【キリンHD vs 株主】株主と経営者の微妙な関係について解説

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こんにちは、こぱんです!

2020年も残り1ヶ月を切りましたが、みなさんはどんな話題・ニュースが印象に残っているでしょうか?

今回リベ大では、経済的自由を達成するために、資産と自由な時間を育てていく「増やす力」をテーマに、振り返りたいニュースがあります。

▼図解で簡単に分かる増やす力

 

そのニュースとは、2020年3月の「キリンHDと株主であるイギリスのファンドが対立している」というニュースです。

2014年からキリンホールディングス(HD)の株主で、現在2%を保有するイギリスの投資会社インディペンデント・フランチャイズ・パートーナーズ(IFP)のハッサン・エルマスリーCEOはそう強調する。
IFPとキリンの主張は真っ向から対立している。

この中で、株主側(イギリスのファンド)が求めたことを、キリンHDの取締役会は全会一致で否決しました。

株主が求めた内容の一部
  • ビール事業への集中
  • 自己株の取得
  • 社外取締役の選任
  • 役員報酬制度の変更

あひるくん
う~ん、株主と経営者の関係性ってよく分からないな…。
株主と経営者は敵同士なの?

こぱん
いや、株主と経営者は敵同士では無いんだよ^^;

株式会社は、持ち主と実際に経営する人が分かれる仕組みで、専門的な表現だと「所有と経営の分離」と呼ばれています。

そのため、経営者は「会社の持ち主である株主の代理」として、会社の経営という仕事を行っているわけです。

つまり、株主と経営者の関係は依頼人と代理人の関係なのです。

ただ、この「依頼人と代理人」という関係には、微妙でややこしい「プリンシパル・エージェント問題」が隠されています。

あひるくん
ぷ…プリン…え?
  • プリンシパル:依頼人
  • エージェント:代理人

そもそも、依頼人と代理人という関係を正確に理解している人は多くありません。

みなさんは「ゴルゴ13」という漫画を知っていますか?

ゴルゴ13のストーリーは、「国のお偉いさん等が、世界一の狙撃手であるゴルゴ13にターゲットの暗殺を依頼する」というものです。

ゴルゴ13のストーリーイメージ

依頼者「アイツを抹殺してくれ…。」

ゴルゴ13「分かった…引き受けよう。」

こぱん
これを会社経営における「株主と経営者」に置き換えると…。
会社経営における「株主と経営者」

株主(依頼者)「売上を伸ばして、利益もドンドン伸ばしてね!」

経営者(代理人)「分かったよ!」

あひるくん
なるほど、依頼人と代理人の関係は理解できたよ。

そこで今回は、依頼人と代理人の関係における「プリンシパル・エージェント問題」について解説します。

株式投資をする、つまり株主になろうと考えている人は、絶対に知っておくべき内容です。

リベ大をキッカケに「増やす力」を育てたいと考えている人、すでに育てている人は、しっかり理解していきましょう。

こぱん
ぜひ、最後まで見てくださいね^^
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解説動画:【キリンHDvs株主】株主と経営者の微妙な関係について解説

このブログの内容は下記の動画でも解説しています!

株主と経営者の複雑な関係

プリンシパル・エージェント問題とは?

プリンシパル・エージェント問題とは?

先ほども説明したとおり、株主と経営者は依頼人と代理人の関係、つまりプリンシパルとエージェントの関係です。

株主と経営者の関係性

株主 = 依頼人 = プリンシパル

経営者 = 代理人 = エージェント

では、「プリンシパル・エージェント問題」とは一体どのような問題なのでしょうか?

簡単に言えば、「エージェントがプリンシパルのために働かないという問題」です。

つまり経営者(エージェント)が、株主(プリンシパル)の利益を無視して、自分の利益のために行動してしまうということです。

こぱん
例えば、以下のような事例をイメージすると分かりやすいかな^^
プリンシパル・エージェント問題のイメージ

経営者(エージェント)

  • 大きいビルを買って、素敵な役員室を作ろう!
  • ベンツとか高級車を買おう!
  • 社員もドンドン雇おう!
  • 交際費を使ってキャバクラを楽しもう!
  • 利益は出なくても、どんどん事業の幅を広げよう!
  • 会社のお金だから、自分の懐は傷まない!

