
皆さんがリベ大で日々学んでいるように、リベ大両学長も日々「お金のノウハウ」を蓄積しています。
今回の記事は、両学長がインプットしたニュースの中から、お得なモノやトレンドを毎月ピックアップしてお届けする人気企画、「お金のニュース」です。
リベ大で紹介するお金のニュースは、以下のテーマに関係したものに絞っています。
- 年収アップ(転職、副業、起業ネタ)
- 貯蓄額アップ(節約ネタ)
- 投資(株式投資、不動産投資ネタ)
- 資産防衛(節税対策、詐欺にあわないための知恵)
今回は2024年の第10弾として、皆さんの資産形成に関係する重要なニュースを厳選しました。
「お金のニュース」は、以下のような人に向けた時間節約記事となっています。
「新聞を読む暇がない」
「ネット記事を見る時間がない」
「読んだけどよく意味が分からなかったから、解説してほしい」
毎月1本、このシリーズの記事を1年間読み続ければ、金融リテラシーが上がるネタを約100本も学べます。
コツコツと積み上げていくことで、毎月確実にレベルアップできるでしょう。
関連記事
目次
解説動画:【知ると役立つ】2024年10月 学長が選ぶ「お得」「トレンド」お金のニュース Best8
このブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
【2024年 第10弾】お金のニュース
ニュース1:【貯金やりすぎ注意】日本、インフレ続きます。良いデフレなんてありません

1つ目のニュースは、2024年10月6日の日本経済新聞から、「石破茂首相、心配なのは物価高ですか?デフレですか?」です。
10月1日に誕生した石破内閣ですが、石破茂首相が「利上げ」に関して手のひら返しをするような発言をしました。
ざっくり言うと、
- 経済センスが良い → 株価が上がる
- 経済センスが悪い → 株価が下がる
ということになります。
首相の舵取りは、投資家のお財布にダイレクトに直撃するワケです。
総理就任前の石破首相は、このような発言をしていました。
「インフレが進んでて良くないですなあ。金利を上げて(利上げして)、経済を冷ましましょうか」現在の日本の政策金利0.25%に関して、「もっと金利を上げても良いのでは?」という趣旨でした。
ところが総理就任後に石破首相は、「追加利上げの環境にない」と発言し、見事に手のひらを返したというのが今回のニュースです。
インフレというのは、モノやサービスの価格が継続的に上昇する状態です。
例えば1個100円のおにぎりが、来年には1個110円になるイメージです。
モノとの比較で言えば、通貨の価値が下がっている状態になります。
一方デフレは、モノやサービスの価格が継続的に下落する状態です。
1個100円のおにぎりが、来年には1個90円になるイメージです。
こちらは、通貨の価値が上がっている状態になります。
このような議論には、「良い〇〇」「悪い〇〇」という話がつきものです。
最近であれば、「良い円高・悪い円高」「良いインフレ・悪いインフレ」といった言葉を見聞きした人も多いのではないでしょうか。
同じ話で、1990年代の日本では良いデフレ論争というものがありました。
当時、物価の下落が続いていた日本で、「良いデフレならOKでは?」という主張があったのです。
- 物価が上がらない
- 企業の売上が伸びない
- 結果として賃金も上がらない
- 賃金が上がらないから、需要も伸びない
- モノが売れない
(以下地獄のループ)
このようにして、経済の成長がストップしてきたワケです。
今や「良いデフレ」は存在しないというのが通説になっています。
一方でインフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
- ゆるやかに物価が上がる
- 企業の売上が伸びて、賃金もゆるやかに上がる
- 皆さんのお財布が潤い、人がさらにモノを買うようになる(需要が増える)
- またゆるやかに物価が上がる
というように、経済全体が成長していくイメージです。
一方悪いインフレは、いわゆる「ハイパーインフレ」と呼ばれるようなものです。
- 戦争が起き、農場や工場が壊されてパンが一個100万円になる
- 政府がお金を刷りすぎて通貨の信用が失われ、お金が紙くず同然になる
図にすると、以下のようなイメージです。
デフレの世界では、借金は不利になります。
通貨の価値が上がるということは、裏を返せば借金の重みもどんどん増えていくということです。
物価が下落し続ける状況では、会社が売上を伸ばすのも大変です。
多くの会社は多額の借入れを行って事業経営をしているため、デフレになると債務の重みに耐えきれず、破綻する企業が出てくるワケです。
そして連鎖倒産につながり、失業者がますます増える悪循環に陥ります。
ここが分かると、アメリカで「物価、雇用統計、金利」が話題になる理由なども理解しやすくなります。
今後の日本は過去数十年と違い、物価が継続的に上がりつつ、通貨の価値はゆるやかに下がっていく時代になるかもしれません。
物価が上がり続ける世界では、貯金では購買力を維持できないからです。
株や不動産などに投資しないと、購買力は下がり続ける一方になります。
ニュース2:【やっぱり】首相「増税しません」

