こんにちは、こぱんです!
2020年7月22日、朝日新聞で次のような記事が掲載されました。
「政府、景気後退を認定へ 戦後最長の拡大、届かぬ見通し」
内閣府は、景気の山や谷を判定する会議を近く開き「景気後退入り」を認定する方向で調整に入った。
専門家の中では、2012年12月に始まった景気の回復局面は、2018年10月に終わったとの見方が強く、会議でこの通り認定される見通し。
朝日新聞デジタルでは、“日本政府が「不景気」を認定する見通し”だと解説しています。
2018年10月末までの、日経平均株価の推移は以下の通りです。
- 2012年12月……約10,400円
- 2018年10月……約24,400円
→約6年で2.35倍になっていた
ところが後に政府は、2018年10月頃が景気のピークだと判断しました。
つまり、日本はすでに「景気の後退局面にある」ということです。
そこで今回は、景気の判断ができる3種類の指標について解説します。
- 月例経済報告
- 景気動向指数
- 景気基準日付
3つの指標を理解して、
日本の経済実態をしっかりと把握して
きちんと家計防衛ができるようになりましょう。
「今の経済がどうなっているか?」を知らずに、資本主義経済の社会を生きていくのは、砂漠や北極を全裸で散歩するようなものです。
目次
解説動画:【潮目が変わった】日本経済の現状について分かりやすく解説【不景気到来】
このブログの内容は下記の動画でも解説しています!
景気の判定方法
日本経済の現状を知るためには、以下の3つの指標が重要です。
- 月例経済報告
- 景気動向指数
- 景気基準日付
①月例経済報告
月例経済報告とは、“日本政府が毎月出している”現在の経済状況に関する公式見解です。
「内閣府:月例経済報告」は、過去の分もまとめて見ることができます。
月例経済報告は、全体で10ページぐらいの資料ですが、
- トップページの“判断文”
- 2ページ目
を眺めるだけでも価値があります。
トップページの“判断文”は、抽象的な内容です。
景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きが見られる。
要するに、2020年7月は「景気は厳しい状況にある」というのが政府の見解です。
また2ページ目は、主要な経済指標のトレンドを一覧にした表があります。
- 個人消費:持ち直している
- 設備投資:弱含んでいる
- 住宅投資:弱含んでいる
- 輸出:急速に減少していたが、下げ止まりつつある
- 貿易・サービス収支:赤字
- 生産:減少している
- 企業収益:急速に減少
- 倒産件数:増加
- 雇用情勢:弱い動き
個人はお金を使わない
企業は将来のための設備投資をしない
企業収益は急減少で倒産増加にあり、かつ雇用には消極的
輸出は急減し、貿易収支は赤字
まさに不景気です。
ただし、月例経済報告には「政府関係者のさじ加減一つで、いくらでも自由に書ける」という問題点があります。
- 非常に主観的
- 恣意性が強い
→政府が「私はこう思います!」と言っているに過ぎない
政府は「好景気」アピールをしたがります。
実際に、過去の月例報告に載っていた「景気は回復中」という判断について、
- 「判断が甘すぎるのでは?」
- 「政府が言うほど、景気が良くなってるとは言い難いのではないか?」
という指摘もあったそうです。
②景気動向指数
景気動向指数は“景気全体の現状や、将来の動向を予測する”ために使われる経済指標です。
日本の経済状況を1つの指標で示すことができればよいのですが、残念ながらありません。
そのため、合計28種類もの景気指数を材料にして、「景気“動向”指数」という新たな指標を合成しています。
- 住宅状況:新設住宅着工床面積
- 雇用状況:新規求人数・完全失業率
- 生活状況:家計消費支出
- 金融状況:TOPIX(東証株価指数) etc
いろいろな要素を組み合わせることで、“日本経済全体”の動きが見えてきます。
さて、その景気動向指数をグラフで見てみましょう。
消費者に対するモノの販売額は減っている
全産業の営業利益は減っている
有効求人倍率は減っている
そんな事実が、このグラフで表現されています。
2018年10月ぐらいをピークに「もう景気後退は始まっていた」という感想です。
③景気基準日付
最もオフィシャルな景気判断は、景気基準日付です。
内閣府にある「景気動向指数研究会」という組織が、景気の転換点を判断しています。
景気動向指数研究会の名前は、冒頭で紹介した朝日新聞の記事にも出ています。
経済学者らでつくる内閣府の「景気動向指数研究会」(座長・吉川洋立正大学長)が近く開かれ、経済統計のデータをもとに、直近の景気の山がいつだったのかを議論する。
景気の判断は、経済学者様が集まっておおよそ1年~1年半遅れで行われています。
