はじめに

こちらの記事(「日本人の8割が加入する[保険]を全て解約した本当の理由」)にあるとおり、加入している任意保険を全て解約した、あやちん(@mile_tabiiku)です。

 

その理由は、

 

  1. 生命保険はギャンブルと基本性質が同じ
  2. 40歳から50歳までの間に死亡する確率は女性の場合0.9%・男性の場合1.6%とかなり低い
  3. 運用利率の低い保険にお金をかけるよりも投資に回したほうがリターンが大きくなることがほとんど

 

というのが主な点でした。

 

両@学長
そもそも保険と貯蓄は分けて考えるのが大前提です。あやさんの場合は、保険の中でも「積立保険」と呼ばれるものがほとんどだったので、僕も解約を勧めました。

 

あやちん
そうでしたね(笑)。今は格安で生命保険と医療保険どちらもバランス良く保障が得られる共済のみとシンプルな構成にしました!

 

そして記事中では触れませんでしたが、生命保険の中でも「加入しておいてもいい、解約する必要のない保険」というものが存在します。

 

それは掛け捨てタイプの生命保険です。

 

しかし、当ブログの読者さんからTwitterのDMで以下のような質問が寄せられました。

 

あやちん
あひるくん、読者さんからの質問を読み上げてください!

 

あひるくん
は~い! では、N様からのご相談を読むね。えーと……「預金があまりないので、もしもの時に備えて収入保障保険に入っています。これも解約したほうがいいですか?」だって!

 

本記事ではこの収入保障保険に焦点を当て、その内容と特徴、そして加入の是非を考えてみます。

 

収入保障保険とは?

「収入保障保険」は、契約者が死亡、もしくは高度障害などになってしまった場合に、お給料や年金のように毎月決められた金額の給付金か一時金を遺族が受け取れる生命保険です。

 

まず最初に、収入保障保険の大まかな概要を知っておきましょう。

 

収入保障保険の概要
  • 被保険者が死亡や高度障害になったときに遺族に保険金が出る保険
  • 保険金は、(一般的に)保険期間終了までの間、年金(または一時金)として受け取れる
  • 保険期間が経つにつれて保険金が段階的に減っていき、死亡時期により受取額が変わる
  • 解約返戻金は0もしくはほとんどない
  • 死亡保障に対しての保険料は格安

 

収入保障保険は、掛け捨て型でもしもの時に家族が困らないよう、毎月の生活費に備えるタイプの保険ですね。

実際に毎月の支払額がいくらになるのか、シミュレーションしてみた結果をご覧ください。

 

収入保障保険と生命保険シミュレーション結果

試算条件1:≪アクサダイレクト≫

  • 加入時期は39歳の男性
  • 保険料払込期間は60歳満了
  • 年金支払い保証期間は5年
  • 保険金受取金額毎月10万円

 

 

試算条件2:≪アクサダイレクト≫

  • 加入時期は39歳の男性
  • 保険料払込期間は60歳満了
  • 保険金受取金額2,400万円

 

世帯主が40歳で亡くなった場合、毎月10万円の年金が20年間遺族に支払われ、保険金の受取総額は2,400万円になるため、生命保険の保険金受取金額も2,400万円で試算しました。

 

 

あやちん
定期保険を契約したら、月々の支払い金額は収入保障保険の2倍以上! 一見すると、収入保障保険は保険料の節約にもなりそうな雰囲気です。

収入保障保険の保険料が格安な理由

では、なぜ収入保障保険はこんなに保険料が安いのでしょうか?

 

一般的に、人間は高齢になればなるほど死亡率が上昇します。

そして、それに比例して保険者の年齢が上がるほど生命保険料は上昇するものがほとんどです。

 

しかしこちらの表をご覧ください。

 

▼収入保障保険の特徴

収入保障保険の概要

 

収入保障保険は、必要保障額が減少するのに合わせて死亡保険金が減少していく仕組みとなっています。

 

つまり、年を取って死亡率が高くなり保険料が上昇していくのに反比例して、保障額が少なくなっていくので、終身保険や一般の定期保険などの生命保険に比べ、月々の保険料が安くなるんですね。

 

 

たとえば、子育て中の39歳の世帯主(男性)が

 

  • 死亡/高度障害年金:月額10万円
  • 60歳満了

 

でこの保険に加入したとします。

 

 

世帯主が40歳で亡くなった場合、毎月10万円の年金が20年間遺族に支払われ、保険金の受取総額は2,400万円になるのは前述のとおりです。

 

しかし、55歳で亡くなった場合は毎月10万円の年金が5年間払われます。

この場合の保険金受取総額は600万円です。

 

なんと4倍もの開きが生じることになります。

これまたギャンブル性の高い商品と言ってもいいでしょう。

 

では、この収入保障保険は本当に必要なものなのでしょうか?

相談者であるN様の現状を加味して考えてみます。

 

N様の現状
  • 30代の既婚男性でIT系フリーランス
  • 夫婦共働き世帯
  • 2児のパパ
  • 預金はなし
  • 現在加入している任意保険は県民共済と収入保障保険
  • 持ち家(住宅ローン契約)あり
  • マイカーあり

 

N様からの質問に回答します

 

結論:収入保障保険は不要です。

 

共済と収入保障保険保険の両方を加入しているからといって、保険料そのものが家計をひっ迫していないかもしれません。

しかし、現在預貯金がほとんどないというのが気になります。

 

あひるくん
でも、会社員だったら「傷病手当金」が出るだろうけど、N様はフリーランスだって言ってたよね。国民健康保険には「傷病手当金」と同じ制度がないけど、本当に大丈夫なの~?