株主(プリンシパル)

  • ムダに豪華なオフィスや高級車は不要!
  • 利益の出ない事業にお金出すなら、株主に還元して!

あひるくん
めちゃくちゃ対立してるじゃん…。

実際、「プリンシパル・エージェント問題」は多く発生しており、冒頭で取り上げた「キリンHDの事例」も同様です。

株主であるイギリスのファンドは、以下のように発言しています。

株主(イギリスのファンド)の発言

「取締役が果たすべき本来の責任を果たしていない!」

「取締役は株主の利益を二の次にしている!」

(出典:東洋経済ONLINE「「キリンは株主無視だ」英投資ファンドの言い分」

こぱん
まさに滅多切りですね^^;

キリンHDの経営陣は、完全にダメエージェント扱いされています。

また、2020年3月にニュースとなった「関西電力役員らの不祥事」も、経営者が株主の利益そっちのけで、自分達の利益を追求した結果です。

関西電力の不祥事

工事発注の見返りに3.6億円の金品を受領

業績悪化でカットした役員報酬2.6億円を退任後に補填

あひるくん
関西電力の不祥事もメチャクチャだよな…。

仮にみなさんが株主なら、「絶対に許さない!」と怒りを感じるレベルではないでしょうか?

ゴルゴ13が、依頼人に頼まれたターゲットとは別のターゲットを狙いに行ったら、正直笑えません。

 ゴルゴ13「…(別な人を撃っちゃったどうしよう...)」

こぱん
そんな依頼人の役に立たない経営者(エージェント)の存在価値はゼロだよね^^;

ファミリー企業の業績は優秀

「プリンシパル・エージェント問題」の裏返しとして、ファミリー企業は業績が良いという研究結果があります。

ファミリー企業とは、創業者の家族・親族が株主であり、経営も行う企業のことを意味します。

アメリカのS&P500を構成する企業の内、約35%がファミリー企業であり、非ファミリー企業よりもパフォーマンスが良いのです。(参考:PRESIDENT Online「同族経営が”普通の経営”より好業績なワケ」

そして日本の会社についても、似たようなデータを複数見つけることができます。

こぱん
収益性・安全性は同族企業の方が優位だと明確だね^^

同族企業とはファミリー企業とほぼ同じと考えてください。

つまり、株価も財務指標も同族企業(ファミリー企業)は優秀ということです。

優秀な理由の1つが、経営者 = 株主のため、「プリンシパル・エージェント問題」が起きないからだと言われています。

あひるくん
確かに、経営者と株主が同じだと対立も起きないよな

株主と経営者は結局どちらが強いのか?

株主と経営者は結局どちらが強いのか?

株主と経営者の関係がこじれている様子を見ると、「株主と経営者は結局どちらが強いのか?」という疑問を持つ人も少なくありません。

教科書的な回答としては、もちろん「株主」が強いです。

経営者は、あくまで「株主に依頼されて仕事をしている立場」であり、株主は手続きを踏めば経営者をクビにすることも可能です。

あひるくん
じゃあ、どうして問題が起きるのさ?

こぱん
それは、実際の手続きや条件が簡単じゃないからだね^^;

仮に、経営者をクビにする場合、まとまった議決権が必要なのです。

そのため、経営者をコントロールするには、たくさんの株式を持っていなければなりません。

先ほどの「キリンHDと対立しているイギリスのファンド」も、保有している議決権は2%程度でした。

取締役をクビにしたいと考えても、他の株主と団結しない限り難しいと言えるでしょう。

そう考えると、「株主と経営者」の関係性は「政治家と有権者」の関係性に似ているかも知れません。

あひるくん
なるほど…、じゃあ「プリンシパル・エージェント問題」はどうやって防ぐのさ?

