はじめに

 

先日、団体信用生命保険(以下:団信)の上乗せ保障が多様化しているという日本経済新聞 電子版のツイートを拝見しました。

最近は、通常の団信に0.3%の金利を上乗せし通常の団信+αの保障をつけた新型タイプの団信に人気が集まっています。

 

中でも人気なのが今回考えたい「がん団信」です。

 

団信にそのような上乗せ保障は本当に必要なのでしょうか?

今一度考えてみましょう。

 

団体信用生命保険の基礎知識

 

まずはベースの保険である「団体信用生命保険」についてきちんと理解しておく必要があります。

「団体信用生命保険」は、住宅購入時に金融機関から加入を義務付けられる特別な保険です。

 

ポイントはこの2つ。

 

  1. ローン契約者本人が死亡した場合、残された遺族にローン支払い義務はなくなる
  2. ローン契約者本人が所定の高度障害に陥った場合、ローン支払い義務はなくなる

 

私は以前住んでいたマンションでフラット35を利用してローン契約時に団信にも加入。

毎年10万円程度の保険料を支払っていました(※)。

 

※フラット35も団信の年払いは不要です
平成29年10月1日以後にフラット35を申し込みしている方は、月々のフラット35の支払いに団信費用が含まれているため、年払い不要となりました。

 

現在は戸建てに引っ越し、某都市銀行の住宅ローンを契約中です。

こちらは金融機関側が団信の保険料を負担しているので、金利の負担もなく、毎年の支払い義務は生じていません。

 

また最近では、「通常の団信に数%の金利を上乗せして○大疾病特約を付けたもの(○の中には3、5、8、11などが入る)」や「がん団信」、「がん50%保障」といったの特定疾患に対応した上乗せ保障なども出てきており、選ぶ側として正しい眼を養っておくことが必要です。

 

▶参考資料:三井住友銀行公式サイトより

 

そこで、団信の金利を表組にしてみました。

 

団信の金利一覧

種類 都市・地方銀行 ネット銀行 フラット35
通常団信 0% 0% 0%
疾病特約付き団信 0.3~0.4%程度(注) 0% 0.24%

注:疾病特約付き団信は保障される疾病内容や保障内容により異なります

 

そして楽天銀行をはじめとする、ネット銀行は疾病特約付き団信も金利負担なしで対応してくれるところが多いのが特徴です。

 

▶参考資料:楽天銀行公式サイトより

 

ここまでのまとめ

●団体信用生命保険(団信)の中には、疾病特約付き団信が存在している

●疾病特約付き団信は、都市・地方銀行、フラット35利用の場合は金利を上乗せして支払う必要がある

●ネット銀行は疾病特約付き団信でも金利負担がない銀行も多い

 

「がん団信」は加入すべきではない、2つの理由

 

ここまで団信についてわかったところで、がんと診断された時点でローン残高がゼロ、もしくは半減するということで人気の「がん団信」について見ていきましょう。

「がん50%保障」がついた団信の仕組みは上で紹介したツイートより確認することができます。

 

住宅購入を考えている方の中には、がん保険に入るよりは団信のついでに入れるならその方がいいんじゃない? と思う方も多いかもしれませんね。

 

結論から言いますと、金利負担を上乗せしてまで「がん団信」に入る必要はありません。

その理由を説明します。

 

あやちん
じぶん銀行、ソニー銀行など一部のネット銀行は金利の上乗せなしで「がん保障」を付けられる銀行も一部存在します。

 

「がん団信」申し込みで金利がアップする

「がん団信」は当然のことながら保障対象はがんのみであり、その他の疾病では保障外の団信です。

年齢制限があり、46歳を超えると契約ができない、50歳を超えると契約ができないなどの制限も多いという特徴もあります。

 

上乗せ金利負担がない場合はおまけ程度でつけておくのはいいかもしれませんが、別途金利負担が発生する場合、話は別。

わずかな金利とはいえ、長期間かけるとなると相応の金額になることは容易に想像できるのではないでしょうか。

 

みずほ銀行の公式サイトに掲載されているがんと診断された時点でローンの支払い義務がなくなる「がん団信」の試算結果をご覧ください。

 

▶参考:みずほ銀行「がん団信」の試算結果

 

みずほ銀行が提供する「がん団信」は、通常金利に0.15%(2018年12月28日までのキャンペーン金利)上乗せすることで申し込みができる団信です。

 

月額負担額1,481円を35年間契約した場合の負担額は622,020円。

 

仮に35歳でこのローンに申し込んだとして35年間支払った場合、契約者の年齢は70歳となります。

さて、この間にがんになる確率はどの程度だと思いますか?

 

あひるくん
日本人の2人に1人はがんを患うって聞いたことあるよ~?

 

あひるくんと同じように考えている方は多いかもしれませんね。

しかしこの話にはちょっと裏があります。

 

では、「2人に1人がガンになる」のはいったいいつだろうか?
現在30歳の人なら、男性は50年後の80歳で42%、女性は50年後の80歳から天寿を全うするまでの間の46%である。

 

上記引用元にもあるように、2人に1人が罹患するという状態になるのは、80歳以上になってからの話なのです。

つまり、ローン契約期間中である70歳までにがんを患う可能性はとても低いんですね。

掛け捨てになってしまうものに62万2千円を支払うお金をかけていいのかどうかは慎重に判断する必要があります。

 

必要なのは「がん団信」ではなく「治療費が払えるだけのお金」である

 

では、「がん団信」に支払う月額負担額1,481円を35年間インデックス積立投資で運用してみた場合はどうでしょうか?

試算結果は上記のとおりです。

 

患うか患わないかわからない「がん」に備えるために支払った62万2千円は、210万円にまで増やすことが可能となります。

 

この考え方は生命保険、医療保険にも言えることですが、残念ながら「がん団信」に加入しただけではがんを治すことはできません。

そのために、毎月の支払額を上乗せした分生活費を削って苦しい思いをしながら病気に備えることに意味があるか個人的に疑問が残ります。

 

  • がん団信に使う費用は投資に回す

 

かかるかどうかもわからない病気に目を向けるよりも、少し自由になるお金を作って、「今」の楽しみにも目を向けてみませんか?

 

がん団信は途中解約できないものもある

がん団信のデメリットは他にもあります。

1つはローン契約時にしか加入できないことと、もう1つが途中解約できない点です。

一度契約してしまうと解約できないというのは大きなリスクなので、加入するか否かはくれぐれも慎重に判断してください。

 

まとめ

 

ここまで「がん団信」についてお話してきました。

リベラルアーツ大学では、よくわからない商品には手を出さないことを推奨していますし、私個人も団信の疾病特約は加入していません。

 

特約付き団信は保険商品の新たな商品提供スタイルにすぎないことを忘れず、無駄なお金を使わないように気を付けてくださいね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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