こんにちは、こぱんです!
さて、自社株買いと言えば、以下のようなニュースがあったね。
米国の有力アクティビスト(物言う株主)、エリオット・マネジメントがソフトバンクグループ(SBG)に対して最大200億ドル(約2兆2千億円)の自社株買いや社外取締役の増員などを要求していたことが7日わかった。
上場企業の自社株買いが急増している。2019年度の自社株買い計画額は21日時点で、約3兆4千億円と前年同期比9割増だった。
そこで今回は、自社株買いに関する以下の2つのことを解説していきます。
- 自社株買いとは何か?
- 自社株買いのニュースが株価に与える影響とは?
投資をしている人、これから投資を始める人にとって「自社株買い」を理解しておくことは無駄ではありません。
「自社株買い」を理解しているかどうかによって、投資成績にも影響を与えることもあります。
目次
解説動画:【初心者向け】自社株買いが株価に与える影響を分かりやすく解説
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
自社株買いとは何か?
自社株買いとは、「株式を発行した会社が自社の株式を買い戻すこと」です。
会社は投資家から資金を集めるために、株式を発行します。
仮に、学長が株式会社リベラルアーツ大学を設立して、30万円の株を1,000株発行したと想定しましょう。
みなさんが投資家として、発行された1,000株に投資をすると、学長は以下のように3億円のお金を集めることができます。
例えば、50万円で買い戻しをしたら、みなさんは以下のように1株あたり20万円得をすることになります。
つまり、自社株買いは「投資家にお金を払うこと」と同じ意味になるため、株主還元策の1つとして知られています。
そして2019年度、日本企業の自社株買いが急増したため大きな話題となりました。
以下のような、日本を代表する企業も、自社株をどんどん買いました。
- 三菱地所
- ファナック
- 京セラ
- ソニー
- KDDI
- キャノン
- 旭化成
全ての自社株買いの総額は、2018年、2019年度の2年連続で7兆円にも達していました。
2019年3月期、2020年3月期と2年続けて年6~7兆円のペースで自社株買いが入っていた。
Yahoo!ニュース「「自社株買い」のメリット・デメリットを分かりやすく解説--株価の乱高下を警戒せよ」より
7兆円と言われても、数字が大きすぎて想像がつかないかもしれません。
自社株買いは、株主第一主義のアメリカでも、配当金の支払い以上に活用されている株主還元策です。
例えば、iPhoneで有名なAppleも2018年5月に、1,000億ドル(約11兆円)の自社株買いを発表して注目を集めました。
自社株買いのニュースが株価に与える影響とは?
自社株買いが発表された時の株価変動
自社株買いが発表されると株価はどうなるのか?実例を踏まえて紹介していきます。
まず、三菱地所の株価チャートをみてみましょう。
三菱地所の株価は5月中旬に跳ね上がっています。
- 5月14日終値:1,872.5円
- 5月15日終値:2,033円
三菱地所は14日、同社初となる自社株買いを実施すると発表した。1000億円分を買い入れる。
続いては、ディー・エヌ・エーの株価チャートをみてみましょう。
ディー・エヌ・エーの株価は5月前半に跳ね上がっています。
- 5月10日終値:1,766円
- 5月13日終値:2,021円
買い付けるのは自己株式を除く発行済み株式数の26%。上限は500億円で、5月13日から20年4月30日までの間に市場で買い付ける。
「株価が上がる」と判断する投資家の5つの考え方
自社株買いによって、株価は上がることが多いですが、理由は1つではありません。
そこで今回は、自社株買いで「株価が上がる」と判断する投資家の、5つの考え方について解説します。
- ①自社株割安のシグナル
- ②経営者の浪費防止
- ③供給減で希少価値がアップ
- ④1株当たりの価値の増加
- ⑤増配の期待
考え方①:自社株割安のシグナル
経営者が「自社株を買おう」と判断する理由は、経営者自身が、自社株の価格を安いと考えているからです。
内部事情を知っている経営者が、自社株を割安と感じているのであれば、「今の株価は割安に違いない」と投資家は判断します。
考え方②:経営者の浪費防止
企業内部に多額のお金をため込むと、経営者が以下のような浪費をする可能性があります。
- 無駄に派手なビルを建てる
- 無駄な高級外車を買う
経営者は良い気分かもしれませんが、株主の利益にはなりません。
自社株買いにお金を支払うと、経営者の浪費を防げるため、株主にとってプラスになるという考え方です。
考え方③:供給減で希少価値がアップ
会社自身が株式を買い戻すということは、市場に流れる株式の数が減ることになります。