2つ目のニュースは、2024年10月8日の日本経済新聞から、「首相、金融課税強化検討せず」です。
先ほどの「利上げ」ニュースに引き続き、石破茂首相が「金融所得課税の強化」に関しても手のひら返しをしたというニュース。
金融所得課税というのは、資産運用で得た「売却益」や「配当金」などに対する税金をどうするかという話題です。
この点に関して石破首相は、
- Before:「税率アップを検討します(=増税したいです)」
- After:「現時点で具体的に検討することは考えていない」
というように、温度感が変わりました。
記事から、石破首相の発言をピックアップしてみます。
利上げについて:肯定派 → 否定派に
金融所得増税について:今は具体的には検討しません
法人税増税について:触れなくなった
この3つをミキサーに入れて回すと、政権の本音が見えてきます。
結論、政権としては「株価を下げたくない」と考えているようです。
- 利上げをすると、経済が冷え、株価が下がる。
- 金融所得課税を強化すると、投資家が嫌がり、株価が下がる。
- 法人税を強化すると、企業の利益が減り、株価が下がる。
このようにして株価が下がると、政権のイメージに「大きなバッテン」がつくワケです。
石破ショックのような名前がつけられ、大きくイメージを損なうことは避けたいのでしょう。
昔の株式投資は、「一部の金持ちだけがするもの」や「ギャンブル」というイメージを持っていた人も多かったはずです。
多くの「フツウの人」が株式を買うようになり、インデックス投資のようなギャンブル要素がかなり薄めの投資法も広がってきました。
さらに国はNISAのような制度で国民に株式投資を促したり、自分たちも年金制度を維持するために株式投資でお金を増やしたりしています。
日本の年金基金は、日本株におよそ63兆円も投資している状況です。(下図参照)

(出典:GPIF「2024年度の運用状況」)
株価を暴落させることは、自分で自分のクビを締めるような状況ということです。
今の時代、「株高」にすること自体が国策になってきています。
- 株安 → 無能な政府
- 株高 → 有能な政府
このような印象を持たれる時代になってきたということです。
一昔前なら、株価が暴落しても次のような話で済んだかもしれません。
しかし見てきた通り、今の時代は必ずしも上記のような話では済みません。
短期的に見れば、株価の暴落は今後も絶対に起こります。
ただ長期的に見ると、やはり株価は伸びていく可能性が高いでしょう。
企業は利益を稼ぎ続け、政府は株式市場を支え続ける方向性で動いているからです。
ニュース3:東京メトロ IPO!個人投資家から人気

3つ目のニュースは、2024年10月15日の日本経済新聞から、「東京メトロIPO、時価総額6972億円 個人投資家から人気」です。
以下の図解を見てから記事を読み進めると理解しやすくなるので、参考にしてください。
▼図解:IPO投資 やるべき?
東京地下鉄株式会社(通称:東京メトロ)が10月23日に上場し、投資家から注目を集めました。
東京メトロは、東京都とその周辺で地下鉄を経営している鉄道事業者です。

(出典:東京メトロ「路線・駅の情報」)
東京で暮らしている人にとっては、インフラとして不可欠な存在です。
そして今回、東京メトロの大株主である「国」と「東京都」が、彼らの保有する株式を一般人に売り出しました。
この株式に、多くの個人投資家が飛びつきました。
今回のニュースでは、
① なぜ多くの人が飛びついたのか?
② 今後、似たような話があったら参加した方が良いのか?
という2点について解説していきます。
なぜ多くの人が飛びついたのかと言うと、投資家が儲かりそうと感じたからです。
株式投資における「IPO投資」という投資手法を簡単に解説します。
- 新しく上場する株が登場する
- 「その株欲しいです!」と抽選に応募する(当選したら購入する)
- 購入した株を、上場日に速攻で売る
今回は「IPO投資の仕組み」を解説することが目的ではないので、簡単なポイントだけ押さえてください。
IPO投資は、勝率高めのミニ宝くじのようなものです。
- 抽選に応募して、当選した場合に買える株価
- 上場日に、市場でつけられる株価
上記2つを比べると、1の「当選した場合に買える株価」の方がお得な(安い)ケースが多くなっています。
具体的には以下のようなイメージです。
- リベ大株、抽選に応募して当選した場合は1株1,000円で買える
- 上場日以後に、株式市場で買おうとすると1,500円する
クジに当たり上場日前に1,000円で買えた人は、1,500円で売れば儲かるワケです。
ちなみに2024年は、9月までに54社が上場し、そのうち44社は「当選して買った株を、上場日に速攻で売る」スタイルで儲かりました。
(参考:やさしいIPO株のはじめ方「2024年のIPO初値上昇ランキング」)
東京メトロは、以下のように話題性も抜群でした。
① 高配当になりそう(配当利回り約3.3%と、鉄道株の中では高め)
② 株主優待も魅力的
③ 利益率約20%と高収益で、鉄道という安定事業
④ インバウンドで外人客が増え、今後も期待できそう
「こんなに話題になってるんだから、当選さえすれば儲かるに違いない!」と考えた投資家がたくさんいても、全く不思議ではない状況でした。
仮に高値で売れなくても、持ちっぱなしにすれば良いと思えるような優良企業という点も大きかったでしょう。
理由は次の通りです。
当選確率を上げようと思うと、たくさんの証券会社で口座を開設して、たくさんの証券会社から抽選に応募する必要があります。
口座管理の手間は、馬鹿になりません。