 

あひるくんの言うように、自営業・個人事業主の方が加入する国民健康保険には「傷病手当金」を受け取れる仕組みはありません。

ゆえに、「傷病手当金」代わりに収入保障保険を勧める方も多いと聞きます。

 

しかし、収入保障保険が受け取れるのは、加入者が死亡した場合もしくは高度障害状態(※)となってから数年間(保険会社・契約内容による)だけです。

一生涯保障してくれるものではないんですね。

 

※高度障害保険金の受取対象となる高度障害状態とは?
  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  • 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

 

上記のような状態に確実にならないと断言することはできませんが、一方で高確率で上記のような症状になるとも考えにくいのはお察しのとおりです。

そして、収入保障保険に加入したとしてもその保険金を受け取るための基準は極めて高いと言わざるを得ません。

 

あやちん
であれば、まずは日々の生活習慣を見直し、預貯金額を増やしていきましょう。

 

もし高額な医療費がかかったとしても、高額療養費制度により最終的な負担額は軽減されます。

またN様の場合は奥様も働いてらっしゃるため、いきなり収入が途絶えることがないのは強みですね。

 

今回、N様とお話を進めていたところ、気になる点がありました。

それは、N様ご自身が国民健康保険内の制度の1つである「高額療養費制度」に関して無知であったことです。

 

両@学長
正しい知識がなければ、言われるがままに保険加入する可能性が高まります。無駄な保障を付けたばかりに高額な保険料を支払う事態にもなりかねないため、この機会に覚えちゃいましょう。

 

高額療養費制度を正しく知っておこう!

国民皆保険制度の日本では、医療費の一部を負担すれば診察・治療を受けることができます。

しかし、長期入院したときなどは自己負担が高額になることも……。

このような場合の負担が軽くなるよう、「高額医療費制度」があります。

 

この制度は、次のようなときに対象となります(「差額ベッド代」や「入院時の食事代の一部負担」、「先進医療の技術料」などは高額療養費制度の対象になりません)。

 

  1. 同じ人が同じ月に、同じ医療機関でかかった自己負担額が自己負担限度額を超えたとき
  2. 公的医療保険の加入者本人とその家族(注A)内で治療を受けた人が複数いたり、1人が複数の病院で治療を受けたり、同じ医療機関での同じ月の自己負担額が21,000円以上(注B)となった分を合算して自己負担額を超えたとき(世帯単位の合算)

 

(注A)家族でも異なる公的医療保険制度に加入している人の分は合算できません。

(注B)70歳以上(後期高齢者医療制度の対象者は除く)の人の分と70歳未満の人の分も合算できますが、70歳以上の人の分は、70歳以上の世帯単位の自己負担額を適用した後に残った自己負担額について、21,000円未満の分を含めてすべて合算できます。

 

▼70歳未満の自己負担限度額
区分 自己負担限度額(月額) 多数該当の場合
(4ヵ月目以降)
月収26万円以下(給料等が27万円未満)
基礎控除後の総所得金額が210万円以下
57,600円(定額) 44,400円
月収28~50万円(給料等が27万円以上51.5万円未満)
基礎控除後の総所得金額が210万円超600万円以下
80,100円+
(医療費-267,000円)×1%
44,400円
月収53~79万円(給料等が51.5万円以上81万円未満)
基礎控除後の総所得金額が600万円超901万円以下
167,400円+
(医療費-558,000円)×1%
93,000円
月収83万円以上(給料等が81万円以上)
基礎控除後の総所得金額が901万円超
252,600円+
(医療費-842,000円)×1%
140,100円
市町村民税非課税者(低所得世帯) 35,400円(定額) 24,600円

※公益財団法人生命保険文化センター公式サイトより引用

 

つまり、N様の月収が28~50万円の間だと仮定する場合、自己負担限度額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」の負担で済むということになります。

 

死亡や高度障害保険で毎月数万円の年金を受け取るために収入保障保険に入るよりも、

 

  • 今から、預貯金額を増やす努力をする
  • 今から、将来に備えて自分の健康に気を配る
  • 今だけの、家族との時間を楽しむ

 

ためにお金を使うのはいかがでしょうか?

 

また、もし仮にN様が就業不能状態になってしまった場合ですが、「※高度障害保険金の受取対象となる高度障害状態とは?」にも書いたとおり給付金を受け取るハードルはとても高いのが現実です。

 

さらに言えば、障害年金や生活保護など、日本には病気やケガなどで働けない人も生きていけるようサポートする制度がありますので、それらを活用する方法もありますね。

 

まとめ

N様、いかがでしたか?

 

なお、少々感情論が入ってきますが、全く動けない高度障害を負った状態で収入保障保険から月数万円の保険料を受け取ることにあまり大きな意味があるとは思えません。

そしてうがった見方をすれば、この手の新しいタイプの保険商品は、生命保険や医療保険の販売数が頭打ち生命保険会社の「新商品」であり、現在稼ぎ頭として期待されているものなんです。

 

最後の決断はN様ご自身がされるものですが、以上、参考にしていただければ幸いです。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

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