
ちなみに証券口座を2つ持つことは、以下のような点からも十分な意味を持ちます。
- 口座分散という保険になる
- 投資商品の選択の幅が増える
- 手数料などのコストを上手に管理できる
証券口座を複数持つメリットについては、以下の過去記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
またリベ大のオンラインコミュニティ「リベシティ」では、日本の高配当株投資について、おすすめ銘柄の紹介や分かりやすい図解解説なども行っています。
楽天証券のかぶミニの登場を受けて、同業他社もサービス内容を見直すかもしれません。
業界内で健全な競争が行われ利便性がアップしてくれると、ユーザーとしては嬉しいところです。
今の時代、証券口座をうまく活用できるかどうかは、お金持ちになれるかどうかに大きく影響します。
リベ大ではこれからも引き続き状況をウォッチして、皆さんに情報をお伝えしていきます。
以上、こぱんでした!
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