こぱん
それを理解する為には、2つの原因から見ていくと良いかな。
プリンシパル・エージェント問題の2つの原因
  1. 株主と経営者で利害が一致しない
  2. 株主よりも、経営者の方が会社のことに詳しい

この2つの原因を解決するために、実際に様々な対策が講じられています。

実際の対策例を見てみましょう。

プリンシパル・エージェント問題の対策事例

株主と経営者の利害を一致させる

  • 経営者への報酬を、業績に連動させる
  • 経営者への報酬を、株式で支払う

経営者が持っている情報を株主にも見せる

  • 財務諸表を公表させる
  • 財務諸表の中身が正しいか監査を受けさせる

あひるくん
じゃあ、僕に出来ることは無いってこと?

こぱん
確かに、会社自体に出来ることは無いだろうね。
でも、個人投資家という立場では、やるべきことがあるんだよ^^

リベ大が今回の事例を通して1番伝えたいこと、それは「コーポレート・ガバナンスが適切な会社に投資すること」です。

コーポレート・ガバナンスとは、日本語では「企業統治」、つまり「企業経営を監視する仕組み」を意味します。

そして、背景にあるのは「会社は株主のものであり、経営者は株主の利益のために行動すべき」という考え方なのです。

馴染みのない言葉・考え方かもしれませんが、投資をする上で、これほど重要な概念はありません。

「プリンシパル・エージェント問題」の原因と対策を振り返ってみましょう。

プリンシパル・エージェント問題の2つの原因と対策
株主と経営者で利害が一致しない
株主と経営者の利害を一致させる
株主よりも、経営者の方が会社のことに詳しい
経営者が持っている情報を、株主も見れるようにする

こぱん
これもコーポレートガバナンスの一種ですね。

コーポレート・ガバナンスが適切な会社は、経営者の暴走を止められる仕組みがある会社と言えるわけです。

自分の大切なお金を投資するのであれば、そんな会社を選びたいものです。

一方で、コーポレート・ガバナンスなんて聞いて、以下のように感じる人達もいるでしょう。

「うーん、なんだか難しそうだな。」

「正直、良く分からないけど…まぁいいか。」

「庶民の自分達には関係ないな。」

あひるくん
僕も同じように考えてたよ…。

こぱん
あひるくん、それは大間違いだよ!

「増やす力」を育てる人、育てたい人、つまり投資をする人なら誰にでも関係のある話です。

みなさんが投資したお金を、みなさんの利益のために使ってもらう重要な仕組みですから、「自分のこと」として考えていきましょう。

まとめ:コーポレート・ガバナンスが適切な会社に投資しよう

コーポレート・ガバナンスが適切な会社に投資しよう

株主と経営者の関係は、依頼人(プリンシパル)と代理人(エージェント)の関係でした。

そして、この関係には「プリンシパル・エージェント問題」が存在します。

プリンシパル・エージェント問題

エージェントがプリンシパルのために働かない

エージェント自身の利益を優先してしまう

この問題を踏まえて、個人投資家のみなさんができることは「コーポレートガバナンスが適切な会社を選んで投資すること」です。

ただ、「そんな会社選べないよ!」と言う人は、米国企業に投資することをおすすめします。

なぜなら、「株主重視という考え方は、もはや米国の文化と呼べるレベル」だからです。

S&P500を構成するような大企業に投資する

S&P500に連動するインデックスファンドに投資する

こぱん
これが無難と言えるでしょう^^

コーポレート・ガバナンスが適切な会社に投資すれば、ポンコツエージェントに投資するリスクはかなり低くなります。

少なくとも、ポンコツなゴルゴ13に依頼することは無くなるでしょう。

ポンコツなゴルゴ13

ビーチで酒を飲んで女と遊んでるゴルゴ13

パンをくわえて「遅刻遅刻~」と言いながら曲がり角で敵にぶつかるゴルゴ13

ターゲットじゃない人を撃ってしまうゴルゴ13

冗談のように聞こえるかも知れませんが、日本企業にはこんな経営陣が少なくありません。

リベ大では引き続き、資産運用に関する情報、「増やす力」を育てるための情報発信を続けていきます。

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あひるくん
僕も金の卵を産むニワトリを育てたいしな!

▼図解で簡単に分かる「金の卵を産むニワトリ」

 

こぱん
ぜひ一緒に学びながら、行動していきましょう^^

以上、こぱんでした!

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