すると、株式の希少価値が高まり、株価が上がるという考え方です。
考え方④:1株当たりの価値の増加
発行株式の数が減少しても企業の利益が変わらなければ、1株あたりの利益が増えます。
【前提】
- 発行株式数:250株
- 利益:1,000万円
- 1株あたりの利益:4万円
【自社株を50株買った場合】
- 発行株式数:200株
- 利益:1,000万円
- 1株あたりの利益:5万円
つまり、自社株買いによって1株あたりの利益効率が上がったという考え方です。
考え方⑤:増配の期待
発行株式の数が減少すると、1株当たりの配当金が同じでも、企業の配当に充てるお金の総額が減ります。
【前提】
- 発行株式数:250株
- 配当金:2円/株
- 配当金の総額:500円
【自社株を50株買った場合】
- 発行株式数:200株
- 配当金:2円/株
- 配当金の総額:400円
つまり、企業として1株あたりの配当金を増やしやすくなります。
そのため今後、配当金が上がること(増配)を期待できるという考え方です。
ここまで、自社株買いで「株価が上がる」と判断する投資家の、代表的な5つの考え方を解説しました。
「株価は上がらない」と判断する投資家の2つの考え方
続いて、自社株買いで「株価は上がらない」と判断する投資家の、2つの考え方について解説します。
- ①投資機会減少のシグナル
- ②オオカミ少年の疑い
考え方①:投資機会減少のシグナル
企業が成長中なら、お金は事業拡大に向けた投資に使いたいはずです。
しかし、自社株買いを行うということは、「魅力ある投資機会を企業が見つけられなくなった証拠」とする考え方です。
考え方②:オオカミ少年の疑い
企業が「自社株買いをやるぞ!」と公表しても、実際にはやらないのではないか?という考え方です。
企業が自社株買いを発表する時は、一般的に以下のような「一定の購入する幅を取得すること」を指します。
「絶対にこの金額で自社株買いをします!」
「自社株買いをこの範囲で買います!」
つまり、取得した枠に対して自社株買いの金額が少なかった、ということもあるのです。
実際、2019年8月に行われた三井住友フィナンシャルグループの自社株買いは、以下の通りでした。
- 当初の発表:「上限1,000億円分買います!」
- 実際の取得:「236億円でした!」
株価は様々な要因が影響し合って複雑に動くため、自社株買い1つ取り上げても「株価が上がるかどうか」は分かりません。
他の要因もたくさんあるため、素人が株価を正確に予想することは難しく、プロであっても失敗するのが投資の世界です。
だからこそ、リベ大は個別株の短期売買をおすすめしていません。
まとめ:企業の意識は株主の方に向いている
改めてこれまでの内容をまとめると、自社株買いとは、「株式を発行した会社が自社の株式を買い戻すこと」です。
一般的には、自社株買いが発表されると株価が上がることが多く、代表的な株主還元策の1つでもあります。
近年、株主還元が増えていることは、投資をしている人、投資を始めようとしている人にとって嬉しいことです。
しかし、「自社株買いの情報を活用した個別株の短期売買」をリベ大はおすすめしていません。
短期的な株価はプロであっても正確に読むことは難しいからです。
だからこそリベ大では、インデックス投資によって「企業全体の自社株買いが増えている恩恵を受けること」をおすすめします。
自社株買いに限らず、企業の意識が株主に向いていることは以下のデータからも明らかです。
- 給料:年率1%しか伸びていない
- 配当:年率12%も伸びている
つまり、従業員が泣いている一方で、株主は自社株買いや配当でガンガン利益還元されているわけです。
▼図解で簡単にわかるお金持ちへの道
投資によって株主の立場となり、企業が儲けた利益を分けてもらう事はとても重要です。
今の時代はネット証券口座1つあれば、誰でも株主になれます。
誰もがどんな状況でもチャンスがある中で、以下のどれを選択するのかは自分次第です。
- 「資本家ずるい!金持ちずるい!」とテレビの前でビール缶を片手に怒る
- 「どうせ自分にはできないし…」と出来ない理由を探して諦める
- 「誰でもなれるいい時代!チャンスだ!」と考えて今日から行動する
そして実際に投資を始めると、いろいろなニュースに対する関心の幅が広がります。
リべ大では、投資に関する情報を、初心者でも分かるような簡単な解説と共に今後も発信し続けていきます。
以上、こぱんでした!
投資を始めるなら、リベ大では楽天証券、SBI証券をおすすめしています!
▼「投資を始めたい!」という人に読んで欲しい記事がこちら!
「増やす力」を身につけるために、もっと詳しく知りたい方はオンラインコミュニティ「リベラルアーツシティ」をご活用ください♪
自由へと一歩近付くための「お金にまつわる5つの力」の基本をまとめた一冊です!