「あの時が、景気の底だった」
「あの時が、景気のピークだった」
ということは、データがしっかり集まって初めて正しく判断できるのです。
日本では、2012年12月から景気拡大が始まった(=2012年11月が“底”だった)とされています。
しかし、2012年11月が“底”だと判断できたのは、2014年5月になってからのことです。
あの時と同じように、2020年7月になってようやく「2018年10月が“山”だった」と判断できそうな状況になりました。
2018年11月以降、景気は下り坂で、すでに景気後退局面にありました。
景気基準日付は、転換点を判断するのに多く時間がかかりますが、その分メリットもあります。
- 主観、恣意性はほとんどない(機械的に判断できる)
- 後から大幅に修正されることもない(間違うことがない)
→非常に信頼度が高い
その他の景気判定方法について
これまで、3つの指標を解説してきました。
- 月例経済報告
- 景気動向指数
- 景気基準日付
3つの指標をそれぞれ見ても、「不景気入り」を認めるしかない状況ですが、これらの他に景気判断の材料になる指標も紹介します。
- 景気ウォッチャー調査
- GDP(国内総生産)
景気ウォッチャー調査
景気ウォッチャー調査とは、「地域の景気に関連の深い動きを“観察できる立場にある人々”」2000人を対象に、政府の担当者が直接行うアンケート調査です。
- アパレルの店員
- スナックのママ
- タクシーの運転手
など、景気が「良い」と答えた人から「悪い」と答えた人を引いて指数を作ったものです。
2017年以降、ジワジワ下がってきていましたが、コロナショックでトドメを刺されたような状態です。
5月~6月は回復傾向にありますが、依然として景気が「悪い」と感じている人が多いことに変わりはありません。
GDP(国内総生産)
GDPとは、一国で生産された財やサービスの付加価値の合計です。
GDPの大きさは、国力そのものを表しています。
欧米では、GDPが2四半期連続で前期比マイナスになると、景気後退入り(=リセッション)したと判断します。
その中で日本は、すでに2四半期連続で前期比マイナスになりました。
- 2019年10月~12月(前期比 −1.9%)
- 2020年1月~3月(前期比 −0.9%)
GDPがマイナス成長=日本経済の”縮小”を表すので、景気後退入りしているとみなされています。
まとめ:今の状況、まさに「不景気」
日本経済の景気状況を示す指標について、重要なものを見てきました。
今回の記事のまとめは、以下の通りです。
- 月例経済報告
政府の公式見解
→現状は「厳しい状況にある」という判断 - 景気動向指数
28種類の景気指数を合成して、日本の経済“全体”のトレンドを示した指数
→“リーマンショック後”並みに悪い - 景気基準日付
経済学者たちが集まる内閣府の「景気動向指数研究会」が、「景気の転換点」と判断する日付
(通常、転換点の認定までに1年~1年半かかるが、もっとも正確で、オフィシャルな日付)
→2018年10月で認定されそう -
その他の指標
- 景気ウォッチャー調査
タクシーの運転手、飲食店の店主、アパレル店員など2000人にアンケートを実施
→圧倒的に多くの人が「景気が悪い」と答えている状況 - GDP
2019年10月~2020年3月で2四半期連続でマイナス成長
→すでに深刻な景気後退入りをしていると判断
2012年以降、資産運用を開始した方は、
- 米国株も
- 日本株も
ひたすら右上がりで絶好調でした。
「不景気って何だっけ?」と思っていた方もいると思います。
今はまだ、世界中で政府が株価を買い支えているので、株価だけ見ると、不景気の実感がない人も少なくないでしょう。
実際に、まだまだ「リスクオン!」と攻めの投資姿勢を崩していない人も多いことでしょう。
ですが、日本経済の現況では、今の株価の「妥当性」は、何とも言えません。
確かに将来の株価は読めないですが、一度冷静になるべき局面を迎えてはいるでしょう。
不景気になると、誰も得をしない状況になります。
商品は売れない
企業の業績低下・株価低迷
休廃業・倒産件数増加
雇用は守られず、減給やリストラも行われる
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どんな経済指標を見ても、日本経済はボロボロな状況ですが、景気は循環するものです。
いつまでも続く好景気がないように、いつまでも続く不景気もありません。
自分で打開策を考えて行動する人は、どんな時代でも、どんな経済状況の中でも、生き抜くことができます。
以上、こぱんでした!
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